前職では 80 名超のエンジニア組織の運営を行ってきた 後藤 大介 こと、 "ごっさん" がアンドパッドで組織開発部の部長として 2022 年 10 月に入社し、辣腕を奮っています。 今回は ごっさん にアンドパッドの成長を支える開発組織と開発チームの構成、理想とする「最高の開発組織」をインタビューしました!
後藤 大介 @daigoto
組織開発部 部長
自社サービス開発が長く、テックリードを経てマネジメントにキャリアを移して 13 年が経過。エンジニアとしての開発経験は一貫して Web システム。サーバサイドがほとんどとインフラ(オンプレ)少々。価格.com では 80 名超のエンジニア組織の組織運営と、サービスの開発責任者として活動。 10 年超は採用・育成・評価・組織/仕組み作りに加えて、中長期の技術方針の検討/策定/実行を担当。現在はアンドパッドのプロダクトチームのマネジメントも行いつつ、開発組織全体の課題解決・組織開発領域を担当している。
プロダクトの成長に必要な要素に「組織」があると気づいた
―― 前職の価格.com では 80 名を超える開発組織の責任者としてキャリアを積まれていますが、もともとマネジメントに興味があったのですか?
もともとコードを書くことが好きだったので、マネジメントをやりたいと思っていた訳ではありませんでした。 ただキャリアを積むうち、徐々にマネジメントの役回りを求められるようになり、さらにマネジメントと対象とするレイヤが経営に近づくに連れ、チームのマネジメントから組織全体のマネジメントに広がっていきました。
―― なるほど、元々はコードを書くことが好きだったのですね。 コードを書くのが好きなエンジニアからするとマネジメントは敬遠されがちですが、そういった葛藤はなかったのでしょうか?
マネジメントで 3 年ぐらいキャリアを積んだときに、プロダクトの成長には、エンジニアの成長や組織の成長も必要だということがわかって、人が育っていくことやチームや組織が大きくなっていくことに面白みを感じるようになりました。 それでコードではなく「組織」とも向き合えるようになりました。
―― やはりエンジニアらしくプロダクトの成長に繋がるのが面白いことなのですね。
マネジメントの対象のレイヤが変わると、今まで見えなかったプロダクトの背景や課題が見えるようになり、マネジメントを実行する者としてプロダクトの成長に貢献できることがどんどん変わるのですね。 そうしてプロダクトの成長とエンジニアや組織の成長が重なることがとても楽しかったですね。
―― それほど充実したマネジメントキャリアを過ごしていたのに、なぜ、次のキャリアを積もうと考えられたのでしょうか?
「自分のスキルが価格.com の中でのマネジメントに最適化しすぎているのでは?」「価格.com の組織のマネジメントはなんとかやってこれたけど、他の場所でもできるのか?」と自身のマネジメントスキルの再現性に疑問に思っていたことが理由です。
―― そういう経緯だったのですね。 その中で、アンドパッドを選んだのはどういう理由があったのでしょうか?
小さな開発組織だとマネジメントだけでなく、コードを書くことも求められます。 今でもコードを書きたいと思うことはありますが、マネジメントとしてスキルを要求される環境のほうが自分のスキルの再現性を確かめるにはよいと考えていました。 そして、その当時のアンドパッドのプロダクトや開発組織の規模を見たときに、これを加速度的に成長させられれば、自分のスキルが再現性のあるものと言えますし、自分の成長にも繋がると考えました。
参考: ごっさんの入社当時のブログ記事
アンドパッドのマルチプロダクト戦略とテックリードやエンジニアが役割に専念できる環境づくり
アンドパッドがマルチプロダクト戦略を採る理由
―― では、アンドパッドの開発組織について伺っていきます。 アンドパッドの開発組織はどのようになっているのでしょうか?
組織構造の前にアンドパッドの成長戦略を先に話をすると、組織も説明しやすいので、まずは成長戦略から話しますね。
―― お願いします!
プロダクトとしての ANDPAD は建築・建設業界の Vertical SaaS として施工管理などの現場から、顧客管理・受発注管理などの経営までを繋いでいます。 ただし建築・建設業界と言っても、建築業法では細分化された 29 業種があり、その独特の業界構造から ANDPAD のユーザーがすべての機能を使う訳ではありません。 ユーザーはニーズがある機能だけを利用します。 このためアンドパッドではマルチプロダクト戦略を採用しているのですね。
―― 確かに住宅建築にビル建設、工事などのドメインが違うだけでもニーズが異なりそうですね。
このマルチプロダクト戦略に則り、製品紹介ページにある通り 10 を超えるプロダクトがあり、また他に MVP / PMF フェーズの新規プロダクトもあります。 そして、それぞれのプロダクトごとに製品開発チームがいます。 それを縦軸として、横軸には共通基盤やリアーキテクティング、 SRE 、 QC 、CRE、データ、セキュリティなどの専門チームがあります。 加えて、組織開発、採用、広報などを手掛ける組織開発部門がある、というのがアンドパッドの開発組織です。
―― 1 つの大きいアプリケーションを開発するものではないのですね。
ええ、さらに共通基盤となる認証や通知などはマイクロサービス化し、それごとにまたチームが分かれています。
―― そんなに沢山のチームがあるとは私も入社前は思いませんでした。
このマルチプロダクト戦略によって、チームに技術選定や PdM とのプロダクトの方向性、設計を任せられています。 結果、各チームのアジリティが増し、個別の意思決定ができ、周りへの影響をおさえながら走れるような体制になっています。
テックリードが技術的なリーダーシップに専念できる環境
―― チームによっても変わりそうですが、 1 チームのメンバー構成はどのようになっているのでしょうか?
