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コンサルティングできるデザイナーとしてトップを目指す美大出身のコンサルタント「コンセプト作りからできるデザイナーへ」

JBAは学生時代の専門分野やそれまでの職歴などに関係なく、やりたい役職にチャレンジできる社風が魅力。

「多様なキャリア」シリーズでは、現在JBAで活躍中の社員のうち、少し異色と言える経歴をもつ人たちにお話を伺います。

今回ご紹介するのは、JBA内で「コンサルタントとアートディレクターのハイブリット」と称される2012年入社の原口さんです。美大とコンサルタントというのは繋がりにくいキャリアですが、常に高い意識を持ってお客さまと向き合ってこられた原口さんに、そのキャリアと価値観についてお話しいただきます。

ーまず学生時代に築いた価値観についてお聞かせいただきたいです。

高校入学時までデザイナーになるなんて考えてみたこともなかったのですが、高2くらいのとき友人の影響で美大を目指ようになりました。ネットも発達していなかった当時、情報収集の手段は街の本屋さんで。デザイン本のコーナーに通っていたところ、「デザインノート」という雑誌に出会いました。

そこには主に東京で活躍しているトップデザイナー達がたくさん載っていました。長大手企業を相手に、自分には到底できないようなことをやってのけて、指名を受けている彼らがものすごくかっこよくて、強烈に憧れました。それから彼らの経歴やポートフォリオを夢中になって調べ、全て暗記しました。するとその出身大学は多摩美術大学や武蔵野美術大学といった、東京の有名大学が多いんです。

「自分もこのトップ集団に入りたい」

そう感じた私は、私の出身地である山口県下関市から東京に出る決意をしました。自分の知識を経験値をもとに、オリジナリティをもって世界にのし上がっていく彼らのようになりたい。自分が円筒投げをしてみても到底届かないような距離のところに夢を置こうと思ったんです。これは人生で最も大きな決断でした。

美術大学での努力の末、武蔵野美術大学のデザイン科に合格することができました。そこで本格的に美術について学ぶ中で、改めて自分の憧れのデザイナー達のすごさが分かったんです。彼らはただデザインを起こす職人ではなく、お客さまの課題に対して突拍子もない角度で解決策を返しているアイデアマンなんですよね。コンセプトの詰め方が深くて、緻密で、独創的で、なんでこんなこと思いつくんだ?って。これを仕事にしているってすごい、どうしてこれが可能なんだろうと、高校時代よりもっと深く考えるようになっていきました。


ーJBAとはどのように出会ったのですか?

大学で行われた就職説明会で出会いました。JBAは大手企業と取り引きし、お客さまの課題を「クリエイティブ×コンサルティング」で解決すると語っていて、ハッとしたんです。私がなりたかった「コンセプトから作れるデザイナー」への道は、まさにこれだと思いました。ずっと夢見ていたトップ集団に入るために、自分はJBAでコンサルティングを学ばなければならない。自分の進むべきところはここしかないと確信し、JBAへの志望の意志を固めました。

高校生の時にした意思決定が、自分に可能な範囲の外にボールを投げる行為だとしたら、この時の決定は、自分の夢に手が届くようにボールを投げる行為とでも言いましょうか。私の人生を形作る2つ目の大きな決断でしたね。

ー実際にJBAに入社してみてどうでしたか?

JBAは、「お客さまと直接取引する環境」が魅力的だと思います。大手企業の下請けでは、クリエイターがお客さまの課題に直接触れられる環境はなかなかありません。下請け仕事を良しとしないことで、クリエイターがお客さまの近くにいられる点でJBAは特別でした。

また、「課題に向き合う姿勢」を学ばせてくれました。そのきっかけとなったのが、ある大手化学メーカーさんとのお仕事でした。

ー「課題と向き合う姿勢」について詳しくお聞きしたいです。

私の入社当時、2年目まではお客さまの窓口となってご要望を伺う業務を中心にしていました。しかし、慣れない業務をなんとか身につけようと精一杯で、コンサルタントとしてうまく動けず、取引先からクレームをいただいてしまったのです。自分は何もできないのか、と落ち込むこともありました。デザイナー職に転向することも何度も考えました。それでも「ここでデザイナーの道を選ぶことは逃げだ、何でもやろう!逃げないで立ち向かおう!」と気合をいれなおしていた入社3年目。その大手化学メーカーさんとの出会いがありました。

ご依頼は、社内コミュニケーションツールの雑誌である社内報制作で、ちょうど社長が交代されたばかりという、お客さまにとってとても大切なタイミングでの案件でした。どのように取り組んでいけばいいのか、課題設定はどうしたらいいのか、右も左もわからなかった私は、まずとにかく地道にお客さまのことを調べようと思いました。

