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【広報PR編】YOUTRUST 資金調達リリースにまつわる裏話

キャリアSNSのYOUTRUSTで広報PRをしている緒方@oga_shoです。

マーケティングの大前からも記事が出ていましたが、2021年8月30日にYOUTRUSTはシリーズBの資金調達をさせていただきました。またその調達ニュースを起点に、一時的な"バズ"を超えた「サービス・企業のパーセプションチェンジ」を一歩前進させられたと思っています。

このnoteでは主に、「資金調達」というスタートアップに必須ながら、それだけでは話題になりづらくなっているトピックにおいて、広報PRとしてどのように向き合ったのか、またそのトピックをフックに「パーセプションチェンジ(認識変容)」を戦略設計〜実行〜拡散までどのように取り組んだのか備忘録的にまとめています。

私自身も今年の1月に広報PRに営業から転身したばかり×「資金調達リリース」を扱うのも初×PR代理店なしのオールインハウスという状況で進めたプロジェクトなので、足りない観点などもあるかもしれませんが、ぜひ誰かのお役に立てば幸いです。

ユーザーの皆様はじめとしたYOUTRUSTに関わる皆様のおかげで、大きな波が起こせたと思っています。本当にありがとうございます。(弊社のSlackはいつもこんな感じで賑やかです笑)

成果サマリ

後述するように、このプロジェクトは全社で取り組んでおり、成果も全社で生み出したものではあるのですが、こと「資金調達プレスリリース」に関する数値成果としては、
・PRTIMESプレスリリース
Like 2,200 over、SNSで話題・いま話題・旬速ランキング1位など
・主要メディア掲載
日本経済新聞、日本産業新聞、DIAMOND SIGNALBRIDGETechCrunchなど
・Twitter
トレンドランクイン
リリース当日に「YOUTRUST」で586件「キャリアSNS」で290件のツイート、ポジティブ反応が約9割
が出ています。

ここから具体的に、どんな戦略や打ち手をとっていったかお話しします。

ゴールは「キャリアSNSへのパーセプションチェンジ」

調達目処が立つ少し前から、資金調達をフックに話題を作りたいということは会社として決めており、約2ヶ月間を通常業務の傍ら準備に充てていました。

全社プロジェクトの概要は、マーケ責任者コースケさんの記事を見ていただければうれしいです🙋‍♀️

上記noteにもあるように、マーケティングは今回「YOUTRUST認知・未利用層」をターゲットにOOH(屋外)広告の展開などで新規登録/継続利用促進を行っていました。定量調査結果から、副業や転職するためのサービスという認知が過去施策から先行しすぎており、その打破が有効な打ち手と考えたためです。

一方で広報PRは同じフィールドを守る、すなわち「脱・副業転職サービス」という戦略を取りながらも
・どんな社会的課題を解決しようとしているのか
・サービスを通じてどんな社会に変えたいと思っているのか
という、まさにPublic Relationを体現する「自社・サービスと社会の結節点が何なのか」を大々的に明示することが重要だと考えていました。

マーケティング用語でいくと「パーセプションチェンジ(認識変容)」の実現です。

見え方や捉え方というものは、人によって異なることが多く、時代によっても移り変わる。トレンドの発生や移り変わり、そして衰退の裏には、常にパーセプションの変化が潜んでいる。そうした認識の変容は、「パーセプションチェンジ」と呼ばれる。
本田哲也『ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力』より

YOUTRUSTは「副業転職サービス」ではなく、「日本型キャリアのゲームチェンジ」をする「キャリアSNS」であること。

この文言に固まるまでの紆余曲折は追って伝えるとして、YOUTRUSTを聞いたことがない方にも、既に愛用してくださっている方にも、To Be(ありたい姿)を広く伝えてより濃いファンになっていただく、ということをテーマに具体的なHowを決めていきました。

パーセプションチェンジ実現のためのギャップ

と、大枠の戦略は決まったものの、冷静になれば上場したわけでも、100億調達したわけでもないので、自分たちが持っているニュースや資源を正しく評価してギャップを埋める戦術を考えることが肝になると考えました。

課題として捉えていたのは、以下の3つ。

1. 調達金額だけで話題になる規模感ではない
スタートアップの2桁億円調達が激増する中、シリーズB・4.5億円というのは調達額だけを推しても話題にならないと考え、他の社会的意義を探る必要がありました。(補足として、成長に必要な資金を既存株主中心に超短期間で集められたのは、とても喜ばしいことです!)

