Wantedly Engineering
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今回は、ウォンテッドリーへ2018年に新卒入社した原 将己(はら まさき)にインタビューを実施した。バックエンドエンジニアとしてキャリアをスタートし、開発組織全体の生産性を上げる Developer Experience Squad(DXチーム)で従事した後、現在は Infra Squad に所属している。
個人でもブログ発信や登壇などを通じて成長の歩みを止めない彼に、業務への向き合い方や、技術習得のための学習の仕方、さらには、今後の展望まで余すことなく語ってもらった。
ーー 最初のキャリアにウォンテッドリーを選んだ理由を教えてください
僕が苦手意識を持っていたタスクやプロジェクトを計画的に遂行する力がここでなら身につくのではないのかと感じたことは大きかったです。会社案内の際に、様々なプロジェクトの問題の認識合わせから始めて、構造的に問題を解いていく過程を GitHub の Issue を見せながら教えてくれました。それを見た時、誰でも効率的に仕事ができるよう、共通のフレームワークを取り入れ、ゴールがぶれないように進めていく仕組み化された組織体制を感じたんです。
当時はプレイヤー志向が強く技術力にも自信がありましたが、自分のタイムマネジメントは苦手でした。締切があるものに対して計画的に取り組むことが足りていないと捉えていたので、この会社に入社してそれができるようになると思えたのは記憶に残っていますね。実際、学生時代に比べて、タスクやプロジェクトを上手くこなす能力は非常に上がりましたし、学べたことは多いと感じています。
ーー 原さんの業務の取り組み方について教えてください
僕の場合は自分の手がノッている時に集中することが多い気がしています。業務で取り組む設計に関しては、頭の中で考えてから、『これでうまくいくはず!』という解を生み出し、実証したいという気持ちで取り掛かることが多いです。
ただ、自分を鼓舞するためにも、なるべく思考するように意識しています。ある程度自分の頭の中でまとめてから書き留めていくので、そのまま忘れ去られるようなプロジェクトもあります。もったいないので、うまくいく可能性があるアイディアはそのまま GitHub に出してエンジニアにレビューをもらうようにしています。
ーー 原さんは、ご自身の学びとセットで発信をされていますよね。その発信はとても人気があると聞いています。どんなスタイルで学んでいるのでしょうか
僕の学習スタイルとしては、まずある程度のところまで手を動かすことです。実際の挙動が自分の予測と違っていたり、予測の余地がなかった個別事象の知見が一定溜まってきたら、そこで一気に自分の理解を深め直すサイクルを回しています。
わからないことを溜めていけば、徐々に個別事象の理解を妨げている根本的な誤解が具体的に見えてきます。それを言語化し、信頼できる資料や情報に基づいて体系化して解説する。このサイクルを回し、理解を深めていく状態を増やしていくことが、僕自身の強みになっていますね。このように書いた記事を外部へ発信する際も、僕と同じ『分からない』を体験をしている人が一定いて、そういった人たちに共感してもらえているんだと思います。いつか、こういう記事自体についても書いてみようかなと企んでいます。
ーー 効率的な学習スタイル、素敵ですね。業務の中でそれが活きた瞬間はありますか
歴史的な経緯で良くない状態になっていた、Webpack というビルドツールの設定をしたときです。直接プロダクトに関係ないものの、開発者の生産性を上げるのに役立ったと思える事例です。当時、僕はバックエンドエンジニアとして働いていましたが、フロントエンドのコードを書く機会がありました。JavaScript や HTML は、月並みな知識しか無かったので、個人の時間を使って学習を始め、 JavaScript 周りのエコシステムの進化について調べました。
それらの知識をブログで発信するために言語化したことで、JavaScript の現在のあり方をある程度理解できました。そして、その知識を実プロダクトに照らし合わせてみると、『あれ?なんかここおかしいんじゃない?』という点が見えてきたんです。それからは、『これは問題だから直すべきでは?』と提案し、フロントエンド周りの改善をいろいろ行っていました。また、ウォンテッドリーは『Code wins arguments』というバリューがあるので、むだな議論もなくすぐ進めていくことができました。
ーー 学習したことを実務に活かせているのはさすがですね。原さんが次に学ぼうとしていることはありますか
基本的にいろんなことに興味があります。ただ、時間は限られているので何に手を伸ばしていくのかは結構難しいのですが、自分が『面白い』と感じられるか?を指針に置いてます。面白くないのに取り掛かっても、僕よりもっと好きな人には敵わないと思うので、そういうものはその時々の必要性に合わせて判断するようにしています。
