目指すのは勝ち続ける組織———マネジメントを通して得られた価値観

学生時代、学生団体での活動や組織系コンサルティング会社でのアルバイトを経験し、組織に興味を抱いた山本 晴香。人材業界での営業・人事を経験後、2019年にfreeeに入社し、セールスに配属されました。2022年4月にセールスチームでマネジメント業務にもチャレンジするようになった山本の経験と、組織に対する考え方について紹介します。

人が活きる組織に憧れ人材業界に入社———そこで得たリーダーとしての考え方

新卒で人材紹介事業の営業職に就いた山本。その理由を語ります。

山本「学生時代に学生団体で活動をしたり、組織系のコンサルティング会社でアルバイトを経験するうちに“人が活きる組織”に興味を持ちました。組織と社員の成長が有機的に繋がっていくのを目の当たりにして、素敵だなと。

就職活動では人材業界に進みたいと考えました。そのなかで人という側面から経営や組織にアプローチしたいと思い、人材紹介事業を行う会社に入社しました」

入社してから3年間セールスを経験したあと、新卒採用チームに異動した山本。

1年半後からリーダー職、その1年後からマネジメント職を務めることになりました。当時工夫したのは、アサインの方法だったと言います。

山本「本人の強みを生かせるような配置や、仕事の任せ方を意識していました。

例えば、企画が強いメンバーにはインターンシップの企画業務をアサインしてみたり、オペレーション設計が得意なメンバーにはそれに合った仕事をしてもらったり。メンバーを配置することでチームとしてのバランスを取るように意識していました」

山本は前職のマネジメント経験で培った価値観や考え方のうち、自分の軸になるものが2つあると言います。

山本「1つ目は、チームの目標を全員で達成するための一体感を意識することです。お互いに心理的安全性が取れていることを前提として、相手の領域にバランス良く踏みこんで連携したりフィードバックできるような状態を目指していました。

またメンバーがお互いに“人として尊敬している状態”をいかに作るかを意識していました。良いパフォーマンスを発揮してもらい組織として成長するためには、ある程度お互いに踏み込んで意見を出していく必要があります。そのためにも、お互いの良いところを引き出せるような関係構築を意識していました」

もう1つは、誰が業務を担当しても、一定以上同じパフォーマンスが出せるような組織にすることでした。

山本「特に新卒採用の領域は、スタープレイヤーがいることで成果に繋がる側面もあります。一方で組織が持続的に成長するためには、誰がやっても一定の成果がでる仕組みが必要だと考えていました。安定的な成果を組織として出せるような体制を整えた上で、その上にそれぞれの個性を乗せているようなチームづくりを大切にしていました」

freeeのジャーマネとなり、人に任せることの難しさを知った

2019年にfreeeに転職し、SMB（21名以上の法人）を対象にしたセールスチームにアサインされた山本。

2022年の4月からは、同部署のジャーマネ（※）を担当することになります。大変だったのは、「自分の想像出来る範囲でマネジメントしたくなってしまう」という癖を克服することでした。

（※freeeではマネージャのことを、単にメンバーの上に立つ者のことではなく、”タレント”であるfreeeのメンバーを叱咤激励し、成長・活躍をサポートする役割であるという意味を込めて『ジャーマネ』と呼んでいます）

山本「前職の新卒採用チームのマネージャー時代は、プロジェクトマネージャーの色が強かったとも思います。当時は自分でもプレイヤー業務も行っていたので、ある程度現場感も分かりましたし、成果の予測も立てやすい側面はありました。

一方、freeeでセールスマネージャーとして経験を積む中で、自分自身で成果を作るのではなくメンバーの成果と成長を支援し、その上でチームとしての成果を出していく……という経験は新しいアプローチでした。

その際には、当時セールスプレイヤーとしての成功体験があったが故に、自分が今迄やってきたことを再現してもらうようなマネジメントをしてしまうこともありました。

課題をもとにどうアクションするか、メンバー自身で考えてもらうことこそが成長に繋がるにも関わらず、howまで言及し過ぎてしまうと、私がイメージ出来る範囲でしかメンバーも考えることが出来なくなってしまいます。

チームとしての約束事を守ってもらうことと、メンバーの自立したアクションを促すサポートのバランスを取ることが難しかったです」

山本は、船長や船団長（※）の助言、自分の行動の振り返りで課題を認識していきました。

（※freeeはスモールビジネス業務のアプリケーションのクラウド化を進める冒険のモチーフを、大航海時代に例えて組織の名称を変更しています。そのため部長や本部長のことを『船長』『船団長』と呼んでいます）

山本「まだまだ『任せきれていない』と言われることが多くありました。今では、メンバーから頼られない限りは過度なアドバイスまでしないようになりました。あくまでメンバーが私を”使ってもらう”ような関係になれるように意識しています」

山本はチームメンバーとの関わりという観点から、一般的なリーダー職とfreeeのジャーマネの違いを、次のように語ります。

山本「一般的に営業マネージャーのイメージは、メンバーの『成果』に対して支援をすることだと思います。しかしfreeeのジャーマネは成果ではなく『成長』を支援するという文脈が強いです。この2つは、似て非なるものだと考えています。

