どの企業にも「組織図」というものが存在します。社内のレポートラインや、事業構造をモデル化したものであり、ウォンテッドリーにも事業ドメインに基づく「Tribe(トライブ)」と、個々の担当業務に基づく「Squad(スクアッド)」という大小の構成単位によって区分された組織図があります。
しかし、いくら組織図とにらめっこをしたところで、そのチームで働くことによって得られる「スキル」や「成長体験」、そして「感情」についての知識を得ることはできません。そこでWantedly Blogでは、「ウォンテッドリーで働く」という体験そのものについて、当事者の声を通じてマッピングする企画を、これから連載形式でお届けしていきたいと思います。
第一弾に登場するのは、ビジネスTribeを統括する弊社執行役員、川口かおり。前編では、マネージャー就任以来、Squadによるチーム再編を推し進めてきた川口が、ビジネスTribeのミッションを語ります。
川口 かおり:早稲田大学卒業後、競泳選手のマネジメントに従事。2007年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に入社。コンシューマ領域の法人営業、新規事業立ち上げ、事業開発部門のマネージャーを経験。2015年にはシンガポールのHRテック企業でのマネジメントを経て、2017年10月より現職。
ユーザーファースト、プロダクトドリブンな環境におけるビジネスTribeの役割。
つねに「ユーザー」を主語に置き、プロダクトドリブンな成長を遂げてきたウォンテッドリーは、ユーザーに体験を届ける「つくる人」に決裁権が与えられる企業カルチャーを醸成してきました。そんな中、川口がビジネスチームの拡大を目指す意図とは。
川口:スタートアップにとって「良いプロダクトをつくること」への情熱は他の何よりも資産だし、それが正しい姿勢だと思います。だけど、プロダクトの良さだけで拡大するのには限界があって、どこかのフェーズにくると必ずビジネス側のエンジンが必要になりますよね。
プロダクトが口コミで広がって、いわゆるアーリーアダプターと言われる人たちの間で盛り上がっている段階では、営業はさほど必要なくって、良いプロダクトがあって、良いユーザーが使ってくれているという状況があるだけでいい。ただし、それ以上のフェーズを目指すためには「良いビジネスチームを持っていること」が条件になる。
なぜなら、それまでWantedly Visitのことを知らなかったり、知っていたとしても優先的に考えていなかった企業も検討してくれるフェーズに入ってくるから。それってつまり、アーリーアダプター層との牧歌的な関係から抜け出して、今までよりも競合がひしめいている場所に突き進んでいくということ。そうなると、利用企業を増やすために「顧客と対峙する人の価値」が問われることになる。ウォンテッドリーは、1年ほど前からそのフェーズに入っていました。
出会った人と、長くお付き合いするために。
川口:「シゴトでココロオドル人をふやす」というミッションの実現のためには、ビジネスTribeが「最大人数の顧客に最短距離で貢献すること」が欠かせません。だけど、この場合の「最短距離」は、「とにかく爆速で売れ!」みたいな姿勢とは異なっていて。なぜなら、私たちは人材系の営業職とは違い、「売って終わり」のビジネスモデルではないからです。
その先の、「いかに長く続けてもらえるか」を目的としているので、顧客と出会ってからの長いお付き合いのプロセスの中でも、それぞれのフェーズごとに必要なコミュニケーションが変わってくる。
そこで、メンバーを大幅に増やしながら、Squadの役割を再定義していきました。大きく分けるとマーケティング、セールス(インサイドセールス、アカウントセールス、パートナーセールス)、カスタマーサクセス。「出会いを最大化し、お付き合いを長く続ける」というフローの上流から下流まで、それぞれの役割にコミットしながらも、互いに協力しあい、循環して顧客に価値を与えるためのモデルです。
「KPI」から「価値」へと、意識の重心をうつすこと。
ビジネスTribeは、もちろん事業のマネタイズにコミットするチームです。しかし、売り上げ等のKPIだけにとらわれると、本質を見失うと川口は語ります。その一方で、彼女が「価値」という言葉にこだわり続けることには理由がありました。
川口:これは「営業あるある」だと思いますけど、新規成約件数をKPIとして設定しているチームであれば、ディスカウント等のイレギュラーな手段に訴えることで目の前の目標をとりあえず達成することができる。でも、イレギュラーな事例が頻繁にあったら、もうそれはイレギュラーではないんですよ。
Wantedly Visitの場合でいえば、顧客に「採用に向けて良い動きが出来ている」という体験をしてもらわないと意味がないのに、社内の数字合わせを無理やりしていてもしょうがない。さらにサービスの特性上、1ヶ月の短期間だとメリットを感じられないことも多いので、「営業がオマケしてくれたから」といった理由でサービスを導入する企業が一時的に増えても、その後に解約数が増えるだけなので本質的には意味がないんですよね。
価値を問い続け、最大化する。
川口:ウォンテッドリーでは、自分たちがプロダクトと顧客の間に介在する「価値」ってなんだっけ?ということがチーム内で頻繁に話し合われます。クライアントに価値を提供するにあたって、プロダクトの質が高水準であることは大前提。その上でビジネスチームは、「自分たちが介在することで顧客価値をN倍にする存在」であるべきだと思っています。
例えば、カスタマーサクセスが顧客に使い方をナビゲートすることで、プロダクトの価値を上げられます。人は、自分にとって価値があると思わないとお金を払わない。なので、事業のマネタイズのためには、自分たちのアクションによって価値を上乗せできているかどうかを問い続ける必要がある。そんなシンプルな理由から、顧客価値を最大化することを常に追い求めています。
「採用のチャンスが平等である社会」をつくれるチーム
「顧客価値の最大化」を行動指針とするビジネスTribeが、そのミッションを実現した先には、一体どんな世界が広がっているでしょうか。川口は続いて、「常識を変えられるチーム」の理想を語ります。
川口:うちの強みは、「どんな会社でも採用ができる世界」を作れるということ。人材系のサービスはたくさんあるけど、採用に平等なチャンスを作っている会社って意外と少ないんじゃないかな。
人事の方のお話を聞いていると「うちは採用にお金をかけない」という発言を耳にすることが多々ありますが、それってつまり採用サービスはお金のかかるサービスしかないということの証。採用ってすごくお金がかかって、お金をたくさん出せるところがたくさんメリットを受けれるようになっているんですね。
Wantedly Visitもタダではないですが、お金がなくても自分たちの想いを頑張って発信すれば、お金があるところよりエントリーを獲得できる可能性があり、平等な採用機会を生み出すことにつながっています。お金がかかることが大前提の世界から抜けだして、お金をあまりかけなくてもいい人に出会える世界をつくることで、常識を変えていけるといいと思っています。
続きを読む
合わせて読みたい