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今まで誰もやっていない分野で最強を目指す。動画チームが描く未来【座談会・後編】

動画を活用したPRに伴走し、クライアントだけでなく、報道関係者やその先にいる生活者に向けてサービスを提供する、PR TIMESの動画チーム。前編では、動画チームマネージャーと動画ディレクターリードの2人に、入社前のバックグラウンドや、テレビ業界出身だからこそ感じているやりがいや課題感をご紹介しました。後編では、制作した素材の活用課題について語っています。

TV制作現場にいたからこそ見えた、PR動画素材のポテンシャル

—メディア側の素材活用に関して、どのような課題感を感じていますか?

新岡:テレビ制作現場は、第三者が作った動画素材を有効活用しにくい要因があると思っています。

一つは、基本的にディレクターは職人気質。自前主義なところがあるので、自ら撮影した素材を自ら編集し放送するのがベストだと考える風潮があります。なので、第三者が作った動画素材をもらい、編集することに積極的ではありません。部分的に活用することはあるかもしれませんが、キービジュアルは特に自分で撮影したものを編集したいと思う人が多いんです。

もう一つは、動画素材を気軽にシェアする文化がテレビ業界には無いということです。異なるテレビ局同士や、制作会社の間で動画素材の貸し借りは行われているのですが、請求が発生したり動画の版権や著作権の関係で、レスポンスがどうしても悪くなってしまいます。日々時間に追われる番組作りにおいて、レスポンスが悪いのは動画素材を活用する上では致命的なんですよね。そういった要因がある一方で、動画素材がもらえると助かるな、と思う瞬間も結構あったりします。

テレビや新聞といったマス広告費が年々減少している影響で、番組の製作費が削減される傾向にありますし、コロナ禍で取材が制限されるなど、自分達だけで番組作りをしてくには予算的にもマンパワーも苦しい状況であったりします。そういう状況だと、第三者からの動画素材提供があれば、撮影にかかる労力を省くことができるので、その分 いいコンテンツ作りをすることに注力できるようになると思っています。
でも、動画素材を有効活用できないというジレンマがあるんですよね。

—例えばどんな状況でそういうことが起きるのでしょう?

新岡:例えば、巷で話題の飲食店などはわかりやすい例です。ひとたび話題となれば、多くのテレビ局の取材が来ますが、その度、撮影のために全く同じ料理を何度も何度も作るのでお互いに時間と労力がかかります。もちろんお店側にとっても紹介されることのメリットはありますが、作った料理は無駄になることもしばしば。料理の撮影も、1品撮影するのに1~2時間と時間がかかることもあります。

正直、他の局も同じものを撮影してるのであれば、お互いに料理撮影の動画素材を共有できれば効率がいいのに……と思うことが多々ありました。でも、もしその飲食店さん自身が、どの局でも活用できる完璧な料理素材を持っていたら、その素材をテレビメディアの方々に共有することで撮影時間や撮影内容の省略ができるし、フードロスにもつながる。その分テレビディレクターはより良い番組を作るために、コンテンツ制作に集中する時間ができる

今、僕自身がPR TIMESの動画ディレクターとしてお客様に伴走する立場になり、素材提供の価値をもっと広い目で見て改善していくべきだと改めて思いますし、実際に手応えも感じ始めています。まずは接点のあるクライアントさんからですが、その価値を少しずつ理解し始めてもらえているのではないかと感じています

—牧さんが経験してきたスポーツ番組の分野ではどうでしょう?

:テレビメディアも、それぞれの番組で切り口が違ったりするので、一つの試合やイベントを撮影するにしても狙いが全然違うんですね。そういう意味では、それぞれのメディアの特色があるので、一概に僕たちの素材を一つ提供すれば解決、ということにはなりづらいかもしれない。

ただ、コロナ禍という社会情勢下であることや、各局の予算の問題などから、テレビ局同士で素材を共有しようと試みることはありました。局の中でも限られた人しか動画素材を作れないという状況がどうしても発生しているので、いい素材を手に入れるために手を組み合いましょう、という考え方はスポーツの現場では少しずつ進んでいます。他の分野も同じように進められたらいいのかもしれないですよね。

作って納品して終わりではなく、二次利用も再編集も歓迎する

—実際に理想的な素材活用に繋がった事例はありますか?

