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料理は人の気持ちを変える。『29ON 池袋店』のシェフが見せる、18年間の料理人としての生き様

きっかけは子供の頃好きだった料理番組でした

〜株式会社favy 飲食事業部 久保田 効(くぼた いさお)さん〜

私が小学生の頃は、テレビでよく料理番組をやっている時代でした。当時人気だった「料理の鉄人」をはじめ、NHKの「今日の料理」や「キューピー3分クッキング」、夕方の奥様向けの料理番組などを好んで見る少年だったんです。

番組に影響され、自分でもよく料理を作っていました。小学生なので、カレーや焼きそば、チャーハンなど、簡単に出来るものでしたけどね。それを兄弟に食べさせたりしていました。

その頃から将来は料理人になると決めていて、中学を卒業すると調理課のある高校へ進学しました。そこは高校卒業と同時に調理師免許が取得できる学校だったので、卒業後は迷わず就職を決めていましたね。

天ぷら屋から本格和食、ビストロまで経験しました

高校を卒業して初めて入ったのが天ぷら屋です。そこは、お客様にいつでも揚げたてを楽しんでもらえるよう、オーダーが入ってから丁寧に揚げてお出しする店でした。

ここで4年ちょっとお世話になった後、天ぷら以外のこともやりたくなってお店を辞めました。ある程度天ぷらを揚げる技術が身についてくると、だんだん自分の技術に対しての自己満足になっていく気がしたんですね。その中でさらに技術を極めていく職人気質の人もいますが、自分はそうではありませんでした。

だから、天ぷら屋を辞めたあとは、炭火焼が売りの本格和食店や、タジン鍋やとん平焼きなどを作る野菜のお店、有機野菜をメインとしたビストロなど、様々な業態を経験しました。

複数の業態を経験してはいますが、自分が一番好きなのは和食です。もちろん食べることも好きですが、鮮度の良い食材を活かした料理を振る舞えるのは、和食の技術があってこそだと思います。

一番努力したことは、左利きを右利きに直したこと

〜「もっと発酵UMAMIナイト 2018 feat.寺田本家」にて、マグロの解体ショー〜

飲食業界に入って一番努力したことは、和食を始めるにあたって、もともと左利きだったのを右利きに直さなければならなかったことです。

和食包丁は「片刃」といって片面にだけ刃が付いていて、ほとんどが右利き用なのです。だから左利きでは不都合があるということで、包丁だけでなく箸も右利きに直す練習をしました。最初は野菜を切りながら指も切ってしまうというような状態でしたが、何度も練習して慣れていきましたね。

誰か憧れの料理人を目指して頑張っていたというよりは、この人ぐらいの技術を身に付けたいという風に、身近な人を目標にしていました。経験年数が長い人との距離を縮めるのは難しいじゃないですか。だけど、1、2年上の先輩だったら努力次第で抜くことは可能ですよね。だから、近い人を1人ずつ抜いていく気持ちでやっていました。

「飲食店が簡単に潰れない世界」に惹かれ、favyに入社

favyは、昔ビストロで一緒に働いていた人に紹介されて知りました。

入ることを決めたのは、「飲食店が簡単に潰れない世界を創る」というfavyのビジョンに惹かれたからです。潰れない飲食店を創ることに、単純に興味が湧いたんですね。

また、favyの運営する、焼かない焼肉屋『29ON(ニクオン)』という業態も面白そうだなと思いました。『29ON』は、低温調理のお肉をメインにしたコース料理を提供しているのですが、自分は魚に関しては長年やってきたけど、肉をメインでやったことが無いなと思ったんです。それで、これは良い機会だなと思い、エントリーをさせていただきました。

現在は『29ON 池袋店』のシェフを勤めさせていただき、通常の店舗営業の他に、メニュー開発やイベントの企画などをしています。

『29ON』は原価率が高いため、料理の振り幅が広いのが魅力

〜「もっと発酵UMAMIナイト 2018 feat.寺田本家」料理〜

『29ON』は会員制システムを導入していて、1年間の会費をお支払いいただいた会員様のみのご案内となっています。事前に会費を払っていただく分、1つのコースにかなりの食材費がかけられるのが最大の魅力です。

一番最初にお出しするスープから松茸を使えたり、約7,000円〜10,000円のコースでこれでもかと高級食材を使っているお店は『29ON』ならでは。一回のお食事で非常に満足していただける内容とボリュームを提供しています。

食材費にお金をかけることが出来ると、料理の振り幅も大きく広がってきます。夏になると高価になるため、通常の飲食店ではあまり使うことのない「あん肝」は、実は夏に食べた方が格段に美味しいんです。さらに低温で火を通すとフォアグラのような濃厚な味わいを楽しめます。そういった普通の飲食店では使えない食材を使えることに、料理人としての血が騒ぎます。

また、『29ON 池袋店』では肉だけなく、魚も提供して良いという決まりになっています。肉と魚の組み合わせで新しい発見があるなど、料理人としての人生は長いですが気づかされることが多いです。

一番得意な料理は「天ぷら」です

〜天ぷらナイトで提供した「天ぷら」〜

一番得意な料理は、天ぷらです。天ぷらって面白くて、油の火の調節と衣のつけ方によって食感や味わいが全然違ってくるんです。

例えば、お弁当用のエビの天ぷらは、油の中で浮いてきたエビを叩いて花を咲かせます。さらに追い衣をして衣をしっかりつけるため、もっちりとしているのが特徴です。

それに対して、店舗で直接お出しする天ぷらは追い衣をしない分軽く、食材の良さをしっかり味わっていただけるのが特徴です。

『29ON 池袋店』ではこの技術を活かし、「天ぷらナイト」というイベントを開催しています。低温調理を施し柔らかくなったお肉に、衣をつけて揚げた天ぷらは格別です!

料理とは、「人の気持ちを変えられるもの」

料理とは、味一つで「人の気持ちを変えられるもの」だと思います。

美味しいものを出せば喜んでもらえますし、不味いものを出せば不機嫌にさせることも出来ます。お客様に幸せな気分になって帰ってもらうことが一番のやりがいです。

今後は『29ON』の低温調理の技術を用いて、さらなる可能性を見出していきます。料理人を志す若者も、自分の技術の幅を広げたい料理人も、興味があればぜひ一度遊びにきてください!

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