2. 画一的な資金調達リリース構成
直近1年ほどの各社のリリース構成をPR TIMESで検索してみましたが、噛み砕けばそのほとんどが「わいわいメンバー写真 or with株主写真」「採用・マーケ・開発・新展開」の内容になっており、フォーマットが画一的になってきているなと分析しました。逆に捉えれば「またこれか〜」ではなく「Wow!」を作れれば、話題になりうるポイントだとも考えていました。

3. 限定的なメディアチャネル
「資金調達」というニュースの特性上、掲載されるメディアの種類や数に限りがあるのは自明でした(大きな金額での調達も、さすがに昼の情報番組にはのらないですからね苦笑)。どんなに練った内容でも、届かないと意味がありません。また、意図通りに伝わらなければ同じく意味がありません。伝えるチャネルと、伝わり方も丁寧にコミュニケーションする必要がありました。

▲特に素敵なリリースはNotionにクリップして参考にしてました📎

SNSバズを意識した逆算設計

目的ゴールと現状課題を踏まえ、実は今回、Howを念頭に戦術を組み立てていきました。原則はPublicという広く遍くに向いていること、とはいえの主たるターゲットもIT・インターネット業界中心の染み出しを意図していたことから、Twitterをメインとした「SNSでどう話題にするか?」という頭の使い方が一番効率的だったからです。

① メッセージ

結論としては「日本型キャリアを、ゲームチェンジする」をメッセージ=新しく浸透させたいパーセプションとすることを決めました。
前提としてas is「副業・転職サービス」の認識変容はMUSTで必要ながら、「キャリアSNS」のワードを全面に出しすぎると、そもそも「キャリアSNSって何?」と手前で無駄な引っかかりを作ってしまうことが、ユーザーインタビューやサービス説明の実体験を通じて分かっていました。また「キャリアSNS」という形態は、あくまでも自社の実現したい社会に必要な1つのサービス形態であって、上位概念の「実現したいあるべき姿」を表すのにレイヤーとして的確ではないとも感じていました。すでに世間に浸透している「働き方改革」などと絡めることも考えましたが、既存単語が纏うイメージと自社が目指すベクトルが違うので、ミスリードを起こす可能性が高いと考えました。
改めて私たちが実現したいことは何だっけ?を、代表岩崎や各部門メンバー、副業PRアドバイザーの方と相談しながら、前出したメッセージに至りました。

② OGP画像

主戦場をTwitter/SNSに決めたとはいえ、情報は常に氾濫しているタイムライン。その中で目的を達成するには、
・いかに目を止めることができるか
・画像そのものに意味を持たせられるか
が鍵になると思い、必然的に「強い画」づくりを模索しました。

とはいえ、一枚のOGP画像にコストをかけるという提案は非常に言い出しづらかったです。が、手前味噌ながら弊社の強みの一つは「PRの重要性と可能性を経営層が理解していること」にあると思っていて、岩崎・COO佐藤・マーケ大前からの「やったら良いじゃん!」という全力の応援もあり、急ピッチで準備を進めました。

▲スタジオでの撮影の様子

今回撮影は別でもご一緒していて圧倒的な信頼を寄せていたカメラマン小田さんにお願いさせてもらいました。また最終的な画像クリエイティブは、副業デザイナーのたなしょーさんに作成してもらいました。(メッセージの入れ方がさすがすぎて、出てきた時感動して唸ってしまった…!!)

そして、南場さんはじめとするデライト・ベンチャーズの皆さんのご協力なくしては、今回の「画だけで伝わるメッセージ」は完成できなかったと思っています。

本ラウンドのリードインベスターであり、経団連の"女性初"副会長としても「人材流動性を上げて日本経済の活力を取り戻す」ことを声高に宣言されている南場さんと、DeNA時代から関係がある代表岩崎が並ぶこと、そこにメッセージをのせることで、「これからの日本のキャリアの未来を切り開く意思」を伝えられたら…。そう思ってメインに据えたのがこのOGP画像です。結果、意図していたメッセージや中にはそれ以上の部分に着目してくださる方もいらっしゃり、画像だけで一つの話題を作れたことは目的達成の上で非常に良かったと思っています。

③プレスリリース本文

How念頭に進めていたとはいえ、ファクトに基づくWhatがないと「社会的意義」を十分に伝えきれず、一過性の盛り上がりと見られてしまう懸念がありました。なので、初めてYOUTRUSTを聞いた方、YOUTRUSTの向かう方向性を知らない方に対しても、向き合っている「日本のキャリア市場」の課題の根深さ・社会的意義・成長余地を伝えるために、マクロ情報の収集と客観的なデータを元にプレスリリース本文を作り込みました。また後述しますが、マクロ環境への共通理解を持つためにも、社内向けの情報共有を資金調達リリースまでに複数回開催しています。

▲資料の一部。内容展開してファクトブックも更新しました👍

少し長くなりますが、実際のプレスリリース本文(一部)がこちらです。

資金調達の背景と、マクロ観点から見た「日本のキャリア市場」の課題と展望
“Japan as Number One”と評された時代は一変し、今、日本の雇用システム・働く価値観・キャリア形成のあり方は大きな変革のときを迎えています。
1人あたりのGDPは世界30位まで落ち込み、時間あたりの労働生産性はアメリカの6割に止まっている日本。その要因の一つとして「人材流動性の低さ」が課題に挙げられています。終身雇用で守られた閉じた環境に居続けることで、自己研鑽やスキルアップの機会に恵まれなかった結果、一人ひとりが本来持っているキャリアの可能性を狭めてしまったからだと私たちは考えています。実際、日米欧35カ国の傾向として「勤続10年以上の従業員の割合が10%低いと、経済の実力を示す潜在成長率が1.4ポイント高い」という関係性も出ています。さらに、「今後、人材の流動性は高まる」と9割を超える人が予測しており、流動性の高い環境になることは必然な中で、多様な個人それぞれが、自分のキャリアの可能性を最大化できる機会や場づくりが求められています。
YOUTRUSTは「日本型キャリアをゲームチェンジ」する存在として、周囲から信頼されている優秀な人が、自らのキャリアの可能性に気づき、新しい刺激や機会を得られる場として「キャリアSNS YOUTRUST」を一層充実したものにしていくために、この度シリーズBの資金調達を行いました。

