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原体験を礎に。CTOとして数々の難局を乗り越え、スモールビジネスの未来を切り開く

freeeのCTOとして「スモールビジネス × テクノロジー」をモットーに活躍する横路 隆。その始まりは、学生時代にありました。横路がCEO佐々木 大輔とともにfreeeを創業した経緯とは──。新たな局面を迎える中で、freeeとして目指す未来像についても語ります。

10年前──2012年に佐々木と出会い、打ち明けられたビジョン

CEO佐々木とともにfreeeを創業し、現在CTOを務める横路。freeeのビジネスに結びつくような原体験が学生時代にありました。

横路 「島根県の実家が焼き菓子屋をやっていたので、バックオフィスの大変さは知っていました。

私は学生時代からプログラミングが得意だったので、販売管理のための簡単なツールを作ったんです。すると普段5000円だったお小遣いが30000円になりました。『なるほど、社会ではこれが求められているのか』と思ったのを覚えています」

その後、大学進学のために上京した横路はコンピューターサイエンスを学びながら、インターン先でスモールビジネス向けのツールを作りました。

横路 「地方銀行向けの支援アプリケーションを作成しました。地方は土地の値段が安いので不動産が大きな担保にならず、代わりに動産(家畜など価値のボラティリティの高いもの)を担保として扱うという融資のやりかたがあるのですが、そのスキームをデジタル上で実現できるようにするツールでした。

この経験からBtoBビジネスや『スモールビジネス × テクノロジー』という分野に面白さを覚えました」

2010年、大学院を卒業した横路。新卒ではコンピューター全般が好きだったこともあり、上流から下流まで垂直統合でものづくりをしているメーカーに面白みを感じ、ソニーに入社しました。

そこで2年間カメラの制作に携わっていた横路に、転機が訪れます。

横路 「仲が良かった同期と、ボトムアップで何かを作るみたいなことをよくやってたんですけど、ある日『エンジニアを探している人がいるけど会わないか?』と言われ、佐々木と会う機会があったんです。

話してみると佐々木のなかには既に、中小企業を支援するためのサービスの構想があり、あとはエンジニアがいれば……。という状況でした。

また彼の実家は美容院で、お互いに両親がスモールビジネスを営んでいることもあって、すぐに意気投合しました。幼い頃から、親がバックオフィスで大変な思いをする姿を見てきていますからね」

「1カ月後にまた会ってプロトタイプを作ろう」と約束した二人。2012年のゴールデンウィークに再会し、開発を始めます。

横路 「『請求書を発行すると勝手に仕訳が作られつつ請求書がPDF化される』という機能を、2日で作りました。実装してみたところ『これはいける!』と確信し、その2カ月後にソニーを退職して起業するに至りました。

佐々木は当時プログラミングの経験はほぼなかったのですが、1カ月の間に猛勉強して、相当できるようになっていたんです。『本気だな』と思いました」

リードエンジニアからCTOへ

(▲2019年、上場時の佐々木と横路)

2012年7月、佐々木とともにfreeeを創業した横路。当時を振り返ります。

横路 「創業直後は、佐々木のマンションに缶詰状態で開発をはじめました。当時は若かったので、朝の9時から深夜3時くらいまで開発をしていても体力的には大丈夫だったんです」

2013年に入ると、freeeにとって最初のプロダクトである「freee会計」をリリースします。この経験から学んだ教訓は大きいものでした。

横路 「『freee会計』のリリースは3月19日でした。しかし個人事業主の確定申告は3月15日が締め切りで、間に合わせることができなかったんです。

原因は、マンパワーが足りないなかで『あれもほしい、これもほしい』とこだわりすぎてしまったことでした。小さくはじめてから改良すれば良かったのですが、その思考に至らなかった。

この経験は今でもfreeeのマジ価値基準の一つ『アウトプット→思考』として根付いています」

リードエンジニアとしてプロダクトを作り続けてきた横路。その役割はエンジニアの人数が増えると徐々に変わってきました。

横路 「採用活動にも力を入れはじめ、エンジニアが30人ぐらいになったころにはインフラの責任者や情シスを経験しました。また社内で必要なセールス支援ツールやマーケティング支援ツールなどもひとつずつ、メンバーを集めながら先陣を切って構築していきました。

新しいことを始めてある程度チームが育つと、自分より優秀なエンジニアをアサインし、自分は新しい領域を開拓していきました。

そしてエンジニアが60~80名を超えたころ、中長期のこと考えるためにCTOらしい動きをするようになっていきました」

その後「freee人事労務」「freee会社設立」「freee申告」など、様々なプロダクトをリリースし、freeeは2019年末に上場を果たしました。

そして創業10年目となった2022年現在でも、横路はCTOとして技術面からfreeeをリードし、支えています。

そんな横路には仕事をするうえで大切にしている考えがあります。

横路 「サービスを伸ばす、会社を成長させるために何でもするというマインドは創業期から持ち続けています。とにかく下手でもいいからまずやってみる、自分ができなければ人にやってもらう。

