Wantedlyで働く人を紹介する「Wantedlyの中の人」。
今回紹介するのは、新規事業企画室でWantedly Peopleのビジネスサイド全般を任されている逆瀬川さんです。ビジネスにおいて大事な「選択と集中」を常に意識して圧倒的コミット量で働かれている逆瀬川さんに、「やりきり力」と「キャリアの作り方」を中心に、話を伺いました。
やりきる力は、筋トレのように鍛えられる
-- 逆瀬川さんと言えば、僕のイメージでは仕事が大好きでとにかくやりきり力の塊のような存在です。学生時代の頃からビジネスには興味があったんでしょうか?
大学の時にフェアトレードを行っているグループの代表をやりはじめたあたりから興味を持ち始めました。フェアトレードって、仕組みで世の中を変えていくものなんですが、やっている人自体はそういうことをあまり考えていなくて、フィリピンの村とかを個別で助けているだけで終わってしまってるんですよね。それってフェアトレードじゃ無いなと。だから、やるならプラットフォーム自体を大きく変えたいなと思って活動しているうちに、ビジネスに興味を持ち始めました。
加えて元々、母が起業家だったこともあると思います。まぁ、働くまでは実際に何をししているのよくわかっていなかったですのが笑。でも、実際に新卒で楽天に入って、ビジネスの現場にどっぷりと浸かる様になってからは、母の凄さを身にしみて感じます。
-- 新卒で楽天にした理由は何だったのでしょうか。
2つあって、1つは自分がサボり症だから笑。頑張れるところで、かつ結構大変な会社の方が良いかなと思ったことが理由です。大変だと頑張るし、言われたとおりにやるのが嫌いだったから、すごいプレッシャーを与えられると、それ以上のアウトプットが出て、サボり症でも自分の実力がストレッチするなと。
もう1つは、フェアトレードの代表と大学のフィールドホッケー部での経験から、仕事のプロセスってどんな職種でも全部一緒だと思っていたから。新卒で入るところは、大変な会社であればあまり差が無いかなと思って、証券会社とかMRとか商社とか受けて、結果たまたま受かったのが楽天でした。具体的にやりたいことが明確になっていたわけでは無いですが、まずなにかやりきれば、やりたいことが見えてくるかなと思っていました。
(楽天時代の写真)
--やりたいことを見つけるための「やりきる力」が鍛え上げられたのは、やはり楽天での経験が大きかったでしょうか?
そうですね。楽天の仕事は、とにかく少ない時間で仕事をやりきることを求められていたので、そこで基礎力は鍛えられたかなって思います。1,2年目は、やれっていわれたことをひたすらやりきる筋トレみたいな期間でした。
特に、とある全社プロジェクトの推進を任せられた経験は、楽天の経験の中でも5本の指に入るきつさでしたが、今に生きる良い勉強になったと思っています。何をしたかっていうと、OGP(Facebook等にURLがシェアされた際に、設定された画像やタイトル・説明文が表示されるようになる仕組み)を楽天が持っている全部のサイトのメタ情報に書き込むっていう案件で、50事業部くらいをまとめて、ひたすら各事業部にチャットし続けるっていうことをしてました。
全てのサイトを見て、OGPが設定されている状態で投稿されてるか確認して、できてなかったら「できてませんよ」って言い続ける。何が大変って、OGPをつけたところで、最初は売上が上がらないからやる必要性をあまり感じてもらえないんですよね。でも、やることは決まっているから、入れさせなくちゃいけない。
-- なかなかOGPを入れてくれない部署に対してはどうしていたんでしょうか?
例えばコードのサンプルを作って、これだけ貼ってくれって言ったり、手順が難しいところは代わりにやったり、場合によっては席まで行ってお願いしたりしてました。大きな仕事ではあるんだけど、分解していけば出来ないことはなくって、丁寧に手順を踏めばやりきれるということを実感した良い経験でした。
-- やり続けるためにモチベーションを保つのって大変だと思うのですが、何かコツはありますか?
