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Wantedly執筆部が技術書典に参加・頒布するためにやっていること

この記事は、Wantedly Advent Calendar 2023 8 日目の記事です。
昨日は、森本さんによる「計画資料をつくるときに意識していること」でした。

サークル「Wantedly執筆部」編集長の @fohte です。

先日開催された 技術書典15 にて『WANTEDLY TECH BOOK 13』を頒布しました。ご来場いただいた皆さま、また手にお取りいただいた皆さま、ありがとうございました!

技術書典15で『WANTEDLY TECH BOOK 13』を頒布します! | Wantedly Engineer Blog
サークル「Wantedly執筆部」編集長の @fohte です。前回の技術書典14に引き続き、サークル「Wantedly執筆部」では、2023 年 11 月 11 日 (土) 〜 2023 年 ...
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/869733

個人的に、本を一から作り皆さんの手に直接お渡しするという経験は初めてでした。
完成された本が会場に届き、それを実際に頒布できるのは感動もひとしおです。
ブログや登壇による発信も良い体験が得られますが、物理本を手渡しするという体験は他では得られない達成感がありました。

この記事では、今回の技術書典15 への参加経験をもとに、本を作るためにやっていたことについて紹介できればと思います。

Wantedly執筆部の結成

「Wantedly執筆部」は、ウォンテッドリーの有志が集まって結成したサークルです。

技術書典の初回に結成され、そこから 6 年間、欠かすことなく技術書典へと参加しています。

サークルは、編集部の「編集長」「副編集長」「会計」と「執筆者複数人」から構成されており、毎回その時々によってメンバーは変わっています。
筆者は、前回は執筆者として参加し、今回の技術書典にて初めて編集長を担当しました。

各メンバーは以下のようなことを担当しています。

  • 編集長: 技術書典への活動の取りまとめ・編集全般に責務を負う
  • 副編集長: 編集長がやりきれないタスクを補佐する
  • 会計: TECH BOOK 制作費・技術書典参加の際の収支管理を行う
  • 執筆者: 記事を執筆する

ちなみに、今回筆者が編集長を担当にすることとなったのは、一度でも本を作って技術書典に出たいという強い思いがあったためです。
前回の TECH BOOK での執筆経験を通じて技術書を作る楽しみを知れ、その思いが強まっていました。
今回編集長として活動ができ、非常に良い経験ができました。

執筆プロジェクトの流れ

今回の TECH BOOK は、以下のような流れで作成していました。

  • 2023/9/6 編集長に任命され、動き始める
  • 2023/9/22 当落発表が出る (当選)
  • 2023/9/27 執筆者を募集
  • 2023/10/20 初稿が出揃う
  • 2023/10/26 決定稿が出揃う
    • 初稿が出揃ってからここまでの間に、編集長・副編集長で、誤字脱字チェック等のレビューをしたり、ページ数の調整をしたりと、最終調整をします
  • 2023/10/27 印刷依頼
  • 2023/11/12 オフラインイベント当日

執筆から編集まで

今回は社内 Slack で執筆者を募ったり、こちらから記事書いてみませんかとお声がけをしたりして、最終的に 11 名もの方にご協力いただけました。

執筆作業は仕事の合間を縫ってそれなりの文量を書く必要があり、かなり大変な作業です。それにもかかわらず、快く引き受けていただけてとても感謝しています。頭が上がりません。

さて、執筆者を募ったあとは記事を執筆していく必要があります。

記事が出揃うまで

WANTEDLY TECH BOOK では、業務で培った知見や、はたまた業務外での知見など、技術に関連していればなんでも OK として、各自が自由に執筆しています。

そのため、編集部では執筆者は募るものの、執筆のテーマや内容へは基本的に口出ししません。

自由に執筆していただき、印刷前に軽く誤字脱字や違和感のある表現の確認および修正などを行っています。

執筆は印刷所の入稿締め切りの一週間ほど前を期日として設定し、あとは期日まで Slack で「進捗どうですか」と激励することが編集部の主な仕事になります。
今回は「原稿を出すまで leave してはいけない Slack チャンネル」を用意して、そこで激励の言葉を投げかけていました。

