４社目の起業（第1回）_成功したければ好きなことだけをやれ！_トグルホールディングス伊藤嘉盛（エピソード1）

伊藤嘉盛は2020年6月にトグルホールディングスを創業します。連続的なイノベーションを起こす事業化集団を率いる彼はどんな想いで創業し、どんな想いで生きていこうとしているか。インタビュー形式でご紹介します。

大きな成功のために、好きなことだけをやる！

イタンジを売却して4年が経過しました。3社、起業と売却をして至った境地のようなものはありますか？

事業で大きな成功をするために、好きなことだけをやることに決めました。事業を成功させるためには「イケてる仮説」が必要です。

イケてる仮説にたどり着くためには、没頭が必要です。没頭して物事に向き合うことで初めて到達できる問いや洞察、つまりイケてる仮説が生まれると考えています。そして、さらには没頭するためには、その物事が好きであることが必要です。
会社経営は大変です。大体のことは辛い。僕の場合、事業に関することで心の底から喜べる瞬間は半年に30分くらいかもしれません。

30分、だいぶ辛い時間が長いですね。なぜ経営を続けられるのですか？

辛い。ただやはり今、手掛けている事業が好きだからだですね。人間は楽をするために、目の前の困難から逃げ出すための都合のいい理由を簡単に（もはや天才的に）発明する動物です。

困難から逃げるゲノム的なプログラミングを乗り越えるためには、本心からの「好き」が求められるのだと考えます。

ゲノム（遺伝子をはじめとした遺伝情報の全体）、伊藤さんの興味ある分野です。

だから人々から見て「努力している」とされる姿は、その人が好きなことに没頭している姿なのだと思っています。
ビジネスの世界では万人が成功するために試行錯誤を繰り返していますよね。人並みの努力で成功できるのであれば、誰もが成功者になっているでしょう。

スタートアップ業界で誰もが認める成功を収める確率は、人並みならぬ努力をしても、50人に1人くらいが体感です。

血の滲む努力をして一握りの人しか報われないのに、何年も努力しなければと考えると気が滅入ります。努力の捉え方を変えて、好きなことに好きなだけ没頭していいと考えれば何年でも物事を続けられるはずではないでしょうか。

やはり事業が好きだ、ということですがなぜでしょう？

そうですね、「事業が好き」ということを深掘りすると、私は常識や定説とは異なる仮説を立てて、地道に検証することが好きです。

特に金融や不動産などレガシーな事業領域が面白いと感じます。歴史のある業界だから常識や定説に根深さがあります。

ゲーム理論で例えるならば、ナッシュ均衡に辿りついていて現状を維持しようとする力が強固だということです。

ゲーム理論（諸問題について、数理的に分析する理論）についても深い興味持っています。

はい。常識とは異なる自分ならではの仮説で対象に切り口を入れた時に、対象が今まで観測されなかったような挙動をすることを想像する、僕はこれを０→１の前行程で、「空間の発見」だと言っています。

ここに０が存在できる空間があると認識することです。自分はこのプロセスが得意だと自負していますし、人類の壮大な役割分担における自分の持ち場だと勝手に考えています。

ここで表現されている「空間の発見」という使命も伊藤さんのゲノムにはプログラミングされていそうです。個人のビジョンともいえそうです。個人ビジョンの延長線上にトグルホールディングスのビジョンがあるのでしょうか？

皆さん、ビジョン聞きたがりますよね・・（笑）もともと好奇心で事業をやっているのでビジョンを語れと言われると・・。みんなハリウッド映画の見過ぎなんじゃないかな。

いままでも振り返ってみると人類を発展させるような偉業は好奇心から来ていませんか？アインシュタインが相対性理論を研究したのは好奇心から来てたと思うし、アランチューリングがコンピュータを発明したときにも、情報革命のビジョンなど持ち合わせてなかったと思います。

好奇心から発明が生まれ、発明が人々の手にいき渡る過程でビジョンが紡がれていった、という順番なのではないでしょうかね？

（アランチューリングは本社会議室の名前にもなりました）とするとトグルホールディングスにはビジョンはない？

もちろん、あります。ありますが、社長にビジョンを問えば手でろくろ回して、すぐさま壮大なビジョンが語られることを期待するのって思考停止しているように思います。

起業家や会社の成長と共進化する形でビジョンは膨らむものだから、今一緒に働いているメンバーもビジョンを描く担い手であることに気づいて欲しいなと考えています。

（次回に続きます）

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