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ユーザー、業務委託メンバーとしてfreeeと関わってきた銭谷 侑は、2020年4月にfreeeへ入社を決めました。その背景には、『マジ価値』なことになら前例のない挑戦もできる、freeeらしさへの共感があります。コピーライターの経験から得た『ことば』を武器に、挑戦を重ねる彼のこれまでをひも解きます。
事業主になるため、夫婦で独立した
(※2020年7月brand studio設立時の写真。真ん中が銭谷)
新卒で電通に入社し、コピーライターとして7年間の経験を積んだ銭谷。色々な業務で人を動かす言葉のアイデアを紡ぎ、言葉が持つ力を実感してきました。
銭谷「モノづくりがしたくて、色々なチャンスがあるんじゃないかと思って電通に入社しました。そこで言葉が持つ力を実感し、身につけた自分の技術を横展開させて色々なものを作ってきました。
コピーライティングって、100個切り口を出す訓練から始まるんですよ。例えば傘のいいところを100個考えようみたいな。その中に、傘の新しいビジネスモデルに繋がる可能性があるものが出てくることがある。
言葉を軸にいろんなアイデアを出しながら、既存のビジネスやサービスをより良くし、ときにはデザインや全体のコミュニケーションづくり、事業開発までチームで担当していました」
そんな銭谷に、仕事に対する気持ちの変化が訪れます。
銭谷「広告って、多くは一発で終わる打ち上げ花火のようなものだったりするんです。でも様々な経験から、コンセプトづくりや商品開発まで携わることが出来ると、もっと中長期的な価値づくりができると気がつきました。
それからしだいに、『本質的な価値』そのものを作りたいと思い、独立を考えるようになったんです。広告表現それ自体に価値があるものもありますが、商品やサービスそのものが一番の価値なので。事業主側で、チャレンジしてみたいなと。
また仕事の仕方としても、第三者的立場からクライアントの課題を解決するためにアイデアを出すより、事業や経営の近くでチャレンジした方が、意味のあるモノづくりができると感じました」
さらに心強いパートナーの存在も、独立を後押しする要因になりました。
銭谷「実は夫婦でやめたんです。そして二人でデザインファームを立ち上げました。妻がアートディレクターでデザインを、私が言葉と戦略を担当しています。
もともと妻と一緒にモノづくりをするのは面白いと思っていて。夫婦で、ちっちゃくてもいいから自分たちの人生をよくするような事業を立ち上げようと事業計画を立てました。それからは自分たちの人生発想で、面白いと思うことを仕事にしています」
freeeとの出会いは、独立してすぐ訪れました。
銭谷「辞めるときに、知り合いだった元freee社員にプロダクトを教えてもらったんですよ。『自分たちでやるなら便利ですよ』と。すぐにユーザーになりました(笑)
それからデザインファームの会社設立から決算〜確定申告まで、すべてfreeeを使っていました。むしろfreeeがなければ、経営なんてできていなかったと思います」
『確定申告FES』を全力でやりきった
銭谷はデザインファームを経営する傍ら、事業会社でもマーケターやコピーライターとして兼業する働き方を3年ほど続けていました。
そして2019年10月、業務委託メンバーとしてfreeeで働き始めます。
銭谷「マーケティングを担当するfreee社員から、声をかけてもらいました。話を聞きにいくと、何か力になれるかもしれないと思ったんです。
最初に携わったのは『確定申告FES』という、確定申告をみんなのお祭りにするプロジェクト。もともとfreeeの中で構想はあったので、具体的な言語化の部分から携わり、コンセプトメイキングやクリエーティブ開発を担当しました」
最適な言葉を探し、ステートメントを完成させた銭谷。そして当日、印象に残る光景があったと言います。
銭谷「ステージでfreee社員による確定申告の説明があったあと、特設ブースで参加者の確定申告をfreee社員がダイレクトにサポートしました。参加者のみなさんが確定申告の電子申告を終了した瞬間には、歓喜の声と拍手が上がったんです。それを目にしたとき、やってよかったと思いましたね。
freee社員が生でサポートするというのは、ユーザーにとって深い経験になったと思います。また『確定申告を苦しい孤独な体験ではなく、一年の頑張りとして讃え合い、次の新しいチャレンジを応援し合う日に変えていく』というイベントのコンセプトにも合致していました」
もちろん確定申告フェスのステージには、音楽やお笑いのステージもありました。
その中で開催された『スモールビジネス STORY AWARD』は銭谷の肝いりの企画。立案し、責任者としてアイデアを形にしていきました。
銭谷「『スモールビジネス STORY AWARD』は個人事業主のストーリーを募集して、最優秀賞を映画化する取り組みでした。
