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アンドパッドの部門の一つである、カスタマーエクスペリエンス部。なかなか聞きなじみのない部門かと思いますが、この部門では“カスタマーサポートを超えた顧客体験の提供”をミッションに掲げ、日々の業務に励んでいます。今回はカスタマーサクセス本部 本部長の田村と、カスタマーエクスペリエンス部 部長の上原にインタビューを行い、部門が担うミッションや具体的な業務内容などについて詳細を聞きました。
田村 浩哉 (写真左) カスタマーサクセス本部 本部長
非鉄金属の商社にて新規事業開発経験後、建設業向けの広告営業に従事。2015年にアンドパッドへ入社。アンドパッドのリリースからサービス立上げ、大阪支社の立上げを経験後、カスタマーサクセスの立上げを経て、2023年本部長に就任しカスタマーサクセス本部の統括を担当。
上原 翠 (写真右) カスタマーエクスペリエンス部 部長
オンライン英会話の日本法人におけるカスタマーサポート及びカスタマーサクセス部門の立上げ等、さまざまな事業のCX領域での経験を経て、2017年11月にアンドパッドへ入社。ANDPADのシェア拡大に伴いカスタマーサポート及びカスタマーサクセスの組織作りに携わる。現在は、更なるサポート体制強化のために専任でカスタマーエクスペリエンス部の統括を担当。
様々な職種と向き合うカスタマーサポート
――まずはカスタマーエクスペリエンス部の概要から教えてください。
田村:カスタマーエクスペリエンス部は2021年3月、「カスタマーサポート部」から名称を変更し、新たに生まれ変わりました。その背景には、単なるサポートを超えた、“圧倒的な顧客体験”を提供したいということ、そして建築・建設業界に従事されているみなさまにANDPADを通じて、自社の業務が改善していく体験を実感いただきたい、という想いが込められています。カスタマーエクスペリエンス部は、ANDPADの操作や運用方法などのユーザーからのお問い合わせに対して直接的にサポートするカスタマーサポートグループと、顧客基盤管理など間接的にユーザーをサポートするカスタマーオペレーショングループという二つの組織で構成されています。
――業務内容について詳しく教えてください。
上原:まずカスタマーサポートからお話しすると、いわゆる「サポート」を職務としていますので、ANDPADユーザー様の問い合わせを起点とした顧客対応がメインです。ミッションは、ANDPADの利用において発生する質問やお困りごとと真摯に向き合い、できる限りご状況の解決を見出すことです。ANDPADの導入で、「自社の課題を一つひとつ改善できている」という成功体験を求めているANDPADユーザー様は多くいらっしゃいますので、質問の意図の理解、そのあるべき回答から提案までやりきる必要があります。一般的なコールセンターとは、大きく異なるかもしれないですね。
――というのは?
上原:実際に問い合わせをしてくださるANDPADユーザー様は、企業規模や業態も異なれば、解決したい課題も異なります。テンプレート的なQ&Aを繰り返し答えるのではなく、「この質問をしているということは、もしかして他のことに困っているのかも?」という背景を取りにいくことをとても大切にしています。例えば、業務ステップのワークフロー設定ひとつにしても、なぜその設定にしたいのかという意図をヒアリングして、運用として有益かどうかを考えながら提案しています。ゼロベースで「お客様のためにできることはなんだろう」と思考し続けることが、アンドパッドのカスタマーサポートの在り方だと考えています。どのメンバーも「お客様にとってのフロントとして、できることはすべて取り組む」というスタンスで取り組んでいます。
田村:ANDPADが他サービスと圧倒的に違うのは、導入企業の方々以外にもユーザーが存在することです。導入企業のみなさまだけが使いこなせても意味がなくて、ANDPADのIDを振り分けられた協力会社、職人のみなさまも使いこなせて初めて「成功体験」と呼べると思います。
――具体的にはどのような対応を行っていますか?
上原:例えば「ANDPADにログインできない」「使い方が分からない」といったプロダクトの操作に関するご相談から、「iPhoneアプリの地図が立ち上がらないから現場に行けない」「VPNの接続が切れてANDPADにアクセスできない」「インボイス制度対応の仕方が分からない」といった業務フローに関する問い合わせの対応まで多岐に渡ります。ときには、ERP(ANDPAD引合粗利管理)の運用提案を求めているお客様に対して、営業担当の代わりにコミュニケーションするなど、操作方法よりも深い案内が必要なこともあります。
――それは一般的なコールセンターやカスタマサポートの職務範囲とは一線を画しますね。なぜそこまで対応するのでしょうか?
