ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社は、「エネルギーの未来をつくる」をミッションに掲げ、エネルギーの4D革命を推進するエネルギーテック企業です。私たちの提供するプロダクトには「電気・ガス小売事業のマーケティング支援」「デマンドレスポンス(DR)導入」「電気自動車(EV)ユーザー向けサービス」「再生可能エネルギー(RE)活用」があり、これらのSaaSプロダクト群を「エネチェンジクラウド」として提供しています。
東京ガスや東京電力エナジーパートナーのような大手企業から新電力まで幅広いクライアントを対象にプロダクトを提供。“業界のスタンダード”と言えるようなシステムを構築しているのです。今回は「エネチェンジクラウド」の開発に取り組むエネルギークラウド事業部のメンバーに、前編・後編の2回に分けてインタビューしました。
前編では、執行役員 兼 副部長であり開発全体を統括する柏木 隆宏、Marketingユニット・DRユニット 開発責任者(副事業部長)の四宮 誠、Marketingユニット 開発マネージャーの岡本 雅希に話を聞きました。
“ビジネス”への関心が高いメンバーの多い事業部
――エネルギークラウド事業部やSaaSプロダクト群「エネチェンジクラウド」の概要について教えてください。
柏木:ENECHANGE株式会社では、電力・ガス比較サイトの「エネチェンジ」や電気自動車(EV)向けの充電設備の導入ができるオールインワンサービス「EV充電エネチェンジ」などを他の事業部が開発・提供しています。これらのサービスで得られた知見やノウハウ、データなどを活用して、各エネルギー事業者にサービスを提供するのがエネルギークラウド事業部の役割です。
「エネチェンジクラウド」が、そのプロダクト群になります。「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」「エネチェンジクラウドEV」「エネチェンジクラウドRE」という4つのサブブランドに分けてサービスを提供しています。
1. エネチェンジクラウドMarketing
料金シミュレーションの構築に必要な料金シミュレーションロジックや料金プラン情報APIを提供。日本最大級の電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」や大手電力会社で採用する料金シミュレーションロジックを活用したプロダクト。電気料金が複雑化していくなかで、電力会社が自社メニューを消費者にわかりやすく提供できるよう独自燃料調整費などにも対応。
2. エネチェンジクラウドDR
分散型のエネルギー社会に向けて注目されているDR。電力会社が家庭・法人向けDR(節電プログラム)の実施に必要なWeb・モバイルアプリの機能一式をパッケージで提供。
3. エネチェンジクラウドEV
自社運営する「EVsmartアプリ」や「EV充電エネチェンジアプリ」のノウハウを活用した、EVユーザー向けアプリの開発運用、および、全国のEV充電スポット情報をAPIで提供するサービスを展開。ナビやアプリでのスポット検索などに汎用できるサービスを開発提供。
4. エネチェンジクラウドRE
再生可能エネルギー活用に必要な業務支援サービスを提供。環境価値の在庫管理やグリーン電力証書のオンライン発行プラットフォームの提供を行う。さらに近年導入が進む太陽光発電設置モデル(コーポレートPPAモデル)のさらなる普及を促進し、事業者の負担を軽減するために、エネチェンジ独自ロジックを活用した太陽光発電量および需要予測、予測数値の計算から指定の形式に合わせた計画値の作成そして日次での電力広域的運営推進機関(OCCTO)へ計画値をAPI連携で行えるサービスを準備中。
* エネチェンジクラウドの詳細はサービスページをご覧ください。 https://enechange.co.jp/e_cloud-lp/
事業部の開発体制としては、4つのサブブランドごとにMarketingユニットとDRユニット、EVユニット、REユニットを組成しています。各ユニットにフロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、QA担当者などの開発担当者がいます。そして、これらとは別にクロスファンクショナルというユニットがあります。それぞれのユニットの技術的な取り組みを、横串で統一・連携する役割です。
▲執行役員 兼 エネルギークラウド事業部 副部長 柏木 隆宏
――エネルギークラウド事業部にはどのような特徴があるでしょうか?