規模が大小様々あることに加え、チームの目的も様々なのですが、製品開発チームであれば、 PdM/PMM ・デザイナー・エンジニア・QA・CRE など、職種を超えて構成されています。 1 つのチームが、 1 つの小さなベンチャーのような感じですね。 また、時には先ほど紹介した横軸の専門メンバーが入ってプロジェクトを進めることもあるので、 1 人 1 チームという訳ではなく、複数にまたがって活躍できる環境です。 加えて、各チームにはテックリードがいるほか、主にピープルマネジメントを担う組織開発担当が入ります。
―― 製品開発チームを例にすると、どのように開発を進めているのでしょうか?
これもそれぞれのチームが主導しているので、一概には言いにくいところですね ... 。 汎化すると、 PdM が叩きとなるプロダクトのロードマップをひいて、テックリードやエンジニアがその実現戦略と、もし技術負債の返済があれば、それもロードマップにいれて開発を進めています。
―― テックリードやエンジニアもロードマップに関与するのですね
もちろん、関与します。 PdM とテックリード、組織開発担当が三位一体となって、プロダクトの成長に向かって開発しています。
―― PdM とテックリードがプロダクト開発を主導する、というのは想像がつくのですが、組織開発担当はどんなことをするのでしょうか?
先程、組織開発担当は主にピープルマネジメントを担当すると紹介した通り、役割としてメンバーの目標設定や評価、キャリアの相談、担当チームの採用といったものが挙げられます。 ただ、それだけでなくプロダクト開発方針や技術に関わること以外のマネジメントを全部やっています。 例えば、組織全体、メンバーの成長や希望、採用状況などを考慮してチームの構成を考えたり、文化醸成に適したチームイベントの開催などもしています。
このため PdM 、テックリードをはじめとするチームは開発に集中できる環境になっています。
(記事写真全て hsbt が撮影)
「最高の開発組織」から生まれる「最高の開発」を目指して
―― ここまでは現在の組織とテックリードやチームをサポートするチーム体制を伺ってきたので、ここからはごっさんが理想とする「最高の開発組織」を伺えますでしょうか?
各チーム、各個人が "全速力で走り続けられる" 開発組織でありたいと思っています。 今でも各チーム、各個人は走っているのですが、マルチプロダクト戦略でよく発生する問題、例えば、他チームとの連携が必要なときにスピードが落ちる現象などは、アンドパッドでも発生しています。
―― なるほど、まだ課題が残っているのですね。 では、 "全速力で走り続けられる" 組織にするためには何が必要になるのでしょうか?
自己組織化、持続性の高さの 2 つの要素が必要です。 自己組織化は言葉通りの意味ですが、やろうとしていることは、チーム単体にフォーカスを当てるというよりも、先程上がったチーム連携のときでも、チームが "全速力" を出せるように開発基盤と組織基盤を整備することです。
―― 自己組織化を支える基盤を作るということですね。 もう 1 つの "持続性の高さ "はどういうことを指しているのでしょうか?
プロダクトの価値を長く提供するには、当たり前ですが、開発組織そのものが長く続くことが必要であり、それを持続性の高さと言っています。 そして開発組織が長く続くためには、組織で働く個人が持続的に成長、挑戦、活躍の 3 つができていることが必要になります。
現在、人材成長会議という場を作り、まずは個人の 2 年後を見据えてどうなりたいか、どうなって欲しいのか、というのを 1 人ずつ丁寧に VP や部長たちと一緒に話し合った上でメンバーとの将来のイメージを擦り合わせています。 今後はその人材成長会議をもとに、成長している人をしっかり評価したいと考えています。
―― 前職で実現できた、プロダクト・組織の成長と個人の成長が重なることをアンドパッドでも再現する、ということですね。 まさしく「最高の開発組織」ですね。
そう言われるようにブラッシュアップし続けます。 そして「最高の開発組織」で、プロダクトの成長と自分の成長を重ねられる「最高の開発」をともに実現したいテックリードや専門性を持つエンジニアにアンドパッドに来てもらいたいですね。
―― いい宣言ですね。 今日はありがとうございました!
ありがとうございました!
ごっさんが考える「最高の開発組織」に興味をもっていただけたテックリードやエンジニアの方は、ぜひカジュアル面談や選考にご応募ください! 一緒に「最高の開発」をやっていきましょう!