余談ですが、専用の Slack チャンネルを用意したことで、執筆者や編集部でのやり取りがスムーズになり、捗りました。
また、GitHub と連携して Pull Request の状況をチャンネルに通知しておくようにしたことで、全員が全員の進捗状況を確認でき、執筆のモチベーションアップに貢献できたのかなと考えています。

執筆基盤

Wantedly執筆部では技術書典への参加経験が長いため、執筆基盤が整えられています。

まず、組版には Re:VIEW という技術書のための電子・紙書籍制作ツールを使用しています。

記事は Markdown で書き、markdown2review というツールを通して Re:VIEW 形式に変換し、Re:VIEW に組版してもらい ePUB と PDF フォーマットで生成する、という流れになっています。

以前は直接 Re:VIEW 記法で執筆していましたが、Markdown のほうが慣れ親しんでいるということで、現在は Markdown 記法で執筆されたものを Re:VIEW 記法に変換する仕組みになっています。

Re:VIEW を使うと、特に深く考えなくても、目次が生成されたり、技術書として見栄えのよいレイアウトで本を生成できる点が嬉しいところです。

レイアウトの雰囲気 (WANTEDLY TECH BOOK 13 から抜粋):

表紙デザイン

本には表紙が必要です。Wantedly執筆部では、毎回デザイナーの方に編集部からテーマをお伝えし、表紙を作成していただいています。
今回も、カバー画像にもある、洗練されたデザインの表紙が出来上がりました。

印刷の準備

ここまでで各章や表紙が出来上がりました。

Re:VIEW では PDF および ePUB として出力しているため、電子書籍として出版するのであれば、ここまでで完了です。
しかし、オフラインイベントで物理本を頒布したいとなると、印刷会社に印刷・製本をお願いする必要があります。

今回の技術書典では、技術書典のバックアップ印刷所のひとつでもある、日光企画様にご依頼させていただきました。

印刷は以下で依頼しています。

  • 本のトジ方向: 左
  • 本のトジ種類: 平綴じ (無線綴じ)
  • 表紙用紙: NP ホワイト 200 kg マット
  • 表紙の印刷種類: 通常 4 色マット PP
  • 本文用紙: 上質 90 kg
  • 本文の印刷種類: データ 150 線印刷
  • 遊び紙: なし

個人的に、表紙をマット加工すると触り心地が良くて好みです。また本文用紙は上質 90 kg にすると、程よい硬さの紙になり、少しだけ高級感が生まれます。

オフラインイベント当日

一ヶ月以上かけて物理本を完成させ、ついにオフラインイベント当日です。

今回の技術書典では、11:00-17:00 で開催されています。
10:00 には編集部で現地に集合し、サークルで用意しているテーブルクロスや見本誌を立てかけておくブックスタンド等の什器を準備します。
なお、日光企画様の場合、印刷した物理本はオフライン会場まで直送いただけ、サークルスペースまで届けていただけます。持参物を減らせるため、感謝の気持ちでいっぱいです。

11:00 になると来場が始まります。人が絶えず行き交うため、想像以上に大変です。

今回参加し、頒布する上での tips をいくつか得たので共有します。

  • 見本誌を複数冊用意しておくと良い
    • 我々のサークルでは、今回見本誌は 8 冊ほど用意していました
    • 見本誌を用意しておくと、本を買うハードルが下がる点がメリットです
    • (見本誌は、技術書典終了後に執筆者の皆さんにお配りしました)
  • 売り子は適宜交代して休憩を取ったほうが良い
    • 休憩がないと、昼食のタイミングがなかったり、自分が他サークルに本を買いに行けなくなります
    • 可能であれば複数人で参加して、適宜休憩を取れるようにしたほうが良いと感じました

最後に

Wantedly執筆部の活動として、技術書典に参加するための、執筆から印刷、そしてオフライン参加までを紹介しました。

特に、技術書典への参加を考えている方々にとって何か新しい知見を提供できれば幸いです。

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