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医療ベンチャーから一度降りることを決めた私がMediiに入った理由

医学部に入学し医師になるビジョンが見えず閉塞感を感じていた佐藤さん。視野を広げるため飛び出した医療ベンチャー、その後のチャレンジや臨床実習からの気づき、葛藤、苦しみを乗り越え、見えたものとは?医学部入学からMediiに参画するまでのストーリーをご紹介します。

※noteからの転載記事です。(note

こんにちは!Mediiでインターンをしております、千葉大学医学部の佐藤蘭子と申します。「医学生なのに何でインターンやってるの?」と聞かれることが多いので、私がインターンを始めた経緯についてお話しさせていただきます。

医療ベンチャーに関心を持ったきっかけ

閉塞感に苦しみ医療ベンチャーに飛び出してみた

特別な目的もなく、何となく医学部に入ってから、ひたすら閉塞感・停滞感に苦しみました。モチベーションは地の底まで落ち、何もやる気が起きず、2年生の時に倫理学の修了証のコピーを期日に出し忘れて留年しました。当時から医師になるビジョンは見えず、次第に「医師という仕事が合わないかもしれない」とすら思うようになりました。そのような気持ちを抱えながらも、「医学部に入って医療と全く関係のない仕事につくイメージも湧かない」という葛藤の中にいました。

とりあえず留年していた1年間はスケジュールに余裕があったので、オンライン診療サービスを扱う医療系ベンチャーでインターンをすることにしました。友人の多くがインターンをやっており、また、医学部の狭いコミュニティの閉塞感や学生という立場ではあまり社会の役に立てないという停滞感もあったので、自分も少し外の世界を見てみたい、という小さな期待がきっかけでした。

そこでサービスについて患者さんにたくさん伺いながら、様々なことを学ばせていただきました。社会人としての常識、チームで議論して考えることの楽しさ、誰かのアイデア一つがそれまでの常識をガラッと変えること、そしてそれにより影響を与え、助けられる患者さんの規模が大きく変わること。そこで学んだことを活かし、今度は自分で0から何かを生み出してみたいと思い、「慶應義塾大学医学部健康医療ベンチャー大賞」への応募を決めました。

ビジネスを考えて初めて知る収益化の難しさ

コンテストに向け、アイデアを出す立場になって初めて収益化の難しさに直面しました。「より多くの人を救いたい」「それを必要とするより多くの人に最適な医療を届けたい」というモチベーションでやっているはずなのに、ビジネスとして回せないと持続的に事業を行うことができないので、収益化の仕組みをきっちりと詰めて考えなければならない。しかし、経済面を重視しすぎてしまうと本来の目的を見失い、患者さんの幸せに繋がらなくなってしまうという難しさやコンフリクトを強く感じました。

他の企業を参考にしようと思い、様々な企業の収益化の仕組みを拝見しました。しかし、私目線では腑に落ちないものが多く、さらに苦しみました。コンテストでは決勝まで進むことができましたが、結局筋の通った収益化の方法を思いつかないまま、慶應医学部の偉大な教授やその他審査員の方々に、「で、このビジネスに誰がお金を払ってくれるの?笑」と言われ、第3位入賞で終わりました。


参加した「慶應義塾大学医学部 第5回健康医療ベンチャー大賞 決勝大会」のレポート記事
https://www.med.keio.ac.jp/news/2021/1/6/5-77296/index.html

理想の医療を考える中で、それを収益化と上手く結びつけるのは無理かもしれないと精神的に辛くなってしまった。自分の考えが机上の空論であり理想論であったと痛いほど思い知らされた。また、現場とは言えないまでも一旦臨床実習に出てから自分が今後どうしたいか考えてみよう。こうした思いから、当時やっていたインターンを辞めて、もはや完全に医療ベンチャーと関わることも辞めてしまおうと思い身を引きました。

希少疾患の課題を医療現場で目の当たりに

学生生活を過ごすうちに、すっかり臨床実習が始まり、多くの素敵な臨床医の方々と出会うことで私もこのようになりたいという気持ちが芽生えました。そんな中で、医師でも経験する機会がほとんどない希少疾患をかかえた患者さんが受診された時に、あまりにも珍しい病気のためカンファレンスで経験豊富な医師達ですら詳しい知識を持ち合わせていないという場面に何度か遭遇することがありました。そして、そういった患者さんに対する解像度が低い気がしてしまいそれが腑に落ちないと感じるところがありました。しかし、当時の自分の常識を考えると、院内で診療科内外でコンサルがしっかりなされており、かつ大規模で優秀な先生方がたくさんいらっしゃるところでわからないのならそういうことかと納得することにしていました。

