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2020年現在、freeeのIRチームで研鑽を積む重光 佳乃。米国の大学で学び、帰国後日米のギャップに悩む中でfreeeと出会います。入社後カスタマーサポートに従事し、SVとして数多くの業務を抱える中で、ある悩みを抱えていた重光。困難をどう乗り越え、そしてIRに転身した今何を目指すのか、紐解きます。
帰国後の就活ギャップ──打開のきっかけはfreeeとの出会いだった
重光は高校卒業後、アメリカの大学に進学しビジネスを幅広く学んだあと、卒業後半年間、会計事務所でインターンをしていました。
重光 「もともと海外で働きたいと思っていたんです。アメリカはインターンやボランティアの活動をしていないと就職につながらないカルチャーがあるので、実務経験を積んでいました。そんなとき、家庭の事情で日本に帰ることになったんです。
帰国後、少し時間を置いてから就職活動をはじめたんですが、会社によって新卒か中途扱いかが違っていました。さらにちょうど新卒の募集期間も終わっていたので、あまり選べる立場じゃなかったんです。そこでエージェント経由で、新卒の通年採用をしているベンチャーを中心に紹介してもらいました」
就職活動ではとまどうことが多く、悪戦苦闘を繰り返しました。
重光 「日本の会社の求めていることや自分の見せ方がわからず、相談できる相手もいなかったのが大変でしたね。履歴書ひとつとっても、自分の強み・弱みなどの書き方がわからないまま提出し、面接を受けていました。当時はもう、本番でトライアンドエラーを重ねることの繰り返しでしたね」
そんなタイミングで、エージェント経由でfreeeを紹介された重光。面接ではとくに印象に残った質問があると言います。
重光 「当時の新卒担当の高森 昂大や、役員の野澤 俊通を含めた4人と面接をしました。他社だと『大学を卒業してなんでこんなに時間空いてるんですか?』とネガティブな質問でしたが、freeeの場合は『期間が空いてる間に何を学びましたか?』と聞いてもらえたんです。
そのポジティブな空気のおかげで、ありのままを喋れました。自分を知ってもらえてるようで嬉しかったですね」
また、freeeの事業内容やミッションにも共感したと言います。
重光 「インターン時代にアメリカのクラウド会計ソフトも触っていたので、freeeのサービスはそれの日本バージョンだと、漠然ですが想像できました。
それに、freeeのミッション『スモールビジネスを、世界の主役に。』が心に響いたんです。教員だった父が過去に『実はカフェもやってみたかった』と言ったことがあって。そのときに、ノウハウやスキルがなくてもすぐに必要な情報を手に入れ、やりたいことが実現ができるサービスがあったらと考えました。
たとえばカフェを始めるなら、地元の税理士・施工業社・不動産など、必要な人材とのマッチングが簡単に進められたらと。その意味では、スモールビジネスを支援しているfreeeのサービスや世界観との親和性はありましたね」
キャパオーバーに直面した2年目。「寄り添い」が生んだ新たな発見と課題
こうして2018年、freeeに入社した重光。カスタマーサポートに配属され、顧客対応を通してプロダクト知識・会計知識を身に付けていきました。
重光 「経理の経験がないのでお客様の業務がイメージできず、プロダクトの機能もうまく使えないことで、お客さんが何に困っているかわからなかったんです。そこで、少しずつ簿記を勉強しながら、プロダクトの機能をキャッチアップしていきました。
またお客様対応では、機械的にならないようなアプローチを心がけました。サポートセンターだからといってお堅いわけじゃないので、より課題や困っていることに寄り添うことを意識しましたね。経験を積む中で『Aに困るってことは、Bにも困る』みたいな悩みの関連性が分かってきました」
さらに一年半の間SSV・SVというポジションで、お客様対応に当たっているメンバーの相談を受け、数字やチームの管理を行いました。
重光 「freeeでは扱うプロダクトによって、顧客対応のメンバー・チーム内のオペレーションフロー・プロダクトに関連するエンジニアやセールスチームが異なります。
そんな中、チームの管理者としてイレギュラーな案件を判断していかないといけないので、一度に多くのチームを見ることになったときは、情報のキャッチアップを含め大変でした」
当時はとくに、お客様対応に当たっているメンバーとの1on1に苦労したと言います。
