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評価のために生きるのは、もうやめよう

株式会社CRAZY(以下、CRAZY)は、「人々が愛し合うための機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」をパーパスに掲げ、婚礼や法人イベントを中心とした事業を運営しています。

今回スポットを当てるのは、南青山にある会場「BENE-」のゼネラルマネージャーを務める今井佳章さん。「BENE-」や「IWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)」といった会場で法人向けイベントの営業・運営やマネジメントも行っています。

CRAZYに入社する前は、ウエディング会社で成績1位の法人営業担当として活躍。しかし、その日々で感じていたのは「漠然とした虚しさ」だそうです。その虚しさの正体に、CRAZYに転職して自分と向き合ったことで気づいたのだとか。今回は、そんな今井さんの入社の経緯や入社後の変化を伺います。

評価を得られれば、幸せになれると思っていた

―まずは、CRAZYでの仕事内容を教えてください。

今井:メインで担当していることは主に2つ。新商品の発表会や周年イベントといった法人向けの催事運営、そして南青山にある会場「BENE-」のゼネラルマネージャーとして、会場の管理や運用なども行っています。

チームメンバーとの1枚

―CRAZYに入社するまでは、どんな仕事をしていたのですか。

今井:学生時代からイベントをつくることに興味があり、ウェディング会社で法人営業をしていました。5年間勤めている間に自社主催パーティイベントや化粧品イベント、ドラマ撮影などいろんなジャンルの企業イベントを約900社担当しました。営業成績トップになったこともあるんですよ。ただ、自分のやっていることにだんだん虚しさを感じるようになってしまって……。

―興味のある仕事で、成績も出していたのにどうしてでしょう。

今井:トップになれば見える景色が変わるというか……成果を出せたら幸せになれると思っていたんですよね。当時は寝る間も惜しんで、命を削って仕事をしていました。その結果1位になって、その瞬間は嬉しかった。でも、僕自身は何も変わっていなかったんです。

“トップになる”ことが目的になっていて、その先の自分がどうありたいかをまったく考えていませんでした。

前職時代(左から一番目)

トップになったら自動的に幸せになれる、と思っていたら違ったと。

今井:はい。目標を達成すれば、希望みたいなものが降ってきて、自分を満たしてくれるんじゃないかと思っていました。でも、自分でもその希望が何なのかは分かっていなかったんです。

今思うと、数字さえあげれば認めてくれる環境に依存していました。他者から評価を得られれば幸せになれると思っていた。だから1位になったら見える景色が変わると思っていたのに、何も変わらなかったんです。

とはいえ、このときはまだ自分がどうなりたいのかも分からなかったし、他者の評価に依存していることにも気づいていませんでした。

CRAZYでは、数字よりも“生き方”を問われ続ける

―それに気づいたきっかけは?

今井:CRAZYに出会ったことですかね。それまでも、「今いる場所を変えて、自分も変わりたい」とは思っていて、転職活動をしていたんですよ。そんなときに、CRAZYのメンバーと話す機会があって。そこで、「これまで出会ったことがないタイプの人だな」と衝撃を受けたんです。

CRAZY入社1年目
転職時に面談をしたメンバーと

どんな衝撃を受けたのでしょう。

今井:この人は自分の意志でCRAZYにいるんだなって、それってすごいことだなって。

それまで、僕も含めて良くも悪くも会社に依存する人をたくさん見てきてきました。「会社がこうしてくれない」「会社のせいでこうなった」と不満を語りながら、会社からの評価に一喜一憂しているというか。

でも、CRAZYで出会った人たちは違った。自分の夢や理想と、CRAZYの目指すものが重なっているからそこを選んでいる。主観的な意志で自分の居場所を決めているのが印象的でしたね。CRAZYには、自分に足りないものを持っている人たちがいる。ここでなら、自分の可能性も広がるんじゃないか。そんな期待から、CRAZYへの転職を考え始めました。

また、その頃のCRAZYはちょうど法人向けのイベントプロデュースを強化し始めた頃。僕の前職での知識や経験が活かせそう、やりたいことがCRAZYでも引き続きできそう、という期待もありました。

―CRAZYに入社してからの変化を教えてください。

今井:CRAZYには2019年に入社しましたが、「変わった」と思えるまでにはかなり時間がかかりましたね。頭では「会社からの評価じゃなくて、自分で決めたい」と思っていても、長年の経験から身についた価値観はなかなか変えられなかった。

入社してすぐにIWAIの立ち上げがあったのですが、そのときも前職と同じように成果のために無茶な働き方をしてしまって。その結果、成果は出せたんですよ。だけど、「幸せ」とは思えなかった。CRAZYに入社してからもしばらくは、前職と同じことを繰り返していました。

社内表彰受賞時の様子

―どうやってその価値観を変えていったのですか?

