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こんにちは、採用広報の西木です。
前回 freee finance lab の新しいサービスとして、『オファー型融資』の開発秘話を綴りましたが、今回は同時リリースされた『請求書ファイナンス』の開発を特集!!
ビジネスサイドの今岡と、エンジニアの今村、新卒でfreeeに入社した2人が中心となって一つのプロダクトを作り上げるには、どんな物語があったのでしょうかーー。
プロフィール
右
今岡柾( Imaoka Masaki )
大学時代、タイの大学に1年間留学。帰国後、アジアの人材交流をするNPOの理事や、学生団体立ち上げに取り組む。さらにfreeeで長期インターンを経て、2015年freeeに新卒入社。九州支社を立ち上げたあと、プロダクトマネージャーとして活躍中。趣味はタイ料理づくり。
左
今村翔一( Imamura Shoichi )
大学時代は複数のベンチャーでインターンをしたり、個人でアプリケーションの開発も行う。freeeでも学生インターンとして、会計freeeのインサイドセールスチームや経費精算アプリの開発・リリースに携わる。2017年に新卒エンジニア1期としてfreeeに入社。2年間、申告freeeなど税理士向けの機能開発に取り組んだあと、2019年4月からfinance labにて請求書ファイナンス開発に着手。
〜インターン時代〜
ー長期インターンでは何をやってたんですか?
今岡:僕は何でも屋さんでした。当時はまだfreeeに30人くらいしかいなかったんで、社員の手の届かないところ全般って感じで。確定申告のチャットサポートとか、法人向けインサイドセールスをしていました。そして8カ月後、新卒で入社しました。まだfreeeで新卒一括採用が始まる前なので、幻の0期と言われてます(笑)
ーfreeeとの出会いはなんだったんですか?
今岡:大学院に行く勉強を進めていた時期に、ビジネスイベントでfreeeCEO・佐々木の講演を聴いたんです。そこで公共性とビジネスの深い関わりに惹かれてインターンを申し込みました。
ー今村さんはどんなインターンを?
今村:僕はエンジニアの内定もらってたんですけど、セールスとしてインターンさせてもらったんです。学生からしたら、会計ソフトってぶっちゃけわからないじゃないですか。そこでどんな人がどんな風に使っているかキャッチアップしたくて、最終面接で「セールスもやってみたい」と言ったら、OKが出ました。色々なユーザーさんとお話しできたのは、会計freeeを知る上でも、お客さんの悩みなどを聞く上でも良い経験になったと思います。
4ヶ月ほどセールスインターンをした後は、エンジニアインターンに移りました。会計freeeチームに入って、経費精算のAndroidアプリの開発をやってました。Javascriptすら触ったこと無かったんですが、フロントエンドの強いエンジニアに助けてもらいながら、なんとかリリースできました。
〜入社後〜
ー入社後は何をしてましたか?
今岡:僕は税理士さん向けのセールスを担当した後、九州支社に立ち上げのために福岡へ行きました。半年の予定だったんですけど、気がついたら1年経ってました。最初10ヶ月は1人だったんでマジでしんどかったです(笑)
ーえ、1人?
今岡:はい、 最初は『今、九州に立ち上げる意味はあるのか』という見極めの時期だったんで、採用よりもセールスに力を割いて、マーケット拡大に奔走していました。
ーどうやってモチベーションキープするんですか?
今岡:ハングアウトでのマネージャーとの1on1で事業数字の振り返りをするだけでなく、個人としての成長目標にも深くコミットしてもらっていました。あとは関西支社も立ち上げ時期で1人だったので、密に連絡を取って、支社の拡大状況を競ったりしてました。あと本社の全体会議の中継をしてもらうんですけど、音が悪くてほとんど聞こえず、中継後関西支社の人と会議で聞き取れたことの答え合わせをしたりしていました。(笑)
ー九州支社から帰ってくるきっかけは何だったんですか??
今岡:単純に人が採用できたことと、継続していけるってことがわかったんで帰ってきました。当時は本社の中でも、九州支社があることを知らない人もいたんですよ。だから勝手に支社長名乗ると、「新卒が支社長!?」と話題になって本社で徐々に認知されはじめました。その意味では支社の存在価値を上げたのは僕のfreeeでの功績の一つだと思ってます。
ーその後はどのように金融事業部へ?