技術の話で言えば、もっと大きな設計論を語れるようになっていきたいです。僕は社内でシニア的な立ち位置になっているので、ジュニアのメンバーに向けて良い設計ができるようなヒントを渡すことが多いです。例えば、言語化の方法など、なるべく古典的な知識から語彙を仕入れて、自分の知識を統合し、より多くのエンジニアにヒントを伝えられるように学んでいます。
あと最近は個人的な興味で CSS を勉強しています。CSS はある種プログラミング言語の仲間として扱われていますが、非常に特殊な言語なんですよね。プログラミング言語というのは、あくまで機械の論理が先にあり、いかにその人の論理に近づけるのかという感じで書かれています。しかし、CSSはそこが逆で、機械ではなく人間の論理が先にあって、それを機械の方に近づけていく感覚があります。もちろんこれはブラウザを書いている人は知っているはずなのですが、意外と表には出てこない情報なんですよね。個人ブログなどにはこの辺についても詳しく発信していきたいと思っています。
ーー 原さんがお好きな言語は Rust だと伺いましたが、Ruby 中心の環境であるウォンテッドリーで 6年続けられている理由はどこにあるのでしょうか
僕がウォンテッドリーの環境やプロダクト作りを気に入っている点は非常に大きいですね。特に『合理的な判断で技術を採用し、プロジェクトに資する状態にする』という考え方に共感しています。だからこそ、プロダクトの制約がある中で目的に合わない技術を自分のエゴで導入しようとまでは思っていません。
また、ウォンテッドリーはプロダクトのストーリーがはっきりしていて、それをしっかり伝えてくれるところが素敵だなと思っています。大きな地図の中で、次に作るものは”これだよ”というのを、局所的にも理屈の通った形で説明されるため、納得感があるんですよね。その中で自分の役割が明確になり、モチベーションにも繋がっています。
ーー そのモチベーションを保つために意識していることはありますか?
僕は、興味で駆動されているときのほうが成果が出ると思っているので、個人の興味と会社にとって利益になりうる部分を近づけることを意識しています。自身の興味関心をコントロールするほうが最終的に良い結果になると思っているし、周りもそれを理解してくれているので、タスクの割り振りではそれぞれの興味関心を尊重するということを意識しています。
ーー ウォンテッドリーの環境が好きだ、というお話がありましたがそれは具体的にどのようなところですか
ウォンテッドリーはメンバーが入れ替わっても、維持されている文化があると思っています。これは代表の仲さんが作ったわけでもなく、気付いたらそこにあり、まるでテセウスの船として維持されているものです。現在も各メンバーが自分の個性は保ちつつ、その一部をこの組織のために捧げていますが、それは元々あった組織の一部をエミュレートしてるのだと思います。
『ウォンテッドリーってこういう組織だよね!』と各々が考え、それを繰り返すことによって生まれる、変わらない ”何か” 。それによって作られた組織のあり方を、僕は気に入っています。
ーー 最後に、原さんのこれからについて教えてください
これまで抑えてきましたが、実は僕にはドリーマーな面もあるんですよね。もっと、大胆でリスクの大きい基盤を作ってみたいという野望を抱いています。今までは、一人で実証できるレベルの提案を色々してきました。これはこれで今後も続けていきたいと思っていますが、一人では実証できない規模の課題にももっと取り組む必要があると感じています。
規模が大きくなると、手数が必要になる問題がどうしてもあります。ただ、大規模な課題に勇気をもって投資することには、いずれ向き合わなければなりません。僕がやりたい挑戦はまさにそういうところに潜んでいると感じています。そこに大きなリスクをかけても良いという判断を得るためにも、僕の社内外の発信力を起点にして、他の人を巻き込んでいき、全体をいい方向に導くことに取り組んでいきたいです。
ーー その想いの源泉はどこにあるんでしょうか
正直、僕は頭を使ってコードを書くのが一番好きなので、できればそれだけでやっていきたいなとよく思うことはありますね。しかし、いま技術的に直面している課題に対する課題意識は人一倍持っているつもりです。それを解決するために必要な手段なのであれば、何でも逃げずに向き合ってやっていきたいです。
Wantedly には色々な見え方があるかもしれませんが、僕自身は『真面目な人が作ってる、真面目ないいサービス』だと思っています。ただ、人手が足りない状況で、表面的には粗が目立つ部分が結構あるかもしれないと思ってます。そういうところを、しっかり『真面目なサービスだ』と思ってもらえるように改善していきたいし、基盤チームはその役割と責任を担っていると思います。裏方的な立場にはなりますが、僕はそういうところで役に立てればと思っています。
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