モチベーションって絶対人間波があると思うので、それを認めた上で、「今日無理だ」って思ったら、やらない。ただし、全体のスケジュールに遅れないことを大前提に。自分の弱いところを認めつつも、周りに迷惑はかけないようにする。
あとは定期的に持っている仕事を可視化するようにしています。無駄に管理ツールとかで可視化すると、すごいやることが多いように感じてしまうので、今は紙に書くようにしています。
まぁ、本当に無理なときは周りに相談するとか、諦めることも大事だと思います。
熱量の高いワンチームで、自分の限界を引き伸ばしたくて
-- 楽天ではチームにも恵まれていたと伺っていますが、転職しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
楽天在籍時に、楽天からfreeeに移った先輩と話す機会があったんですけど、自分が今の立場で満足してしまっていることに気づいたんです。もっとスピーディな環境かつ、熱量の高いワンチームの会社で働かないと、自分の成長が止まってしまうと思って。それから色々な人の話を聞きに行き始めたことがきっかけです。結局人は自分の経験の中でしか考えられないので。
Wantedlyが良いなと思った理由は、現場が熱いとか、自分にちょうどいいポジションがあったからとか、面談した人が皆良い人だったからとか、色々ありました。ただ印象に残っているのが、当時内定者だった学生に、「今ユーザーの定性的なところを取り入れて開発をしてなかったりとか、マーケティングが弱いから、そういう分野が強い人に来てほしい」と言われたこと。スゴイ学生がいるなと。内定者や若手メンバーがこれだけプロダクトのことについて考えていることは衝撃的だったことを覚えてます。
-- 今年の年末でWantedlyに遊びに来てから約2年。何か思い出深い経験はありますか?
だいたいいつもフルスロットルで働いているから、結構なんでも思い出深いのですが、やっぱりプロダクトのリリース前は文化祭の前日みたいで楽しいですね。
例えばWantedly Peopleのリリース直前、名刺の読み取りの精度が全然上がらなくって、僕とか他のメンバーで読み取り精度の検証をずっとやったり。他にも、デザイナーが忙しい時は、要件の整理をやったり、逆にマーケが忙しい時は、方向性だけ共有してデザイナーがディレクションやったり。それぞれ専門職はあるんだけど、垣根がないし、お互いに理解しようとする姿勢はスタートアップっぽくて面白いなと思います。
-- 今Wantedlyに入ったとして、何が面白いですか
Wantedlyは優秀な人は揃ってるんだけど、整っていない仕組みもまだ残っていて、根底の部分から良い会社、良いサービスにするための仕組みづくりに携われるのは面白いと思います。今まで仕組みの上で成果を出してきた人には最初は辛いかもしれないけど、仕組みを作る側になれるし、元々知っている仕組みを更に良くして転用することもできる。自分のアイデアを実現しやすい環境だと思います。
スタートアップで人が50人いて、マザーズ上場もしていて、まだ仕組みをかなり改善できるフェーズになのは、珍しいのではないでしょうか。1億の10%を改善したら1000万売れるわけで、市場へのインパクトがかなり大きい。売り上げが単月1億以上なのに、まだみんな変えられると思っているなんて、すごいアグレッシブですよね。
今自分が携わっているWantedly Peopleでいうと、ユーザー数が1年で160万を超え、最近広告事業が始まって、いよいよマネタイズしていくぞって段階です。後藤さんのインタビューでも取り上げられていたけど、プラットフォームビジネスで広告をやるっていうのは、新しく需要を生み出して、世の中を変えていくっていうこと。大げさに言ってしまえば、YouTubeやTwitterをグロースさせていることと変わらない。今後メジャーになっていくサービスの最初の勢いをつける部分に携われるのは、既に安定しきっているサービスに携わるより、かなり面白いと思います。
世の中の情報の非対称性をなくして、若い人がキャリアを考える機会を増やしたい
-- 逆瀬川さん自身、この先どんなことをしていきたいですか?