今岡:税理士さんに一人ひとり回って営業をしていた経験から、もう少しマーケット全体を俯瞰してお仕事をしたいと思い、会計事務所向けマーケティングをやり、その後金融事業部へ異動しました。「ここのチームで、こういうのやりたい」とちゃんと提案できたら、チャレンジさせてもらえることは多いですね。もちろんこれまで何やってきたかは見られますけど。異動後まず大分銀行との共同サービスを作り、今回リリースした請求書ファイナンスを立ち上げから任されました。
ー今村さんは入社してから何を?
今村:僕は1年くらい申告freeeの開発をしてました。帳票を計算するアプリケーションなんですけど、計算ロジックがめちゃくちゃ複雑で、キャッチアップするのは凄い大変でしたね。また既に膨大な量のコードが書かれており、その上でのパフォーマンスを意識した実装が求められたので、鍛えられました。
1年目の12月には一括申告という大きな機能開発を任せてもらって、複数のテーブルの設計から実装までオーナーになって開発しました。そこから通帳・領収書データ化サービスの開発をしていました。ここでは何も実装がない状態から設計し、フロントエンド・バックエンド・インフラの実装まで行ったことは大きな学びに繋がりましたね。
アプリケーション全体に対する技術的な解像度が高まったと思います。
ーそれから finance lab へ?
今村:はい、2019年4月から。技術的な挑戦や社会によりインパクトのあるサービスを作りたくて、ジャーマネに願い出て異動しました。ちょうど金融事業部がサービス作ってて、いいなと思ったんです。
請求書ファイナンスの開発の実装はゼロからだったので、前部署での経験が活きました。
〜請求書ファイナンスについて〜
ーどんな機能ですか?
今岡:事業をしていて、今まさに現金が必要なのに手に入らない時ってあるんです。お金が入ってくる前に別の発注の支払いをしなきゃいけなかったりとか、入金サイトと支払いサイトのズレがあるとか。その時に負債を抱えて借入するのではなく、今手元にある請求書を先に現金化することで、手元にキャッシュを!というサービスです。
今村:平たく言うと100万の請求書を、期日が到来する前に95万で買い取ってもらえるサービスです。web上で申込みまで完結できることや、売掛先へ請求書ファイナンスの利用は通知されないことなどから、お客さまからは良い反応を頂いています。
ーどうやって申し込めるんですか?
今村:会計freee上で事前に買い取り可能性の高い請求書の一覧が自動で出ます。そこでユーザーが売りたい債権を選択し、データ連携の許諾をすると、提携先の会社(OLTA株式会社)にデータが連携されて、申込みを行えます。
ーじゃあfreeeが買い取るのではなく、会計freee上のデータを使って提携先のOLTAさんと繋ぐんですね。
今村:そうです。実際の画面は、特定の条件を満たした人だけ出てきます。提携先のメリットは、現金化した時の手数料、ユーザーのメリットは、借金をしなくても、手元にある請求書をすぐに現金化できることです。
ーサービスの開発はいつくらいから始まったのですか?
今岡:構想は2018年からありました。本格的に動きはじめたのは2019年の2月からですね。企画段階で会計freeeのユーザーさんに資金繰りについて実際に話を聞いてみると、中小企業の短期の資金繰りの大変さを肌で感じ、サービスの必要性に確信を持てました。「明日、お金になる請求書がわかる」という体験は必ず、中小企業のオーナーさんに気持ちの余裕をもたらすだろうと。
今村:4月に僕もアサインされて、具体的に仕様や画面のイメージなどを一緒に吟味しながら決めていきました。何としても価値を届けたいという今岡さんの気持ちが伝わってきて、僕もその気持ちを共有し、同じところを見ながら議論できたと思います。会計データを使って債権をオファーするサービスは、まだ世の中になかったので、ワクワクしながら開発できました。
ー請求書ファイナンスで、どういう風に社会が変わればいいなと思いますか?
今村:真面目に経営して会計freeeを使っていれば、その人がちゃんと恩恵を受けることができる状態になってほしいです。請求書ファイナンスは、その恩恵のピースの一つだと思います。
今岡:同感です。会計freeeのデータを利用することで、お金を借りられたり簡単に審査を受けることができたり、お金の悩みをなくすプラットフォームになればいいと思います。
〜開発環境〜
ー困ったことはありましたか??
