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アートと関わり続けたい。絵描きであり、アートディレクターであること〜現場クリエイターのシゴト術 #2〜

ミクシィにはデザイナーやディレクターをはじめ、様々なクリエイターが所属しています。「現場クリエイターのシゴト術」では、事業会社のインハウスでクリエイターを務め、現場で奔走するメンバーに話を聞くシリーズ。第2回目は、『モンスターストライク(以下モンスト)』のキャラクターを制作するアートチームから、キャラクターのデザインを担当する駒崎に話を聞きました。
*ご本人の意向により、顔をスタンプで隠しています

手掛けたイラストをリリースまで見届けたくて開発会社へ

──まずは駒崎さんのこれまでのキャリアを聞かせてください。

僕はデザイナーとしては少し特殊なキャリアを歩んできてるんですよ。

──特殊なキャリアですか…?

デザインの専門学校を卒業後、本当はゲーム会社に就職したかったんですが、就職先が見つからず、別の仕事をしながら水彩画などアナログのイラストを描いていました。でも、絵だけでは全然食べていけるような稼ぎにはならなくて、30代も近くなり、「絵なんて諦めないと…」と思っていたところにソーシャルゲーム(以下、ソシャゲ)のバブルが到来。当時、SNSではソシャゲのデザイナーの報酬が安すぎるという話も見かけたりしたのですが、実際に価格を見てみると、アナログで描いていた僕からすれば「全然割がいいじゃん!」と思えました。

──美術業界とイラスト業界でお金の周り方が違ったんですね。

美術作品だと、作品を気に入った人がいれば、高額で買ってもらえますが、売れなければ一銭にもならない。一方で、ゲームのイラストは商業用の“商品”なので、需要の数と幅が広いので、位置付けが全く違うんです。それでも「絵を描いてお金をもらえるなら…」と思い、フリーランスとしてお仕事をいただけるように、クラウドソーシングサイトに登録しました。これが僕のデザイナーとしてのキャリアの始まりです。最初は単価発注で1点数千円で仕事を受けていて、1カ月分の報酬は10万円ほど。もちろんそれだけでは生活はできない額ですが、当時は「絵を描くことでこんなに稼げるなんて!」と嬉しく思っていました。

──絵を描くことが本当に好きなんですね。フリーランスとしての活動はどのくらい続けられたのでしょうか。

1年ほど続けていたのですが、その頃に、イラストの制作会社から「うちに来ませんか」と声をかけていただき、入社が決まりました。当時はソシャゲ業界自体が上り調子。イラストの需要も高まり、制作会社が乱立しているような状況でした。

──制作会社に入社されてからは、いかがでしたか。

制作会社では、今と同じようにディレクターをしていました。制作自体はクラウドクリエイターに発注し、上がって来たクリエイティブをチェックして、それがクライアントから求められているものに達しているかを判断します。達していない場合、作家へのフィードバックや自身でブラッシュアップを行います。つまり、ディレクターを通すことによって、クリエイティブの商品としての完成度を高めていく、という役割ですね。なので、イラスト専門の制作会社に入社しましたが、そこで実際に絵を描いた経験はそこまで多くはないんです。

──つまりディレクターになって、絵から離れてしまったということですか。

絵から離れたとは全く思っていませんよ!絵を描くことに加えて、ディレクターとしてのスキルがあれば、描き手としての場合だけよりも担える案件の幅は多くなりますし、そうなれば将来的にも絵と関われるチャンスは広がりますから。自分のキャリアの不安要素を消していくためには、ディレクターになるという選択肢はネガティブなものばかりではありませんでした。

──ディレクターとして働いている中で、何か転機になったことはありましたか。

実は前職に入社して半年くらい経ったころに、モンストの仕事が来たんです! 社内でも「どえらい案件が来たぞ!」と話題になっていました。

──「どえらい」とは、どういうことですか(笑)。

モンストはあれよあれよと言う間に、トップセールスになりましたからね。でもその分、要求値も高くて何人かのディレクターを経由した結果、回り回っていよいよ僕が担当する番になりました。大変なことは知っていたので、上司に「本当にやらないとダメですか」なんて聞いたことも覚えています(笑)。当時のミクシィのディレクターさん達に色々ご迷惑おかけしながらも、慣れてくるとディレクションも板に付いてきて、結局4年近くもの間モンストの制作に携わりました。

──4年近くもですか! その間にキャリアについて考えが変わったことはありませんでしたか。

モンストの制作に携わる中で、事業側も経験してみたくなり転職を考え始めました。制作会社にいると自分たちが制作したイラストを納品した後に、クライアント側でレタッチや加工を行うこともあるため、そのままリリースされるとは限りません。「自分が制作に携わったものが、世に出るところまでどういう経緯をたどるのか知りたい、また責任をもって携わりたい」と思うようになりました。僕が転職活動中だったことを聞いた方から声をかけていただき、ミクシィに入社することに。2019年1月入社なので、約2年が経ちました。

デザインとディレクションの二刀流でスキルを伸ばしたい

──ミクシィに入社されてからは、どのような業務を担当されていますか。

モンストのキャラクター制作のディレクターとチームのリーダーを担当しています。業務としては、チームのマネジメントのほか、キャラのデザイン提案からディレクション、パートナー企業の対応など多岐にわたります。うちでお仕事をお願いしている作家の皆さんは、優秀な方ばかりです!中にはデザイナーとしてのキャリアが20年以上ある方もいますし、「これはマジでヤバイ!」と思わされる作家さんにもたくさん出会いました。

──ということは、ディレクターは自分よりも優秀な作家さんの作品に赤入れしなければいけないときもあるということでしょうか。

そうそう。昔は、自分よりも上手い絵が来たらどうしようと思っていたこともありました(笑)。

──そういうときは、どのように業務にあたっていたのでしょうか。

明らかに相手の力量が上だなと思っても、ここは僕の方がモンストのキャラのテイストについてより深く判断できるな、と思える部分はあるので、調整が必要な際は必ず伝えます。僕は、キャラクターイラストのアートディレクションは3段階に分けられると思っています。まず一段階目は、「技術補助」。ものの形を整えたり、デッサンやパースといった技術面での調整を行います。二段階目は、「テイストの合わせ」。案件の世界観やカラーリングを作家さんに齟齬のないコミュニケーションで伝えて調整していくことです。そして三段階目は根本となる「キャラクターのデザイン設計」です。

──キャラクターのデザイン設計というのは、例えばレア度によって豪華にするようなイメージですか。

限定キャラクターだからといって、単純に豪華にデザインすれば良いというわけにはいきません。モンストのキャラクターは視認性の高さがとても重要。例えば、細かい装飾をたくさん盛って、ぱっと見は豪華に見えても、ユーザーのキャラクターへの印象は「豪華」で止まってしまうんです。印象に残したいポイントを絞り込み、それをより良く、わかりやすく見せるために肉付けしていくようにデザインします。キャラクターのデザインは施策におけるアイコンを作るようなイメージです。

──奥が深いんですね。役職は同じディレクターですが、前職と違う部分は何かありましたか。

ミクシィに来て戸惑ったのは・・・続きはこちら

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