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ChatGPT 及び関連技術 による市場の影響予測と弊社対応について(2023.3.27時点 ITの歴史)

さわってみた? いやー、やばいねー。
まださわってない人。よくわからん。って人も理解できるように書いてみるよ。

なお、大きなインパクトを体感する様になるには、いくつか超えねばならない壁もありつつですので、現時点で大きな影響を受けた人はまだ少ないかもしれません。ただあれ、どう見てもカネになるよね。投資され、問題を解消し、大きく普及していくのは時間の問題に過ぎないと言えるかと思います。

IT業界では雑に10年に一発くらい、『これはキャズム超えてくるな』って確信できる技術が生えてくるもんなのですが、まさにそんな印象を受けました。

GPT-4 のリリース以降、ChatGPTやGPT-4を利用して、『こんな風に便利に使えるぞ!』ってネタはすでにたくさん流れてるので、本文章ではそっちよりも、市場の予測、個人として、会社としてどう対処する?みたいな話を考えてみたいと思います。

こういうネタは、あとから振り返ってみるのも面白いしね。

※キャズム:イノベーティブな新製品が、実際に市場に受け入れられるかどうかの崖


1.ChatGPTって、なによ

これはググレカスで済む内容なので、簡潔に。雑に理解できる様に書ければと思うが....。

OpenAIと言う非営利の研究団体が『GPTシリーズ』と言う自然言語生成モデルを利用した、チャットアプリの事です。日本語を含む様々な言語で雑に命令すると、いい感じに日本語で返答してくれます。

このように、いろんなサボりへの利用法が考えられますね。

なお、ジョークに自信があるかのような反応をしますが、正直、センスはびみょうです。
(これは無償版なので GPT-3.5 なハズ。GPT-4だと爆発的に面白いこと言う可能性 微レ存)


ChatGPTがプロトタイプとして公開されたのが 2022年11月30日
2カ月程度でアクティブユーザー数が1億人に。

2023年3月14日に自然言語生成モデルのバージョンアップでGPT-4がリリースされ、さらに注目が加速したという流れ。つまり、世に出てから半年たっていない段階です。

普及スピード・進化のスピードは異常と言え、今回に関してはのんびり構えてるヒマはないかもしれません。


2.得意なこと・苦手なこと

ディープラーニングを利用しているらしく、その得意不得意がそのまま出てくる印象です。

機械学習全般に言えますが、得たデータから統計的な手法でパターンを抽出し、データを自動的に学習していく訳ですが。要は、過去の蓄積から最善を選び取る様な話になりますので、ゼロからイチを産むような作業や、他と差別化された内容を吐き出すような作業は不得意ではないかと思われます。

逆に、定形的な作業は得意と言う訳で、たとえば先ほどの応募メールの様なものは得意。
定形的な事務作業の多くも得意なモノであろうと推測できます。一見クリエイティブに思える作業も、過去の蓄積から、似たものを一瞬で生み出すことができてしまいます。上手く使えば、とある作業の作業量が激減、その作業の雇用も激減。みたいな予想が立ちます。

プログラムも生成可能で、命令次第ではリファクタリングなども可能ではないかと思われ、プログラマーの仕事を奪ってしまうという不安から、ネット上のプログラマー界隈でも話題になりました。

そのほか、『知ったかぶり』をしてしまいます。
※エン猫構文は、ローカルなネタなので、ChatGPTは知る由もありません。

同シリーズの自然言語生成モデルを使用しているBingは検索で引っ張ってきた情報も参考にした結果を出せますので、かなり近づきましたが、エン猫構文の説明に関しては完全に間違っています。
(後半はかなり合ってますので驚きました。と言うかこれ、検索してなくない?)

AI使えばもう、Google検索はいらない! って意見もよく見ますが、この『知ったかぶりの様な返答をしてしまう』問題がある限り、AIの回答が正か誤かを人間が判断する必要がありそうです。
また、ネットを検索した情報を使う場合、ネット上の情報が正か誤かによらず影響を受けてしまう訳ですので、厄介な『アフィリエイトブログで検索結果を埋めつくす』広告手法は、現在のところAI検索に対しても有効で、むしろChatGPT等を記事作成に利用し、アフィ記事爆増の恐れが出ていています。

※これ誰やねん。って返答が出た。

このように嘘や間違った情報を生成してしまう事をAIの分野ではHallucination(幻覚)と呼ぶ?様ですね。ぼくもAI検索からたどった情報なので、どのくらい正確な情報かはわからないのですが。