柏木:エネルギークラウド事業部は、ユニットで分かれているとはいえひとつの事業部として動いていますし、クロスファンクショナルユニットを中心としてコミュニケーションも密に行っているため、ユニット間の異動やユニット同士の連携をしやすい組織です。クライアント企業や扱うアプリケーションもバリエーション豊かであるため、メンバーのスキルや経験、要望に合わせて担当タスクのアサインを変えることができます。
四宮:ひとつの事業部が、小さな会社のような感じですよね。事業部内での異動やアサイン変更をすることで、「どのような仕事をしたいか」「どのようなスキルを伸ばしたいか」というメンバーの希望を叶えやすいです。
岡本:それから、エネルギークラウド事業部には良い意味で“エンジニアっぽくない”マインドの人が多いです。ビジネスへの関心度が高いとか、テクノロジーという枠にとらわれずに事業・プロダクトを成長させるためになんでもやるタイプの人がたくさんいます。
柏木:エネルギー事業者の業務を支えるプロダクトを開発していることや、事業者の方々とコミュニケーションをとる機会が多いことが影響しているのかもしれません。また、より良いプロダクトを作るためにも、開発サイドとビジネスサイドのメンバーが一緒にコミュニケーションをとる場を積極的に設けるようにしています。ユニットの定例会では各職種のメンバーが一同に集まり、役割や職種を気にせずフラットに議論をしています。
また、技術の採用方針としては「必要に応じて適切な選択をすること」を大切にしています。事業部内ではサーバーサイドをピックアップしてもRubyやPython、Goなどさまざまな技術を採用していますが「その技術が達成したい要件にマッチしているか」「メンバーの開発生産性やメンテナンス性が向上するか」などの点を考慮したうえで、採用の是非を各ユニットに任せています。採用が妥当であれば、新しい技術の導入を拒否するようなことはありません。
エネチェンジクラウドMarketing
――では、「エネチェンジクラウドMarketing」やMarketingユニットの情報について、岡本さんに詳しく伺います。
岡本:「エネチェンジクラウドMarketing」は主に、料金シミュレーションの構築に必要な料金シミュレーションロジックや料金プラン情報API、料金プラン切り替えの申し込みなど、事業者のマーケティング施策を支援するための機能を提供するプロダクトです。Marketingユニットの大きな特徴として、扱うプロダクト数が圧倒的に多いことや、新規開発よりも運用フェーズのプロダクトが多いことが挙げられます。
挙げた機能について、より詳しく説明させてください。まず料金シミュレーションロジックや料金プラン情報APIですが、日本全国の電力小売事業者はそれぞれが固有の料金プランを提供しており、膨大な種類が存在します。しかも、料金の変動やプランの内訳の変更なども発生します。そうした情報をMarketingユニットがマスターデータとして一元的に管理して、料金のシミュレーションや料金プラン情報の提供などを実現しています。
また、料金プラン切り替えの申し込み受け付けは、もともと各社が紙で行っていた業務をデジタルで代替する、いわゆるDX的なサービスになります。画面のデザインや表示する項目などは事業者ごとに異なっています。そのため、私たちはベースとなるテンプレート的なリポジトリを管理し、新しい事業者のプロジェクトが始まればそのリポジトリをフォークしてカスタマイズしていくような運用形態をとっています。
▲エネルギークラウド事業部 Marketingユニット 開発マネージャー 岡本 雅希
――Marketingユニットで使用している技術スタックもお話しください。
岡本:バックエンドはRuby(Ruby on Rails)で、フロントエンドはVue.jsを使っています。インフラ環境はAWSで、Webサーバーを動かすため主にAWS Elastic Beanstalkを使っています。ただ、コンテナ化したほうが運用が楽になるため、新規プロダクトの場合はAmazon ECSを採用していますし、いまAWS Elastic Beanstalkを利用している箇所も徐々にAmazon ECSへと移行していく予定です。データベースやストレージは、オーソドックスなAmazon RDSやAmazon S3を採用しています。
――Marketingユニットの開発の面白さはどのような点にあると思われますか?
岡本:開発の面白さと大変さが表裏一体だと思っているんですが、プロダクト数が多く運用改善フェーズのシステムが大部分であることから、作ったものが誰にも使われないことが基本的になくて、自分たちの仕事が世の中の役に立っていることを実感できます。
逆に大変なこととしては、プロダクト数が多いからこそ運用・管理に苦労するということですね。ただ、運用・管理が大変だということは、裏を返せば「複数プロダクトを効率的に運用するためにはどうするか」を考え、工夫する機会が日常的にあるということです。
――今後「エネチェンジクラウドMarketing」をどのように改善したいですか?