私も最初は自分が手を動かせばなんとかなると思っていましたが、会社が大きくなるにつれ自分1人でできることには限界がきました。それからは『いかにチームの力を最大化するか』『いかに突き抜けている方にfreeeに共感してもらい、手伝ってもらうか』ということにフォーカスするようになっていきました」

スタートアップを中堅企業に成長させるための基盤づくり

(▲役員が店長になり、社員をもてなすイベント「スナック燕」の様子)

横路がパフォーマンスを発揮し続けてきた背景には、スタートアップならではの環境がありました。

横路 「CTOとしてエンジニアを束ねる上で、主な役割は課題を解決することです。課題解決の選択肢としては幅や深さがあることが大事だと思うんです。そういうのを身につける機会は、多くの場合、会社が成長している時です。

会社が成長しているということは、業務が増えて人が足りていない状態。普通の会社だと8~9割成功するだろうと見積もってプロジェクトにアサインされますが、スタートアップでは5割失敗するかもしれないけれど、誰もいないのでやるしかない。そんな難局を乗り切った経験が、CTOとしての強い武器になっています」

第二創業期に入ったfreee。そんなフェーズだからこそ、メンバーにはさらなる成長の機会があるといいます。

横路 「2022年現在、freeeのエンジニア組織は基盤づくりに投資していて、私が陣頭指揮を取っています。これまでfreeeはスタートアップのプロダクトの作り方をしてきましたが、これからは人数が10倍になってもしっかりスケールするようなシステム基盤、そして組織基盤が必要になります。

基盤づくりは、エンジニアの人数が100~1000名規模の会社でしか経験できません。小さなスタートアップだと基盤よりプロダクト作りに注力しているし、1000名以上エンジニアがいるような組織は基盤を作り終わっているからです。

今はそのような基盤づくりに携わりたい人が多く入ってきています。古くからいるメンバーが思いを伝え、経験豊かな新メンバーにノウハウを教えてもらいながら、われわれのミッション『スモールビジネスを、世界の主役に』の実現に邁進しています。

基盤づくりに携わったメンバーは『スタートアップを中堅企業に成長させた』と自信をもって言えるようになると思います。また現在シニアの方の入社も相次いでいますが、彼ら、彼女らは培った技術や経験を社会のなかでどうやって生かすかに注力しています。特定分野で尖っている方が活躍しやすい土壌が整っています」

本当にやりたかったことに没頭できる社会に向けて

freeeの目指す未来と現在地の間にはまだまだ距離があるといいます。

横路「今はやっと一合目。

われわれは『freeeを使うことでよりビジネスを加速させる』世界を目指し、これから二合目、三合目を登っていくための足固めを始めたところです。今の主力事業は『freee会計』と『freee人事労務』ですが、他のコアとなるビジネスが数年ごとに立ちあがってくるような環境を作ろうとしています」

freeeを使うことでよりビジネスを加速させる——横路はその真意を語ります。

横路 「会計からスタートし、人事労務・税務申告・会社設立・プロジェクト管理など、さまざまな分野のプロダクトをリリースしてきました。またキャッシュフローを楽にするために、自社で金融子会社を立ち上げてクレジットカードを発行したり、与信エンジンを提供したりもしています。

ビジネスを始めて会社が大きくなるにつれ、人を雇ったり、セキュリティを意識したり、いろいろな業務が増えていきます。その一つひとつをfreeeが助けたいし、freeeのプロダクトを使わなかったとしてもAPIで連携させながら、すべてがfreeeの中でまるっと完結できるエコシステムの構築を目指しています。いずれはfreeeを使うと『儲かる』『しっかり経営が回る』といったアクションを打てるところまで行きたいですね」

幼い頃から両親の背中に自営業の大変さを感じ、freeeを創業してから様々なスモールビジネスの課題に直面してきた横路。解決するためのキーワードは「時間」でした。

横路 「私は『時間のイノベーション』を非常に大事にしていて、10年スパンのものが1~2年で行えること、1時間かかるバックオフィス作業が数秒でできるようになることに価値を感じています。それをスモールビジネスにも届けたい。

freeeが提供しているものって、経営を楽にするツールなんです。会計の『カネ』からはじまり、人事労務の『ヒト』、将来的には『モノ』までを取り扱い、可能な限り自動化することで本当にやりたかったことに没頭できる、そんな社会を作りたいと考えています。

またスモールビジネスは国内企業全体の99.7%を占めているので、『スモールビジネスが本当に働きやすい環境』を作ることができれば、日本が元気になることにもつながると考えています」

最後に、横路がこれから転職を考えている人に向けてメッセージを送ります。

横路 「freeeはできていない部分も多く、上場前より上場してからの方がたくさん課題が出てきている状態なので、やることはたくさんあります。ぜひ何に困っているか聞きに来てください。

またわれわれの視点はまだまだ低いとも思っているので、他の世界を知っている方々のご経験や知識をプラスして、新しい世界を作っていきたいと思っています」
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