~LoGoフォームの活用で省内外のDXが加速◇利用自治体とサービス提供元を超えた、トラストバンクと自治体の新しい連携の形~
中津市では、トラストバンクが提供するLoGoチャットとLoGoフォームを2021年4月に導入し、これまで積極的に行政DXに取り組んでいたなか、2022年3月22日にデジタルツールを使って市民サービスを向上させ、業務を効率化した職員を表彰する「Nakatsu DX Award 2021」の表彰式を開催しました。
Nakatsu DX Award 2021ではエントリーされた作品に対して中津市職員間での投票を行い、上位入賞者には賞が贈られました。また今回のアワードでは、エントリーされた作品でLoGoフォームを活用した取り組みも多く、将来的には住民参加型でのアワード開催を目指している中津市から、サービス提供元であるトラストバンクにお声がけいただき、トラストバンク特別賞を設けることとなりました。そして、トラストバンク特別賞は庁内業務改善と住民サービスの向上の双方が実現できている「国保のデジタル窓口化」(保険年金課 小田さん)が受賞されました。
今回は、中津市の行政経営改革・デジタル推進課 森下さん・中尾さん、保険年金課 小田さんに今回のNakatsu DX Award 2021を企画した背景や今後取り組みたいことをお聞きしました。
また、LoGoチャット・LoGoフォームなど行政DXを推進するパブリテック事業を統括する弊社取締役の木澤にも事業を通じてなにを実現したいのか、Nakatsu DX Award 2021など、各自治体様が取り組まれるDX推進事例を通じて感じたことを聞きました。
Nakatsu DX Award 2021の特設ページはこちら
https://www.nakatsudx.com/dx-award-2021
(左から中津市職員中尾さん、森下さん、小田さん)
―― 今回Nakatsu DX Award 2021を実施された目的やその想いを教えてください。
(森下・中尾)Nakatsu DX Award 2021は今回が初年度でしたが、職員自らが日ごろから感じている課題についてDXで課題解決することが目的でした。また、同時に職員が称賛される仕組みをつくりたい、組織文化を変えていきたいという想いがあったためNakatsu DX Award 2021を企画しました。職員をどれだけ巻き込めるかという観点から、ボトムアップ型で参加できること、また若い職員が挑戦しやすい分野がデジタル分野であり、最終的に市民サービスとして自分の想いをそのまま反映できたりすることもありDX分野でのアワードという形で企画しました。
―― 開催にあたり工夫されたことはありますか?
すでに活用実績が出ているものだけの応募ではなく、これから取り組んでいくアイデアベースのものも応募できるようにしました。募集開始の11月時点ではまだ実際に形になっていなくても、職員自身のやりたいという気持ちを後押ししたいと思ったからです。アイデアベースで相談を受けた場合には、行政経営改革・デジタル推進課がサポートし、具体的に形になるところまで一緒に伴走しました。おかげで素敵なアイデアがたくさん形になりました。
―― その中でも、アワード内でトラストバンク特別賞を設置した背景について教えてください。
トラストバンク特別賞を設けてみたいと思ったのは、一つは職員を称賛する仕組みに外部の力が必要だと思ったからです。今回は中津市職員で実施しましたが、ゆくゆくはこのDXアワードで市民投票を実施したいと考えていたので、外部の声が聞きたいなと思っていました。
そんななか行政手続きデジタル化ツールのLoGoフォーム開発元であるトラストバンクさんから特別賞という観点で表彰していただけると職員のモチベーションアップにつながるし、外部の視点からコメントをもらうことがいいのではないかということでトラストバンク特別賞を設けたいなと思った次第です。
加えて、自治体と企業はこれまで発注する側と受注する側でしたが、民間と自治体との関係がパートナーみたいな関係だとトラストバンクさんと仕事をしていて感じていましたし、新しい公民連携の形が見えたからということも大事な点でした。トラストバンクさんとだったら新しい連携の形ができると思ったので、無理を承知でトラストバンク特別賞を設けていただけないかと依頼してみました。
―― Nakatsu DX Award 2021のトラストバンク特別賞は国保のデジタル窓口化(保険年金課 小田さん)が受賞されました。受賞した国保のデジタル窓口化の概要と受賞したときの感想を教えてください。
