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【INTERVIEW/CS Ops】「メンバーがサクセスできる状態をつくる」──モノグサのCSを裏から支える「CS Ops」の考え方とは?
カスタマーサクセス(以下、CS)が“サクセスできる状態”をつくる──そんなミッションを掲げ、CSメンバーの業務効率化やスキルアップのための仕組みづくりに取り組んでいる部署が「CS Ops」です。現在、モノグサでは顧客の活動状況からプロダクトの利用状況を評価する指標「ヘルススコア」を策定することで、解約防止やアップセルにつなげ、顧客のLife Time Value(LTV)を高めるといったことを行っています。
また、最近ではCSメンバーのスキルの可視化や業務に取り組む上で身につけるべきスキルを定義した「カスタマーサクセス検定」の作成・運用にも取り組んでいます。
なぜ、このような取り組みを行っているのか。CS Opsの亀井雄太に「モノグサにおけるCS Opsの考え方」について話を聞きました。
カスタマーサクセスが“サクセスできる状態”をつくる
──CS Opsとは具体的にどのようなものでしょうか。
亀井:一般的な定義になりますが、CSがサクセスできる状態をつくる。それがCS Opsに求められる役割です。例えば、顧客になるべく少ない時間で効果的な提案や対応ができるようにしたり、メンバーが3カ月、半年前より「成長できている」と感じられるようにしたりすることで、CSがサクセスできる状態になると思っています。
その状態を実現するために、モノグサでは主に3つのことに取り組んでいます。ひとつ目がCSメンバーが解約阻止、アップセル実現のために有利に戦えるための武器や、その武器を顧客に届ける仕組みをつくること、ふたつ目がCSメンバーが関与するプロセスを短時間・効果的に実施できるよう整備し、顧客対応・プロダクト改善に集中できるようにすること、そして最後が社内外のCSの知見を集約し、継続的にCSメンバー個人のスキル向上と組織体制の改善ができる体制を構築することです。
──なぜ、このような取り組みを始めようと思ったのでしょうか?
亀井:自分は2年前にモノグサに入社したのですが、振り返ってみると入社直後からOpsに近いようなことに取り組んでいたなと思います。1人目のCSメンバーとして入社し、1人で顧客対応しなければならない期間が半年ほど続いたんです。なるべく少ない工数で多くの対応ができるようにリソース配分の仕組みやルールをつくりました。その仕組みやルールを振り返ってみると、Opsのような役割を担っていたのかなと思います。
自分自身、コンサルタントをしていた前職でも、仕組みや体制を構築するプロジェクトに携わっていたので、その経験も生かすことができた気がします。
そこからCSのメンバーも増えていき、ひとりが頑張るよりも全体の生産性を上げた方が会社全体の利益につながると思い、よりOpsに注力していきました。
モノグサ独自の取り組み「ヘルススコア」「カスタマーサクセス検定」とは何か?
──モノグサが取り組んでいる「ヘルススコア」についても教えてください。
亀井:ヘルススコアは端的に説明すると、解約しそうな顧客とアップセルが狙えそうな顧客を洗い出し、そこに対してCSのリソースを集中投下する仕組みです。3年前くらいから運用を開始し、年に1回の頻度で改善を重ねながら、現在は「Ver3.0」までアップデートしています。
現在のヘルススコアは学習者(生徒)と管理者(先生)の2軸でスコアを取得しており、学習者軸はどれくらいサービスを使えているのかの定量情報を見ており、管理者軸はサービスをどの程度使えているのかという定量情報に加えて、操作習熟度や業務への組み込み度合といった定性情報を見ています。これらを組み合わせて、サービスを導入している企業が200点満点のうち、どれくらいのスコアになっているかを確認しています。
このスコアはデータ分析上、理論的には「ヘルススコアが低い≒解約可能性が高い」「ヘルススコアが高い組織≒アップセル可能性が高い」という図式が成り立っています。
これまでに、スコアが低かった企業に電話をかけてみたところ「解約する直前だったよ」という話になり、そこからCSメンバーが新たに提案することで解約を阻止できたケースがあります。また、スコアが低い企業のみに目を向けるだけでなく、スコアが高い企業に対してはアップセルを狙った提案をするといったことも実施しています。
また、最近ではヘルススコアといった仕組みだけでなく、CSメンバーのスキルの汎用化、スキルアップを目的に「カスタマーサクセス検定」も作成しているところです。
──その「カスタマーサクセス検定」とは具体的にどういったものでしょうか。
亀井:モノグサには「レベル0」から「レベル3」までの4段階でセールスレベルを定義し、それらを支える42個のスキルを客観的な評価項目として用意する「営業検定」という仕組みがあるのですが、それの“CS版”と思ってもらえると分かりやすいです。
顧客への働きかけ方(個人か集団か)と時間軸(短期間か長期間か)によってレベルを分けており、具体的には個人の合意形成が取れるのを「レベル1」、集団で合意形成が取れるのを「レベル2」、集団かつ長期間で合意形成が取れるのを「レベル3」としています。
それぞれのレベルに必要なスキルを定義し、評価基準も設けました。顧客の基本情報やペルソナを抽選で決定し、その想定顧客に対してロープレを行う中で必要なスキルが身についているかを判断していく、というものです。
