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効率的な意思決定を支えるコミュニケーションの基本

Photo by Headway on Unsplash


こんにちは、ウォンテッドリーでエンジニアリングマネージャーをしている鴛海です。

この記事は Wantedly Advent Calendar 2024 の 12日目の記事です。昨日は木村さんの「Looker ダッシュボードの最適化:スロット消費量を削減するためにやったこと」でした。

この記事では、開発組織内で行った研修より「効率的な意思決定を支えるコミュニケーションの基本」をお話しします。

目次

  • 仕事にコミュニケーションは不可欠

  • 仕事のコミュニケーションに大切な5つの要素

  • 前提を共有する

  • 目的を明確にする

  • 伝える相手のことを考慮する

  • 相手の「関心」を考慮する

  • 相手の「感情」を考慮する

  • 伝える環境を考慮する

  • おわりに

仕事にコミュニケーションは不可欠

大きな成果を上げるには、1人の力だけでは限界があります。そのため、多くの人が複数人で協力して仕事を進めています。チームで意思決定を行い、1つの成果物を作り上げる過程では、適切なコミュニケーションが不可欠です。しかし、コミュニケーションがうまくいかないと、自分の意図が正確に伝わらず、意思決定や合意形成に時間がかかってしまいます。

では、より迅速かつ効率的に意思決定を行うためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

仕事のコミュニケーションに大切な5つの要素

私は仕事上のコミュニケーションに大切な要素は以下であると考えています。

  • 前提を共有する
  • 目的を明確にする
  • 論理的に正しい内容を構築する
  • 伝える相手のことを考慮する
  • 伝える環境を考慮する

この記事では「論理的に正しい内容を構築する」以外を取り上げます。論理的な文章構成や考え方、伝え方についてはクリティカルシンキングやロジカルシンキングと呼ばれているような体系化されたものがあるのと同時に、体系化するほどに深い内容になるため今回は割愛します。

前提を共有する

まずはコミュニケーションの出発地点を定めるために、前提を共有しましょう。相手と自分が同じ情報を持っているとは限りません。前提が異なると、同じゴールを目指していてもその過程で意見が食い違ったり、言葉の意味を確認するために余計な質問が増え、時間がかかることがあります。

例えば、チームメンバー間で新しいプロジェクトについて話し合う場面を考えてみましょう。一方が「市場動向を踏まえて、この機能を追加するべきだ」と主張しても、市場動向のデータを共有していなければ、相手にその重要性が伝わらず、議論が止まってしまうかもしれません。また、同じ「締切」という言葉を使っていても、一方が「顧客に提出する最終期限」を指し、もう一方が「社内レビューの期限」を想定している場合、すれ違いが起こる可能性があります。

前提は同じコンテキストを共有している者同士では自然と省略されがちですが、だからこそ注意が必要です。前提が共有されていないと、無駄な混乱や誤解を生む原因になります。よくある前提共有のポイントには、次のようなものがあります。


  • 自分はどの立場で話しているか
    • 例:プロジェクトマネージャーとして全体を調整する立場なのか、開発者として技術的観点を重視しているのか
  • この話の背景は何か
    • 例: 特定のクライアントの要望に基づくのか、社内の戦略方針に基づくのか
  • 特定の単語をどういう意味で使っているか
    • 例: プロジェクト「成功」とは売上増加を指すのか、プロジェクトの完遂を指すのか

目的を明確にする

前提を共有して出発地点を定めたら、次は目的地を決めるために、目的を明確にしましょう。仕事のコミュニケーションは、多くの場合、何らかの目的を伴っています。目的が共有されていれば、前提の違いがあっても時間をかけて解決できます。しかし、目的そのものが合っていなければ、議論の焦点がずれ、問題解決が遅れる原因となります。

特に重要なのは、「伝えること」を目的とするのではなく、その先の「判断」や「行動」を目的に設定することです。仕事上のコミュニケーションでは、単に情報を共有するだけでなく、相手に具体的な行動を促し、意思決定を求めることが多いはずです。相手に正確に意図を伝え、合意を形成し、最終的に適切な判断や行動を引き出すことが、真の目的といえるでしょう。

感情的になると目的を見失いがちで、コミュニケーションが感情の発散や自己防衛に偏ってしまうこともあります。例えば、議論がヒートアップする中で、冷静さを失い、相手を説得することではなく、自分の正しさを主張することが目的化してしまうことがあります。こうした事態を防ぐには、常に「今、自分が達成したい目的は何か」を自問しながらコミュニケーションを進めることが大切です。

伝える相手のことを考慮する

ここまでどんなことを伝えるかという話をしてきましたが、具体的に何を話すかは伝える相手によって変わります。伝える相手のことを考慮する際には様々な要素がありますが、今回は「関心」と「感情」の2つを取り上げます。

