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新CTOはミラティブをどう変える?新旧CTOの2人に、CEO赤川が話を聞いてみた。

*左から、夏 澄彦(ミラティブ創業者、前CTO)、横手 良太(CTO)、赤川隼一(ミラティブ創業者、CEO)

CTOの役割って何だろう?

赤川:今日は、現CTOの横手さんと前CTOの夏さんのおふたりに、たっぷり話してもらおうと思います。まずは、趣味もまじえて自己紹介をお願いします。

横手:横手です。ミラティブには2年半前に入社しました。エモモ(3Dアバター)やアプリ開発を経て、2021年から技術部長としてエンジニアチーム全体を見る立場になりました。4月からCTO、経営メンバーとして、より強くコミットしていきます。趣味はPUBG MOBILEで、リリース時からずっとプレイしていて、かなり上手い自信があります。

夏:夏です。DeNA時代、Mirrativのプロダクト立ち上げ時期から携わっていました。サーバーサイドのエンジニアとして入り、途中からはiOSとAndroidのコードも書いて担当していました。そして、会社が独立するタイミングでCTOになりました(※)。Mirrativのプロダクトと会社、それぞれの立ち上げ時期にいろいろやってきましたね。趣味は漫画を読むことで、無限に読んでいられます。(※2020年3月にCTOからテックリードに肩書を変更。背景はこちら

赤川:では早速、CTOに就任された横手さんに聞いてみたいのですが、CTOの役割って何だと思いますか?

横手:役職は役割だと思っています。なので、CTO職だから偉いわけではないし、役割の1つにすぎないです。私もそういう気持ちでやっていきます。そのうえで「CTOの役割ってなんだろう?」というと、CTOはエンジニアではなく経営職であり、経営のなかで技術領域をつかさどることだと思っています。

あとCTOの役割は、フェーズによって変わると思っています。例えば起業家は、起業時にプロダクトオーナーを担うことが多いですが、会社のフェーズに応じて役割は変わり経営に集中していきますよね。CTOも同じで、創業期は間違いなくプロダクトをつくるのに1番イケてるエンジニアがCTOをやるべきです。ただ、フェーズが変わると、必ずしもそうではないと考えています。

創業からこれまで、ミラティブのエンジニアチームはプロダクトに集中してきました。CPO(最高プロダクト責任者)の大野さんはエンジニア出身で、メンバーもエキスパートが揃い、プロダクトは成長し続けることができています。一方でプロダクトに集中してきた分、後手にまわっていた組織づくりやブランディングなどが必要なフェーズになっています。それらを、私がCTOとして取り組んでいきます。

赤川:今の経営にとって、技術組織の構造化やブランディングが一番重要だということですね。夏さんは、創業時のスーパーエンジニアとしてCTOを務めましたが、今はどんなことに取り組んでいるんでしょう?

夏:今は、新規プロジェクトのリードエンジニアを務めているのと、サーバチームのリードエンジニアの牧野さんと一緒に、サーバーサイドのGo言語への移行を進めています。

赤川:Mirrativというプロダクト視点では、新規プロジェクトの立ち上げと、言語の移行はやりきる必要がありますね。そこを夏さんが牽引し、組織づくりは得意な横手さんがやるという体制だと。

少数精鋭のチーム。今後はどうしていく?

赤川:組織づくりの話がでましたが、エンジニアチームは今20人くらいですよね。僕としては、少人数だと感じるのですが、実際はどうですか?

横手:サービス規模に対して、圧倒的に少ない人数です。それは、いい部分と悪い部分があります。いい部分は、人数が少なくてもまわせている事実。個々人の能力やパフォーマンスが高いということです。「いい仲間とやれてる」ということですね。悪い部分は、属人的になりすぎていたり、新しいことをやろうとした時にリソースが課題になることです。少人数でやっていると、楽しいし、響きはかっこいいんですけど、その中だけで人が育っていくので、スケールしづらいと思っています。もう少し余裕をつくり、人もプロダクト成長する組織にしていきたい。

赤川:シード期の突っ走ってきた時期から、技術集団として組織を成熟させていくということですよね。そうすると、裁量とやりがいをどうバランスさせていくんでしょうか?