まず、Wantedlyの中の話だと、Watedly Peopleを大学の知り合いとか、大企業で働いている人にも使って欲しいと思っています。
会社全体の視点だと、Wantedlyってエンジニアの会社だと思われてるんですけど、ものづくりや問題解決が好きな人が集まっている会社で、そういう思考ができる優秀なビジネスサイドの人も今どんどん集まってるんですよね。だから、職種を超えて優秀な人が集まる会社っていうブランドを確立していきたいです。
個人としては、教育やソーシャルグッドの領域に興味があるからそこに携わりたいです。あとは、Wantedlyの勝負している「働く」というドメインにも興味があります。代表の仲さんもよく言ってるけど、人生の中で仕事が占める時間ってどんどん長くなっていくから、選べる仕事や働き方の選択肢があったり、選択肢があることをより多くの人が理解する必要があると思ってます。
今って高校生から大学生になったら、いきなり就活して、就活が終わったら、もうキャリアは考えなくて、働くっていう人がまだまだ多い。キャリアを考えるのってほとんど、大学3年生から4年生の春くらいまでしかないから、結局そのタイミングで何も経験していないのにイメージで考えて就職先や転職先を決めるしかない。勿論、インターンは以前に比べたらかなり一般的になっているけど、本当に仕事理解に繋がっているインターンがどれくらいあるのかはわからない。
だから、もっと学生のうちから仕事に触れる機会が増える世の中にしたいし、社会人になったあともキャリアについて考えられるきっかけを作りたい。
--「働く」ということに対して興味をもつようになったきかっけはなんだったのでしょうか。
理由は2つあって、1つ目は前の楽天時代の上司が2人とも起業していて、何も会社に勤めるっていう働き方だけではないと思ったこと。しかもそのうち一人はもともとビジネスサイドの人間だったのに、起業してエンジニアになってましたからね。
もう1つは、Wantedlyに入ってから、経験の幅が広がれば、キャリアの幅は広がるし、考えの幅も広がるっていうのを身を以て体験したから。過去の体験も考えると、例えば、フェアトレードも一緒で、情報が無いから先進国の卸の人に安く買い占められているだけで、普通に情報があったらもっと作っている物が高く売れるはずなんですよ。就活や転職もフェアトレードも、結局情報の非対称性が問題なのかなって思って。
自分ももともとは情報を持っていなかった中で、転職して、知見が広がったし、考えられるようになったから、今のほうがより良い選択ができるのかなと思っている。だから、そういう人が一人でも増えればいいなって。
これからのキャリアに必要なのは、自分で発信する力と抽象化する力
-- もし、これからのキャリアに悩んでいる人にアドバイスをするとしたら、なんと伝えますか?
まずは、納得感を持った選択をして欲しいと伝えます。他の人の意見や、周りの目を気にした選択は結局いつか後悔すると思うので。
もう一つは、僕の意見は僕の経験に基づいた乱暴な意見であるという前提なんだけど、所属する場所が変わっても活かせるスキルセットを持つことと、それを発信する努力をすること。
今の世の中はインターネットが普及して、情報がオープンになっていて、嘘のつきにくい社会になっている。例えば、中国では、信用値が高いとチェックインしなくてもホテルに入れるサービスがある位だから。そう考えると、自分がどんなスキルを持っているのかを可視化できて、説明できることが大事になってくると思います。仮に凄いスキルを持っていたとしても、それを相手にわかりやすく伝えられなかったり、持っていることを周りの人が知らなかったら自分の価値を十二分に届けられません。
昔は情報が少なかったし、終身雇用が当たり前だったから、個人の実際のスキルが足りなくても、社内政治が上手ければ、昇進できていたかもしれません。一方で、これからは転職が当たり前になってくるし、転職に際して、自分のスキルセットは全て確認されてしまうから、しっかりキャリアを積み重ねたいなら、自分のスキルセットを成長させられる場所を選ぶべきだと思います。
-- 例えば、こういうスキルは必須だと思うというものはありますか?
仕事ってアウトプットの形は違えど、基本的にはプロセスは同じだと思っています。調べて、課題解決の手段を決めて、やってみるっていうPDCAを回していく、ただそれだけ。だから、物事を抽象化する力は外見の違う仕事をこなしていく上で必要不可欠かなと。
東京大学の准教授中原敦先生の「経営学習論」の中に以下の様なことが書かれています。
社会人経験が浅い頃は具体的経験を積むことがまず重要である。しかし、社会人経験がある程度の段階に入ってくると、今度は経験学習行動の諸要素をバランスよく担っていくことが、重要であることがわかった。
この文脈の「経験学習行動の諸要素」とは、自分のしたことを振り返ったり、仕事を抽象化したり、新しい仕事に取り組む際に自分の経験から仮説を立てて当てていくことを指しています。
これは、キャリアを考える上でもそうだと思っていて、一般的に自分のやってきたことがどう抽象化できて、それが他のどの仕事にどう活きるかを考えられる能力は、必要不可欠になってくると思います。
-- 抽象化が苦手な人が、その力を身につけるにはどうしたら良いのでしょうか?
手書きで自分の仕事のフローを書き出してみる。自分が与えられた課題をどうやって解決していったのか。具体的にどんなことをしたのか。実際書き始めるとそんなに難しくないんだけど、最初のうちはちょっと面倒で時間がかかる。でも、これも筋トレみたいなものなんで、一旦考える癖がついてしまえば、だんだん頭の中でできるようになると思います。
-- ありがとうございます。最後に、逆瀬川さんがこういう人に遊びに来てほしいというのを教えてください。
やっぱり一緒に仕組みを作りたい人、これにつきます。特にWantedly Peopleチームは社内スタートアップのような環境なので、新しい取り組みしかしないと思います。最初、形を作っていくことは大変ですけど、それが成功したときの喜びはひとしおなので、一緒にワクワクしたい人をお待ちしています!