広告プロモーションやキャンペーンのバズ案件を数多く手がけるプロデューサーの植竹さん。キャリアパスを振り返りながら、成功につながるプロデュースワークの背景、プロデューサーとしての課題ややりがいについて聞いてみました!
植竹 梨子
1991年生まれ、2019年入社
面白プロデュース事業部/プロデューサー
趣味は飲酒、マグネット集め。お土産リクエストは常にマグネットです
若手が活躍できる環境に期待して転職
ーまず、キャリアパスを振り返っていきたいのですが、カヤックに転職する前について教えてください。
大手広告代理店の子会社に新卒入社し、CM制作事業部でPM(プロダクションマネージャー)をしていました。2年ほど勤めましたが、なかなかハードワークでした、笑。その後、違う職種も経験したくて、アパレル企業のグラフィックデザイナーに挑戦。未経験のため、当たって砕けろ的な感じでアシスタントから始めて約3年、主に自社販促物のデザインを手がけていました。
ーカヤックに転職した経緯は?
きっかけは、転職エージェントを通してカヤックにスカウトされたことです。
転職するなら、「自分に合うかどうか」を優先順位として考えていました。気になった点は、若手が活躍できる環境なのか、フラットな人間関係かどうか。情報収集のため、当時カヤックで働いていた大学のサークルの先輩に話を聞きに行ったり、カヤックのコーポレートサイトを隅々まで読んだりしました。
望んでいた環境だと感じたし、カヤック独自のカルチャーにも惹かれて、転職を決意しました。面接でも、事業部長と社員が上下関係無く仲が良さそうで、「のびのび仕事ができそうだな」と思ったことを覚えています。
ー入社後はどのようなお仕事をしているのでしょうか。
面白プロデュース事業部(旧クライアントワーク事業部)のPMを経て、現在はプロデューサーとして働いています。クライアントとの窓口になり、案件の座組を組んだり、お金の管理をしたり、チームリーダーとしてメンバーのマネジメントに携わる立場です。プロモーションやキャンペーンなど、単発案件を担当することが多いですね。
メンバーの個性、オタク愛を活かすことが成功の鍵
ー実績を拝見すると、話題化した案件が多々ありますね! 植竹さんのプロデュースワークについて聞きたいのですが、大切にしていることは?
ユニークな社員が多いカヤックだからこそ、メンバーそれぞれの個性を理解し活かすこと。向き不向きや、何に対して愛を注いでいるのかを見て、仕事と人をマッチさせます。特に、「一人ひとりがちゃんと面白く働けているか」を優先事項として意識しています。
ー個性を活かすと言われましたが、チームの特徴や強みはどんなところでしょうか。
現在のチームはカヤックの中ではダントツで女子の割合が高く、キャッチーなコピーとポップなデザインが得意です。また、オタク女子が多いので、オタク案件に強いチームです。
ー具体的にはどんなお仕事をされたのか教えてもらえますか。
例えば、カルビーの『じゃがりこメーカー』は、ポップなトンマナ案件の成功例のひとつ。オリジナルじゃがりこの画像をつくったりシェアしたりできるジェネレーターで、Twitter上で大きな話題を呼ぶことができました。
思わず遊びたくなる可愛いデザインとコピーライティングが得意なメンバーたちの力を、しっかりと活かせた仕事だと思います。
▲2021年のじゃがりこ発売26周年を記念し、「じゃがりこの日」10/23にリリースしたサービス
オリジナルデザインという点に、オタク心をくすぐられる人が少なからずいるんですよね。自分らしさを出すことはもちろん、推しをつくる文化が当然のように根づいている世の中。「自分らしいものをつくりたい」「推したい」という動機にちゃんと当てはまっているかを意識すると、結果がついてくることが多いと思います。遊んでもらって、さらにシェアしてもらえれば、あとはどんどん自走してくれますから。
ーなるほど! 他にはどんな案件がありますか。
