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優れたデザインがカルチャーを浸透させるーーウォンテッドリーのインナーブランディング

ウォンテッドリーでは、毎年デザインを新たに制作している「Wantedly Culture Book」や社内イベント開催時に配布するコーポレートグッズなど、社内向けにさまざまなデザインプロダクトを制作してきました。

いわゆる「インナーブランディング」の取り組みについて、デザインチームとコーポレートはそれぞれどのように捉え、施策を実行してきたのでしょうか。
クリエイティブディレクター・望月勇輔と、コーポレート・仁位元信の2人に話を聞きました。

働きやすさにダイレクトに関わるからこそ、当たり前にコストをかける

ーーウォンテッドリーでは、インナーブランディングのための施策として、どのような取り組みをされているのでしょうか。

望月:社員が普段使用するロゴ入りのステーショナリーから、毎年メンバー向けに配布するハンドブック「Wantedly Culture Book」、バリューポスター、その他様々なコーポレートグッズを制作しています。
たとえば期末に開催される全社イベント"YEAR END POOL PARTY"のためのTシャツや、クリスマスパーティーにはオリジナルグッズを制作して社員にプレゼントしたりしています。昨年のクリスマスはその保温機能にちなんだ、"KEEP YOUR PASSION HOT"というメッセージを入れたしたサーモタンブラーを制作しました。

また、コロナ禍には、"NEVER MASK YOUR PASSION(情熱を隠すな)"というメッセージをあしらったオリジナルのマスクを制作して、社内スタッフや普段からお世話になっている関係者の方々にも配布しました。

オリジナルステンレスサーモタンブラー(2022),オリジナルマスク(2020)


ーーこうしたグッズは、どのようなチームやプロセスで制作しているのでしょうか。

望月:全社イベントで配布するグッズの場合は、プロジェクトメンバーでアイデアを出し合ってアイテムを選定します。アイテムが決まったあとの作業はデザインチームに委ねられていて、コンセプトの策定やメッセージの落とし込み、具体的にどんなデザインにするかなどを決めて、制作しています。

ーー入社時に配布される刺繍ロゴ入りのパーカーも、素材や着心地、メーカーの選定などかなりこだわってつくられていますよね。なぜウォンテッドリーは、コーポレートグッズにここまで力を入れられるのでしょうか。

望月:意図的に力を入れてきたというよりは、デザインを大事にするカルチャーが当たり前に浸透している会社だからだと思っています。ロゴ入りパーカーのようにふだんオフィスで使ったり身につけるものに関しては、はたらきやすさやはたらくことの喜び・誇りに直結するものなので、そこにコストをかけるのは当然という感覚です。

仁位:目に入るものや手に取るものがかっこいいと、自然とかっこいい会社という印象が生まれますよね。実際に、毎日コーポレートグッズを身につけてくれているメンバーを見ると、会社への愛着や信頼感が醸成されているなと感じます。

入社時に支給されるパーカー。場所を選ばずに着用できるよう、会社ロゴはシンプルな刺繍で表現したデザインに。ボディは「10年着続けられる服」をコンセプトに据えるブランド「10YC」を起用。

デザイン×イベントの掛け算で、カルチャーを浸透させる

ーー6つのバリューをビジュアル化したバリューポスターも、デザインとしてのかっこよさと機能としてのわかりやすさが両立していて、すごく完成度が高いですよね。

仁位:そうですね。バリューや価値観を浸透させようと思った場合、年に1回研修をしたり、毎朝読み上げたりするというやり方もあると思いますが、バリューポスターがあることで、より自然にバリューが浸透しているように感じます。理念浸透の一番理想的なあり方ですよね。そのためのデザインをつくっていただけるのは、HRとして本当にありがたいなと感じます。

社内に掲示されているValue Poster


ーーどのような場面で、バリューが浸透していると感じますか。

望月:Slackで仲間に感謝を伝えたり称賛の気持ちを伝える際に、バリューを引用して投稿しているメンバーは多いです。たとえば「 #teamfirst でやっていただき、ありがとうございました!」みたいな感じです。また、社員のプロフィールやインタビュー記事用の写真を、各自お気に入りのバリューポスターの前で撮影することが、自然発生的に行われていたりしています。

ーーどのような場面で、カルチャーやバリューについての議論がなされるのでしょうか。

仁位:コロナ禍前は「カルチャーナイト」というイベントを定期的に開催していました。バリューやカルチャーに関する内容について、お酒やごはんをつまみながらフランクに語り合うイベントです。業務の中でどう発揮していくのかイメージしづらいバリューがあれば、実際に体現していた人や事例を具体例を基に話し合うなど、さまざまな視点から考えるよい機会になっていると思います。

望月:あとは月に1回開催している、全社員でディスカッションするイベント「オールカルチャーランチ」があります。全社員がチームに分かれ、あるテーマのもとにディスカッションとプレゼンを行っています。
ディスカッションのテーマは、「新しい事業のアイデアを出し合う」という真面目なものから、「ペットショップでペットを買うべきかどうか」といった世間的な話題までいろいろですが、これも全社員でカルチャーやバリューに触れる良い機会になっていると思います。

ーーグッズ制作だけではなく、さまざまな機会があることで、バリューやカルチャーが浸透しているんですね。

望月:そうですね。また、社内イベントのクイズコーナーで、問題の一部が「Wantedly Cuture Book」に掲載されている内容から出題されることもあります。こちらも、カジュアルにバリューやカルチャーを再認識してもらうきっかけになっているのではないかと思います。


歪にしかし着実に。年輪を重ねていく大樹のように。ーーWantedly Culture Book 2023 | Wantedly Design
Wantedly 創業時からの歩みやバリュー、会社のあるべき姿を、創業者自身の言葉で綴ったメンバー向けハンドブック「Wantedly Culture Book」。2015年の初版から内容をアップ...
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/469708
Wantedly Culture Book (2023)

会社のすみずみまでデザインの力を

ーーインナーブランディングや社内の関係性づくりにおいて、これから取り組んでいきたいことはありますか。

仁位:例えば、人事制度のような社内向けの説明資料もデザインチームの方に入っていただくことで、クオリティをあげていけたらと思います。こうした資料は、固くて読むのがめんどくさいと思われることも多いと思うので、わかりやすく、つい最後まで読んでしまうようなものにできたらいいですね。

望月:そうですね。まだまだデザイナーが関わっていない資料やアイテムも多いのですみずみまでいいものをつくっていけたらいいなと思います。

仁位:それから、社員同志の交流機会の創出には、これからしっかり取り組んでいきたいなと思っています。出社の機会は増えてきたものの、現在も週に2回はリモートワークを認めていたり、オフィスのフロアが4Fと5Fに分かれていて、社員同士が顔を合わせる機会は意外に少ないので。

今年は4年ぶりに全社員の合宿が復活して、日帰りや宿泊など各社員のニーズを考慮した上でワーケーションやチームビルディングの研修を行いました。こうしたオフラインの交流機会には、もっと力を入れていきたいですね。

4年ぶりに開催された全社員合宿の様子
参加者全員が着用し、イベントに一体感をもたらしたYAER END POOL PARTY Tシャツ(2023)

最近は、社内のバーカウンターでお酒を飲みながら親睦を深める「bar W」というイベントを再開したのですが、ロゴや運営メンバー用のグッズをつくることで、もっと社員が愛着を持てるイベントにしていけたらと思います。


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