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クリーク・アンド・リバー社所属 注目の次世代アーティスト『VRアート』で世の中を変える!? せきぐちあいみさんインタビュー

“VR元年”とも言われた2016年。バーチャルリアリティ(VR)はゲームをはじめさまざまなジャンルで注目を集めています。そのなかで、いち早くVRを駆使してその楽しさを発信するのが、VRアーティストのせきぐちあいみさん。

VRアーティストとして作品を制作する過程の動画を配信したり、作品の公開や、LIVEパフォーマンスなどをおこなっています。2月には個展を開催し、VR第一人者として活動の幅を広げています。そんなせきぐちさんにVRの魅力と可能性についてお伺いしました。

クリエイターが発信するということ

私はVRアーティストとして制作動画をネット上に公開していますが、クリエイターは自分でどんどん発信した方がいいと思うんです。
YouTubeやTwitterに動画や漫画を投稿して、それが仕事になる人も多いです。

たとえその仕事がなくなったとしても、ちゃんと面白いものを発信し続けていれば、みんなが集まってきてくれるはず。
もしやってみて世の中に広まらなかったら、それは、みんなの関心を引けなかったんだということです。

発信する時のポイントは、完璧なものでなくてもいい、ということです。「作品を発表しよう」と思うと、完成したものを作って出さなきゃいけないと考える人もいると思います。私も、「本当はもうちょっと創り込めばもっと良い作品ができるな」と思いつつ、妥協することもあります。けれど、今、みんなが興味を持ってくれているタイミングに出す、ということが大事。私が「これボツだなぁ」と思っても、見た方は「面白い!」と言ってくれることもある。

もちろん「もっとこうだったらいいな」という感想をいただくこともあります。でも、どんな反応でも自分の勉強や成長につながるから、自分からどんどん発信した方がいい。つまらないなら「つまらない」とめちゃくちゃに言われたいです(笑)言われて折れるぐらいなら、もう止めた方がいい。

批判されたら傷つくから嫌だ……なんて思わないのは、きっと、自分に才能があるとは思っていないからかもしれません。お絵描きもゲームも好きですけど、ずばぬけて得意なわけじゃない、落書き程度です。芸術的な才能があるわけではないから、当然、私の作品を悪く言う人もいるでしょう。でも、予想していたより喜んでくれる人がいたら、すごく嬉しいんです。

やっぱり、人に楽しんでほしいんですよ。だからみんなのフィードバックを取り入れて次の作品を作りたい。発信したらすぐに反応が返ってくるのはモチベーションになります。VRアートという魅力的なものを知って欲しいし、たくさんの人に楽しんで欲しいし、一生やっていきたいから、できることは全てやってみたいんです。

VRって魔法みたい!

私は元々、すごく根暗でイジメられっ子だったんです。そんな中、たまたま舞台に出演してみたら、すごく感化されてしまって。「稽古をして作りあげたもので人が楽しんでくれるって、なんて幸せなんだ」と思いました。

それからアイドル活動などをしていて、2〜3年くらい前から、3Dペンの作品を発表するようになりました。絵を立体に描けることがすごく楽しかったんです。

その後、VRを体験させていただく機会があって、バーチャルリアリティの空間を自分で描けることにハマりました。3Dペンも楽しいけれど、それよりも壮大な空間が立体に描けて、まるで魔法をつかっているみたいなんです! 最初に書いたのは『東京タワー』だったかな。それから作ったものをTwitterやYouTubeに投稿していくうちに、いろんな所から問い合わせをいただくようになって、VRアーティストとして活動するようになりました。

今では日本で数少ないVRアーティストとしてお仕事もいただいていますし、作品制作に使っているGoogle『Tilt Brush』ソフトのサンプルとして、作品を入れていただいています。大好きなことでお仕事をいただけてありがたいです。本当に楽しくて、何時間でも描いていられるんですよ。

動画配信だけでなく、LIVEパフォーマンスもしています。絵を描いている様子を大きいスクリーンに映して、みんなで一緒にVRの可能性を感じてもらえればと思っています。そもそもVRって、ヘッドマウントディスプレイをすると、たった一人きり。一人の世界に浸るのもいいけれど、LIVEパフォーマンスはみんなで感動を共有できるという楽しみもありますね。

作品の題材については、どういう題材がVRアートになると面白いのかと、探っている途中でもあります。たとえば日本庭園であれば、もともと日本庭園自体が空間を大事にしているものなので、VRとも相性がいい。浮世絵などの日本画も、平面なのに立体感があるものなので、それを3Dにしたらどう見えるのかという面白さもある。今も、自分で描いていて発見する事ばかりです。

VRが変える、これからの世界

2016年は『VR元年』として、VRに注目が集まりました。テレビが誕生した時以来のイノベーション、と言われているようですけれど、本当にそうだと思います。

これから、ゲームやアダルトだけでなく、いろんなジャンルに広がっていくでしょう。たとえば、介護では寝たきりの方が旅行に行った感覚を味わえたり、リハビリでは歩くイメージが湧いたり、医療では手術のシミュレーションができたりする。不動産の内見で取り入れてる企業もあります。

私も、アートに限らずいろんなジャンルとコラボしてみたいですね。VRアートをきっかけにインスピレーションが湧いてまた全く別の物が立ち上がったりしたらいいな。

また、どんどん手に入りやすくもなっているのも魅力です。これまでは莫大なお金がかかっていたようなことが、そこそこの費用で実現できる可能性が詰まっています。

スカイダイビングやバンジーをしようと思ったら、体力もお金もすごく使っていたのに、VRで簡単に味わえる。恐怖も不安も興奮も感じるのに、絶対に死にません(笑)
しかもVRなら、たった一人でもその環境が作れるかもしれない。なるべく五感すべてをコラボして、これまで味わったことのない特別な経験をいっぱいしてもらえるといいなと思います。

さらに、私が描いた世界に別の人が絵を付け足すこともできるなと思っています。
ベースの世界観だけ作って、そこに誰もが自由に足していく。子どもはきっと楽しんでくれるでしょうね! 絵が得意か不得意かなんて重要ではありません。そもそも立体に絵を描くという感覚がなかったことなので、絵は苦手だったけれど、VRアートならスラスラ描けるということも十分にありますよ。

個展のこころみ

2月11~13日に初の個展を開催しました。


個展では、アートの世界に入ってみるという今までにない感覚を体験して欲しいと、いくつかの企画を用意しました。たとえば、波の絵の中に入ると頭上に金魚がいたり、ただの空間に窓があってその向こうに庭があったり、板が橋のように暗闇に浮かんでいて周囲には火の玉が浮いていたり、海に浮かんだ窓の向こうには木が生えていたり……そんな有りえない空間が作れるのが、VRの魅力です。そこに足の床の感覚を変えたりと工夫を加えることで、その世界に入り込んで欲しいですね。

創り手の私としても、自分の描いた世界に人が入ってくれることはすごく楽しいです。これまでにない新感覚を自分の作品で得ていただけることは、とても素敵なこと。私の活動が、いろんな人がVRに興味を持ったり、楽しんでもらえるきっかけになれば嬉しいです。
YouTubeなどでは、「すごい!」と楽しんでもらえるけれど、やっぱりVRの中に入って実感して欲しいんです。今回は東京だけですけれど、もっと全国でも海外でも個展をして、多くの方に見ていただきたいですね。

これは私の夢なんですが、できれば、VRを体験できる場所が常設で作れたらいいな。VRを使えば、ただの部屋がテーマパークのような楽しい空間になるはずなんです。この場所に来れば新しい世界に行けるという場所が作れたらいいですね。

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