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BI Squadの2023年と2024年に向けて

Photo by Amanda Jones on Unsplash

この記事はWantedly Advent Calendar 2023の6日目の記事です。

こんにちは。ウォンテッドリーの角川(@nogawanogawa)です。この記事では、これまであまり情報が表に出ることがなかったBI Squadの取り組みについて、2023年の振り返りとこれから取り組もうと考えていることについて紹介しようと思います。

BI Squadの紹介

ウォンテッドリーの開発組織は開発組織の説明資料にある通り​Squad体制を採用しています。

ウォンテッドリーの開発組織であるDev Branchには、プロダクト特定の機能に関する改善を行うSquadと特定のプロダクトに縛られず横断的な開発を行う基盤Squadがあります。BI Squadはこの基盤Squadにあたり、社内のデータ利活用やその環境整備に責任を持つ組織です。

BI Squadは大まかに下記2つの役割のために業務を行っています。

  • 社内の誰もが不自由なくデータを活用する環境を作る
  • 客観的データによって意思決定を支援する

社内の誰もが不自由なくデータ活用できる環境を作る

現在、Wantedlyは380万人以上の登録ユーザー、3.9万社以上の登録企業が利用するプラットフォームとなっており、膨大な量のサービスに関するデータが蓄積されています。こうして日々蓄積されているデータは、エンジニアを始めプロダクトマネージャーや営業組織に至るまで、様々な領域で活用されています。しかし、すべての社員がSQL等を駆使して必要な情報を取得できるほど習熟しているわけではありません。

個別に知りたい情報を利用者に代わってエンジニアが取得してもいいでしょうが、データの利活用が社内で進めば進むほどこのやり方は難しくなっていきます。そのため、データ環境を整備し社員一人ひとりが必要なデータを自分自身で取得できるような環境を整備することが必要になってきます。BI Squadの役割の一つは、社内の誰もが不自由なくデータを活用できる環境を整備することで、社内のデータの民主化を進めていくことです。

現在、ウォンテッドリーでの分析の中心にあるデータ基盤は、データウェアハウスとしてBigQuery、ELTツールとしてdbt (+ 一部独自に実装した変換処理)、BIツールとしてLookerを使用しています。

BI Squadでは、社内全体でデータを効果的に利用できるよう分析しやすい形に整備されたデータマートやLooker環境の整備を進めています。更に、新たな集計要件が発生した際には要件を踏まえたデータマートの拡充を行っています。

客観的データによって意思決定を支援する

先に紹介したようなデータの民主化への取り組みは着実に進んでおり、単純なデータ取得であれば社員誰もが行うことができるようになりつつあります。しかし、データ利活用のユースケースは必ずしも単純な集計ばかりではなく、時にはデータから何らかの傾向や示唆を見出し意思決定を行うことが必要になります。

こうしたデータに基づいた何らかの示唆出しは、プロダクト開発やビジネス上重要な意思決定のためであることが多く、避けて通ることが難しくなってきます。一方で、こうした場合では指標の策定から分析内容の設計など、データ分析に関する専門知識が必要になってきてしまいます。

BI Squadでは、こうしたデータ分析の専門知識を駆使したデータ分析・意思決定支援によってビジネス上の複雑な課題を解決する役割も担っています。

2023年の振り返り

2023年の1年間を通じてBI Squadではさまざまなことに取り組んできました。ここでは、BI Squadの取り組んできたことの一部について紹介したいと思います。

プロダクトのデータ整備・取得を通じたビジネスチーム支援

ビジネスチームは日々お客様への提案・サポートを行っており、その過程でプロダクトのデータを活用することが多くあります。ウォンテッドリーのビジネスチームでは、BI Squadが整備するLookerが一部活用されています。すでにLookerダッシュボードが用意され幅広い用途でデータを確認できるようになっており、データが必要になった人が手軽に調べられる環境が整備されつつあります。

ただし、未だすべてのケースを対応できるわけではなく時には既存のLooker環境では取得できないデータを求められることもあります。こうしたイレギュラーな集計のケースに、BI Squadではアドホックに調査を行うことで対応してきました。