国会図書館で社名を検索して、お客さまの名前が出ている発行物を10年分すべて見ました。時系列順に記事を見ていったことで、化学業界全体が、2008年のリーマンショック以降、経営を改善しきれていない現状に気づき、お客さまもこの業界共通の課題を抱えていたこと、社長が交代した理由、社長から社員に宛てたメッセージの意味など、全て自分の中で繋がりました。

この出来事を機に、ロングスパンで組織観を捉えて課題を汲み取る力が大切だと気付き、コンサルタントとしての自分なりの取り組み方を身に着けることができました。それからの経験を生かし、 入社4年目の時には、JBA初の企画担当部署であるプランニング部の立ち上げにまで至りました。


ー現在アートディレクターとしてもご活躍されているとのことですが、どのようなお仕事がありましたか?

コンサルタントとして経験を積んでいく中で、自分がJBAに来た本来の目的に立ち戻り、「コンセピプトから考えられるデザイナー」でもあるアートディレクターとしての仕事に携わるようになりました。役職の違いは決して非連続ではなく、コンサルタントとしての学びが間違いなく今に生きています。

印象深いのは、2019年にある教育業界の大手企業さまを担当したときのお仕事です。そのお客さまとは、それ以前にも社内報制作で10年ほどお付き合いがあり、それまでの歩みもしっかりと理解できている状態でした。お客さまは、数年前に問題が起こって以来、顧客が離れていってしまう、経営方針がうまく実践できないなど、困難が続いていました。そんななかで、ようやく社員がモチベーションを取り戻し、これから新しいことに挑戦していきたいという時期でのご依頼。その内容は「デザイン、内容を含め『躍動感』を表現したい」という難しいものでした。

しかし、ご要望を聞いたとき私はすぐに分かりました。これからの時代を社員が作っていく。「作る」という決意をあらわすことができるのは、手形だと思ったんです。さらに、ただのデザインでなく、実際の社員の手形を集めたらもっとお客さまの想いを表現できるのではないかと直感で思いました。これはそれまでのお付き合いで、お客さまに真剣に向き合い、深く理解していたからこそのひらめきでした。きっとお客さまに喜んでいただける。そう信じて向かったコンペ当日。JBAは高い評価を得てその場で採用され、1年経った今もまた新たな仕事を一緒にさせていただいています。

ーお客さまのことを深く理解していたからこそのアイディアだったのですね。

お客さまらしさをひとつずつ紐解いて徹底的に理解し、そのアイデンティティ、魅力をどう見える化していくか考える。そうすることで本質を突いた提案ができる。これは、デザイナーとしての志をもって、コンサルティングを学んだからこそ身についたものだと思っています。その意味で、私は「コンサルタント×デザイナー」のハイブリッドみたいなものかもしれないですね。

ーコンサルタントとデザイナーのハイブリット...面白いですね。もう少しくわしく聞かせてもらえますか?

私は、自分の仕事を「企業の魅力を見える化し、どう表現するか考えること」だと思っています。この考え方は、コンサルティング職にもクリエイティブ職にも共通していて、私が今この考え方のもとに仕事ができているのは、学生時代にクリエィティブ職に対する価値観を築いた後、JBAでコンサルタントとしての腕を磨いてきたからです。「美大」と「コンサルティング」は一見繋がらないように見えるかもしれませんが、コンサルタントとしてのキャリアはデザイナーやアートディレクターになるために必要なスキルだったと考えていますね。


ー原口さんらしいキャリアを築くことができたんですね。今後の展望を教えてください。

これまでの仕事で、どれほど利益を出している会社でも課題は必ずあるということを知りました。お客さまと同じ視点を持つことで、多角的に課題を設定でき、更なる提案ができるというのは、コンサルタントに求められる基礎の能力ですが、現在クリエイティブの世界でそれが出来る人材はまだまだ少ないです。

私は今、35歳の目標として「この領域でトップのクリエイターになる」というのを掲げています。いくつになっても、今までの自分を振り返って次の目標を立て、さらなる成長を目指すことはできます。「原口がいたからこれだけのことを成し遂げられた」と言われるくらい、クリエイティブの力で実績を残していこうと思っています。 そして、これを自分自身の目標とする一方、JBAを全体を情熱をもってお客さまと向き合える集団にしたい。お客さまに親身に寄り添える人材に後輩が成長できるよう、今後は社員の教育にも力を入れていきたいです。

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