横手:人が増えても、やりがいやチャレンジは失われるものではなく、フェーズによって変わるということだと思います。人が増えたら、属人化ではなく組織として対応できるよう標準化したり、若いメンバーの育成など、創業期にはなかったやりがいやチャレンジが生まれます。業務を他の人に引き継ぎ、新しいことに挑戦することもできます。個人のライフステージが変わっていくように、組織も変遷していくものだと思います。

赤川:創業期に比べると、残業も劇的に減りましたよね。

夏:そうですね 笑。今は、残業はかなり少ない会社になれています。去年の3月からはフルリモートになり、業務以外に使える時間が増えたので、健康度や生活の充実度は上がっていると思います。

赤川:創業してからずっと、エンジニアの離職率が低い。この事実はとても良いことなので、もっと充実度を高めていきたいですね。

ミラティブのエンジニアの面白さとやりがいって何だろう?

赤川:改めて、ミラティブのエンジニアとして働く面白さって何ですか?

横手:Mirrativのようなライブ配信サービスは、アプリやサーバ、インフラなど、それぞれの分野でライブ配信の技術に関わりがあるんです。また、Mirrativは単なる放送的なものではなく、双方向なコミュニケーションサービスなので、技術的にはWebソケットでつながり続けていて、それがアプリやサーバサイドのアーキテクチャに直接的に関わってくるという面白さがあります。一般的なWebアプリのように、APIを叩いて表示させるだけではないです。トラフィックも大きいので、サーバサイド・インフラも技術的な難易度は高く、面白いと思っています。

夏:これまで世の中的には、ライブ配信の技術というと、数万・数十万人の大規模視聴に耐えられるよう安定して提供することがいちばん注力されてきたと思うんです。それが最近になって、接続数に関わらず、よりラグが少なくコミュニケーションできることに価値が移ってきています。ライブ配信が「常時接続」を支える技術になってきています。

横手:今、ライブ配信の技術では「これを使えば、簡単にスケーラブルなサービスが作れる」というようなマネージドなものがないので、自分たちで開発をしていかなければなりません。逆に言うと、その部分を自分たちで創ることができる、ということでもあります。

赤川:やりがいは、どんなところだろう?

横手:やりがいは、2つあると思っています。1つめは、技術にちゃんと向き合っているところ。これは大切です。ミラティブは、低遅延やライブ配信の技術に投資を続けてきています。こういった技術は、すぐに売上につながるものではありませんが、中長期でプロダクトを成長させるために重要だと、意志を持って取り組んでいます。アプリやサーバサイドでも新しいライブラリを入れたり、アーキテクチャを取り入れることに積極的です。

2つめは、エンジニア一人一人が徹底的にユーザーと向き合えること、プロダクトと向き合えるところです。決まった仕様を淡々とコーディングするだけということはなくて、職種を問わずベストなプロダクトのユーザー体験を考えながら作っていくのが当たり前というメンバーが集まっている環境です。

赤川:夏さんは、やりがいについてどう思いますか?

夏:今Mirrativのソースコードのなかには、過去に試行錯誤した色々な歴史的経緯がある状況です。ユーザーに対して、常に価値提供し続けなければならない中で、短期・中期・長期のそれぞれの視点に立ち、新機能開発する攻めと、負債を解消し基盤を安定させ開発速度を改善させる守りのバランスを取るところが、なかなか頭を使うなと思っていますね。

横手:(苦笑)

赤川:それは.... やりがいというより、大変なところ?

夏:頭を使うことは、やりがいじゃないんですか 笑。Mirrativのあらゆる機能は、リリース後にユーザーからフィードバックもらってブラッシュアップしていきますよね。一発で正解にたどり着けるものってないと思います。そのなかで、たくさん考えることがあるように、ユーザーと向き合い、頭をひねり、一部はユーザに受け入れられて達成感を得る。これは、やりがいなんじゃないかなと思います。

「ユーザーに向き合う」って、どういうことだろう?

赤川:「ユーザーに向き合う」という話が何度かでていますね。「課題に向き合い続ける」はミラティブの行動指針でもありますが、具体的にはどういうことなんでしょう?