『事業は人生も世の中も面白くする』ということを体現したストーリーを集めることは、freeeのミッション『スモールビジネスを、世界の主役に。』にもダイレクトに繋がると思ったし、ユーザーにとっても人生を振り返るいい機会になるだろうと考えました。
またこの取り組みも、確定申告という面倒くさいと思われがちなものを、スモールビジネスの魅力を感じられる場に変えていくことに、一役買えるなと」
コンテスト形式にしたため、映画化されるのは一作のみ。銭谷は、そのぶん本気で取り組まないといけないと考えたと言います。
銭谷「審査員を誰にお願いするか決めるにあたって、真剣に議論を重ねました。
目的は、より多くの人に、ストーリーを起点にスモールビジネスの面白さが広がること。なので、脚本・笑い・ミッションなど多様な視点から、それぞれの専門分野の人に集まってもらいました。
結局、芸人(FUJIWARA)さん、脚本家さん、フリーランス協会の理事長、freee・CEOの佐々木に審査をしていただきました」
さらにこの取り組みは、freeeのブランドを確立する上でも重要なものになったと言います。
銭谷「クラウド会計の会社がストーリーを募集して短編映画を作るって、夢があるじゃないですか(笑)。
人が驚くようなアイデアや普通はやらないことを実現するのが、応援したくなるポイントになるのではないかと思っています。またBtoBの経営支援サービスだからこそ、堅苦しくでなく、スモールビジネスの“自由”さを大切にしてブランドをつくっていきたい。
その観点で言えば、映画を製作するのはfreeeのブランドづくりやコミュニケーションの手法としていいなと思ったんです」
『スモールビジネス STORY AWARD』で最優秀賞を受賞したのは、「Kai's Kitchen」オーナーの甲斐昂成さんのストーリーでした。
それをモデルにして制作された短編映画『ムカチノカチカ』は、後述する『スモールビジネス映画祭』で初上映。その後、イタリアのカンパーニャで開催された映画祭『Vesuvius International Monthly Film Fest』にてBEST SHORTを、アメリカのニューヨークで開催された『New York Movie Awards』にてBest Indie Short Filmを受賞しました。
多様なプロの集まるfreee brand studioの立ち上げ
確定申告フェスのイベントの経験から、銭谷は社員になることを決意。2020年の4月、入社しました。
銭谷「とにかく楽しかったんです。『スモールビジネスを、世界の主役に。』というミッションに対して、freeeの社員が本気で取り組んでいる姿に、もっと一緒にアクションしていきたいと強く思いました。
また自分自身も、小さなデザインファームを経営することで人生がとても自由で、充実したものになっています。そんな人が増えることで、世の中ももっとオモシロイものになると感じました」
銭谷は入社後、ブランドチーム「freee brand studio」を立ち上げ、マネージャーになりました。
銭谷「チームには、デザイナー・プロデューサー・ストーリーテラーなど多様なメンバーが在籍しています。事業会社の内製ブランドチームに、ここまで多様なプロフェッショナルが集まっているのは、とても珍しいことです」
ブランドチームは、設立当初から大きく2つのミッションに挑戦しています。
銭谷「ひとつは中長期プロジェクトとして、freeeの『ブランドのコア』の部分をまとめ、強いブランドを育てていくこと。部署横断で『freeeのブランドの根幹はなんなのか』ということを言語化して、ブランドを進化させていくプロジェクトです。
表層的なデザインの規定ではなく、freeeのあらゆる顧客体験で、ユーザーにどんな体験を届けていくのか。freeeらしい体験や個性とは何なのかを議論し、指針やブランド資産をまとめていきました」
約1年間に及んだプロジェクトを通して、freeeは2021年6月22日、新しいビジョンを掲げブランドを刷新しました。(参考:新ブランド特設サイト)
(銭谷がコピーを開発した社内ポスター↑↑)
それと並行して、freeeの考え方や行動に共感する人を増やし、「スモールビジネスを、世界の主役に。」を実現していく仲間を増やす「ブランドアクション」の企画・実施をしています。
銭谷「例えば『確定申告FES』に続き、2020年11月には『スモールビジネス映画祭』を開催しました。
これは、スモールビジネスをテーマにした映画をみんなで見て、集めて、語り合う、オンライン参加型の映画祭です。スモールビジネスのストーリーを映画を通して体験していただくことで、『生き方が広がる』きっかけを提供できればと開催しました」
『スモールビジネス STORY AWARD』『スモールビジネス映画祭』と、映画に注目したのにも理由があると言います。
銭谷「ストーリーに着目してもらいたく、それが一番伝わると思ったんです。
というのも、ユーザーが語るプロダクトの使い方動画ってあまり共感できないこともあるじゃないですか。ならば見せる箇所をビジネスのストーリーに振り切って、一番人の心が動く形でコンテンツにした方がいいと考えました。その方が見る人に届くと思ったんです。
