はじめに
こんにちは、VPoE室の髙橋です。
昨年に引き続き、Wantedlyは「Wantedly OSS スポンサー制度」を整備し、OSSプロジェクトや開発者に対して継続して支援を行っています。
この記事では、「Wantedly OSS スポンサー制度」の概要について改めてご紹介し、今年度のスポンサー活動についてご紹介します。
WantedlyがOSSを支援する理由
現代のソフトウェア開発に携わっている方でOSSを触ったことが無い方はまずいないのではないでしょうか。Wantedlyに限らず、現在のソフトウエア開発は多くのOSSに支えられています。
一方で、提供されているOSSのほとんどは直接的な収益の機会を持っておらず、多くは開発者のボランティアに頼っているという側面があります。このような状況において、利便性を享受している企業側がOSS開発に対して積極的に支援し持続性をサポートするのは当然であると言えるでしょう。
また、有志によって開発・メンテナンスされているOSSを積極的に支援することは、Wantedlyのミッションである「究極の適材適所で、シゴトでココロオドルひとをふやす」こととも合致しています。
Wantedlyは、自身が積極的にOSSのスポンサーとなることで、OSSに代表されるエンジニア文化に寄与するその一翼を担うことができると考えています。
Wantedly OSS スポンサー制度について
Wantedly OSS スポンサーは「Wantedlyの事業成長を支えているOSSに対して、OSSの持続発展性に寄与するために行う支援」と位置づけ、Wantedlyがシステムに採用しており事業継続に不可欠であるとされるOSSに対して、継続的な活動を支援することを目的としています。
スポンサー対象OSSの選定方法
Wantedlyの開発組織は「Spotifyモデル」をベースに構築されています。
スポンサー対象の選定には、前年に引き続き、専門領域毎にプロダクト横断で組織されているChapterのリーダーが候補を出し、VPoE室で選定いたしました。
(Wantedlyの開発チームの構造については是非 Wantedly Engineering Handbook もご覧ください)
前年度からの変更点
支援先は年度毎に再設定することが前提となっており、今年は4つの支援先について新たに設定いたしました。
また、昨年度このOSSスポンサー施策を制度化した際には、WOCS(Wantedly OSS Community Sponsor)という制度がありました。これは、Wantedlyの社員エンジニアが業務への採用有無に限らず、支援対象を選択する、というものでしたが、運用上の理由により今年度は見送りとなりました。
支援対象
Wantedly OSSスポンサー制度 では、以下の8プロジェクトに対して支援することといたしました。
detekt
detektはKotlin用の静的コード分析ツールです。WantedlyではAndroidプラットフォームのアプリケーション開発、及びKotlin Multiplatformの実装において利用しています。
参考リンク: Wantedly VisitにおけるKotlin Multiplatformの導入と実装
webpack
webpackはHTML、JavaScript、CSS、SVGや画像などのWebサイトを構成するファイルを1つにまとめるモジュールバンドラーです。WantedlyのWebフロントエンドアーキテクチャv2,v3において利用されています。
参考リンク: 2つのWebpack buildを1つに統合した話
gem_rbs_collection
gem_rbs_collection は GemのRBS(Ruby 3.0 で導入された型記述言語)を管理するリポジトリとなります。
(支援は主要コントリビューターであるMasataka Pocke Kuwabara氏, Yuki Kurihara氏に行いました)
参考リンク: Ruby の型チェッカーの比較
React Hook Form
React Hook Formは フォームのバリデーションを簡単に扱うことができるライブラリです。Wantedly の重要機能のフォームの状態管理に使用しています。
core-js
core-js は、新しい規格に対応していないブラウザでも、最新の JavaScript 関数など使えるようシミュレートするライブラリで、いわゆる polyfill と呼ばれるものになります。
参考リンク: ライブラリ作者におすすめしたいBabelの新機能 babel-plugin-polyfill-corejs3
RSpec
RSpec は、Railsでよくつかわれるテストフレームワークです。Rails標準のminitestに比べて機能が拡張されており、テストの読みやすさが向上するなどメリットが大きいものです。
参考リンク: RailsのブラウザテストでJavaScript側のエラーを出力する (RSpec + Selenium + ChromeDriver)
tfaction
tfaction は、GitHub Actions 下での Terraform の CI/CD パイプライン実行、管理の工数改善に寄与します。Wantedly には2021年に導入しました。
Polars
Polars はpandasに変わる表計算ライブラリで、パフォーマンスに優れています。Wantedly の推薦システムの実装に組み込まれており、ジョブの実行時間が大幅に短縮しました
おわりに
昨年に引き続き、今年も「Wantedly OSS スポンサー制度」についてご紹介いたしました。
OSSやOSSコミュニティはソフトウェアエンジニアにとって非常に重要な文化の一つであり、また企業活動に欠かせない要素の一つでもあります。
Wantedlyは、Wantedly自身のミッションである「究極の適材適所により、シゴトでココロオドルひとをふやす」- 仕事に夢中になって成果を上げ、成長実感を獲得し続ける人を増やす - ことを通して、引き続きOSSコミュニティの発展に貢献を続けてまいります。
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