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こんにちは。小樽商科大学4年の澁谷です。JBAで働いて2年ほど経ちます。札幌拠点立ち上げメンバーとして、様々な案件に注力してきました。今回はその中でも、特に印象深かったプロジェクトについてお話します。
目次
- 5年がかりでクライアントと伴走する超大型プロジェクト
- 企業理解に30時間。札幌学生7名で缶詰になった丸二日間。
- 資料がうまくまとまらず徹夜。妥協しない姿勢の刺激を受けたのは札幌の仲間。
- コンペ大詰め。朝の6時半から夜の12時までつづいた東京合宿。
- 社員もインターンも関係ない。全員が同じ方向を向いてた。
5年がかりでクライアントと伴走する超大型プロジェクト
2021年6月21日。同僚の渡邊が「某飲料メーカーA社のコンペがあるらしい」と教えてくれた。与件は150周年を記念するWeb社史の作成。しかし、よくよく話を聞いてみると、歴史コンテンツを提案すればよいという単純な話ではないらしい。2026年のいわゆる“周年イヤー”に向けて、事務局準備、各部署からの情報収集、史実の整理と検証、社員の巻き込み施策、情宣活動、そして“アフター周年(周年の1年後)”の活動も含めた、5年がかりのプロジェクト。総額は2億円という超大型案件だということが分かった。直観で「面白そう!」と感じた。直接自分にアサインの声がかかったわけではなかったが、「俺もやりたいです」と手を挙げて案件に入れてもらった。
JBAのインターンに来てもうすぐ2年。これまでいろんな案件に関わってきたが、周年の案件が個人的には一番好きだ。きっかけは昨年、某建設業グループ会社の周年事業に携わったこと。社史や過去の社内報、Web上のありとあらゆる記事を読み漁った。創業時から脈々を受けつがれているDNAを抽出し、その精神を今の現場社員にどう認知・理解してもらい、行動変容にまでつなげるかといった巻き込み施策まで考えた。
何が楽しいかって、「周年」というきっかけを理由に、自由に枠を広げて提案ができること。よくも悪くも、周年事業には「型」がない。正解がない中で、自分たちの目的設定と、クリエイティビティ次第でどこまででも提案していい。そういった青天井の提案ができることが周年事業が好きな理由だ。
企業理解に30時間。札幌学生7名で缶詰になった丸二日間。
アサイン後、早速、社員を交えてのキックオフが開催された。与件の整理、競合調査、コンペ戦略などが一気に共有された。「JBAでも前例のないWeb社史の案件。これが取れれば、他も全部できる。」と何よりも社員がけっこうみんな本気だった。「ビールの会社か~」くらいに最初は思っていたが、なかなか真剣な案件に関わることになったと、じわじわと実感が湧く。
キックオフが開催された週の土日にはすでに、札幌拠点メンバーほぼ全員を巻き込んでの「企業理解合宿」を始めた。丸二日間、朝から晩までセミナールームを貸し切り、ごはんも全部セミナールームで済まし、まさに缶詰状態。120周年史担当、130周年史担当、IR担当、外部サイト担当など、情報収集の分担を決めて一気にリサーチ!僕は主力商品理解の担当だ。そんなピンポイント?!と思うかもしれない(笑)。そう、ひたすらにその主力商品の歴史を追っていく担当だ。商品の起こりから、初めての販売停止、お客様からのクレーム、待望の復活、そしてまた販売数低迷というように、ビール業界の波に揉まれながらも、常にお客様と一緒に歩んできたロングセラー商品。今まで何も知らずに飲んでいたビールに、こんな裏側のストーリーがあったのかと知って興奮した。また、7名でいろんな角度から調べれば調べるほど、点でしかなかった情報がだんだんと繋がり、企業の全体像が露わになってきた。味に対しての尋常のないほどのこだわり、品質に対して一切妥協を許さない姿勢。そして何よりも、他社が発泡酒や第3のビールで売上をあげようとする中で、「ビール会社はビールが祖業。だからあえて、自分たちはビールで勝負をする。」という、男気のある経営判断に痺れた。気が付けば、企業理解は2日間で30時間を超え、企業についてまとめたワードは9枚、主力商品だけをまとめたワードが10枚にまでなっていた。
資料がうまくまとまらず徹夜。妥協しない姿勢の刺激を受けたのは札幌の仲間。
話は少し変わるが、札幌拠点メンバーで付き合いが長いのは、渡邊と吉野だ。大学2年生の時に参加したビジネスコンテストで偶然同じチームになったのだ。当時は、そこまで深い仲ではなく、「なんかすごい奴らがいる…」と遠目越し(笑)。彼らは自分の成果物に対するこだわりが尋常じゃない。当時出会った時からそれは変わりなかった。「これがベストなのか」「本当に妥協していないか」と、資料一つをとっても、自分が出すものに対してのプライドとこだわりがとても強い。パワポのフォント一つ、スペース一つをとっても完璧を求めるほどだ。そんな彼らとほぼ毎日一緒に仕事をしていくと、自分も細部まで妥協しない姿勢が染みついてきたように思う。今回の案件でも、3人でZOOMをつないだまま徹夜して資料を作成した日もあった。