今岡:金融サービスを作るという経験は過去にもしたことがなかったので、助けてもらいまくりました。周りには、金融機関・監査法人・官僚・コンサル出身の方がいたので、様々な観点からアドバイスをもらいました。特に同時に作っていたオファー型融資のメンバーからは、ユーザーへの提供価値が似ていることから商品開発・事業開発の点で多くを学びました。また法対応については、リーガルチームの方にもかなり助けてもらいました。
今村:僕も社内から多数のサポートやフィードバックをもらいました。技術的な話をすると、いかにセキュアな実装をするのかが課題でした。提携先へのデータの受け渡し設計をどうすればいいのか自分だけでは決められない。そこは社内のセキュリティに詳しい人に相談しました。他にもインフラチーム、UXデザイナー、マネージャーなど、助けてもらった人数はかなり多いです。
今岡:よかったのは助けてくれた方も、同じプロジェクトって認識で行動してくれたことです。巻き込んでしまった方も、一緒のチームって意識で週に何度もミーティング出てくれたり、外からどんどん人が主体的に関わってくれて最終的には15人くらいで作り上げたと思います。「私が請求書ファイナンスを立ち上げた」と思ってくれてる人は多いと思うし、それはすごい嬉しいです。
ー他に、プロダクト作りにおいて、freeeの特徴だと思うところはありますか?
今岡:めちゃくちゃオープンで風通しがいいと思います。チャレンジに対しては、否定することなくポジティブに応援してくれます。もちろんその分、責任は任されるし求められるものは高いですね。
今村:エンジニアは、ワクワクしながら働ける環境を作ろうとする思いが感じられますね。トップダウンではなくボトムアップ型で、自発的に行動する方が全体の生産性が上がるということを会社が体現していると思います。また技術選定や機能開発も、自分が「これが価値がある」と論理的に説明すれば受け入れてもらえますね。
ーfreee全体や会計freeeの世界観にさえ合ってれば、どういう仕様にしてもいいっていう自由って、怖さはなかったですか?
今村:僕はエンジニアとしてワクワクしましたね。最初から正解の仕様はできないので、周りからフィードバックをもらってすぐに軌道修正することが大事だと思っていました。もちろん技術的な部分では変えやすいものと変えにくいものがあるんで、そこは意識して選ばないといけないんですけど。次の機能が追加されるときに開発しやすいように。
〜関係性〜
ー2人の関係性を教えてください。
今岡:よく言われるのは、PMがWhat(何を作るか)を決めて、エンジニアがHow(どうやって実現するか)を決めるってことです。僕たちも一応そんな関係ですが、明確には決まってなく、良い事思いついた方が言うって感じですね。
ー2人がチームを組むのは、今回が初めてですか?
今村:はい。エンジニアとしては自分のやり方を押し付ける感じのPMだとやりづらいんですけど、今回は2人とも金融未経験っていう前提で、仕様も一緒になって決めようってスタンスで開発できたので納得感をもって仕事できました。
今岡:さっき言ったように、最初は周りの人に多くアドバイスを求めて助けてもらったんですけど、開発が進むに連れて2人でさっと話し合って、一つ一つ意思決定していくことが増えていきました。マネージャーからも相談事が減ってきたのは頼もしいと言ってくれていました。freeeにはそれを許してくれる土壌もあるので、やりやすかったですね。
ーお互いリリースを通して、相手のここがスゴイ!と思ったことはありますか?
今村:PMだけじゃなくて、開発以外のすべてをやってくれたので本当に頼りになりました。ユーザーのリストを共有したら、次の瞬間もう電話かけてるし、その辺のスピード感は僕にはない。支社立ち上げとか色々な修羅場をくぐってきてるから、PM以外にも、セールスもマーケ的な考え方もできて、逞しかったです。
今岡:ありがとう(笑)
ー電話とか、ためらわないんですか?
今岡:ためらわないですね。お客さんと話すのは好きだし、ヒアリングして知らないことを知るっていうのは凄い楽しい事じゃないですか。
ー今岡さんから見た、今村さんのスゴイところは?
今岡:「なんでそう思うんですか?」って、絶対に聞いてくるんですよ。僕がやりたいことの裏側の意図を探ろうとしたり、「こんなんどう?」って聞くと「それなんで必要なんですか」って言われて我に返ったり。僕の方が一応2年先輩なんですけど、そんなの関係なく気になることはズバッと言ってくれるのはありがたいですね。ユーザーファーストで考えてる証だと思います。
ー何でこれ必要ですかって言われたとき、全部自分の中に答えはあるんですか?
