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こんにちは、採用広報の西木です。
「freee finance lab 特集」の第4弾は、地銀からfreeeに転職したsatoへのインタビューを行いました。
地方愛の強い彼がなぜ東京で働いているのか、どのような事業開発に携わっているのかについて話をしています。
世の中でどのようにビジネスが動いているのか垣間見える内容ともなっていますので、学生の方も楽しめると思います。ぜひお読みください。
プロフィール
佐藤顕範(Akinori Satou)
地方銀行出身。2017年の10月、freee入社。関西支社で金融事業開発に携わったのち、上京。現在、freee finance labの役員を務める。
地銀からfreeeへ
ーなぜfreeeに転職したか教えてください。
sato:地銀では、最初は支店に勤務し、法人や個人事業主の方たちに融資をしたり、資金繰り改善のアドバイスをしていました。その後の異動で本部に移り、銀行全体の法人営業戦略の策定や、中小企業向けの商品やサービスを企画していました。近い距離感でお客さんと接する楽しさや、企画や取り組んだことの成果が目に見える範囲で起こしやすいという地方ならではのやりがいはありました。他方で、もっと広く世の中に良い変化を与えられることをしたいと常々思っていました。
地銀の中だけで何かを変えて動かすときは、意思決定に半年単位で時間がかかりましたし、様々なしがらみや慣習を理由に実現できないことも多かったですね。そんなことを感じながら過ごしていた時に、代表の佐々木の登壇をネットで見るという形でfreeeと出会いました。
ーどんな印象でしたか?
sato:ちょうど「フィンテック」という言葉が流行り始めたころで、どんなものなのだろうと探っている時に、ある動画を見つけました。フィンテック企業の経営者によるパネルディスカッションだったのですが、その中で佐々木が最も本質的な価値にこだわる人だなという印象を持ちました。長く変化のない業界に本気で変革を起こそうとしてる人だと感じたのを覚えています。
当時はまだ「会計freee」のラインナップも今の半分しかなかった頃でしたが、いずれはクラウド会計が世の中の主流になり、現在のfreeeのようにユーザー層が急拡大していく可能性を感じました。
そんなときに縁あって、銀行の仕事上でfreeeと関わりを持つようになったんです。
いま同じチームにいる武地や花井ともこの頃に出会いましたが、その時はまさか一緒に働くことになるとは思っていませんでしたね。
freeeの人ってなんでも「マジ価値」思想でいるので、少しでも本質から外れるようなことをしようとすると普通に嫌がられますし、「それって意味あるんですか?」と言ってきました。当時から意思決定のスピードもとても早かったですね。そのスピード感と関わる人の魅力に惹かれてfreeeに入ることを決心しました。
関西支社時代の金融事業開発について
ー関西支社ではどのようなことを?
sato:入社当初は私以外の金融事業開発メンバーは東京にいたので、主に西日本エリアの銀行との業務提携に奔走しました。
ー業務提携とか事業開発という言葉は何となくわかるんですけど、具体的なイメージがわきません。もう少し詳しく聞いてもいいですか?
sato:協業先と「誰に対して・どういう課題感を解決するために・一緒に何をやるか」というところから話していって、それを現実的な形に落とすことが事業開発かなと思います。
銀行からfreeeへの期待は、例えばお取引先である中小企業の業務効率化に貢献するために、業務改善ツールとしてfreeeを提供することだったり、直接会わなくてもクラウド上で会計情報を共有することでリアルタイムな企業支援ができる部分にあります。その期待に対して、私たちができることの認識を合わせ、施策レベルまで話を詰めていく、ということですね。
金融機関とfreeeの双方にとって、どのようなメリットがあるのか。そういう話を積み上げ、お互いにとっていい形になる着地点を探っていき、両者の意思決定までもっていく、ということをやっていました。
ーめちゃくちゃわかりやすいです。実際にどんな協業の形が生まれたか、具体例を教えてもらうことってできますか?
sato:福岡で創業支援に力を入れている西日本シティ銀行様と、「freee for 西日本シティ銀行」という会計freeeのOEM開発を行いました。OEM開発というのは、西日本シティ銀行のブランドとして会計freeeを作るということです。
この施策では西日本シティ銀行様に、インターネットバンキングを持っていなくても銀行の口座明細が会計freeeに同期できる仕組みを作っていただきました。
会計freeeを効率的に使うためには、インターネットバンキングを開設する必要があります。でもインターネットバンキングを事業に使う人はまだまだ少なく、普及率は20%〜30%程度とも言われています。普及を妨げている原因は、毎月の利用料が3,000円~5,000円程度と、特に創業間もない事業主や小さな企業の方には負担が大きいことが挙げられます。
福岡は今とても創業が盛り上がっている地域です。福岡市長をはじめ、官民挙げて創業者やベンチャー支援にとても力を入れているので、この協業はfreeeにとっても意義あるものになると思っています。
ー業務提携の具体例もありますか?