PR TIMES TVのサービスをフル活用していただいた事例でいくと「KINTO」さんが挙げられるかなと思います。KINTOさんは、クルマのサブスクリプションサービス「KINTO ONE」や、多様なモビリティサービスを利用できるWEBサイト「モビリティマーケット」などを提供されています。

PR TIMES TVをご利用いただいていて、旧車コミュニティ立ち上げ、旧車レンタル開始の動画プレスリリースを制作しました。この時は試乗会の日に撮影に伺って、レンタルを開始するトヨタの往年の名車4台の撮影はもちろん、旧車ファンのお客様の盛り上がりも表現したいということで、お客様が試乗されている車内映像やインタビューも撮影しました。

ここで撮影・編集した動画と写真を、KINTOさんの社内サイトやプレスリリースにも使用していただいています。他にも、モビリティーマーケットというKINTOさんの販売ページでも、動画撮影と並行して撮影した写真素材を全ページで使用してもらっています。旧車のレンタルサービスを始めるタイミングで、商品イメージに直結するクルマの写真を我々の納品素材で構成してくださいました

新岡:この、サービスは「販売ではなくサブスクで」ということで当日とても話題になりました。さらに、剥がせるボディーカラーというユニークなサービスもスタートしたりと、立て続けにいろいろなニュースがあったんです。

この剥がせるボディーカラーというのは、一度塗っても剥がせる特殊な塗料を下地に使うことで、新しいカラーを上塗りできるというもので、一台のクルマを長期間、楽しみながら乗ってもらいたいという思いで生まれた技術です。これを私たちは、工場へ伺って実際の作業シーンを撮影しました。

この映像は、羽田空港でおこなわれた展示会の大きなモニターでサイネージとして使ってもらいましたし、取材問い合わせの入ったニュース番組にも素材提供していただき、実際のテレビ放映にも活用されています。

ある意味、KINTOさんは、PR TIMES TVのサービスをフル活用してくださった理想的な例のひとつだと思っています。作って納品して終わりではなく、広報活動のあらゆる場面でに使ってほしいという我々の思いが実現しているなと感じた案件でした。

—納品して終わりではなく、その後の活用を推奨しているんですね。

:そうです。我々は、二次利用も再編集も一切制限しておらず、むしろ推奨しています。他の例でいえば、エプソンダイレクトさんから「業務用途向けタブレットの最新モデルを発売」のPRでご依頼いただいた動画も、新入社員研修や営業資料としてご活用いただいていると伺っています。共同開発している取引先への動画・写真素材共有や、製品サイトのトップページ、社内報などにも使ってくださっているとのことでした。

新岡:こういった好事例が出てきている一方で、メディアに対する素材提供の仕方には依然課題があります。素材を求める不特定多数のメディアが自分たちで素材を見つけることのできるプラットフォームが無いんですよね。これは、メディア側はもちろん、企業側にも大きなメリットがある。この課題を我々が解決することで、多くの素材が流通するムーブメントが起こるといいなと思っています。プレスリリースも、はじめは全然うまくいかなかった頃がありますし、不可能ではないはずですよね。

今まで誰もやっていない分野で「無敵を目指す」マインドが必要

—これまでお話しいただいた文脈からいくと、当社の動画ディクターには、どんなマインドの人が合うと思いますか?

新岡:既にあるものの中で最強を目指すというよりは、今まで誰もやっていない分野で無敵を目指す、というマインドを持っている方は面白いと思います。僕自身、そういう思いもあってPR TIMESに入社したので、しんどくても挑戦し続けることに共感していただける方がいいですね。あとは、仮説を立てては実践して、というPDCAを回していくことになるので、状況の変化も楽しめる人は向いていると思います。

—牧さんはいかがですか?

:僕は、好奇心旺盛な人ですね。僕自身は、お客様に寄り添い一緒になって仕事をしていくのがめちゃくちゃ楽しいんです。お客様から様々な業界のことを学べますし、リアルタイムで抱えている課題や目標を一緒になって考え、緻密な仕事ができるのがすごく楽しいんですよね。

たとえば先ほどのKINTOさんであれば、中長期でモビリティプラットフォーマーを目指していること、カーボンニュートラルやMaaSへの向き合い方を理解して、PRでどうアプローチしていくべきか考えることができる。なので、お客様がビジネスとして向き合っている課題への好奇心を持ち続けられる人の方が結果的に活躍するんじゃないかなと思いますね。

新岡:世の中に、良い映像を作れる方ってたくさんいます。ただ日々報道しているメディアからどう見えるか、さらに企業広報がどんな思いで情報発信しているか、そのうえで動画の技術者として何を提案できるか、これら複数の目線を持てることって難しいし、少数派だと思います。

これらのスキルを持ち合わせていてほしいというわけではなく、入社後に学び、吸収していけばいいと思っています。映像ディレクターが提案するPRの説得力は絶対にありますし、僕らとしてもその文脈を全てつなげてプロとしてコミュニケーションを取ることに仕事の楽しさがあります。今のスキルに加え、さらに違う経験や知識を増やしたいと思っている方と働けたら、より魅力のあるサービスにしていけると思います。

執筆=倉本亜里沙、構成=田代くるみ(Qurumu)

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