今岡:いや、ないときもあります。むしろ何となくはあって、聞いてくれることで言語化出来たり、詰めて考えられるきっかけになってます。
ー今村さんは、意図的に聞いてるんですか?
今村:全く意識してなかったですけど、仕事をしていて、いいもの作りたいから意図をちゃんと聞くことは多いかもしれません。
逆に友達と接するときは、理由は聞かないように。あらかじめマインドセットをもってのぞむんですよ。自分は普通に好奇心で聞いていても、相手からしたらなんか詰められてるように感じられたりするらしく……(笑)逆に、今岡さんには何を聞いてもちゃんと返ってくるので、聞けます。
ー次に新しく何かを開発する時も、二人でやってみたいって気持ちはありますか?
今岡:それこそ請求書ファイナンスのユーザーを増やしていくプロジェクトを引き続きやっていきたいと思います。
(社内で請求書ファイナンスのローンチを発表した時のプレゼン風景)
〜目標と請求書ファイナンスの未来〜
ーfreee入る前、自分がやりたいなって思ってたような仕事を実現できてますか?
今村:僕は理想に近いですね。開発して世の中にサービスを出して、さらに成長させるということがやりたかったので。昔から、自分の頭にあるものを形にして世の中に残せたらカッコいいなって思ってました。また言われた通りに開発するのではなく、チームや他部署と関わりながら、エンジニアとしてどういう設計をすべきか、どういう機能にすべきか考えられていると思います。
今岡:まじ職人だな!(笑)
ー今岡さんはいかがですか?
今岡:今まではセールスで、基本誰かが一生懸命作ってくれたものをお客さんにどうやって届けるかっていうのを考えてながらやってきました。でも今回の商品開発を通して、今はまだ価値がない事や埋もれてしまっていることに価値を見出すという方向性も自分にマッチしているんだなと思いました。
「これ作ろう」ってなった段階では具体的に何をしたらいいか全くわからなかったんですけど、いろいろ調べたり教えてもらったりしている中で面白さに気づきましたね。何もない暗い中から光を見出すみたいな発展性のあることを経験できたのは良かったです。これから自分の職業人生の中で一つの糧になっていきそうな経験でした。
ー完成したときは、どんな気持ちでしたか?
今岡:ユーザーさんに使ってもらうのがまだこれからなので、あまり終わった感じはないんです。むしろここからですね。リリースしただけじゃ、まだ打ち上げに行ってもソフトドリンクしか飲めない(笑)
今村:ユーザーさんが増えるというか、価値を提供できてる実感があって初めて、美味しくお酒飲めますね(笑)
ー仕事での夢はありますか?
今岡:僕は、freeeに入る前からの夢なんですけど、機会の平等を実現したいですね。どんな環境で生まれて育っても、やる気があれば挑戦できる環境を作りたいです。
タイに1年間いて、スラム街とかたくさん見て、僕が日本で生まれてこの環境でチャレンジできてるのって奇跡中の奇跡だなと思うので、還元しなきゃいけないなと思います。
今freeeでやってることも、起業したばかりで社会的に信用がないような人でも、気持ちさえあれば、信用力がある人と平等に挑戦できる世界にしたいという思いがあります。ゆくゆくは日本だけでなくアジア、世界に価値を出す仕事をしたいですね。
今村:僕は、自分自身は有名にならなくてもいいけど、自分が作ったものが世の中で普遍的に価値を発揮し続けるようにしたいですね。ネジとかハサミとか、作った人カッコいいじゃないですか。誰が作ったのか名前もわからないけど世の中に残ってて、淘汰されてない。
会社選ぶときも一過性の流行でぱっと人気になってまたすぐ廃れるような業界よりかは、世の中の仕組み的なものがいいなと思ってfreeeを選んだんで。だからfreeeで社会への価値を考え抜きながら、技術を使って新しいサービスを作ることが、夢に通じると思っていますね。
ー最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。
今岡:freeeには圧倒的な成長環境とチャレンジできる土壌があります。もし人生で成し遂げたいことがあるなら、扉を叩いてください。みんなで実現しましょう。
今村:チームで、技術力を使って社会に価値を届けたいエンジニアは一緒に働きましょう。