重光 「カスタマーサポートの体制や働き方についてさまざまな意見が出るのですが、私の方で判断できず、返事に困りました。抱えるチームが多いほどたくさんの人から要望が来るので、優先度を考えつつ、相手に納得してもらうのは難しかったですね。
それは私の溜め込んでしまいがち、ネガティブなことを人に伝えるのが苦手といった性格にも原因があります。自分が我慢すれば、自分が工夫すれば、と考えてしまい処理できなくなっていました」
強いSVじゃなくて良い──「頼る」勇気が自分を変えた
重光を救ったのは、「助けて」のひと言でした。
重光 「それまでメンバーには『答えは保留にさせてください』と伝え、先輩に相談をしていたんです。でも抱える案件が多すぎてもう無理だってとき、初めて自分自身が大変であることも伝えました。人に頼ることで、気持ちが楽になりましたね。それからは協力を得る中で、こういう風に伝えればいいんだと感覚がつかめるようになりました」
助け舟をみずから求められるようになった重光は、アウトプットにも積極的になったといいます。
重光 「メンバーからの質問にある程度自分で考えたものをぶつけて『私としてはこうしたい』と自分の言葉で言えるようになったのは、仕事のやり方が変わったかなと思います」
四苦八苦しながら、膨大な案件を乗り越えてきた重光。2年3カ月のサポート業務を通して自分自身がたくましくなりました。
重光 「とくにSVになると、緊急度が高く複雑な状況になった後の電話対応も回って来るんです。スピード感を持って自分の答えを出さないといけない機会が多く、打たれ強くなりました。
仕事のやり方では、はじめはひとつのタスクにどのくらい力を注ぐか分からず、肩に力が入っていたんです。しかしいろいろな方からやり方を学び、徐々に自分のアイデアを出せるようになりました。
自分にアサインされたタスクも、チーム全体が目指す目標を考え、より効率的に物事を進める方法を考えるべきだと意識が変わったのが大きな学びでしたね」
未知の領域への挑戦。IRとして見据えるゴールとは
2020年に入ると、重光は部署をIRに移動し、新たな挑戦をはじめました。
重光 「2019年末に上場したときお問い合わせ窓口を開設し、サポートが担当することになりました。そこでIRの原昌大と話すようになり、2020年7月に『やってみない?』と声をかけてもらいました。
IRは企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動なのですが、異動当時は何をしているかもわからない状態でしたね。未知の領域で不安もありましたが、できないと思う理由を自分なりにつぶした結果、チャレンジすることにしました」
はじめは投資家とのミーティングで議事録を取るところから業務をはじめた重光。それができるようになるまではインプットに励みました。
重光 「最初は何を言っているかまったくわからなかったです。そこで自分に足りない知識を整理し、1カ月半の間インプットを行いました。そのあいだに決算発表が終わって、膨大な数の投資家さんとのミーティングが始まると、なんとかメモを取れるようになっていました」
3カ月で130件ほど、投資家との面談を行うIRチーム。徐々に重光に与えられる役割も拡大し、海外に進学した経験が生かせる場面もたくさん出てきました。
重光 「freeeには海外の投資家の方がたくさんいるので、必然的に英語対応が多くなるんです。投資家さん向けの資料や議事録も、日本語と英語両方でつくっています。ミーティング中に調べ物を頼まれ、時間内に英語で解答する場面もありますが、時間制限があるのでヒリヒリしますよ(笑)」
サポートからIRに異動した経験を通じて、重光は新たな働き方を身につけていきました。
重光 「サポートは窓口が開いたらずっと現場にいて、落ちてきた課題を迅速に処理しながら中長期的なチームのあり方を考えていました。それに対してIRでは面談までフレキシブルに時間を使えるので、準備はしっかりできます。その分専門的なことが多いので、精度をあげて望まないといけないですね。
また求められる知識も、サポート時代は会計とfreeeのプロダクトに詳しければある程度対応できていましたが、今は視座を高くして深く業界を理解する必要があります」
まだまだ成長途中の重光。今後のIRチームの業務において、ひとつの目標があると言います。
重光 「面談でのスピーカーに挑戦してみたいです。今はマネージャーの原やCFO・東後 澄人が対応しています。私も早くできるようになりたいので、もっともっと英語力や知識をつけないといけないですね。引き続き勉強しながら、日々の業務に励みたいです」