(小田)受賞した国保のデジタル窓口化では、国民健康保険係で扱う申請手続き3つ(保険証再交付申請、高額医療費支給申請、助成金申請兼口座登録申請)をオンライン化したものです。
これらの申請はこれまで紙ベースで窓口か郵送での対応でしたし、年に一度の申請書の切り替えの時期になると窓口が混雑したり、郵送のため記入誤りや記入漏れなどがあったり、委任状を持参されずに来庁して、再度持ってきてもらう必要があるなどの課題がありました。これら申請のオンライン化により、記入漏れがなくなり、また個人に則した記入内容になるので記入誤りも少なくなること、オンラインでは委任状は必要ないのでもう一度来てもらう必要がなくなることがメリットです。
※本申請はNakatsu DX Award 2021でトラストバンク特別賞を受賞した取り組みですが、住民サービスへの一般公開は2022年度から順次実施予定です。
今回トラストバンク特別賞を受賞しましたが、まさか自分が受賞するとは思わなかったので呼ばれたときはびっくりしました。私が賞をいただきましたが、フォームを作成するうえでいろんな職員に制度についてや申請の課題などをヒアリングし、たくさんの方にご協力していただきました。またNakatsu DX Award 2021のエントリーを知った同僚の方からは「頑張れ」などの温かい声もいただきましたし、今回の賞は自分だけではなく保険年金課みんなでいただいた賞だと思っています。部署内では、応援用のうちわを作っていただいたりもしていたので、受賞後は部署のみんなで喜びました。
―― 小田さんのコメントにもあるようにたくさんの方が協力的に参加したアワードとなりました。実際にNakatsu DX Award 2021を実施してみて企画運営した森下さん・中尾さんが感じたことを教えてください。
(中尾)思ったより注目してもらえたなと思いました。事前のインターナルコミュニケーションを一つひとつしていたこともあり、ノミネートした課だけではなくて、多くの方から声掛けをいただいて、みんなに楽しんでもらえたことがよかったです。
目標であったより多くの職員に優秀な作品やツールが紹介できましたし、また職員のモチベーションアップ、やる気につながることもできたと思います。これを機にみんなで改善意識を高めて、行政経営改革・デジタル推進課としても総務課がもっている職員投票とも今後連携していきたいと思ってます。
(森下)主催者側もアワードは楽しかったですね。Nakatsu DX Award 2021のブログは今後も残していく予定ですし、成功事例だけではなくて失敗したことなども記載していたので、そういったところもたくさんの人に見てほしいです。
―― Nakatsu DX Award 2021を経てこれから中津市でやっていきたいこと、またトラストバンクとやりたいことなどあれば教えてください。
(中尾)ハッカソンみたいなものを開催したり、トラストバンクさんと一緒にワークショップなどしていきたいなと思っています。
(森下)ハッカソンは確かにおもしろいね。LoGoシリーズ縛りでとか、ほかのツールを組み合わせてやるみたいなのもおもしろいと思うし、若手職員も喜んでやると思います。
個人的には自治体向けのデジタルツールを提供するだけではなくサポートも丁寧にしていただいていてトラストバンクさんには感謝しているので、自治体DXのパートナーとして今後もご協力いただきたいと思っています。
◆トラストバンクは自治体と寄り添い、伴走しながら一緒に行政DXを推進する新しい関係を築きたい
―― Nakatsu DX Award 2021についての前に、改めてになりますが、パブリテック事業部としてどういう想いを大事にして事業をスタートしたのか教えてください。
(木澤)トラストバンクの「自立した持続可能な地域をつくる」というビジョンの中で、パブリテック事業部もそれを目指してできた事業部ですが、もともとパブリテック事業部を始めようと思ったのは、自治体の皆さんには困っていることがたくさんあるなと感じたことからスタートしています。
パブリテックが事業としてスタートする際に、4自治体、30課ほどの担当者に自治体業務について「どこが課題なのか、どこに困っているのか、どの業務を何名体制でやっているのか」等をヒアリングさせていただきましたが、そのときに民間企業だと時間がかからないことや苦労しないこともセキュリティが強固な自治体のネットワーク・システム環境だからこそ強いられていることがたくさんあるなと、そのヒアリングを通じて感じました。
