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はじめに
どうもこんにちは!Wantedly Tools の開発や Case の開発を行っている、Web エンジニアの南(@south37)です。
今日は、Wantedly で最近行った「グロース基盤開発ハッカソン」という取り組みについてご紹介したいと思います。
「グロース基盤開発ハッカソン」というのは、「自分たちがグロースを進めていく上で必要になる基盤の開発」を「4日間のハッカソン形式」で取り組んだものです。今回が第一回というのもあって実験的な試みでしたが、かなり上手くいったと感じています!
この記事では、今回行った「グロース基盤開発ハッカソン」について、なぜそういった取り組みを行ったのか、またどういう経緯で、どういう考えでこの取り組みを進めたのか、更に実際にやってみてどうだったかをまとめてみたいと思います。僕らの取り組みが参考になれば幸いですし、逆に意見などももらえると嬉しいです!(はてブコメントなんかがもらえると嬉しいです)
では、早速ですが、今回の「グロース基盤開発ハッカソン」について、「なぜやったのか」についてまとめてみます。
「グロース基盤開発ハッカソン」をなぜやったのか?
Wantedly では「何をやるか」や「どうやるか」の意思決定はエンジニアに任されています(詳しくは前回の記事参照)。グロースという観点では、指標を見て何をどういった形で試すかを決定し、実際に実装し、リリースして反応を見て、その反応を確認した上でまた次のアプローチを決めて。。。という「改善のサイクル」をエンジニア自身が回します。現在は Wantedly の中でも会社とのマッチング機能、 Wantedly Feed、Wantedly Tools など各機能ごとにチームが分かれていてそれぞれのチームで改善のサイクルを回しているのですが、特に最も使われている機能である「会社とのマッチング機能」のグロースチームでは施策を回すスピードが速く、1週間や数日といったサイクルで開発を行っています。
サイクルを回すスピードが速いのは喜ばしい事である一方、まとまった時間を使って「指標の可視化ツール」などを作りにくいという問題がありました。例えば「1週間」でサイクルを回す場合、その「1週間」の間に「1. 数字を見る、2. 何をやるかを決める、3. 実際に開発を行う、4. 反応を見て次を考える」といったステップを全てこなす必要がある為、「施策の為の開発」ではない開発を行う時間の確保は難しい状況でした。
そういった中でも、「数字を見る」部分でもっと効率化できる余地や、「施策を行う」上でそのアプローチの選択肢を増やす為にできることは常々存在すると感じており、そういった開発を行うまとまった時間を作りたい(片手間ではできないが役立つものが必要・作りたい)という思いから、「グロース基盤開発ハッカソン」を行うことにしました。
「グロース基盤開発ハッカソン」はどういうものだったのか?
それでは、実際に取り組んだ「グロース基盤開発ハッカソン」がどういうものだったのか、簡単に説明したいと思います。
今回のハッカソンでは、2人ずつ4チームを作って各チームで「解決する課題」を一つ決めて、それを解決するためのツールや仕組みを4日間で作りきる(最終日には Demo を行う)という形式をとりました。参加者は基本的に全員「普段からグロースの責任も持った上で開発を行っているエンジニア」で、通常業務のプロジェクトの稼働状況を鑑みた上で希望制で参加者を募りました(4日間を費やしてもらうので、通常業務が忙しい人には残念ながら参加を見送ってもらいました)。上記条件を満たすという事は「自分たちがグロース基盤の将来のユーザーであり、今何が必要であるかを理解している」事を意味しており、4日間という限られた時間で「価値あるもの」を作りきるには「ニーズ」を理解している事が極めて重要である事から、意識してこの形を作りました。
テーマについては、最初に数人で集まってアイディア出しをして、それを参考にしつつ各チームで自分たちが取り組むテーマを考えてもらいました。最終的には、4つのチームそれぞれで、以下のテーマに取り組みました。
- チームA. 「メールやサイト内 Notification など Push 施策による、ユーザーアクションのファネルの網羅的な可視化」
- チームB. 「友達候補を suggest する仕組み作り」と「ユーザーの Retention 状況の可視化 & ユーザーの行動でセグメントを切ってユーザー一覧を簡単に取得する仕組み作り」
- チームC. 「A/B テストによるグロース指標の継続的な変化をp値とともに網羅的に可視化」
- チームD. 「BigQuery で実行するクエリのチーム内共有や、BigQuery の batch スケジューリングを行う仕組み作り」
各テーマについての詳しい説明(どういう問題を解決するためにどういうアプローチでどういったものを作ったかの説明)は後日各チームにまとめてもらおうと思いますが、結果だけお伝えすると、どのチームも「価値あるツール、仕組み」を作る事が出来ていたと思います!
特に、最終日のデモの段階では、4つのチームそれぞれがちゃんと「production 環境のログから取得した実データ」を使って「ツールが利用出来る状態」にまで仕上げていました!「こんなの欲しいな」を「ちゃんと形にして作りきる」ところまで持っていけたのが、すごく良かったと思います。
以下、各チームで作った物スクリーンショットをいくつか貼っておきます。少しでも雰囲気が伝わると嬉しいです!
チームA. 「メールやサイト内 Notification など Push 施策による、ユーザーアクションのファネルの網羅的な可視化」
チームB. 「ユーザーの Retention 状況の可視化」
チームC. 「A/B テストによるグロース指標の継続的な変化をp値とともに網羅的に可視化」
チームD. 「BigQuery で実行するクエリのチーム内共有や、BigQuery の batch スケジューリングを行う仕組み作り」
「グロース基盤開発ハッカソン」という取り組みの振り返り
今回の取り組みを振り返ってみると、幾つか良かった点やもっと良く出来ると思う点、またこれから試せる点などが見えてきました。
例えば、良かった点としては「何が必要かを理解してる人が自分たちにとって必要なものを作る形式で進められたこと」、また「実データを使ってデモを行って、実際の利用のイメージを持てるくらいに完成度を高められたこと」が挙げられると思います。 もっとよくできる点としては、作ったサービスを載せるインフラを事前に決めておくなどの「下準備」が今回はあまり行えなかった点が挙げられると思います。
また、取り組みの方法についても、今回は「ハッカソン」という形式をとりましたが、「グロース基盤開発」専用のチームを作って数ヶ月かけて取り組むという形式も考えられると思います。ただ、Wantedly はまだまだ開発リソースが潤沢にあるわけではないので、「チーム」として人を割り当てるのはすぐには難しい状況です。 今後も同様の「ハッカソン」という形式での開催を行っていきたいと考えていますが、「少ないコストで成果の出るタスク」をこなしていくと最終的には「本質的にコストがかかるタスク」に取り組まざるを得なくなるはずで、そのタイミングでまた「専任のチームを作るかどうか」という判断をしたいと思います。 今回の成果についても、一ヶ月後に「どれだけ利用されて、どれだけ価値があったか」という観点で評価を行う予定で、その結果を見た上で「どれだけ開発リソースを費やしていくか」を決めたいと思います。
まとめ
以上、「グロース基盤開発ハッカソン」という取り組みのご紹介でした。
第一回目の開催であり「実験的な試み」という意味合いが強かったですが、それでも結果を意識した良い形で進められたと思っています。今後も、Wantedly では Wantedly の成長を加速させるために、様々な取り組みを試していきたいと考えています!