この「カスタマーサクセス検定」を作成するにあたって、他社に参考事例がないか探し回ったのですが、全然なかったんです。そういう意味ではモノグサらしいと言いますか、非常にオリジナリティ要素が高い仕組みが出来上がったのではないかと思います。
──なぜ、「カスタマーサクセス検定」を作成しようと思ったのでしょうか。
亀井:知識を知っていれば行動に反映させられる情報、スキルを知っているだけでは行動に反映させられない技術と定義した際に、CSは知識とスキルの棲み分けが難しい部分があるな、と思ったんです。例えば、顧客に提案する上で他社事例や業界知識を知っていると一定効果的な提案ができるとは思うのですが、その知識があってもサクセスできるケースとできないケースが存在します。その背後には顧客の重要視している目標を把握できるかどうかといった知っているだけでは行動に移せないスキルが重要なのではないかと考えました。
だからこそ、CSに必要なスキルを選別し、それを“検定”にすることで、CSメンバー全員が汎用性のあるスキルを身につけ、効果的な活動ができるようにしたいと思いました。
「カスタマーサクセス検定」を作成するにあたって、これまでに自分が担当した顧客とのやり取りを見返し、どのタイミングでどんなことをしたのか。それを1年分洗い出し、失敗が起こりうるものなのか(知識で解消可能なのか、スキルが必要なのか)を分類。スキルが必要なものに関しては、スキルの詳細を言語化し、各レベルに当てはめていきました。スキルの一般性を担保しながらも、モノグサのCS活動において役立つものを抽出するという点において、“スキルの選別”にはかなりこだわったポイントでもあります。
「CSといえばモノグサ」と言われるくらいプレゼンスを高めたい
──亀井さんが考えるCS Opsの面白さ、楽しさは何でしょうか?
亀井:3つあります。ひとつ目はモノグサはメンバーが優秀かつ人柄も良い人たちなので、本気で「この人たちをサクセスさせてあげたい」と思える点です。
また、全人類にプロダクトを届けるというバリューからも、スケーラブルな仕組みへの意識が高い人たちなのでCS Opsが単独で何かやっているというよりも、CSメンバーと一緒に仕組みという観点で事業開発をしている感覚が強い。そこがモノグサならではの面白いポイントでもあるかなと思います。
2つ目がデータだけではわからない部分が多いということです。モノグサは現状教育系の顧客が多いこともあり、解約が発生するのは年度が切り替わる3〜4月が圧倒的に多いんです。極端なケースでは期中に全く活用されていなくても3〜4月まで解約されないこともあり、年間を通してみなければ顧客にとって良かったのか、悪かったのかがわからない。データ分析を行うのは大前提ですが、データだけでは判別できない部分もあるので、モノグサのCS Opsは仮説も含めながらロジックを組んでいかないといけない。難しいですが、そこはすごく面白いポイントです。
実際、仮説をつくって、実行し、成果が出たかどうかを確認する。一連のサイクルをいろんな形で試せたことは個人的にも良い経験ができたなと思っています。
そして、最後はOpsの定義が広いところです。例えば、イネーブルメントやストラテジーの要素をOpsに入れるかどうかは会社によって異なるのですが、モノグサはOpsに入れるかどうか迷った部分は全部入れることにしています。そういう定義の広さはモノグサならではの面白さかなと思います。また、社内でOpsに対する理解度が高いのでいろんなことに取り組めます。
──CS Opsをやっていく中でやりがいを感じる瞬間はいつですか?
亀井:ヘルススコアやカスタマーサクセス検定もそうですが、自分で何かモノを生み出し、それが活用されてメンバーに感謝されるときにやりがいを感じます。CS Opsは目に映らないけど何も不自由がない形でCSメンバーが動けている。そんな状態をつくれているのが理想です。目立つというよりも、いなくなってみると大切さに気づく。コンタクトレンズみたいな役割なのかなと思います。仕組みや指標が全社にも展開されて、会社のハブになれていると感じるときが幸せですね。
──今後、モノグサのCS Opsをどうしていきたいと考えていますか。
亀井:CS Opsに関する一定の仕組みはできたのですが、実際に運用を通じてどれくらい成果が出たかはまだ証明できていません。そういう意味では土台は出来上がったので、それを浸透させていくことが今後求められていく役割だと思っています。
CS Opsの仕組みを活用することで解約率はどれくらい下がったか、アップセルがどれくらいできたのか。そこにコミットし、きちんと結果が出るようにしたいです。
今期のCSのミッションは「アップセルを狙える組織」となっているので、そのミッションを実現するための有力な武器をつくり、それを授けていく。それにより、CS組織をプロフィットセンターにしていきたいです。
──最後に今後の目標を教えてください。
亀井:これまでは各顧客の要望に応えるリアクティブな対応も多かったのですが、一定の仕組みがようやく整ったので、ここからプロアクティブな働きかけをしていきたいです。そして、CSの取り組みやCS Opsの仕組みを社内外にも発信することによって、「CSといえばモノグサ」と言われるくらい社外でのプレゼンスも高めていきたいと思います。
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