1982年生まれ、2021年入社 ちいき資本主義事業部/『SMOUT』事業責任者 座右の銘は開高健さんの「森羅万象に多情多恨たれ」
昨年、面白法人カヤックの「ちいき資本主義事業部」事業部長となった元編集者の経験をもつ宮本さん。Wantedlyのカジュアル面談を 活用した転職の様子と、キャリア変遷について話を聞いてみました。
気になる会社にポチポチと。いろんな会社と話してみようと思ってWantedlyを見始めた
― 転職活動を始めたきっかけを教えてください。
会社を辞めることを先に決めていて、あまり深く考えずに、この機会にいろんな会社と話してみようくらいな感覚でWantedlyを見はじめて、スカウトがきた会社や興味のあった会社とカジュアル面談をしていましたね。並行して、エージェントにも相談していました。
前職をやめたのも、ある程度今の会社でやれることはやったなという一定の達成感もあり、もうそろそろ次のことをしようかなという感じでした。なんなら、大学院に行ってその時興味のあった文化人類学の勉強をしようかなとも考えていましたが、それじゃ食べていけないなと、なんとなく転職活動を始めました。
― 以前はどんなお仕事をしていたのですか?
出版社で編集者をしていたり、企業のデジタルマーケティングの支援をする会社で、オウンドメディアや、デジタルコミュニケーション施策を企画するプランナーやプロデューサーをしていました。編集の仕事もしていたので、メディアを組み立てる仕事は元々得意だったんですけど、「世の中に発見される機会を増やすためにはどうしたらよいか」「どういうコンセプト発信をしたらよいか」というクライアントの問いに応えて行くうちに、メディアだけでは解決できない課題も多く、コミュニケーションプランニング、企業としての戦略設計も考えるような機会が増えてきて。
前職の後半はお客様の新規事業に伴走する仕事が多くなっていきましたね。その中で、自治体と企業をつなぐ案件もあり、今やっている地域事業にも触れる機会になりました。そういう経験の中で、多様なクライアントの壁打ち相手になり、課題を聞いて交通整理をしたり、課題解決していくのが得意かも?と自分の強みに気づくきっかけにもなりました。
― カヤックのことは知っていましたか?
そうですね、広くいえば同業種なので、面白いコンテンツをつくっている会社だという認識はありました。ただ、どちらかというと人事軸で注目していました。クライアントの戦略設計の際に、独自の人事制度や採用キャンペーン、メンバーをタレント化したブランディングなど、ベンチマークとして参考にしていましたね。ある時、「鎌倉資本主義」を読んで、これは面白そうな会社だなとは思ってはいましたが、その時は会社に入ることは考えていませんでした。
「暮らしと仕事が入り混じる」カヤックのカルチャーが自分の価値観にフィットした
― 転職活動のファーストアクションは?
もちろんエージェントにも相談していましたが、自分が元々知っていたり、気になっていた会社は、Wantedlyで直感的にエントリーボタンを押しまくって、興味のある会社とカジュアル面談をしていました。その時に、カヤックを思い出してエントリーしました。自分の経歴的に、広告や企業のブランディングをしている面白プロデュース事業部が近いのかな…と思って面談に臨んだのですが、経験した自治体のプロジェクトの話や、自分の考え方を聞いてくれた人事の人に、「宮本さんはちいき資本主義事業部の方がいいかもね」と言われて、ちいき資本主義事業部のCS(カスタマーサクセス)職として選考が進んでいきました。
中途採用の選考なので、当然スキルや経験ベースで話が進んでいくと思ったのですが、カヤックでは面接官が先入観なく、その人のやりたいこと、活躍できそうな職能、マッチするポジションといった目線で人を見ているんだなという印象でした。後から聞いた話ですが、証券会社からゲームのプロデューサーとして入社した人、エンジニアとして入社したのにいつの間にかデザイナーに転身していた人など、中に入ってみると、自分よりもっと大きなキャリアチェンジをしている人たちがたくさんいました。
― 現場のクリエイターとの面接はどうでしたか?
