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シリーズAの資金調達に合わせてMVVの見直しとPurposeを設定した話

シェアダインはシリーズAの資金調達の実施を2022年9月に発表しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000028141.html

このnoteでは、シェアダインがこの資金調達と共にMVV(Mission・Vision・Value)の見直しを行い、新たにPurposeを設定した経緯とプロセスをまとめました。
なぜこのタイミングで見直すことになったのか、どういったアプローチ・思想で進めていったのか、なぜPurposeを設定したのか、など説明しております。

シェアダインとは

シェアダインは「料理の世界をもっとフラットに、もっとオープンに」をMissionに掲げ、シェフと依頼者、シェフと飲食店を繋ぐプラットフォームを運営しており、「出張シェフ」というフリーランスシェフの新しい働き方を創出してまいりました。登録シェフ数は2,000名を超えコロナ禍で3.5倍となり、シェフがフリーランスとして活躍できるプラットフォームとして成長を続けている企業となります。

MVVを見直す理由

シェアダインは、2022年8月にシリーズAの資金調達を行いました。一般にシード期はプロダクトの検証期間とされ、シリーズA期間は検証後のGrowthフェーズと位置付けられます。
シェアダインも「出張シェフ」という事業ドメインでのニーズの検証がシード期に完了したと位置付け、このシリーズA期間からはGrowthに本格的に取り組んでいくことになります。このフェーズの移行に際し、社内で起こる主な変化として以下が挙げられます。

  • チームとしての活動の割合が増える
  • (初めて)短期間に社員数が急激に増える

チームとしての活動の割合が増える

これまでが個の活動の足し算で数字を積み上げていたとすると、今後は個、もしくはチームの活動の掛け算で数字を作っていかないといけない(=事業計画に追いつけない)のがGrowth期となります。
現在の事業の状況に対し、同じ課題感を抱え、それぞれの個・チームの活動が掛け合わさることで事業の推進を図っていきます。

(初めて)短期間に社員数が急激に増える

もう一つの大きな変化として社員数の増加があります。資金調達時にセットで行われる採用訴求も、このGrowthフェーズに約束する事業計画の目標値を達成するために必要となるメンバーを新シリーズが始まると同時に揃えられることが理想であり、目標値の達成に必要となるチーム構成を最短で構築することが目下の目標となる為、注目が集められるタイミング、かつ最もニーズが高まるこのタイミングで行うことが、どの会社にとっても合理的で、シェアダインもそれに漏れず過去最大級に採用強化を打ち出していたりします。

現在シェアダインは正社員数が10名を超え、このシリーズA期間にその規模を現在の倍となる20人程度に増やすことが採用計画に盛り込まれております。
これまでは徐々に増えてきた社員規模も、この間に初めて急激に増えることとなり、ぎりぎり創業者の目と手が届く範囲ではあるものの、その濃度は薄まる為、組織として会社のカルチャーを醸成し、それを浸透させることで、チームとしての結束を高めていく必要があります。
ここを怠ると穴の空いたバケツに水を注ぎ続ける状態となり、採用できても離職者が後を立たず、いつまでも人が足りない状態を作ってしまうことになります。

この2つの大きな変化を迎え撃つために、MVVの設定が必要(構築済みの場合は再設計)と考えております。
MVV(Mission, Vision, Value)の設計は、自社がどうあるべきかを「内」目線で定義づけるものであり、それは既存メンバーがチームとして目線を合わせて活動を行なっていく際の指針となり、また新しくJoinしてくれるメンバーがシェアダインを選んでくれる一つのきっかけとなり、オンボーディングをサポートしてくれる武器になると考えております。

これらの変化を迎えるにあたり、資金調達の完了と並行してMVVの再設計プロジェクトを立ち上げました。
ここからは具体的なアプローチを紹介していきたいと思います。

シェアダインはニーズに駆られこのタイミングでMVVを設計することになりましたが、他社事例を見ていると同じくこの期間、事業フェーズに設計していることがケースとして多い印象でした。
古くから「社是」を掲げる企業が多い日本において、MVVというのは概念的には新しいものではありませんでしたが、MVVが注目されるきっかけになったのはメルカリで小泉さんが推進された事例が広く知られたことかと思っております。そのメルカリも社員数10人頃にあの有名なValueを設定されており、この規模のフェーズにおいて設定するのはどの会社も通る道なのだと気付かされました。

MVV再設計のアプローチ

シェアダインには元々MVVが存在しておりました。一方で、1) 会社として浸透にリソースを割いてこなかった、2) 新規事業が立ち上がり、全ての社内活動を包括するものではなくなってしまった、こともあり一部形骸化しており、どこかでやり直さないといけない、という意識がManagement層にありました。
今回MVVを見直すにあたり、シェアダインがとったアプローチは以下となります。

