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■普段はどのようなお仕事をなさっていますか?
役職は執行役員・CQO(最高品質責任者)として、包括的なパートナー支援をはじめ、就労・児童部門の支援プログラムの作成や初期認定研修等の監修、ケース会議の実施等にあたっています。あとは教育関係者や保護者を対象とした講演会の実施や、外部(神戸大等)との共同研究にも携わっていますね。
そして、昨年の10月からは独立支援制度を活用してハッピーテラス川越教室のパートナーの1人としても活動しています。
■どのようなお子さん・学生さんでしたか?
嫌な学生だったと思います(笑)。先生をからかうのが好きでした。
意味のない常識が嫌いで、例えば「シャーペン使用禁止」という小学校のルールに対して、鉛筆に色紙とかを巻いてシャーペンに見えるように偽装して、「残念でした、これは鉛筆でした」みたいな(笑)。あからさまに反発するんじゃなくて、とんちをきかせて、相手が思わず笑っちゃうようないたずらで返していました。リーダーを率先して引き受けたり、勉強を頑張ったりして、ある程度の成果を出すことを意識しながら、間違っていることは間違っているとわかってもらえるように動いていました。
■子供時代の経験で今に繋がっているものはありますか?
いろんないい先生に出会ってきましたが、特に印象に残っている先生が二人います。小学校の5-6年の時の担任の先生が、実験的な授業をたくさんやってくれる先生だったんですよ。「みんなで大仏作ろう」「砂鉄から鉄を作ろう」とか、子供たちがワクワクするような取り組みをたくさんやってくれました。また、高校の漢文の先生が本業で詩人をしている方で、授業中にひたすらおやじギャグを言い続けたり、テストでは「この状況を漫画で表せ」みたいな面白い問題を出してくれて、そこから苦手だった漢文の成績がめちゃくちゃ上がりました。ハッピーテラスでは「子供たちが楽しめるトレーニングをすることが大切だ」という考え方で、僕もそれに強く共感しているのですが、それはこの先生方の影響が大きいなと思います。「楽しい」ということが、どれほど子供の意欲に影響を与えるかを実感しました。
■デコボコベースへの入社の経緯を教えてください?
もともと30歳くらいまで研究者を目指して大学に残っていたのですが、教育学の研究の世界が肌に合わなかったんですね。専門としては、弊社の事業のように「学校以外で教育をする」という「社会教育」という分野が専門でしたので、「普通の学校の先生になるのは何か違うな」と思い、通信制の学校の先生になりました。そこで3年くらい勤めた中で、発達障害の傾向を持っている子が非常に多いことを実感し、そういった子供たちへの支援に携わりたいと思うようになりました。その後、知的・発達障害の子供たち専門の塾に入り、個別指導や教材作成をしていたのですが、スパルタだったので性に合わず(笑)。そんな時にハッピーテラス株式会社のことを知り、教材作成のスキルを買われて入社しました。
■教材作成で気を付けていることはなんですか?
教材に関しては、「自分が作っていて楽しくないものは、子供も楽しくない」と思っているので、「どうやったらウケるかな、楽しいかな」と思いながら作っていますね。「これはウケるだろう!」と思ったけど、意外とウケない、ってことはしょっちゅうなんです(笑)
■入社後、印象に残ったことを教えてください
子供への対応の失敗ですね。与野教室にいたときに、教室に入れない子がいたんですよ。支援員の中では「教室に入れるようにすること」が目標だったんですね。僕の判断としては、「教室に入らせるのはまだ早い」と思ったんですが、「入るための支援をすべきだ」と強く主張された支援員がいて、「それをやったらどうなるか見てなさい」と思って、その方向性で支援してしまったんです。その結果、その子は大パニックを起こしてしまい、僕を見ると教室から脱兎のごとく逃げるようになってしまったんですね。そのことについては死ぬほど反省していて、「人にわからせるために、自分が良くないと思っている支援をする」ということは絶対にしてはならないと痛感しました。
まだ本人の準備ができていないのに、こちらの目標ありきで支援を進めてしまった。支援の世界で、研究蓄積から「こういうことはやらない方がいい」と言われているものは、何らかの根拠があってそう言われていると思うんですね。それに反して、自分の経験則や考えのような、「自分の支援哲学」だけに則って支援をすると、場合によっては年単位の支援のロスを招く。それはすごく大切な教訓だったと思っています。
■北川さんにとっての人生の豊かさとは?
「人生の豊かさ」は「深さ」だと思っています。例えば、世界一周したことがあるからといって、「人生が豊かか」というと、僕はそういうタイプではない。身近なもの、例えば家の庭にどんな植物が生えているのかとか、その地中にはどんな虫や動物がいるのかとか。深く深く掘り下げることに喜びを感じます。僕にとっての「人生の豊かさ」は、時間やお金や家族ではなくて、「どれだけ深くこの世界の一部分を知ることができるか」ということだと思います。
今は人間の心理に興味があります。特に、発達障害界隈の人とそうではない人が理解し合えるための教育の仕組みをつくること。発達障害当事者の方の世界の見え方は、そうではない人のそれとは違う。それを理解することは、自分にとって「世界の違う見方を持つ」ことと同義だと思うんです。「利用者さんの世界の見え方を理解すると、あなたの人生が豊かになる」ということを支援をしている人達に伝えたいですね。
■その豊かさを実践するために、どんな工夫(Tips)をしていますか?
「常識を疑い続ける」こと、「自分が正しい」となるべく思わないことですね。自分の意見や感情、常識や思考を切り離すように心がけています。統計学的な事実(エビデンス)と自分の主義主張をわけて考えるということが大事だと考えています。
■いま考えていることや、これから先やりたいことはどのようなものですか?
せっかく支援の責任者的立場の私が川越教室のオーナーになったので、支援の質と経営を両立した教室をつくりたいですね。将来的にはもう1つパートナーとして加盟をして、川越という場所で児童発達支援をひらいて、子どもたちに切れ目のない支援を提供して良ければと思っています。
スタッフの皆さんは、いま全力で目の前の利用者さんの支援に集中してくれていると思うんですけど、「質の高い支援を広げていきたい」という気持ちは常に持っていてもらいたいなと思います。それって結構大きな視野の転換なので、想像できないよ・・・という人もいるかもしれません。でも【凸凹が活きる社会創り】に責任をもって取り組むメンバーが増えていくと、社会はより面白くなっていくと感じています。
ちなみに最終的には廃品回収業をやりたいと思っています(笑)。
僕、ものすごい才能を発揮すると思うんですよね。趣味がリサイクルショップ巡りで、価値がありそうなものを発掘するのが大好きなので、それもおいおい実現していきたいと思います。