上原:アンドパッドの社員なら、自社プロダクトについては誰に聞いても答えられるべきではないだろうか?と考えています。また、セールスやサクセス担当が商談や移動中の場合も多いので、回答のリードタイムを短くするためにもできる限り対応すべきだと思っています。もちろん、提案が足りていないケースもありますが、まずはお客様の話を受け止めて、できる範囲の提案をするという意識で取り組んでいます。私たちの部署は利益を生み出す部署ではないので、自分たちの価値を作っていくためだけでなく、さらに業界の発展を支えていくためにも必要な対応は全て行いたいと考えています。
――なるほど。
田村:ANDPADのプロダクトは多岐にわたるので、問い合わせいただく業態もユーザーもさまざまです。業種としてはハウスメーカー様からゼネコン様、サブコン様、専門工事会社様、リフォーム店様、町の工務店様など、職種についても施工管理担当者、職人の方、積算担当者、図面設計者、企画、マーケティング、経理、経営者など。それぞれの業態や職種の知見や共通言語をイチから学ぶ大変さはありますが、その裏返しとして知識が広がりつながる面白さがあると思います。
――色々な業態、職種の方々と接点を持つことで、知的好奇心が満たされますね。
上原:普段、接点を持つ機会がないさまざまな職種の方とコミュニケーションできるのは刺激的で学びが多いですし、視野も広がりますね。
――他にもやりがいを感じる瞬間はありますか?
上原:やはりお客様の役に立っている実感を得られる瞬間です。「丁寧に根気強く教えてくれてありがとう」「時間を掛けてくれてありがとう」「あなたに教えてもらったから頑張ってみよう」「こんなことまでサポートしてくれてありがたい」といった感謝の言葉が寄せられるので、その蓄積が日々のやりがいにつながっています。お会いしたこともないお客様と信頼関係を築き、その結果、距離の近い存在になれるのはアンドパッドのカスタマーサポートならではの魅力ですね。
――カスタマーサポートチームが目指していることとは?
上原:何かあったら真っ先に相談でき、お困りごとの解決をお手伝いするプロフェッショナルな存在になることです。ただ、ずっとお客様の手を引いて伴走していくわけではなく、お客様が自走できる状態に後押しするまでが私たちの仕事の本質なので、その点も心に留めて仕事に携わっています。
また、建築・建設業界はDXへの過渡期ですから、メールだけでなく、電話で分からないことをタイムリーに聞ける環境が必要です。ANDPADの習熟度を上げていただくためにも、まだこの先数年は電話対応を続けることが求められています。
田村:問い合わせ業務の業界トレンドとして、電話対応を減少させていく方向ではありますが、当社は電話でのサポートを辞めたことは一度もないですよね。
上原:他社と比べても、こんなに電話対応に力を入れている企業はないと思います。だからこそ“たった一人のユーザー様がANDPADを使えるようになる”ということがどんなに価値のあることなのかが実感しやすいです。
ユーザー様が何年もANDPADを使い続けてくださり、高い習熟度が保てるようになれば、困ったときにサポートをするという価値は下げずに、新機能の使い方をこちらから積極的に提案できる状態にもなりますし、あまりご利用の進んでいないユーザー様へのアプローチができるようになるはず。たくさんの方に継続して使っていただけるサービスであり続けることが、「建築・建設業界の発展に寄与する」という私たちが叶えたいミッションに直結すると考えています。
田村:また、カスタマーサポートはダイレクトなユーザーの声が集まる部門でもあるので、ユーザー視点の新たなサービス開発や、既存の製品・サービスをボトムアップで改善していくことも期待されていますよね。
――これまでに改善につながった例はありますか?