そんな中、FacebookでMedii代表の山田さんの投稿を拝見しました。山田さんは、社会人枠として同じ年の慶應のコンテストに出場されており、自分が興味を持ち始めた医療の課題に挑み続けているMediiを見て、以前医療ベンチャーに関わっていたときに学んだ、「誰かのアイデアひとつで常識だと思っていたことがガラッと変わるという喜び」を思い出しました。しかし同時に、収益化の難しさや医療ベンチャーのビジネス的な側面に悩み・苦しみを感じたことも思い出しました。

「素敵なことをやっていても結局ビジネスに寄っているのかもしれない」

というひねくれた気持ちもあったので、Mediiがどのように収益を上げているのか非常に気になり、自分で調べてみましたが完全には把握できず、「思い立ったらすぐ行動」という精神のもと、山田さんにFacebookでメッセージを突然送りつけました。山田さんは快く受け入れてくださり、すぐにオンラインでお話しさせていただくことになりました。そこでMediiのビジネスモデルの仕組みを伺うことができ、2つの点で強く心を打たれました。

社会貢献性と収益性のバランスの良さ

△Medii Infinite Loop

1つ目は先ほど申し上げた「社会貢献性」であり、2つ目は何といっても「収益性」です。

Mediiは、医師同士を繋げることで専門的な医療知見の共有を進め、未診断、革新的な新薬が届かない患者を0にすることを目指し取り組んでいます。医師でも診断が困難だったり、治療方針や薬剤の使い方に悩むことがあり、その課題は専門性が高ければ高いほど大きく、特に“希少疾患”と呼ばれる領域においては非常に顕著です。中には全国でその疾患に詳しいと言われる専門医が数名しか居ないような領域も存在しています。そこには、疾患に気付かず見過ごされてしまっていたり、新たな治療法や薬剤が出てきているにもかかわらず、それが知られていないために治療が最適化されていなかったりするケースが数多く存在します。

Mediiの医師専用オンライン専門医相談サービス「E-コンサル」は、完全無料で医師に提供しています。主治医が悩ましい症例に出会った際に、高度な知見を持つエキスパート専門医に相談することで、これらの症例をきちんと診断し、新薬を最も必要としている患者さんのもとに届けられれば、新薬は元々高額ですからスペシャリティ領域における大きな市場を形成することができます。

E-コンサルを通じてこれまで診断がつかずに苦しんでいた患者さんが、一人ひとり納得のいく医療を受けられるようになるだけではなく、適切な診断や治療を行った医師たちの幸せ、一生懸命開発した自社の薬が必要とされる患者さんに届けられる製薬会社さんの幸せ、そしてサービスを作り提供しているMediiの幸せの全てがリンクしていることに非常に感銘を受けました。

社会貢献性と事業性の両立は、私がビジネスコンテストに出たときに一番悩んだ課題であり、これを実現できる可能性があるということに大きな喜びを感じました。できなくて苦しかったことがやっとできるかもしれないという強い希望が湧き上がりました。また、Mediiと出会う以前は、医学面・ビジネス面で自分が何をしたいかはっきり分かっていない状態でしたが、自分は何が得意で、どのような形で周りの方々の役に立てるのか、自分が何をしたいのか、様々な経験を通して徐々に分かってきたような気がして、Mediiへの参画を決意しました。

Mediiで挑戦したいこと

周囲の期待に流され続けた私がようやく主体性を持ち、社会にどのような価値を提供したいかを明確に理解し、そこに向かって努力し始めることができました。

ビジコンに参加していた頃に夢見ていた「社会貢献性と事業性の両立」を実現し、全ての人を幸せにできると強く信じられるサービスに出会えたことを大切にし、Mediiの役に立てるようにいち早く自走したいです。型にはまらないアイデアを出し、深掘りし、展開する楽しさを思い出させてくださったMediiで、自分から積極的に面白い企画を提案し、ひたすら動き、運営していこうと思います。

病院や企業のみならず、できるだけ多くの視点から、自分が患者さんに届けるべき適切な医療を見つけ、臨床医になったときに実践していきたいです。

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