  1. Management + HRで現行MVVの課題出し
  2. 全メンバーへのアンケートの実施
  3. Draftをもとに全メンバーでDiscussion
  4. Managementで最終案をブラッシュアップ

Mission・Visionの見直し

今回のMVVの再設計においては、既にあるものを無理に壊す必要はない、という共通認識を持って進めていきました。変えることによるメリットもありますが、Mission・Visionのような思想的なものは、それに共感して入社を決めたメンバーも多く在籍しており、「この機会だから」というような浅はかな考えで変えてしまうことは会社に対するメンバーの不信感にも繋がるので、メンバーからの評価も踏まえつつ、見直せる余地があるか確認するところから着手しました。
結果として現在のMissionである「料理の世界をもっとフラットに。もっとオープンに。」は、シェアダインの「出張シェフ」事業におけるステークホルダーであるユーザー、シェフに対して、シェアダインが事業を展開していく上での約束の一つであり続けるものであり、その期待をユーザー、シェフから強く感じているため、Missionについては据え置くことにしました。
元々創業者である飯田と井出の出産を機に感じた子育てと食における課題から生まれたシェアダインですが、この「出張シェフ」というドメインで事業を展開することで飲食業界全体における課題の発見に繋がり、「料理」という世界におけるオープンネスを追求することがシェアダインにとってのMissionとして相応しいと感じております。

一方で、「私たちは何をするのか(to do)」を表すものがMission(What)だとした時、「そのミッションを進めて、いつまでにこんな状態にたどり着きたい(to be)」がVision(When&Where)であり、現行のVisionである「「相手を慮って作る」料理を未来につなぐ」は、Missionとしての色合いが強く、現行のMissionとの棲み分けが課題になると感じておりました。
また新たに立ち上げている新規事業においては、事業展開とこのVisionが合致しない部分も生まれており、これを浸透させていく上では少し難しさを感じており、このコンセプトは今後も大事にしていきたいところですが、会社としてVisionに設定することはこのタイミングで取り下げ、新たなVisionを設定せずに進めていくことにしました。

Value設計のアプローチ

前述の通りシェアダインでは既にMission・Visionに加え、Valueも設定されており、基本的には現行Valueのアップデート+シェアダインらしさの言語化という方針で動き出しましたが、途中でこの進め方をやめ、このシリーズにあるべきシェアダインの姿を言語化することに切り替えました。
背景としては、Valueは自分達の行動指針を定めたものとなり、大小様々な意思決定をこのValueに沿って行なっていくことになります。この意思決定の基準となるものが、これまでの延長線上にある場合、自分達の成長はその範囲内に着地することとなり、このシリーズAのGrowthフェーズにおいて、自らが目標とする水準へのアプローチとして正しくないように感じました。その為、その水準に自分達が乗っている場合、どのようなValueをもとに活動しているべきか、から考え新Valueを設定しました。
結果として、今の姿から連想されるものの範囲で決めることから脱却できたことは非常に良いアプローチだったと感じております。

新Value

Creative Way:創造して、想像を超えよう

連続的な成長は、変革を起こしていくには弱く、遅い。非連続な成長を常に意識する。これまで行ってきたことの延長ではなく、より良くするために0ベースで問い続けよう。想像できることを、創造して超えていく。

Quick Win:スピードが価値

持たざる者が勝つための手段の一つはスピードである。検討から実行に移すまでのスピードはもちろん、結果を出すまでにかかるスピードも逆算し、今何に取り組むべきか、手数を増やし、常にスピードを意識しながら取捨選択、意思決定を行っていく。

Grow or Die:自らの手で未来を切り拓く

昨日よりも今日の成長にコミットしよう。事業を伸ばしていくことでしか自分達の未来は切り開けない。成長し続けることで、自分達の選択肢も増えていく。成長が楽しみを作る。

All for Done:チームでやり切る

個人の足し算ではなく、チームとしての掛け算で数倍のアウトプットをしていく。仲間に背中を預け、掲げた目標を常にやり切ることに邁進する。その姿勢を全員でサポートしよう。

Purposeを設定する

MVVの再設計にあたり、シェアダインではこのタイミングでPurposeを設定することにしました。Purposeは「自社が果たすべき役割や存在意義」となり、MVVは自社がどうあるべきか、という”内”に向いた設計であるのに対し、Purposeは社会にとって自社は何のために存在するべきなのか、という”外”を意識した自社の整理となります。