『成果』にフォーカスすると、求められるのは単純なKPIマネジメントやアクションに対してのアドバイス・フィードバックなどになります。しかしそこにメンバーの『成長』を支援するという観点があると、自身が抱えているチーム課題についても一緒にアプローチ方法を考えたり、時にはメンバーに任せたり、それぞれの抱えている課題に合わせて任せる内容も敢えて変えることもあります。メンバーそれぞれの思いを汲み取りつつ、どういった期待値を設定するかが重要だと考えています。

そのためにも1on1などでメンバーがどうなりたいか、どうありたいかをヒアリングしながら、一緒にこれからの進み方を考えることを大切にしています」

前職のリーダー職からアップデートされた価値観

山本が理想としているのは、メンバーが自分で考え行動した結果、チームの成果も成長できる組織だと言います。

山本「進むべき方向性さえ決まっていれば、あとはメンバー同士が切磋琢磨して自走する組織を目指しています。

そのために、どうしたらサービスの価値がよりお客様に届けられるのかをメンバーとディスカッションしたり、メンバー同士が自発的にフィードバックして意見を求め合うことのできる環境づくりを意識しています。

このようなチーム成長に向けた取り組みは一人ひとりの成果に繋がっていくと思っていますし、それが実際のお客様からの声に繋がった時には、目指している姿に近づいたと思いますし、やりがいを感じています」

山本は事業面からも、組織を成長させることにコミットしてきました。

山本「前職から変わらずに考えていることは、勝ち続けられる組織にすることです。中長期的にfreeeが成長していく中で、組織が持続的に成長できるように貢献したいという気持ちが強いです。

但しセールスだからこそ、大前提として、視点は常にお客様とマーケットに向けていたいと考えています。お客様の声を意識的に拾い、真摯に向き合って、freeeの価値を届ける。さらにそれをマーケティングやプロダクト開発などのfreee組織全体に還元していくこともセールスの役割です。メンバーには『お客様からfindingsを自分たちでどんどん発信して組織に還元していこう』と伝えています」

さらに、2022年の7月に行なった大規模な組織再編は、山本の考え方をアップデートさせました。

山本「それまでのセールス組織は新規・既存関わらず全てのプロダクトを取り扱っていましたが、組織が再編され、『freee会計』『freee人事労務』など、扱うプロダクト毎に船団が分かれることになりました。メンバーやレポートラインの船団長・船長も変わり、チームもイチから構築し直すことになりました。

その過程で『なんて私は狭い井の中の蛙で仕事をしていたんだろう』と感じることがありました。それまでも全力で目的目標に向けて取り組んできましたが、改めて組織の理想像に近づくために何が出来るか、理想ドリブンで考えるきっかけにもなりました。

freeeのビジョン・ミッションや中長期戦略をもとに私たちがどんなセールス組織を作っていくべきなのか……など、より未来軸で考えるようになりました。まだまだではありますが、より視座を上げて、俯瞰的に考えられるようになっていきたいとも考えています」

思いを持った人の右腕でありたい———若くしてリーダー職を経験する大切さ

山本は、前職とfreeeを通して、早いうちからジャーマネを経験することの大切さについて語ります。

山本「早いうちにマネジメントの経験をした方が、中長期的にもキャリアの選択肢が広がると考えています。私も二十代後半に初めてマネジメント業務を経験し、組織として考える範囲が広がり、中長期的な視点でも考えるようになりました」

そんな山本が考える、ジャーマネに向いている人とは。

山本「成果にこだわりを持ちつつ、組織としての成果を最大化するために自身の持てる武器を増やして成長し続けられる人が向いていると思います。freeeの評価制度は成果を出すことを前提として、個々人の成長を期待する内容になっています。だからこそJM/AJMとして目の前の与えられたアクションだけじゃなく、その先に何があるか考えること。

自分の成長にも貪欲で、それを組織や社会、ユーザーへのインパクトに還元することが大切ではないかと考えています。現在と未来、成長し続けるためには、どこかで踏ん張り切る期間が必要だと感じています」

それを踏まえて、山本は今後ジャーマネになる方に向けてエールを送ります。

山本「ジャーマネとして働くためには、自分の『why』をぶらさないことが大切だと思います。私もまだまだ未熟ですが、それだけは常に意識しています。

freeeが提供している価値は、私たちセールスが介在するからこそ届け切ることができると思いますし、1人1人のセールスの介在価値が積み重なった結果、市場を変えられると信じて、日々モチベーションにしています。

ジャーマネは、求められることがたくさんあるのでつい目の前の業務に必死になりますが、その業務が何につながっているのか考えながら私も働いています。私もまだまだチャレンジ中ですが、お互いに切磋琢磨しながら頑張りたいですね！」

最後に山本が今後のキャリアを語ります。

山本「私は社会人4年目の頃から『ビジョンを持った人の右腕でありたい』と言い続けています。熱い思いを持った人と一緒に、それを実現するための道筋を描き実現することができる人になりたいです。

また2023年1月にチームを異動し、2023年4月現在、セールスイネーブルメントというこれから成長する組織の基盤を作るような仕事に取り組んでいます。お客さんへの価値提供を最大化するために、抜本的にセールス組織全体の生産性を上げていくためのチームです。チームはまだ1人ですが、任された役割は大きいので頑張って行きたいと思います」