実際、本文に関してもコメント・感想いただくことができ、いわゆる「画一的なリリース」ではない、新しいリリースのあり方を提示できたのではないかと思っています。

正しく、楽しく、自然と話題を広げる「熱波師」づくり

ここからはリリース内容そのものではなく、「情報をどうやって正しく届け、広げるか」というデリバリー観点での工夫を振り返っていきます。

3つ目の課題にも挙げていたように、メディアチャネルが限定されることから、自社チャネル=社内メンバーの拡散力を最大化する設計をすることが必要でした。少し補足すると、YOUTRUSTはフルタイムは20名強ですが、副業メンバーが約60名もいる計80名ほどの組織、かつご時世もあり原則リモートワークな環境です。(私も普段は仙台で働いており、リアル対面したことないメンバーの方が圧倒的多数です)

一方、SNS拡散や発信はなるべくしてほしくはありますが、メンバーそれぞれの事情があるので、当然ながら義務・強制タスクにはしていません。ツイート数のKPIがあるわけでもありません。

また、私主導で進めていたのが上記「資金調達プレスリリース」でしたが、社内では全社プロジェクトとして、リリースを足掛かりに複数の施策を連続的に公開することを決めていました。

コースケさんnote内でも触れているように、「熱波師=副業含めた社内メンバー」が全員同じ目線で「熱源=施策アイテム」を広げられるよう、適切な質・量・頻度の情報共有と、タスクのシンプル化を意識した社内コミュニケーションを行いました。(下の図が、コースケさん作の伝説のサウナ資料)

適切な質・量・頻度の情報共有

総勢80人のメンバーのうち、20人ほどは直近2ヶ月でジョインしてくれた人でもあり、また以前からいるメンバーでも「日本型キャリアのゲームチェンジ」やその背景にあるマクロ環境・今後の展開は新しい情報でした。

日々はテキスト中心のコミュニケーションとはいえ、
・月一回の全社会
・毎日やっている朝会
・調達リリース直前週の特別全社会
の場を活用し、自分然り、岩崎・大前はじめとした複数メンバーから、生身の言葉で「プロジェクトの意義」や「YOUTRUSTは何を目指し、どこに向かうのか」を伝えきる会を、複数回設定しました。

リアルタイムで参加できないメンバーもいるので、全社会はいつも録画・資料共有を行っています👀

特に、その根底にある意味や定義まで目線を合わせておきたいワードについては、独り歩きしても大丈夫になるまで、何度も丁寧に共有しました。

タスクのシンプル化を意識した社内コミュニケーション

4月アプリリリースの際も同様の全社プロジェクトを行ったのですが、その時の反省として「情報が多すぎて、何をどう発信すれば良いかわからない、迷った」という声があがっていました。

全社会で前提となる目線引き上げはしつつ、当日への不安やストレスなく、正しい情報を熱波師のメンバーが届けられるように「これだけ見とけば大丈夫!」的な拠り所づくりを並行で準備していきました。

具体的には、
・NotionとGoogleカレンダーに情報を集約
・熱源アイテム毎に、詳細内容、To Do、注意事項(このハッシュタグをつけてほしい等)をSlackにシェア
・相談 / 報告 / 発信情報整理といった「こんな時はここ」の特設チャンネルを追加・整備 を行いました。

▲Notionに熱源アイテムを一元集約・Googleカレンダーにも連携

▲拡散タイミングでの社内告知アナウンス

調達リリース週は、1週間で10個以上の熱源アイテム + メディア掲載やUGCコンテンツが多数ありましたが、大きな混乱なく正しく一貫した情報をチームで発信できました。それ以上に、この全社プロジェクトを、楽しく・自然と進められたことは、チームの強さを象徴する成果だと言えると思います。

まとめ

調達リリースから約3週間が経ち、意図していた目的は期待以上には達成できたかと思っています。(友人・知人や元同僚からのYOUTRUST経由での連絡も増え、めちゃくちゃ嬉しい!)

その要因としても、「一枚岩なチームであること」「やりきる当事者意識が強いこと」「論理構築と野生の勘が双方バランスしていること」「全力で祭を楽しむこと」など、一人ではできない立体的な組織の強みがあり、入社してからの9ヶ月での組織の変化を感じています。

とはいえ、まだまだ狼煙は上げたばかりです。

流行りではなく、キャリアのインフラに。
日本型キャリアのゲームチェンジをするために、ここからもYOUTRUSTチーム一丸となって邁進していきますので、ぜひ期待いただければ嬉しいです!

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