岡本:事業者との連携がかなり密だからこそ、その事業者の本質的な課題を解決できるユニットになりたいです。これまで、事業者から依頼があったことや表面化している課題については解決してきたと思うものの、より深く事業を理解して、潜在的な課題も解決していきたいです。それから、先ほどの話にも通じますが、各種の運用を自動化・効率化していき、楽しみつつ業務改善につなげられたらと思っています。
エネチェンジクラウドDR
――「エネチェンジクラウドDR」やDRユニットの情報について、四宮さんに詳しく伺います。
四宮:DRはデマンドレスポンスの略で、これは電力ユーザーが事業者の要請に応じて、節電をしたり電力使用の時間帯をシフトしたりする活動のことです。この活動を支援するための機能を、「エネチェンジクラウドDR」は提供しています。もともと、関連会社であるSMAP ENERGY社が開発・運用していたシステムを、経営統合に伴い引き受けました。
私たちが提供しているのは、たとえばデマンドレスポンスのお知らせをする機能です。事前にシステムで電力ユーザーへメールを送り、何日の何時にデマンドレスポンスを実施するかということを連絡します。これにより電力ユーザーが節電できると、ベースラインと使用量の差分が電力ユーザーにポイントとして還元されます。
また、通常のデマンドレスポンスは行動変容型と呼ばれるもので電力ユーザーが意識的に活動に参加する必要があるのですが、意識をしなくても節電できるようにするための取り組みが進んでいます。各種のガジェットやスマートリモコンを通じて、電力使用量を抑制してほしい時間帯になったら自動的に家庭にある電化製品を操作します。そのためのシステムも、私たちが一部提供しています。また、今後は他の事業部とも連携をとりつつ、デマンドレスポンスを実現できる範囲を広げていく予定です。
――DRユニットで使用している技術スタックもお話しください。
四宮:先ほどのMarketingユニットとはだいぶ違っていて、バックエンドはPython(Django)を主に使っています。その理由は、私たちのユニットが扱っているプロダクトはもともと海外の関連会社であるSMAP ENERGY社が管理していたシステムを引き受けたのと、プロダクトの性質上データ分析が必要でありPandasなどのPythonのライブラリを利用するためです。
フロントエンドはVue.jsで、TypeScriptを導入しているプロダクトも半分くらいあります。WebサーバーとしてはAmazon ECSとAWS Elastic Beanstalkを半々くらいずつ使っており、これもMarketingユニットと同様に段階的なAmazon ECSへの移行を進めています。
DRユニットは各家庭に設置されたスマートメーターから、30分ごとの電力使用量を取得・分析しています。そのため、データ分析系のAWSのコンポーネントを使用していることも特徴です。Amazon S3やAWS Glue、Amazon Athena、AWS Lambda、Amazon DynamoDB、Amazon SESなどを用いて分析基盤を構築しています。
▲エネルギークラウド事業部 Marketingユニット・DRユニット 開発責任者(副事業部長) 四宮 誠
――DRユニットの開発の面白さはどのような点にあると思われますか?
四宮:大量データの処理やシステムのスケーラビリティを念頭に置いて、アーキテクチャを考えていくことです。先ほど述べたスマートメーターのデータは、かなりの量になります。現在は約30万世帯のお客さまのデータを管理していますが、それらの家庭から30分ごとにデータを取得するため、1日だけでも30万×48回で1,440万件。1年が経てば52.5億件です。これらをなるべく高速に処理する方法を考える必要があります。
また、デマンドレスポンスの通知メールは夕方から送り始めるんですが、ユーザーのもとに届くのが深夜になると迷惑がかかるため、数時間以内に全世帯分を送信完了する必要があります。そういった、難易度の高い技術課題に取り組むことが仕事の面白さにつながります。
――今後「エネチェンジクラウドDR」をどのように改善したいですか?
四宮:もともと「エネチェンジクラウドDR」が別会社のシステムだったこともあり、他のユニットと比べると技術スタックも異なっていますし、開発のナレッジが属人化している部分もあります。他のユニットよりも、ユニット間の人や技術の流動性が低くなっているんです。
インタビューの冒頭であったようにエネルギークラウド事業部では「ユニット間の異動やユニット同士の連携」を重視しているため、この状況を変えていきたいと思っています。技術スタックはすぐには変えられませんが、ナレッジに関しては積極的に資料化・見える化を進めて、属人性を低くしていきたいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
後編のインタビューでは「エネチェンジクラウドEV」や「エネチェンジクラウドRE」について、そしてそれらの開発を担当するユニットのメンバーの話を掲載しています。そちらもお読みいただければ幸いです!
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