例えば一例ですが、PC間でデータを移すときにネットワークでつながっていないため、わざわざUSBにデータを落として、情報システム部への許可をもらいに申請を紙で書いて、承認が取れたらやっとUSB経由でデータの移行できる。ただその業務だけで30分近くかかっていました。
このような業務が多いと自治体が本来注力しなければならない地域に大事な業務や価値が生み出せないなというところからパブリテックの事業は始まっています。
ですので、パブリテック事業部では、自治体職員が本来持つ力を最大限発揮できるツールや武器みたいなものをお渡しして、自治体が本来注力すべき業務により時間がさけるようにしたいという想いを持っています。
―― パブリテック事業部がスタートして多くの自治体にLoGoシリーズが導入されるようになりました。そして今回の中津市さんがNakatsu DX Award 2021を実施しましたが、トラストバンク特別賞の依頼があったときの率直な感想を教えてください。
「トラストバンクとだったら新しい連携の形ができると思ったので依頼した」とお聞きしたときは純粋にうれしかったですね。
これはパブリテックのメンバーとも話していることですが、事業部としては自治体職員の隣で仕事をしているかのようにサポートしていたり、必要な情報を提供したり、使い方を学んでもらっていたり、一緒に働いている気持ちで日々業務に取り組んでいます。
もちろんサービス提供元とそれを使ってもらっている側という立場はありますが、気持ちとしてどれだけ寄り添って伴走できるかということです。そして、どういうものを目指していくのかを自治体と一緒に話して作っていくことを大事にしてきました。
今回、Nakatsu DX Award 2021でトラストバンク特別賞のお話をいただいたときは、DXアワードという中津市さん内での大切なイベントに「行政DXを推進する同じ仲間、パートナーとして参加してほしい」というメッセージだと思いました。そこは僕らの目指している自治体さんとの関係性だったこともあり、お声がけをしていただけたのは本当にうれしかったです。
―― パブリテック事業部として今後自治体さんとやっていきたいことなどを教えてください。
自治体同士などの横の関係をつないでいければと思っています。
LoGoチャット、LoGoフォームでもすでに知恵の共有や経験の共有ができる機能があります。例えばLoGoチャットだったらユーザーグループというLoGoチャットユーザーであればだれでも参加可能なテーマごとのトークルームがあり、そこで知りたい情報について意見交換やノウハウが共有されています。LoGoフォームであればテンプレートの共有機能を使い、同様の業務を担う他自治体にフォームのテンプレートをシェアして業務の効率化を図っています。
自治体同士は競合や敵ではなく、同じような業務をしていることが多々あるので全国の自治体さんの知恵が集合すればとてもいいものができると私は思っています。そういう知恵の集合を促進できるものをもちろんサービスの機能として今後も取り入れていきたいですし、アナログな活動としても、我々をハブとしていろいろな自治体さんをつないだり、セミナーやイベントをやりながら全国のいい取り組みの事例を共有したり、逆に失敗した事例も共有できればいいなと思っています。
日ごろから自治体さんとお話していると、自治体職員は、「住民サービスの向上ってどうやったらできるんだろう」ということを真剣に考えているのを感じています。それが環境や手段がなくてできなかっただけで、「これをやったらあれができる、そうしたら住民が喜ぶのではないか」ということが、我々から提供しているLoGoシリーズのサービスや活動のなかで広がればいいなと思います。
全国の自治体職員からLoGoシリーズと出会って住民サービスの向上につながることができることにより「いつも以上に前向きに明日もお仕事をしたくなる」という声をいただきますが、まさに全国の自治体さんが「明日もお仕事をしたくなる」ようなそんな活動をし続けていきたいなと思いますし、今回のNakatsu DX Award 2021もすごくいい取り組みなので、今後いろんな自治体さんにも紹介していきたいと思っています。
弊社では、今後の行政DX推進において、共に創る「共創」をコンセプトとして、中津市さんの行政DXをより一層伴走しつつ、全国の自治体の皆様とも、「利用自治体」と「サービス開発元」という関係性を超え、信頼と実績を紡いていきたいと思います。