今井:CRAZYでは、毎週全社MTGがあったり、上長との1on1があったりします。そこでとにかく問われ続けるんですよ。仕事のことだけでなく、“生き方”についてを。毎日のように「自分はどうありたいのか」「自分にとっての幸せとは何なのか」と考えるうちに、徐々に数字や評価に振り回されることが少なくなってきました。

ただ、「変われたな」とはっきり自覚できたのは、最近のことです。

挑戦すればするほど、仕事も人生も豊かになっていく

―自覚できたきっかけを教えてください

今井:僕がマネージャーをしていたチームのメンバーが、1年間で2人から10人に増えたんです。急激にチームが拡大したことで、いろいろ反動もあって……。チームとしてのビジョンやミッションが曖昧なままで、仕事を進めてしまったんですね。その結果が、目標未達でした。

「マネージャーの自分がブレブレだったから、未達になったんだ」「でも、会社も目標を提示してくれなかったじゃん」と気持ちがぐちゃぐちゃで。CRAZYに入社してから何年も経っているのに、未だに会社の評価に依存している自分に気づいて、かなり落ち込みましたね。

まずは自分と向き合わないと、仕事にも仲間にも向き合えない。CRAZYでの仕事を通じてそう実感していたので、自分の気持ちをリセットするために1週間休みをとりました。

―休みの間は何をしたのでしょうか。

今井:特に決めてはいなかったのですが、山登りだけは絶対にしようと思っていました(笑)。でも、それで気づけたことがたくさんあって。

山頂で

山の頂上に到達したとき、目の前に広がる景色に感動したんですよ。それと同時に、「頂上の景色」というゴールは同じでも、そこに至るまでのプロセスが違ったとき、人は同じように感動できるのだろうかと疑問に思ったんです。

例えば、頂上の景色を、お金を払ってロープウェイで頂上まで登って見たときの感情と、滑ったり転んだりしそうになりながら4時間必死に歩き続けて見たときの感情は、同じなのかなって。

いろんな意見があると思いますが、僕は「同じ景色を見ても、きっと後者の方が感動するはず」と思ったんですよね。

その時の自分は、人生をかけて何をしたいのか、何のためにCRAZYに転職したのかが見えなくなっていました。でも、休みをとってじっくり自分と向き合ったことで、最初にCRAZYの人たちと出会ったときの衝撃を思い出したんです。

大事なのは、自分の意志で決めることだった。「誰かに言われたから」「無難だから」という理由じゃなくて、自分で決めて納得したプロセスで歩んでいくからこそ、ゴールにたどり着いたときに満たされるんじゃないかって。このときに、「正解は自分で作るもんだ」とストンと腑に落ちたんです。

―正解を自分で作る、とは?

今井:そもそも「正解がある」という観念を手放すことだと思います。大事なことは、そこに至るまでのプロセスを自分なりにつくることなんじゃないかなって。

山登りに例えると、ロープウェイに頼らず山頂まで登るのはすごく辛くて大変でした。それでも、自分の「挑戦したい」という気持ちに従ったから「これが正解だ」と思える景色が生まれ、それに出会えたんです。

自分の納得できるプロセスで、ゴールまで全力で駆け抜けていく。それが自分なりの正解を作っていくし、その回数を重ねた分だけ、人生が豊かになっていく。それに気づいたら、自分の成し遂げたい未来も、それに向かってどうしたらいいかも、一気に鮮明になりました。

―今井さんの成し遂げたいこと、とは何なのでしょう?

今井:すごくざっくり言うと、世界平和を実現したいんです。もともと僕は、「人類みな兄弟」だと信じているタイプで。一人ひとり生まれてきた環境や価値観は違うけど、元を辿れば地球という同じ共同体に生まれ、生活している。だったら、みんなと仲良くしたいじゃないですか。僕はそれを、企業向けのイベントを通じて広めていきたいんです。

“お客さま”の垣根を超えてつながる

―企業向けのイベントで、どうやって広めていくのでしょうか。

今井:イベントを通してCRAZYを好きになっていただけたら、その企業の方やイベントに参加した方などたくさんの方に再訪してもらえるチャンスがあります。しかも、何度でも。

そうやって関係性を築いていくなかで、CRAZYのパーパスである「人々が愛し合うための機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」を少しずつ広めていきたい。時間はかかるかもしれません。でも、いつか実現できると信じています。

―最後に、もし「自分のやりたいこと」と「会社が求めること」に乖離があった場合、今の今井さんならどんな選択をしますか?

今井:昔の僕だったら、評価を得たいから自分を押し殺して「会社が求めること」に飛びついていました。でも今なら、「自分のやりたいこと」と「会社が求めること」の両方を実現する方法を探します。

自分で決めて挑戦すればするほど、仕事も、人生も豊かになっていきますから。そう気づいた自分のこれからの挑戦を、とても楽しみにしています。

執筆:仲奈々
企画・編集:池田瑞姫
撮影(一部):kuppography
デザイン:岩田優里


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