人は誰でも心のどこかで「これがベストではない」と感じる瞬間が少なくないはず。でもそこで妥協せずに、「気になるところは全部直す」を地で行くのが彼らだし、そんな仲間と家族よりも長い時間一緒にいれる自分は本当に幸運だと思う。
コンペ大詰め。朝の6時半から夜の12時までつづいた東京合宿。
実はキックオフミーティングからプレゼン当日までは1か月しかなかった。企業についてすべてをインプットしきった後、5年かがりのスケジュール作成とコンテンツ提案の大詰めにすぐに差し掛かることになった。
キラーコンテンツとして提案するのは主力商品のプロジェクトストーリー。そう、僕が30時間かけてインプットした情報が、今回の提案のメインコンテンツとなるのだ(笑)。記事のストーリーラインはテレビ番組『プロジェクトX~挑戦者たち~』を参考にすることにした。実際にプロジェクトXを何度も視聴し、番組内に盛り込んでいる情報、ストーリー展開、シズルの出し方などを言語化し、それを今回の主力商品バージョンに作成。ライターにこれまで自分がインプットしてきた情報を共有して、読んで心震える記事を作成してもらった。
また、プレゼン3日前は東京オフィスで合宿も行った。朝の6時半~夜の12時までの最後の追い込み合宿だ。朝の6時半からプレプレゼン。7時半からは“朝カンファレンス”という社員リーダーが集まるミーティングで再プレゼン。そこで得たフィードバックをもとに修正をして、さらに昼頃に社長前プレゼン。そのフィードバックをもとに夜の21時ごろにまたプレゼン練習。周りの社員からは「何を言っているのか全く分からない」「何が言いたいんですか?」とフルボッコに。特に5年を通しての取り組み事項やそれぞれの目的が細かく複雑すぎて伝わらなかった。
フルボッコにされようと、チームミーティングでは暗く落ち込んだ雰囲気にならなかった。「伝わらなかったか。どうしよっか。」と、意外にも場は明るかった。全員の中で「伝わらないのは当たり前」という考えが心のどこかであったからだと思う。これまで何十時間とインプットしてきた側からしてみれば当たり前の前提情報でも、プレゼンを受ける側からすれば初見なのだ。伝わらないのは当たり前。提案している5年間のマイルストーンは細かすぎるかもしれない。しかし、それだけ全員でその企業の本当に進むべき未来を考え抜き、その道筋がありありと見えている証でもあった。だから、どう伝えるか、どうしたら伝わるかを決して諦めなかった。
プレゼン直前まで資料の修正、伝え方の練習が続く。提案内容はすべて自分たちで把握できていたし、自信もあった。あとはこの細かい提案内容をいかに伝えるか、分かりやすく理解してもらえるか、それだけだった。しかし、細かいところを詰めていくと、最初に立てていた戦略がぶれてしまう。そんな難しさにも立ち向かいながら、何度も何度も資料を修正した。
最終的にパワポ資料の体裁を整えてくれたのは、ベルギーに住んでいてる社員だ。僕たちが作った、粗々の資料を綺麗に分かりやすく最後はレイアウトを整え、デザインしてくれた。「血のにじむような努力、しっかりと受け取りました」とメッセージが来たときは、少し胸が熱くなった。
―社員もインターンも関係なし。同じ土俵で真剣勝負。
最後の大詰め。コンペの質疑応答での想定問答も50問用意した。
マネージャーからチームメンバー全員にスラックが飛ぶ。
―“これは、A社7000人の意識改革。ビール史上初の5年間のプロジェクト。「どうせ」という企業風土を変えていく。本当にA社のためになるのか。競合との違いがでているのか。
最後までやり切ろう。21時チェック“―
社員もインターンも関係ない。全員が同じ方向を向いてた。
当日のプレゼンは50分。僕はオンラインで同席した。
画面上では相手の反応が分からず、50分間緊張しっぱなし。プレゼンをする社員を横に「お願いだから間違えないでくれ~~」と祈り続けた。(笑)プレゼンは無事に終わり、そして今、実は再提案コンペ準備の真っ最中。これを書いている合間にもミーティングがあり、再度提案に向けて準備を進めている。さすが2億円プロジェクトだ。そう簡単には終わらせてくれない。
以上、札幌拠点澁谷さんの記事でした!このストーリーでは、JBAのインターン生が日々の業務にあたる中で得られた大切な価値観や気づきを発信しています。募集記事も掲載していますのでそちらも是非ご覧ください!