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速さが鍵!グロースチームのプロダクトデザイナーのシゴト

どうもはじめまして!Wantedly Advent Calendar 2024の14日目を担当する紀平です。プロダクトデザイナーとしてWantedly Visitのグロースチームに所属しています。日々、PdM(プロダクトマネージャー)やエンジニアと協力しながら、UI/UX(ユーザーインターフェース・ユーザー体験)の改善や新しい機能の開発をスピード感を持って進めています。

今日はグロースチームでプロダクトデザイナーがどのように関わり、価値を発揮しているのかをお話ししたいと思います。1日目の安間さんの記事「早くやるとは何か?」や、6日目の川辺さんの記事「Wantedlyグロース開発チームの役割とフロントエンドエンジニアに求められるシゴト」も参考になるので、ぜひあわせて読んでみてください。

目次

  • グロースチームでのプロダクトデザイナーの役割

  • ①プロトタイプを作成する

  • ②プロトタイプからデザインへ

  • ③デザインから開発へ

  • ④リリース前のデザインチェック

  • 成果を最大化するためのデザイナーの心がけ

  • Move Fast-とにかく速く動く

  • Get Things Done-完璧よりは完成

  • 最後に

グロースチームでのプロダクトデザイナーの役割

グロースチームのデザイナーは、ただ「美しいデザイン」を作るだけではありません。グロースチームでは、ユーザー体験を向上させることを目的に、データを活用した改善を通じてビジネスの成果を高めることが求められます。その中で、デザイナーには短いサイクルでの試行錯誤が求められます。仮説を迅速に検証し、デザインの力で効率的にチームの目標達成をサポートする役割を担っています。それでは、デザイナーの具体的な業務プロセスをご紹介します。

①プロトタイプを作成する

現在のウォンテッドリーのグロースチームでは、デザイナーが作成したプロトタイプをもとに、不確実な要素について議論します。たとえば、要件の曖昧さを解消したり、実現可能性について話し合ったりします。その結果を踏まえて工数の見積もりや実行に関する意思決定が行われています。

プロトタイプは要求定義書をもとに作成します。この過程で不明点や疑問があれば、PdMと個別にミーティングを行い、施策の目的や方向性をより明確にします。プロトタイプの役割は、要求を具体化し、不確実性を減らすことで、具体的な要件を構築するための「土台」となることです。そのため、時間をかけすぎず、早めにPdMへ共有してレビューをもらうことを心がけています。このように、プロトタイプを迅速に用意することで、チーム全体での議論が進み、不確実性をさらに減らした状態で次のステップに進むことが可能になります。

プロトタイプを作成する際に重要なのは、デザインそのものにこだわりすぎるのではなく、実際のユーザー体験を考えることです。課題解決の方向性が明確に伝わるのであれば、必ずしもデザインを作り込む必要はありません。画面のスクリーンショットに要素を追加するかたちでも十分対応可能です。

また、要求を達成するためにユーザーに期待する行動、つまり、ユーザーが特定のタスクを完了するまでのユースケースを洗い出し、それが実現可能であるかを常に意識します。この時にCRUD(作成・読み取り・更新・削除)の観点を含めることで、漏れを防ぐことができます。ただし、ここでも考え込みすぎないように注意します。この時点では、複雑な作り込みを避け、最短でユーザーがタスクを完了できる方法を優先的に考慮します。

②プロトタイプからデザインへ

チーム全体での議論を通じて不確実性が解消され、方向性が固まったら、本格的にデザイン作業に取りかかります。ウォンテッドリーには「Wantedly Design System」というデザインシステムがあるため、それを活用して効率的にデザインを仕上げます。

改善施策が多いため、基本的にはFigmaにあるデザインデータを利用し、必要に応じて新しい要素を加えながら素早くデザインを組み立てていきます。この時に、デザイン作業に時間をかけすぎるとエンジニアの作業開始が遅れてしまうため、スピード感を持って進めています。特に新しい要素を追加する場合は、エンジニアとスムーズに連携できるよう、UI Stack(UI構成要素)を揃えておくことも欠かせません。

また、PdMやグロースチームのリーダーとの合意に加え、他のプロダクトデザイナーにもデザインレビューを依頼します。このレビューでは、デザインシステムへの適合性、ウォンテッドリーらしい表現、そしてユーザー体験の観点を重視して意見をもらい、最終的なデザインの品質を向上させています。