オタク女子に大人気のIP『あんさんぶるスターズ!!』のプロモーションを、複数回手掛けています。2022年のハロウィンのプロモーションでは、一見普通のポスターに特殊印刷し、スマホのフラッシュで撮影するとキャラクターが浮かび上がるような仕掛けをつくりました。誰もが楽しめる体験を提供することで、『あんさんぶるスターズ!!』を知らない人たちにも面白がってもらえ、大きくバズらせることができました。
▲表参道駅のOOH広告はテレビでも紹介され、「一般の人も立ち止まって見てくれるのが嬉しい」とあんスタオタクたちからも喜ばれたという
オタク案件には特有の難しい部分があるんです。にわかファンの企画ではオタクの皆さんからすぐに見抜かれ、盛り上がりにくい。クリエイター側も本気のオタクであり、なおかつ愛を持って向き合っているからこそ、「何をすれば喜んでもらえるか」「何をすると嫌がられてしまうか」が分かるんです。
ー推し活をはじめ、オタク文化の理解に長けているチームだからこそできる快挙なんですね。
このチームは、オタクの皆さんと同じ目線で考えつつ、ファン以外の一般の人にも訴求できるようなコンテンツがつくれるところが強みです。
ー植竹さんの推しを扱った案件もあるんですか。
推しというか、お酒が大好きで、酒飲みの生態を暴く『酒飲み性格診断』というコンテンツをつくったことがあります。この案件では私自身の体験を活用し、クイズ作成やタイプ分けに一緒に取り組みました。
▲質問に答えると、性格診断とおすすめの酒を楽しく教えてくれる『酒飲み性格診断』。(オンライン酒屋KURAND(クランド)の2022春の酒ガチャまつりスペシャルコンテンツ、現在キャンペーンは終了)。
ー「甘えん坊将軍」「自分語り魔神」「ウルトラハッピー野郎」など、タイプ名もさすがのコピーセンスですね!
私のチームにはこういったコピーを生み出す天才もいるんです。酒飲みの皆さんに楽しんでもらえて、Twitterでも話題化することができました。
プロデューサーとしての課題とやりがいとは
ーカヤックに転職して4年経ちましたね。のびのび活躍されていますが、仕事の上で難しいと思う部分はありますか。
ものづくりは楽しいけれど、数字の管理が難しいです。プロデューサーあるあるですが、数字に悩まされない日は無い。
プロデューサーは世の流れも見据えながら、半年後、1年後まで考えて予算作りをしています。この見積もりをミスると皆が不幸になってしまうのですが、失敗したことも多々ありました......。
ー常に、数字とのシビアな戦いがあるんですね。どのように対応していますか。
まず、説得材料が十分に無い見積もりは伝わらないんですよね。自分の中でちゃんとしたロジックを持つことや、根拠となる実績がものを言うんです。
カヤックに対して愛をもって依頼してもらうという意味でも、自分たちしか出せないクオリティのアウトプットをつくり続けなくてはいけないし、そこに価値を付加し続けなければいけないと思っています。
予算を任されている以上、立場的にどうしても負荷がかかりますが、いちいち悩みすぎないようにしています。落ち込みすぎない、ネガティブになりすぎない、深刻になりすぎないことが大事。私は、お酒を飲んで寝たら大体のことは忘れられます、笑。
ーでは、働いていて「最高」だと感じる部分は?
いちばんプロデュースのしがいがあって面白いのが「人間」。私が関わることで、進化や開花していく様を間近で見ながら、「プロデュースするってこういうことなんだ」と実感できることが最高だと思いながら生きています。また、皆でつくったものが世に出ていい反応をもらえた時は、本当にやりがいを感じます。
ー最後に、植竹さんが考えるカヤックのプロデューサーとは何か教えてください。
チームのカラーをつくっていく人。カヤックのプロデューサーは裁量が広く、やりたいことを自由にできるので、どんな風にメンバーを活かすのかはプロデューサー次第なんです。論理的な意図とぶれない強い意志を持ち、メンバーが不安無く思いきり面白がれる環境をつくれる人でありたいと思っています。
(取材・文 二木薫)
カヤックサイト インタビューより引用- https://www.kayac.com/news/2023/02/interview_uetake
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