上原:例えば、通知設定の変更です。もともと翌日の予定は、前日の夜8時に通知していました。でもその時間に通知が来ても、トラックの手配が間に合わないとか、監督に確認したくても帰宅してしまった、ということがありました。そこで、開発側へも状況を共有し、ユーザー様本人が通知受信時間を選択できるように変更してもらいました。また、「メールの既読・未読の色分けをもっと分かりやすく変えてもらえないと、直射日光の下だと分からない」という要望や、他にも複数の会社から仕事を受けている会社さんから「招待元企業の切り替えを分かりやすくしてほしい」と要望を受けて、変更した例もあります。
田村:サービスの使い勝手の部分は一番大事ですよね。ANDPADの肝となる基本機能がより使いやすく改善されていないとユーザーは離れていくので、ユーザーと接点があるカスタマーサポート部には、使い勝手をブラッシュアップしていく期待が寄せられていると思います。とはいえ一般的なサービスだと、カスタマーの要望が多いものから開発していくというサイクルですが、アンドパッドの場合、ユーザーの本質的な課題を解決するかどうか慎重に見極めながら、作りたい未来に向けて進めています。
オペレーションチームは盤石な体制を提供する
――続いてカスタマーオペレーションチームの仕事について教えてください。
上原:カスタマーオペレーションはお客様とは間接的な関わり方となり、社内の営業部やカスタマーサクセス部、プロダクト本部や事業戦略本部との協働が中心となります。具体的な業務内容は、ANDPADのアカウント発行、アップセルやクロスセルの権限設定など、ユーザー様がANDPADをご利用いただくための環境整備などを行っています。一見シンプルな業務に思われるかもしれませんが、オペレーションのメンバーはANDPADの理解と共に、業界構造への深い知識が求められます。
――それはなぜですか?
上原:建築・建設業界には一次請け、二次請けなど請け負い構造が存在するからです。あるプロジェクトでは元請け企業になるケースもあれば、別のプロジェクトでは二次請けになる可能性もある。ANDPADの機能理解はもちろんですが、取り扱う情報を正しく見極めていかなければ、情報漏洩につながる危険性もはらんでいます。データ確認・登録においては業界の商流の知見と精緻な作業が求められますし、他部門との折衝・協力なども頻繁に発生します。また、お申し込みいただいたANDPADの機能確認も重要な仕事の一つです。お客様のビジネスサクセスのために、なぜその設定を選択されているのかを再度確認しています。カスタマーオペレーションも、お客様を主語に考えることを徹底しています。
――お客様とは間接的なやりとりにはなりますが、圧倒的な顧客主義を貫いているんですね。
田村:カスタマーオペレーションは、企業やユーザー情報の正確な登録を始め、各ユーザーの企業ドメイン確認なども重要な仕事です。万が一同じ企業の社員として登録し、使い始めて別会社であると発覚した場合、登録変更の時間が掛かり、オンボーディングが遅れてしまいます。事故が起きる前にどうやって防ぐかという凪の状態を保って、ミスがない正しい判断を何度も繰り返していく作業が多いため、圧倒的に自分の仕事のクオリティにこだることが大事です。
また、新設されたグループで、現在組織が拡大期にあります。そのため、ルーティンの業務だけでなく、新しい業務を受けられるような体制づくりもミッションの一つになります。横断的に全部署と関わっていくことになるため、様々な視点で物事を考えられるようになるのは特徴だと思っています。
自らの経験をアンドパッドに合わせるのではなく、お客様に合わせる
――カスタマーエクスペリエンス部では、どんな方が活躍しているか教えてください。
上原:カスタマーサポートチームについては、コールセンター出身者、施工管理営業など建築業界の経験者、ホスピタリティ業界の経験者などが活躍しています。共通するマインドは「人のために行動できる人」「自分から知識を深められる人」「失敗を恐れず挑戦できる人」の3つです。
まず「人のために行動できる人」ですが、前職では「もっとお客様のために踏み込んだ提案がしたかった」「マニュアルに沿った回答だけで、最終的にお客様の課題を解決できたのかまで分からなかった」といったところにフラストレーションを抱えて、アンドパッドに入社の意思決定をしてくれたメンバーが多くいま。
人は誰しも「人のために行動できたらどんなに良かっただろう」と思う場面を経験していると思います。例えば、カスタマーサポート経験者なら「サポートは定型回答でいいよ、と言われてモヤモヤした」とか。仕事以外だと「交通機関で席を譲れば良かった」とか「あそこで落とし物を拾ってあげれば良かった」とか。そういうことを経験する中で、圧倒的顧客主義を貫ける仕事を選択したい、という人がアンドパッドに入社してくれていると思います。