横手:MirrativはtoCのコミュニティサービスで、何をやれば上手くいくのか事前に予測しきることができないサービスだと思っています。なので、ユーザーと向き合うことでしか答えが出てこない。そのための具体的な方法として、早く作って、早く出して、ユーザーの反応を見る、定量的に分析してデータドリブンでの意思決定をする、ということを繰り返しています。

開発者は、つい大きな機能や流行の機能を創りたくなるのですが、ユーザーに欲しがられるものじゃないと意味がないですから。「欲しがられているか」を直視し続けるというのが、僕たちがユーザーに向き合う姿勢かなと思っています。

赤川:リリース直後に、ユーザーが実際に機能を使っているところを配信を通してみることができるから、課題も見つけやすいというのは、我々の楽しいところですよね。大変なところでもありますけど。

*機能をリリース直後、ユーザーが新機能を触っている様子を配信で見ている様子(写真はリモートワーク移行前のものです)

また、毎週のユーザーフィードバックに、エンジニア全員参加していますよね。あれも「ユーザーに向き合う」ことかなと思ってるのですが、どうですか?

ユーザーフィードバック・・・アプリストアのレビューやSNSのコメント、お問い合わせの内容など、ユーザーの声を社内で共有する時間。部署や職種に関わらず、全社員が参加する。事業開始時からスタートし、現在も実施している。

*ユーザーフィードバック会の様子。(リモートワーク移行後は、オンラインで開催しています)

横手:創業期や少人数のときだと当たり前かもしれませんが、60人くらいの会社の規模になっても、営業やバックオフィス含め全員が参加を継続していることは、すごいことだと思っています。Mirrativというプロダクトが僕たちの会社のコアであることを表し、会社として「ユーザーと向き合う」を反映している文化です。

夏:ユーザーフィードバックでは、ユーザーのポジティブな意見・ネガティブな意見、両方が伝えられます。また、紹介をするだけじゃなく、司会者(コミュニティチームが担当)が「こういうご意見が届いていますが、機能の開発予定はどうなっていますか?」というような質問をして、担当者(PMやエンジニア、デザイナーなど)が、進捗や考えを共有する場にもなっています。会社も人が増えてきて、自分が所属するチーム以外の動きが見えづらくなっていますが、週に1回全員でユーザーを中心に囲って、他のチームに対する理解を深める時間にもなっています。

一緒に働きたいエンジニアって、どんな人だろう?

赤川:採用の話をしたいなと思います。僕たちは、どういうエンジニアを必要としているんですかね?

横手:Mirrativは、一般的なアプリよりも技術スタックが広いという特徴があります。iOS、Android、Webのフロントエンド、Unity、バックエンドもライブ配信基盤が乗っかっています。そして、サービスの規模が大きいので、スペシャリストな人材が必要です。一方で、スペシャリスト人材だけでチームは成立はしないので、それらをつなげるような仕事ができる人も必要です。

赤川:「つなげる」という会社のミッションを体現するような役割も重要ですね。(※)マインド面ではどうですか?(※ミラティブのミッションは「わかりあう願いをつなごう」)

横手:先ほども出たように、自分のつくりたいものより、ユーザーが欲しがるものを考えられる人です。過去にライブ配信やコミュニティといった、近しいジャンルの経験をしてきたかどうかは、あまり関係ないと思っています。

赤川:エンジニアのキャリアについて、どう考えてますか?

横手:あってないようなものだと思っています。10年ほどで技術も変わりますし、これが正解というものはないです。ただ、ベーシックなものはいくつかあって、スペシャリスト、マネージャー、プロダクトオーナー、別の技術を習得したり、新しいプロダクトに挑戦するなどですね。ミラティブでも、いろんな道があることが必要だと考えています。

赤川:前CTOとしては、現CTOにどんな組織をつくってほしいと思っていますか?

夏:プロダクトと同じように組織にも正解などないと思っており、目指したい組織像や方向性があって、その目標に対しその時のフェーズに合わせ、メンバーと向き合いながら変化し続けてほしいです。

赤川:では、最後に横手さんから意気込みのほどを。

横手:Mirrativというサービスを、とにかく成功させたいですね。そこには、技術とエンジニアは絶対大事なので、エンジニアが集中して楽しく仕事ができ、すばらしい活躍ができるそういう組織にしたいです。

赤川:改めて、テックカンパニーとしてギアをあげていきましょう!

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