3.実務に利用する上での障害。

ひとつめ
は、上記の『知ったかぶり』をしてしまう事です。
業務利用で、特に顧客向けのサービスとしてGPTを利用した場合、この『知ったかぶり』をしてしまう事は大問題です。顧客に損失を与えかねません。これでは対顧客の作業を任せる事ができません。

プログラムに利用するにしても、生成されたコードが目的に対して正しいものかどうかについては、エンジニアが判断する必要があります。

なお、現在最新のGPT-4では、この問題もかなり減少できたとの事で、研究者側もこの問題を重視、解決する事に労力を投入していることがうかがえます。ほか、用途を限定し、限定した範囲の内容に対して集中的に教育を行うか、なんらかのロジックで制御すれば、かなり限定できてしまうのではないかとも推測できます。

いずれにしても、現時点では技術的な問題が存在。
これを乗り越えた瞬間に、利用範囲が一気に広がるものと思われます。


ふたつめ
は、GPTの教育に、ユーザーが投入したデータが使われている可能性が高いことです。
ChatGPT君はこのように言ってくれていますが、OpenAIはGPT-4の構築に用いたデータセットやトレーニング方法については非公開としており、いまのところはデータセットに何が使われているかは不明瞭です。

業務利用では、顧客が勝手に個人情報を突っ込んでしまう事も想定できる訳で、それらの情報の安全性の担保は重要なファクターになってきます。とりあえず、現段階では、業務のソースコードや顧客の情報をChatGPT君に食わせたりしてはいけません。安全が確保される流れを待ちましょう。


みっつめ
ですが、これは当然の話になりますが、『一般的なものを出力する話ほど得意・非典型的なものを出力する話ほど苦手』と言う点から、特定の個人や企業の、複雑なコンテキストなどを読み取って出力する事が苦手です。そのようなものは人間が読み取り、細かく命令や制限に置き換えて伝えてやる必要があります。特に企業の業務などは、競合と戦うために差別化された部分が存在します。(差別化をなくすと強みも無くなる)これらは非典型的なモノとなる為、人間による補助が必須と考えられます。

また、常にチェッカーが必要になります。AIは思考はしませんので、結果が妥当かどうかは人間が判断する必要があり、根拠も人間が用意する事になります。妥当性・根拠の判断をする為に、結局チェッカー役の人物の専門性は、その業務を遂行できるだけのレベルが要求されます。

この高い専門性を持ち、抽象度の高いものをコンテキストにまで配慮して、AIに対するプロンプト(命令)を作成できる、具体化能力を持つ人間は現時点でも優秀層に含まれる人材で、この人材の少なさがその産業におけるAI利用の制限となってしまい、産業によってはAI導入はあまり効果的でないと判断される可能性があります。

※ChatGPTは、命令の際に『明確な文言を使用する』『なるべく正しい文法で』『背景や前提条件を入れる』『制限をかける』『ChatGPTのモデルを調整する』などによって、結果の精度を上げる使い方ができる様です。


4.各市場への影響は?

前項で説明した諸問題が解決されれば、AIは、複数の産業で、特にメンバーレベルの業務を奪う事が想定されます。
現在よく言われているのはこのへん。

・イラストレーター
・カスタマーサポート
・医療
・法律

例外的な作業が求められ辛く、決まった作業、繰り返しの作業が多い(学習しやすい)
長時間稼働の需要がある・労働集約的である。労働人口が多い(コストメリットが出やすい)
作業をさせるのに、特別なハードウェア(ロボットなど)が不要である(安い)
すでに分業されており、責任・役割が明確(プロンプト作りやすい)
様な条件がそろっていればいるほど、導入しやすいと言えます。いや、結構思いつくよねそういう職場。


プログラマーの話に触れますと、テクニカルアーキテクトやシステムエンジニアのレベルの業務では、抽象的な内容を具体化する事が要求される為、AIでの代替は不向きとなります。が、言われたことを実装するだけのプログラマーですと、かなり代替が可能になってきます。
プログラマーを代替する為のコード生成ツールなどは過去にも何度も導入されようとしてきた背景があり、その都度失敗をしてきた印象なのですが、今回はすこしアプローチの違う技術ですので、今度こどうまく行ってしまうかもしれません。IT業界では、うまく行くならば、導入・普及が一瞬で進む下地はあると言えます。