二つ目の「自分から知識を深められる人」は、さまざまな業種に関わる製品に携わるため、自力で各プロダクトを触って学ぶ必要があるためです。自らプロダクトを触って検証をして、顧客に案内することを地道に続けている人は成長していると思います。
――自分の頭で機能を理解することが大事なんですね。
上原:型通りの説明だと相手には伝わらないことも多いので、ANDPADの機能を自分の頭で理解して、自分の言葉で案内する意識が大事です。普段、私たちは深く考えずにアプリで次のページに行くときはスワイプをしますが、世の中にはそれが当たり前ではない方もいらっしゃいます。そのときに、『こういう思想で作ったプロダクトだ』というところまで理解していれば、操作案内においても、プロダクトの意図や開発背景なども話せ、深い理解を提供できることになり結果お客様の満足度は変わってきます。ANDPADがなぜそのように設計されているのかを考え、理解できる人、諦めずに向き合える人がこの仕事には合っていると思います。
最後の「失敗を恐れず挑戦できる人」とはつまり、尻込みせずに問い合わせ電話に出る、ということ。座学で説明を受けたり、何度もロープレの練習をしたとしても、実対応でしか頭に入らないことも多い。何かあったら周りのメンバーがサポートするので、大船に乗ったつもりで取り組んでほしいと思っています。その中で分からないことがあれば正直に「わかりません」と伝えてほしい。わからないことをわかるために何が必要なのかを考え、一つずつ積み上げられる人が活躍していると思います。
――カスタマーオペレーションチームではどのような方が活躍されていますか?
上原:業界経験者を含む営業事務経験者が圧倒的に多いです。ただ、建築・建設業界に興味・関心がないとなかなか難しいかもしれません。私たちは定型の業務をこなしているのではなく、「業務を作っていく、整備していく」段階にあります。指定された書類を今日中にさばききる、という仕事ではなく、いかに思考して業務を進めるか、ということが最も重要です。営業事務以外にも社内でプロジェクトに携わっていたなどの経験は大いに活かせると思います。
マインド面では「社会貢献につながる仕事がしたい」という点が共通項です。カスタマーオペレーションは、コーポレートガバナンスやビジネスサクセスに直接寄与するので、自分たちが登録している情報が何につながっているのかを想像して理解できる必要があります。建築・建設業界の課題を解決し、社会に貢献していくために、自分はどのような立場で業界に身を置けるかを考えて行動できるメンバーが多い印象です。
――カスタマーサポートはユーザー起点に、カスタマーオペレーションは業界全体を起点に行動できる人が多いんですね。共通して業界の発展には寄与する部門と思いますが、他に共通するポイントはありますか?
上原:自分がこれまで積み上げてきたスキルや経験をアンドパッドにどう合わせていくかではなく、「お客様や業界のために何ができるか」という発想に転換できることです。だからお客様や業界を主体に置いて仕事ができる人が活躍できるのだと思います。
田村:パフォーマンスを出せるメンバーは徹底的にANDPADに触れており、先回りして行動できていると思います。例えば「この会社さんだったら、こういう質問をされるだろうから、事前にこの新しい機能を勉強しておこう」と前もってロールプレイングしてから臨む。そこで失敗したことは次の糧にする。そういう人は1~2年後の成長スピードに差が出ていると思います。
上原:ANDPADは建築・建設業界に特化したツールのため、単純に見えて各機能が複雑な関連性を持っているということが特徴です。私は「研究みたいな工程」と伝えているのですが、自分の中で楽しさを見つけてANDPADに触れていると、半年後くらいに点と点がつながってより楽しくなる瞬間が訪れます。コツコツと地道な活動ができる人が、カスタマーエクスペリエンス部には適していると思います。
田村:当社ではカスタマーサポートもカスタマーオペレーションも、どちらも正社員メインで構成されています。その理由は、単一業務だけでなく、組織に、顧客に幅広くかかわっていく可能性が高く、それだけ会社の中で重要なミッションを担っているから。ANDPADのプロダクトを運営していくにあたって、お客様に圧倒的な顧客体験を提供するカスタマーエクスペリエンス部は社内外において重要なポジションだと考えています。
カスタマーサポートは複数プロダクトのお問い合わせに対応する中で様々な職種の方と関わることができますし、カスタマーオペレーションも同じように複数プロダクトに関わる中で業界知見を深め、社内の各部署と関わる機会があります。単なるカスタマーサポートの領域を超えた仕事を手掛けることで、将来的に業務フローの改善や、未知の業務へのチャレンジなど、自らのスキルアップやキャリアの広がりを実感できる環境だと思います。