sato:京都中央信用金庫さんとは、創業融資を受けた方に、信用金庫が費用を負担してfreeeを無料で提供しています。創業直後は業績が不安定になりがちです。融資を受けた事業者と信用金庫がクラウド上で業績を共有できれば、異変に気づいて迅速な経営支援が行えたり、お金が不足しそうなタイミングで、融資支援をできます。
ーfreeeが若い会社ということもあって、銀行を交えた方が信用が増すということですか?
sato:それはあると思います。freeeは都心部には浸透してきたと言えますが、地方での認知度はまだまだ低く、都市と地方では浸透率に明らかな格差があります。その差を埋めるためにも、freeeとしては地域で信用力の高い金融機関のご協力によりfreeeの価値を広めていただいています。
上京と子会社立ち上げ
ー東京にはいつ来たのですか?
sato:2018年の7月です。きっかけは金融子会社の立ち上げと、融資関連の新しいサービス作りでした。
ーなぜ金融事業部をわざわざ子会社にしたのですか?
sato:金融事業が、協業拡大が主流だったところから、freee独自の金融サービスを複数立ち上げていくフェーズに変わったからです。金融分野はビジネスの考え方もかかわる法律もバックオフィス分野とは違うので、親会社とは離れたところで、意思決定やサービス開発をスピード上げてやっていくために子会社を作ることになりました。
ー子会社にはどんなメンバーがいますか?
sato:パッと思いつくだけでも、監査法人・国家公務員・メガバンク・証券会社・広告代理店・SIerなど、多彩なバックグラウンドを持つメンバーが揃っています。お互いの異なる強みを尊重しながら、新しいサービスを作っています。今までスモールビジネスではハードルが高かったサービスを使えるものにしていき、本気で世の中を変えようと一丸となっています。
ー子会社も「スモールビジネスを、世界の主役に。」というfreeeのミッションは共有していますか?
sato:もちろんです。各人それぞれ事業に合うように解釈して、「こういう形で実現させたい」というところまで昇華できている人が多いです。しかも夢物語ではなく、きちんとスキルを生かしてミッションを実現させるための努力もしています。一緒に働いていて、本当に刺激を受けます。
ーどんな形で実現させるのですか?
sato:資金繰りに関わるビジネスの立ち上げを同時並行で進めています。
まだ発表前で言えないことが多いのですが、スモールビジネスの方々の資金繰りに関する悩みを解決できるプロダクト作りを目指しています。
ー具体的な例で教えて欲しいです。
sato:例えば、フリーランスのエンジニアの方が仕事を請け、報酬の入金が3か月先になる場合、入金までの3か月間に外注費やオフィス賃料といったお金は出ていくけれど収入はありません。そのような資金が苦しいときに、お金を借りたり、手元にある請求書等の債権を早期に回収したいという需要が出てきます。
しかし従来の銀行融資であれば、窓口に行っても、お金を借りられるかわかるまでに数週間程度の時間がかかります。また、返済まで3ヶ月の短い融資を数百万円単位で貸してと言っても良い顔をされず数年間の長期融資を進められることもあります。しかも担当者によって対応が違うことも珍しくないので、お金を借りることへの漠然とした不安や抵抗感を持つ事業者の方が多いようです。
このような課題に対し、freeeの特性を生かして、ユーザの方の資金調達に関する不安がなくなったり、もっと手軽にお金を調達できる世界を作っていきたいです。
ー例えば、「会計freeeを3年使っています」というのは会社として信用になるのでしょうか?
sato:なると思います。信用の要件はいろいろありますが、たとえばお金を払ってでも会計をつけようという人は、普通の人よりもお金の管理をきっちりしていると考えられます。管理意識が高い人には、お金を貸してもいいと安心しやすいですよね。管理意識の高低で融資が決まったり、額が上がったりすることもあると思います。
クレジットカード(freeeカード)では、freee利用者を優遇する取り組みを既に実現しています。会計freeeを使っていれば審査も通りやすいし、1年以上きちんと会計を記録していたら、より大きな額を使えるようにもなります。
ーfreeeの金融事業は、freeeを利用する人の可能性を広げるような事業ということですね。ありがとうございます。
ー最後に、今も地方への思いはやはりありますか?
sato:あります。銀行にいるときは、自分の地元だけが田舎だからITや多様な金融サービスを使うハードルがあるのだと思っていました。でも、全国の銀行の人が集まる会合で議論されている内容や、そこで聞いた話を元に世の中を見渡してみると、特に中小企業金融の分野は全国的にも課題が多い状況を知りました。
もちろん地方が好きだから、10年以上地銀にいたというのはあります。地方に身を置きつつ、身近なところから変えていくということもできたのかもしれません。ただ、組織の意思決定スピードや日々の情報量や鮮度を考えると、地方で銀行員として支援するよりも、東京に出て新しいことを実現し、結果としてそれを地方に波及させていく方が、より早く世の中に善いことが実現できると考えました。
だからこそ今は、頼もしいメンバーとともに世の中を変えていける可能性のあるfreeeで頑張りたいと思います。