また、昨今の質の低い会社やエンジニアの増加、高収入化、なども代替品の普及を後押ししてしまう要素となります。


そのほか、コールセンターなども早期の導入が想像できます。労働集約的な業務である為、コストの低い地方や海外で大量に人員が動員されていますが、このコストが浮く事になります。また、24時間体制の対応も安価に実現できます。クレーマーの対応もAIが行うとなれば、メンタルヘルスによる問題も発生しません。

Microsoft OfficeにもGPT-4と連携する流れがある様で、IT事務や、書類作るだけPMOなどの代替が進む可能性が高いかなと思います。


※経産省:第3回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 の資料


まとめますと、チェックに高い専門性が不要な単純なデスクワークをアウトソースで請けている業態が割と危険です。効率化による需要減。または、プロンプト作成にみなが対応したとしても、効率向上による供給過剰が考えられ、こうなると派遣やSESの領域での雇用激減や、急速かつ大規模なリスキリングの需要の発生が考えられます。


●プロンプトエンジニアリング

言語モデルの性能を効果的に引き出すために、適切な指示の形式をとる技術のこと(の様)です。
いつものパターンですが、この手のカタカナ語の職種が人材界隈で有難がられ、短期的に高い市場価値を得る事が予想できてしまいます。『プロンプトエンジニアでイッセンマン』的な話ですね。AIには得意不得意がある訳ですから、実際、これをじょうずに使いこなすスキルは当面の間、需要が高そうです。

しかしながら、この新職種に『特化しすぎ・全振りしすぎ』なムーブは避けた方が良いかもしれません。

性能の向上が著しい技術分野である事が、その理由です。
現在は、『適切な指示の形式』が必要となっていますが、近い未来、これが低ハードル化する可能性があります。それにより一般人でも同様に使いこなせてしまう様になる可能性があります。

プロンプト作成の能力が陳腐化しますと、結局、高度な専門性や抽象的な要素の具体化の能力が要求される事となります。ですので『特化しすぎ・全振りしすぎ』ではなく、現在持っている専門性や、コンテキストの理解能力は維持・高めたうえで、サブスキル的にプロンプトエンジニアリングに手を出していくのが良いのではないかなと思います。


5.BAMVの対応は?

BAMVの立ち位置はちょっと微妙で、幸か不幸かリアル少数精鋭みたいな組織になっているので、今すぐ代替される危険はないものの。先端技術(?)を使用する路線で他社と差別化されている部分があるので、そのような投資案件にはついていく必要があり。無視はできないという状態。

(レガシーな領域では影響が遅く来る事が推測できるが、そもそもBAMVはレガシー領域では優位性を持たず、遅かれ早かれ淘汰されてしまう。影響の少ない領域へ逃げるというのは、BAMVとしては下策。ということ。)

もともとBAMVは、コードの自動生成ツールや特定のパッケージなどに依存する戦略は取っておらず、GPT関連のツールであっても、それを積極使用する立場を取るというのは戦略の転換を意味します。それなりに組織へ影響のある話です。

その必要性について見定めつつ、必要ならばすぐ対応できるように、ChatGPT関連の技術的な調査(と言うかおためしでいろいろやる程度)や、市場へ投入される関連サービスや商品の情報収集、市場の動きなどは注視する必要があります。

人間は個人によって感じかたもバラバラですから、一つの新しいプロダクトに対して自社内の全員が一度に同じ反応をすると言う事はありません。会社の方針として『注視すべし』と打ち出して、なるべく全員のアンテナを使って、変化に即応する体制を取ります。(その準備をします。)


なお、GPTシリーズを利用したサービスやプロダクトを担ぐ路線の会社もあると思いますが、『3.実務に利用する上での障害』で説明したように、現段階ではリスクを感じます。

リスク無用で突っ切って、結果、生存する者もあらわれると思いますがそれは文字通り結果論なわけであって、現時点(2023.03.27)で、リスキーな挑戦をしかけるメリットは、BAMVには無さそうです。
っつか。顧客の情報の扱いがなぁ...

※この時点で、TRPG的なゲームなど、『知ったかぶり』『データの扱い』『プロンプトの難しさ』などの問題の影響を受けない(むしろ面白さである)コンテンツは登場していました。いや、これはうまいなーと。アイデア次第やねぇー。

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