Purposeを設定する背景

シェアダインが長期的かつ多角的に事業を展開していく際に、様々なステークホルダー(カスタマー、クライアント、社員、採用候補者、株主)にシェアダインを選んでもらう一つのきっかけを作るために必要だと考えております。Purposeがその一つとなり得る背景として大きく4つの文脈があると整理しています。

  1. サステナビリティ意識の高まり:ESG文脈。特にSocial面 [全ステークホルダー] 。
  2. ミレニアル(以下)世代の台頭(消費者として):経済活動に対する社会貢献意識の高さ(経済的価値だけでなく社会的価値から消費行動を決める) [カスタマー・クライアント]
  3. 働く意識やスタイルの多様化:「なぜこの会社で働くのか」組織の求心力が求められる [社員・採用候補者]
  4. VUCA時代:「先行き不透明」だから最終的に目指すぶれないゴールが必要→内発的原動力の創出(リモート環境においてさらに重要性を増す) [社員]

Purposeを設定することで、シェアダインを選んでもらうきっかけが新たに生まれることを期待しつつ、目下の課題として採用のミスマッチを減らしていくこと、も挙げられました。
シェアダインは「出張シェフ」事業を展開する会社、としてのイメージをこれまで押し出してきたこともあり、「食」という色が全面に出ており、採用面談における志望動機として、候補者自身の「食」に対する課題感、からご応募いただくことが割合として多い状況です。
一方でシェアダインは、もちろん「食」領域の課題を解決するソリューションを今後も展開し続けていくことになりますが、自社が社会に与えるインパクトとして、「食」領域における「人」の流動性を高めていくこと「人」を中心としたIX、SX、を既存の出張シェフ事業と現在立ち上げ中の新規事業を合わせた会社全体の事業価値として据えており、このスケール感で事業に向き合える人と一緒に事業を作っていきたいと考えております。
この課題に向き合う際、そのメッセージングを自社から発信していく必要性を感じ、「私たちは何をするのか(to do)」を表すのがMission(What)である場合、向かうべきゴールであり、かつ最上位の概念(Why)となるPurposeを設定することで、この課題の解決することを図ることとしました。

新Purpose

シェアダインはPurposeを「食の世界からソーシャルトランスフォーメーションを駆動する」と設定しました。

家庭の食卓は母親が守るという固定観念を取り払い、家庭の食を社会が担う仕組みを作りたいという創業当初から目指す共助の世界と、飲食業界において顕在化している働き方の不合理を解消し、個々の料理人がもっと自由に個の力を発揮する未来を作りたいという想いが込められています。社会変革(SX)の先には、食にたずさわる人々の無数の個性が認められ、多様性がなす共助により、持続可能な豊かな世界があると信じます。

シェアダインは、食の世界において「人」を軸にした産業トランスフォーメーション(IX)を図っていくことを事業価値と据えており、誰もが働きやすく、自分らしく在れる世界を作ることに向き合っていきたいと考えております。それが実現された「人」が流れる世界を作っていくことをソーシャルトランスフォーメーション(SX)と定義し、自分達がそれを先導していく、という意志を表現するため「駆動する」を合わせることにしました。
我々シェアダインの事業は、「食」の領域における不合理を根本的に解決することに繋がると考えており、この飲食業界の構造を共に変えてくれる志のあるメンバーと一緒に事業を作っていきたいと思っております。

新Purposeのコンセプトは、キーワード抽出を中心に比較的スムーズに進めることができましたが、最後の言語化には相当な時間を要することとなりました。最上位概念であり、シェアダインが存在する理由を説明したものになる、というところで容易に決められるものではありませんでした。
特にこの手のものは、それっぽい言葉や自分達の実態からかけ離れた表現になってしまうと自分ごと感が持てず、ただのお飾りになってしまうことが目に見えていたため、言語化のプロセスに時間がかかりましたが、結果として熟考できたことが全員の目線を合わせる上でもよかったと感じております。
最後は創業者から編みされた言葉で納得感持って着地することができ、このメッセージをこれから体現していけたらと考えております。

絶賛採用中

シェアダインは現在シリーズAを走り始めたタイミングとなります。正社員数もまだ10名ほどとなり、これから事業を作っていくフェーズを経験することができます。またtoC、toB両方の事業を展開しており、その2つにアプローチできる機会があります。
まだまだ整っていないことが多い会社ではありますが、その環境を楽しめる方にとっては成長につながる機会を多数用意しております。
少しでもシェアダインに興味を持っていただけるようでしたら、お気軽にご応募ください。

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