相手の「関心」を考慮する

コミュニケーションを円滑に進めるためには、相手の関心を正確に見極めることが重要です。しかし、相手の関心は常に明確に示されるわけではなく、不完全な情報の中から推測しなければならない場合がほとんどです。そのため、相手の役割や置かれている状況、発言の背景を観察し、関心の方向性を判断するスキルが求められます。

例えば、プロダクトマネージャーが関心を寄せるのはプロダクトへの影響やリスクの軽減である一方、エンジニアは具体的な実装方法や技術的な課題に関心があるかもしれません。こうした違いを理解せずに情報を伝えると、相手が重要視しているポイントを外してしまい、効果的なコミュニケーションができなくなる可能性があります。

また、相手の関心を正確に推測するのが難しい場合もあります。そのようなときは、質問をしたり、少し広めの情報を提供して相手の反応を確認したりして、適宜補足説明を加える柔軟性を持つと良いでしょう。


相手の関心を見極めたら、それに応じて情報量を調節することが重要です。情報が少なすぎる場合、判断に必要な情報が不足し、相手は不安や疑念を抱く可能性があります。例えば、プロジェクトの進捗を共有する際、進捗の結論だけを伝えると、なぜその結論に至ったのか理解できず、議論が停滞することがあります。

一方で、情報が多すぎると、相手にとって不要な情報がノイズとなり、判断が難しくなる場合があります。例えば、詳細な技術的データが求められていない場面でそれを提供してしまうと、相手の集中力が削がれ、本来の議題から外れてしまうこともあります。

効果的な情報量を見極めるには、相手の反応を観察しながら、最小限かつ十分な情報を提供するバランスを取ることが大切です。また、状況に応じて、初めは簡潔に伝え、必要に応じて詳細を追加する段階的なアプローチを取ることで、誤解や混乱を防ぐことができます。

相手の「感情」を考慮する

コミュニケーションは相手の感情に大きく左右されます。正しい内容を伝えても、感情を無視すれば、相手に受け入れられず、判断や行動に結びつかないことがあります。そのため、感情を理解し、それに配慮した伝え方をすることが重要です。

例えば、プロジェクトの進捗が遅れている状況で、ただ「遅れている」と指摘するだけでは相手を防御的にさせ、問題解決を遠ざける可能性があります。一方、「進捗に課題があるようですが、一緒に解決策を考えたい」といった共感の言葉を添えれば、相手に協力的な態度を促すことができます。

感情を考慮したコミュニケーションのポイントは、共感を示し、柔らかい言葉遣いを心がけ、声のトーンや表情など非言語的なサインに注意することです。相手が不安や緊張を感じている場合は、穏やかで落ち着いた態度を示すことで、話しやすい雰囲気を作ることができます。

また、感情的な対立が生じた際には、一度話を中断して冷静になる時間を設けるのも有効です。相手の感情を軽視せず、建設的な対話を心がけることで、コミュニケーションの質を高めることができます。

伝える環境を考慮する

コミュニケーションの成果は、内容だけでなく環境の選択にも大きく依存します。オンラインとオフラインでは、適した場面が異なります。オンラインでは手軽に実施できる一方で、非言語的なサインが伝わりにくいため、重要な意思決定や感情を含む議論にはオフラインの対面が効果的です。また、単純な情報共有や進捗確認にはオンラインツールが適しています。

同期的なコミュニケーション(リアルタイムの会話や会議)はその場で質問や意見を交換しやすい利点がありますが、非同期的な手法(メールやチャット)は時間に縛られず、記録を残すのに適しています。緊急性の高いタスクは同期的な手法で対応し、詳細な指示や報告は非同期的な手段を活用すると効率的です。

さらに、内容に応じて公開か非公開の環境を選ぶことも重要です。チーム全体に影響する話題は公開の場で共有し、個別の評価やフィードバックはプライベートな場を選びましょう。環境の選択を適切に行うことで、誤解を防ぎ、スムーズな意思疎通が可能になります。

おわりに

コミュニケーションは、仕事の効率と成果に直結する重要なスキルです。本記事で取り上げた「前提を共有する」「目的を明確にする」「相手や環境を考慮する」といったポイントは、日々の業務で意識するとよいでしょう。これらを意識することで、誤解や対立を減らし、より効果的な意思疎通が可能になります。

コミュニケーションを改善するには、スキルを学ぶだけでなく、相手を理解し、自分自身も柔軟に対応する姿勢が求められます。些細な工夫が大きな成果につながることを忘れず、日々の業務で実践してみてください。

最後に、この記事が、皆さんの職場でのコミュニケーションを見直し、改善する一助となれば幸いです。コミュニケーションを磨き、より良いチームワークと成果を実現しましょう!


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