マーケティング施策の分析

2023年、ウォンテッドリーでは多くのマーケティング施策を行ってきました。数あるマーケティング活動の中でも、アンケートやユーザーインタビュー活動はサービスを利用するユーザー理解のために大きな役割を果たしています。

こうしたマーケティング施策をマーケティングチームと共同で、アンケート設計やその分析を行ってきました。単にアンケート結果をまとめるにとどまらず、アンケートの結果から非常に多くの発見があり、価値のあるアンケート施策になったと感じています。(詳しくは書けませんが本当に色々やっていて、たくさんのインサイトが得られました)

Wantedly VisitのLookerでのアドホック分析環境の整備

開発組織やビジネスチームで幅広くプロダクトのデータが利用されるようになってきた一方で、まだまだSQLを用いた集計が必要なケースが多いという課題が残っています。理想を言えば、社員誰もが知りたいデータを自身で簡単に取得することが最も効率よく業務を進めることが出来るはずです。そのため、BI Squadではエンジニア・非エンジニア問わず簡単かつ正確に必要なデータを集計できる環境構築を進めてきました。

特に、Wantedly Visitのサービスに関しては多くの関係者が似たような指標を少しずつ違ったセグメントで分けて集計するケースが非常に多くなっていました。こうした、個別のセグメントや指標を整備して提供することでこれまで直接SQLを記述してBigQueryからデータを取得していたところを、Lookerで簡単・正確に集計出来るように環境整備を進めています。

Wantedly Perkの分析環境の整備

福利厚生サービスであるWantedly Perkの開発チームでは、これまでも一部のプロダクトKPIについてLookerを活用してモニタリングしていました。しかし、開発が進むに連れて既存のLookerダッシュボードに用意できていない未整備の指標が発生しており、こうした未整備の指標についてはBigQueryからSQLを使って直接データを取得することで対応していました。

2023年はPerk開発チームと共同でPerkに関するBI環境を整備を進め、これまで不足していたプロダクト指標を含め、KPIモニタリング用のダッシュボード環境を整備しました。

これからやりたいと考えていること

最後に、これからBI Squadとして進めていきたいと考えていることについて紹介したいと思います。

プロダクトの成長に伴ったデータマートの拡充

現状を言えば、データの蓄積とプロダクトに関する基本的な指標をLookerを通じて誰でも自由に分析を行うことができる環境は作ることができました。一方で、まだまだデータの利用者から「〇〇の指標を調べたいけどどうやって確認したら良いかわからない」「こんな分析がしたいけどどうやってデータを得たら良いかわからない」という問い合わせは絶えず、多少込み入った集計にLookerで対応できるほど整備しきれているわけではありません。

また、プロダクトの成長に伴ってプロダクト開発では常に違った観点での集計・分析ニーズが発生します。こうした新しい切り口での分析を簡単に行うことができれば、開発やビジネスにおける意思決定支援や生産性向上につながると考えています。

そのため、現在不足していたり今後のプロダクト改善で発生するであろうデータ集計・分析のニーズに応えられるよう、データマート・Looker環境を整備を進めていきたいと考えています。

正確なデータ分析を簡単に行える環境整備

現状ではLookerで対応しきれていない分析ニーズが発生している以上、アドホックなSQLやスプレッドシートを用いた分析がどうしても発生しています。こういった方法は柔軟に集計・分析を行う事ができる反面、集計ミスを誘発したり集計・分析を再現できなくなる恐れがあるのも事実です。

現在整備されているLooker環境では集計できない(もしくは難しすぎる)状況が残っていると、手動で分析をせざるを得なくなり、巡り巡って意思決定等のミスを誘発しかねません。逆に、誰が集計・分析を担当しても簡単かつミスなく結果を取得でき、だれしもが結果を再現できるデータ分析環境であることは意思決定の間違いを回避することにつながると考えています。

そのため、「手動で集計するよりLookerで集計・分析したほうが正確で早い」と誰しもが思える環境整備を進めることで、データを用いた社内のあらゆる意志決定をスムーズかつ正確に行うことができるようにしていきたいと考えています。

以上、BI Squadの1年を簡単に振り返りと来年以降の意気込みについてご紹介しました。社内のデータ整備・分析を進めることで、全社的に効果的データ活用・明確な意志決定ができるようこれからも頑張ろうと思います。

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