ちいき資本主義事業部の事業部長2名とお話をしましたが、一人は東京・熱海・鎌倉の三拠点生活を謳歌していたり、もう一人は家で鶏を飼っていたり、土日は裸足で走ってますみたいな人たちで(笑)。その時は、仕事で結構疲れていたこともあり、暮らしと仕事が入りまじる感じがすごくいいなと感じました。ここなら面白く働けそうだなと思いましたね。
他の会社も、感覚的にここは合うかな、合わないかなという感じで面接を受けていたので、最終的には面接をしたメンバーから感じた、ここは良さそうだなという感覚で決めました。
もちろん、カヤックのちいき資本主義事業部のサービスにも魅力を感じました。自分の人生のテーマとして、「資本主義の中のエアポケット的な場所を見つけたい」という思いが元々あったのですが、「SMOUT(スマウト)」や「まちのコイン」といったサービスは、今まで考えられてきた資本主義的な「豊かさ」の基準から、人々を大きく開放するサービスだと感じて、こういったサービスをつくる側になりたいと思い、入社を決めましたね。
これからは移住にこだわらずに、それぞれの人の思いに合わせた地方創生の仕方を提案するプラットフォームをつくっていきたい
― 今やっているお仕事を教えてください。
入社後約3年半が経った今は、「SMOUT(スマウト)」の事業責任者と、ちいき資本主義事業部の事業部長をやっています。カヤックは面白くて、三代表の創業になぞらえて、各事業部に事業部長が3人ずついるんです。その一人ですね。「SMOUT」は、地方地域への移住を促進するプラットフォームで、移住のきっかけになる記事を求人媒体のように掲載し、興味を持った登録者がそこに興味を示すことで地域とのマッチングを図ることもできるし、記事を掲載している自治体や事業者側からも登録者をスカウトすることができるサービスです。「住む」+「スカウト」で「SMOUT」です。
― 今はいろんな自治体でも「SMOUT」が活用されていますね。定期的に出る人気ランキングも興味深いです。意外と聞いたことがない地名が出てきます。
そうですね!地域の有名・無名に関わらず、記事の掲載の仕方やビジュアルの工夫によって、ユーザーの興味を獲得できることがよくわかります。今では、地方自治体で移住施策を始める時には、「まずは『SMOUT』を導入するところからだね!」と、少しづつですが各地で言っていただけるようになってきました。
― 今後の「SMOUT」のチャレンジはありますか?
自治体だけではなく、多くの事業者さん、民間企業にも活用できるプラットフォームに成長させたいと考えています。今はまだ、自治体の利用や、自治体の補助金を活用して使うというケースが多いのですが、地域での人手不足の課題はなにも自治体だけが抱えている問題ではなくて、地域企業でも同じこと。採用募集だったり、週1日でも手伝ってくれるとありがたい!という企業もたくさんあるので、もっと多くの民間企業の皆さんにも活用できるようにしていきたいです。
また、ブランディングも変えていきます。今までは、「移住のためのプラットフォーム」だったのですが、もっと幅広く「地域と何かしらで繋がりたい人は『SMOUT』へ!」という風に。移住というとハードルが高いのですが、移住はしないまでも地域との交流を求めている人や、自分の地域にいながら副業的に地域企業に貢献したいという人も多くいるので、移住にこだわらず、それぞれの温度感のグラデーションに合わせた関わりが持てるように、移住の周辺の領域も抱えていくようなサービスにしていこうと思っています。
今を掴む敏感さと自分の好きなことにとことんのめり込む深度を持った人が面白い
― 宮本さんも今では面接官をされていますが、面接ではどんなことを聞きますか?
経歴書に記載があるプロジェクトの内容を結構深く突っ込んで聞いちゃうかもですね。「あなたはどこを担当したの?どういう成果を出したの?」みたいな。私は現場あがりなので(笑)。詰めたいわけではなくて、その人の仕事の向き合い方を知りたいということですね。あと考え方とかですかね 。「興味のあることはなんですか?」とか、その人の感度みたいなものを知りたい。情報へのアンテナの感度は高くあってほしいかな。その感度というのも2つあると思っていて、時世に合った情報の中で何をキャッチしているのかなという敏感さみたいなものと、特定の興味領域があってそれに対してどれだけ深く考えたり知っているのかという深度のようなもの。カヤックで企画やものづくりをしていくには、その両方が必要な気がするので。
例えば、面接の時にめっちゃ長文の論文みたいなnoteを提出した候補者がいて、こんなの読めないよ(笑)というような何万字かで「僕が考える幸せとは?」みたいな文章を出されて。ある意味ちょっと狂気的な感じでもあったのですが、世界一幸せな国と言われるフィジーに留学した経験があったりと、ずっと幸せを追い求めて物事を考えていてる。そのくらい突き詰められる力はすごいと思いますし、苦しい状況でも最適解を出すまで思考する「考える筋力」があるなと思いましたね。彼はその後無事に入社して、今は私と一緒に「SMOUT」のディレクターとして活躍してくれています。
ちょっと特殊な例か(笑)
― どんな仲間にジョインして欲しいと思いますか?
ちいき資本主義事業部では、「SMOUT」や「まちのコイン」のようなプラットフォームの運営の中で新たな課題が出てくることもあれば、繋がった地域の皆さんから固有の相談を受けて、それをイベント企画やシステム開発、仕組みづくりなどでお応えしていくような仕事もあり、多種多様な課題を打ち返していく場面がたくさんあります。そういった場面では、よりたくさんの脳みそで活発な議論・ブレストができれば理想的だと思っています。なので、課題に対して「こうしたい!」というアイデアを主体的に出せて、一緒に仮説を立てられるようなプランナー・ディレクターがいてくれるといいなと思っています。もちろん、地域事業に興味を持ってくれていれば、さらにいいなと思います。
ちいき資本主義事業部は、元Webアプリの企画者や、大手家電メーカーの商品企画担当、カヤックのゲームプロデューサーなど、さまざまなバックグランドの人材が活躍しています。職種・業種問わず、いろんな方とお話をして一緒に地域資本主義を深めていきたいですね。