③デザインから開発へ

改修内容が複雑な場合、実装を進める中で「この場合の見た目や挙動はどうなるべきだろう?」といった、事前に考慮しきれなかった状況が発生します。最初から全ての仕様を網羅するのは難易度が高いため、ウォンテッドリーではPdM、デザイナー、エンジニアがそれぞれの作業を進めながら、並行してGitHub上で仕様相談を行っています。必要に応じて関連するメンバーを集め、リアルタイムで意見交換を行うこともあります。このように、多様な視点から議論を重ね、仕様を具体化しながら開発を進めています。このプロセスでは、デザイナーだけの視点では見落としていた仕様や、議論の結果、新たに追加された要件に対応することが求められます。こうした連携を通じて、チーム全体で実現性の高いかたちに落とし込んでいきます。

④リリース前のデザインチェック

エンジニアの作業が完了したら、最終的に実装状態の確認を行います。ステージング環境で、想定していたタスクが問題なく実行できるか、挙動に違和感がないかを重点的にチェックします。特に、表層部分でユーザー体験に致命的な影響を与える問題がないかを念入りに確認しています。

どうしても気になる部分やデザインシステムからの乖離が見られる場合は、px単位での修正をお願いすることもあります。一方で、優先度がそれほど高くない項目についてはbacklogに記録し、負債返済日に対応してもらう形を取ります。「理想的な体験をユーザーに届ける」という共通の意識をチーム全体で持っているため、こうした修正依頼にも迅速に対応してもらえます。

成果を最大化するためのデザイナーの心がけ

ここからはグロースチームでプロダクトデザイナーが価値を発揮するための心がけを「Wantedly Value」をもとに考えていきます。6つあるバリューから私が特に意識している2つをピックアップしました。

Move Fast-とにかく速く動く

ウォンテッドリーのグロースチームでは、デザイナーが開発の起点になることが多くあります。もちろん、エンジニアだけでリリースまで完結する施策もありますが、グロースチームの目的が「ユーザー体験を改善し、プロダクトの価値をより多くの人に届け、持続的な成長を実現すること」であるため、デザイナーが起点となるのは自然な流れです。

デザイナーが起点となる以上、その後に続く工程を意識し、迅速に動くことが求められます。たとえば、仕事の流れの中で最初にプロトタイプを作成すると述べましたが、プロトタイプがなくても議論を進めることは可能です。しかし、プロトタイプのような「視覚的なアウトプット」が持つ力は非常に大きく、情報の共有や認識の統一、理解のスピードを大きく加速させます。

プロトタイプがあることで、チーム全体の認識を素早く統一し、スムーズなスタートダッシュを切ることができます。プロトタイプを迅速に作成し、議論を加速させることは、まさに「Move Fast」を体現する行動です。デザイナーが素早く動くことでチーム全体が効率よく施策を進められ、グロースチームの目的に一歩近づくことができます。

Get Things Done-完璧よりは完成

スピード重視のお話をしてきましたが、だからといってスピードを優先するあまりクオリティを妥協していいわけではありません。確かに、スピードとクオリティにはトレードオフの関係がある部分もありますが、本当に重要なのは、限られた時間の中でフィードバックサイクルをどれだけ回せるかです。

どれだけ優秀なデザイナーであっても、一人でデザインを作成しているだけでは最適解を導き出すことはできません。チームメンバーやマネージャー、PdM、PO(プロダクトオーナー)など、さまざまなステークホルダーからのフィードバックを得ることで、初めてデザインの質が高まります。さらにその先のユーザーに実際に使ってもらい、フィードバックや数値データが集まることで、ようやく答えが見えてくるのです。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、細部にこだわりすぎるあまり、全体の進行を妨げてしまっては本末転倒です。重要なのは、どこに時間をかけるべきかを見極め、次の一歩を着実に進めること。ビジネス目標の達成に貢献するためには、完璧を求めるよりも、完成させてフィードバックを回すことを優先する姿勢が必要です。

最後に

グロースチームのデザイナーは、スピードとクオリティのバランスを保ちながら、チーム全体の成果を後押しする役割を担っています。デザインデータを他の人が再利用しやすいよう整理したり、PdMやエンジニアに伝わりやすいように配置を工夫したりすることも重要です。一つ一つは小さな改善に見えるかもしれませんが、こうした工夫がチーム全体の作業効率を確実に向上させます。この記事を通じて、グロースチームにおけるデザインの実務や考え方を少しでもお伝えできたなら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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