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Sales Enablement発足! その研修プログラムを一部お見せします

拡大する組織には「成長痛」がつきもの。このWantedly Blogでも拡大期のビジネス組織における様々なメンバーの葛藤やブレイクスルーについてインタビューしてきましたが、組織の成長に痛みが伴うからといって、その痛みを個人に委ねていて良いわけではありません。

そこでウォンテッドリーでは、組織のスケールに合わせた営業活動の改善・最適化を目的に「Sales Enablement(セールス・イネーブルメント)」の取り組みに着手しています。今回のWantedly Blogでは、その背景と具体的な取り組みについてご紹介します!

Sales Enablementとは?

BtoB SaaS企業を中心にSales Enablementの概念が注目されている理由としては、各種デジタルツールの導入によってビジネス組織内に高度な分業制が浸透する一方で、ナレッジやノウハウの分断が起こりやすくなっているという事情があります。その分断を放置してしまうと、マーケティング部門がどれだけリード獲得を効率化しても、インサイドセールスがそれを商談化するのに手こずってしまうというような課題が生まれてしまいかねません。

ウォンテッドリーもまた、下図のような組織モデルのもと、各チームが分業し協力し合う体制を築き上げてきました。

このモデルに従ってビジネスプロセスを強化していくためには、それぞれのチームにセールスフローにおける固有の役割を与えるだけでなく、上流から下流までを横断するような教育制度や数値管理の仕組みが必要とされることになります。

ウォンテッドリーでSales Enablementが発足することになった理由はまさに、メンターのノウハウに依存するため属人化しがちな現場のOJTや、数値面での貢献が見えづらい人事主導の研修プログラムに代わり、ビジネス組織の営業力強化を担う専門チームが必要となったからなのです。

Sales Enablementが解決する組織的課題

ウォンテッドリーおいてSales Eablementが果たす役割は大きく分けて「オンボーディングの強化」「エンゲージメント強化」の2つ。いずれも、営業職種を中心に直近1年間で約20人のビジネスメンバーが正社員として加わり、今後もますます拡大を続けていく組織が直面するであろう課題に先駆けて対処するためのものです。

1. オンボーディングの強化

とりわけBtoB SaaS組織の中で、お客様との最初の出会いからおつきあいに至るまでのセールスフローの入り口に立つインサイドセールスは入社半年以内のメンバーが大半を占めています。さらなる成長のためには、入社したてのメンバーの立ち上がり(=オンボーディング)を早め、かつセールス組織の拡大に耐えうるような教育体制づくりが急務です。

2. エンゲージメントの強化

ここでいうエンゲージメントとは「会社へのロイヤリティ」ではなく「ワークエンゲージメント」を指し、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられるもの」と定義することが可能です。

さらに、ウォンテッドリーのビジネスTribeでは、ダニエル・キムの提唱する「組織の成功循環モデル」を参考に、「関係の質」「思考の質」「行動の質」「成果の質」を順に上げていくことを目指しています。

その際、「成果の質(=目標に到達したか否か)」をまず追い求めるのではなく、「関係の質」をサイクルの起点とし、心理的安全性を担保した上で互いに目標を立てることで、より高みを目指せる強い組織づくりにつながっていくというのが「組織の成功循環モデル」の考え方です。

「ABD読書会」でビジネスチームの共通言語を作る

ウォンテッドリーでは年に一回発行されるWantedly Culture Bookや、CEOとのカルチャーランチといった機会を通じてビジョン・ミッション・バリューを組織に浸透させる設計があるものの、「自社のビジネスモデルを理解する」「各チームの目標数値の背景を知る」といったプロセスについては現場のコミュニケーションに委ねられているところがありました。

「ワークエンゲージメントを高く保ち、仕事に没頭している状態」を作り出すためには、自分たちの日々の仕事が社会にどんなインパクトを与えているか理解できている必要があります。そのためには、SaaSモデルについての理解を深めるだけでなく、HR市場やビジネススキルにまつわる日常的な学習意欲を高めることが大切です。

上記の目的を満たす研修プログラムとしてSales Enablementが導入したのが、「ABD読書会」です。「課題図書を設定し、参加者の間で担当する章をその場で割り振る。各自がその場で担当する章を読み、得られた知見を紙にまとめた後、リレー形式で発表を行う」という形式をとるこの読書会には、下記のような実施メリットがあります。

  • 短時間で1冊の本の内容を理解できるため、効率的
  • 事前に読んでくる必要がないので取り組みやすい
  • 皆で同じ書籍を読み、それについて発表することで、共通言語を持ちやすい

過去2回実施されたABD読書会の課題図書として設定されたのは、BtoB SaaSの教科書ともいえる『THE MODEL』(福田康隆著、MarkeZine BOOKS)と、営業のベースとなる基礎的な考え方を学ぶ『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』(ニール・ラッカム著、海と月社)の2冊。

編集チームが取材潜入した第2回では、『SPIN』のキートピックである「示唆質問(顧客に問題の重要性を認識させることで、大型商談を成功に導く質問様式)」を商談の場でスマートに繰り出すにはどうすべきか? ナーチャリングとクロージングセールスの分業体制下において、その連携を高めるための質問設計とは一体なにか? など、課題図書を通じた意見交換が盛んに行われました。

早速の効果のほどは?

Sales Enablementによる営業力強化の取り組みは、人事主導の研修プログラムと比較した場合、日常業務にダイレクトに影響を及ぼすべく設計されています。今回のABD読書会でも、早速次のような波及効果がチームに生まれることとなりました。

  • 共通言語を持つことで、チームを跨いだ「協業意識」が芽生えた。
  • リードの商談化を行うナーチャリングと、有料化を行うインサイドセールスが定例mtgを行なったり、各チームの商談フィードバック会に他部署の人も参加するようになるなど、組織横断的なセールスノウハウの交換が活発化した。
  • 商談の場における示唆質問を強化するためのワークショップを後日行うなど、読書会をきっかけにした研修が行われている。

ABD読書会が研修メニューとして優れている点は、「誰かに正解を教わる」座学でもなく、「みんなで問いに答える」ワークショップでもない、「互いに教えあい、問いを立て合う」という参加者間のインタラクションを通じて、専門知識の底上げだけでなくチームビルディングにつながるということ。

「Team First」というバリューを掲げるウォンテッドリーでは、高度な分業体制の構築によってセクショナリズムに陥らないように細心の注意を払っていますが、個々の役割を超えて「目的意識の共通化」を行うためにもSales Enabelementを中心とした働きかけが今後ますます重要なものになっていきそうです。

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