実際にコメント欄には『営んでいて頑張ろうと思った』『コロナ禍で飲食店やめようかなって思ってたけど、もう一度頑張ってみようかな』と、手触り感のあるコメントをいただく事も出来ました。誰かが人生にとって大事な行動を起こすきっかけになれたことに喜びを感じましたね」
また、2021年の確定申告FESでは、『確定申告モンスター』というゲームのように確定申告が学べるユーザー参加型コンテンツを開催した銭谷。
FESや映画、ゲームなど、本質的に価値があることなら、freeeではどんなことにも挑戦できる環境があると銭谷は感じています。
ことばを武器に、freeeの未来を切り開く
様々な活動を行なっているfreee brand studio。ブランドチームを内製化したのには、二つの大きな理由があります。
銭谷「まずは、スピード感。freeeは、次々とアップデートが行われたり、新しいサービスが登場します。内製チームだからこそ、freeeの本質的な価値を理解しながら、ものすごいスピード感で、freeeのブランドをつくっていくことができます」
もう一つは、freeeの定めるマジ価値(=ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えること)2原則の一つ、『ムーブメント型チーム』の体現だと言います。
銭谷「ムーブメント型チームは、ミッションに共感し集まった仲間たちが自律的にアクションを起こし、その熱狂が伝播することで、より良い相乗効果を生み出していくという考え方です。
ただ広告やキャンペーンをつくるのではなく、freeeのあらゆる顧客接点のなかで、どうしたらfreeeらしい体験価値を、freeeらしく届けることができるのか。それを長い時間考えるチームが社内にいるっていうのは、大事だと思います。そういうものって、freeeで長時間過ごさないと見えてこないし、変革できないんですよ」
銭谷は『マジ価値』なことなら、前例のない新しいことにも挑戦していけるのが、freeeならではの楽しさだと言います。
銭谷「コロナ禍でfreeeが発起して始めた『#取引先にもリモートワークを』というアライアンスプロジェクトも、ムーブメント型チームの楽しさや可能性を感じた仕事でした。
これはリモートワークを自社だけではなく、取引先にも思いやりをもって、業界や社会全体で推進していくプロジェクトです。このプロジェクトを広げるべく『#取引先にもリモートワークを』というコピーを開発し、最終的には100社以上を巻き込んだ動きに発展しました。
freeeでブランドを担当することの喜びは、社内外をまきこみソーシャルインパクトを作り出すハブになれる存在になれることだと思っています」
また、freeeのリブランディングにつながった中長期のブランドイノベーションプロジェクトでは、「ブランドのコア」の部分をまとめるのはとても大変だったと言います。
銭谷「経営、UX、プロダクト、マーケなど様々な部署を巻き込んで、改めて、freeeのブランドコアとは何かを議論しました。
freeeの全社体験として、マジ価値を届けきるとはどういうことなのか。ユーザーの皆さんに、どういう風に思ってもらうことがゴールなのか。様々な関係者と議論しながら言語化し、ブラッシュアップしました」
そこで活きたのは、培ってきたコピーライターとしての経験でした。銭谷は言葉を発散フェーズと収束フェーズで、明確に使い分けています。
銭谷「発散フェーズでは、なるべく多くの人にキーワードが出しやすい問いをいっぱい出しました。
例えば単純に『freeeらしさとは?』ではなく、『freeeを人に例えたら?』『freeeで働いてよかったことは?』など具体から抽象まで問いかけることで、その人が持ってるキーワードやエッセンスを吐き出してもらいました。普段は言語化できないけど、問いかけられると自分の中から出て来るような言葉が集まったと思います。
収束フェーズでは、いろんな人が出してくれたバラバラのキーワードをこういうことだよねって言語化し、最終的に1つに着地させることができました。ブランドのコアな部分がどこにむかうのかまとまったので、これから具体的にアクションを起こしていきます」
そんな銭谷が、これからの目標を語ります。
銭谷「freeeのブランドを通して、ソーシャルインパクトを作り出したいです。freeeのためにfreeeのブランドをつくるのではなく、freeeのブランドを通して社会に役に立つ。それこそ『スモールビジネスを、世界の主役に。』にしていくことに、繋がるとマジで信じています。
言葉を通して、モノ・サービス・企業などあらゆるものを、より社会をよくする存在価値に変えていきたい——それは銭谷がコピーライターをしているときも、freeeでブランドを担当している中でも持つ、共通の想いです。
ことばを武器に、これからもfreeeの未来を切り開いていきます。
(参考:freeeブランドムービー2021 )