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9桁規模の大規模案件にも携わる若き羅針盤。敏腕プロジェクトマネジャーの軌跡と頭の中を探ってみた。鍵は圧倒的な「凪」力?

「IT企業」というとエンジニアが主役のイメージがありますが、テクニカルな仕事をビジネスとして回していく過程にはその他にもさまざまな役割の人が不可欠です。クリエイティブ・テックエージェンシーTAMも例外ではなく、日々いろんな役割のスタッフが奮闘しています。

本日はそのうち、社内でも「敏腕」の呼び声の高いプロジェクトマネジャー・神嵜雅弘さんにお話を聴きました。

32歳にして予算9桁規模の案件にも携わる同氏の仕事ぶりはまさに「凪」のような安定感。しかし、なにがあっても転覆せずにプロジェクトをリードする圧倒的な安定感の根源には、どのようなモチベーションがあるのでしょうか。

第二新卒で飛び込んだIT業界で、いかにして現在の地位を築いたのか。仕事を着実に遂行するメカニズムとは? 若手ビジネスパーソンたちのヒントになればと、信頼を誇る若き羅針盤の頭の中を探ってみました。

キャリアを考え、第二新卒でIT業界に飛び込んだ

―まず、現在どんなお仕事をされているか教えてください。

神嵜:TAMで請け負うWebアプリ開発、コーポレートサイトの制作やメンテなど、さまざまな案件のプロジェクトマネジャー(以下、PM)をしています。

案件の規模によって私のPMとしての関わり方も違ってくるのですが、例えば、数千万円以上になると先輩のPMが統括して、私はその下で現場の仕事のマネジメントをすることが多いです。こうした案件だと、自社とクライアント以外にもいろんなパートナーが含まれるので、複数の組織が協力し、チーム構成も50名程度になる場合もあります。

自分がプロジェクトリーダーを務める案件は予算1000万以下、プロジェクトメンバー10名弱くらいの規模のものが多いです。そういった案件では見積もりからスケジュール、進行、品質の担保まで自らが中心となって担当します。

株式会社TAMTO プロジェクトマネジャー / ディレクター 神嵜雅弘
1993年生まれ。ケーブルテレビの営業、SIerのITエンジニアを経て、TAMにディレクターとして入社。現在はITエンジニアの経験を活かし、CMSを導入したコーポレートサイト制作やWebアプリケーション開発のプロジェクトに従事

―どのような経緯でこのキャリアにたどり着いたのでしょう。

神嵜:大学時代はイベント関連のバイトをしていて、卒業後は地元のローカルメディアに就職しました。営業職だったので、成績など数字で評価される役割ではあるのですが、アグレッシブに開拓するよりも、一度契約したクライアントと誠意を持って関係を続けて、長期的にいい結果を生むことを意識していました。

ただ、「年功序列」のような会社に古風な部分があったりすると、自分の価値観とかみ合わないと感じることがありました。それで「スキルがあれば年齢に関係なく評価されるIT業界で働きたい」という思いが強くなり、まずは現場の仕事を知ろうと第二新卒として前職のITエンジニア職に転職したんです。

1年間がむしゃらに経験を積んだのですが、勤務スタイル的に他の社員との交流がないのが物足りなく、アットホームで風通しのいい会社で働きたくて3社目にTAMに転職しました。

TAMは大手企業の案件を多く手掛けていることも魅力でした。もともと人目に付く、自分の経験としても力になるような大規模案件をやってみたかったんです。今32歳で、社会人経験は今年で10年目になりますが、入社して4年の私が大規模プロジェクトに携わらせてもらえているのは、TAMならではの社風だと思います。

大規模案件ならではの難しさと醍醐味

神嵜:大規模プロジェクトはコミットする人数も多いし、システムも複雑になるので、意思疎通の難度が上がる実感はあります。それは一緒に仕事するエンジニア、クライアント双方に関して言えることで。

例えば、初期は私が作った仕様書の精度が低かったせいで、エンジニアに「この書類のこの指示はどういう意図ですか?」と確認させてしまって、申し訳ない思いをしたこともあって。彼らが仕事をしやすいように仕様の定義を精査したり、週一のミーティングで進捗を共有したりもしました。

一方、クライアントに対しても、大きな案件はちょっとしたボタンの掛け違いが大問題につながるような難しさはありつつ、やはり携わった後は自分のプロジェクト進行に対する解像度が上がったと思います。クライアントとの会話の中で、自分で答えられることも増えて、こうなるとクライアントからの信用が得られて、提案が通りやすくなる感触があります。

通常の企業では、この勤務年数ではまず任せてもらえないような大規模な案件に上流から関わらせてもらったことは、私にとって大きな意味がありました。やはり経験の力は大きいです。

「バックキャスト」的思考とTAMのWDP制度

―大規模案件は大変なのでやりたくないという人もいますが。

神嵜:それはもちろん大変なので、短期的にはやりたくないとも言えます。でも、私は長期的な目標から逆算して考えるタイプなんです。

最終的な目標を「どうせ仕事をするならある程度の収入が欲しい」という点に据えたとして、そのためにはPMとしての評価を上げていかなければならない。そのためには、PMとして大きな規模と人数をさばけるようになることが必要。そうなるには、少しでも早くそれなりの規模の案件をさばく経験が役立つ。なので今ちょっとがんばりたいな。こんな風に考えるんです。

IT業界に入った時点でもう一社目で4年ロスしていたので、それを巻き返して、新卒からITでやってきた人たちと同じ土俵で戦うには、戦略的に考えて頑張らないといけなかった。

そういう意味では、TAMの「WDP」という制度がとても助けになっています。一人ひとりのキャリアについてメンタリングを行うのですが、今年の目標を立てて、2カ月に一度メンターと一緒に振り返る時間を取るんです。これがないと、どうしても日々の案件に埋もれてしまって、ロードマップを引いて進捗を常に確認するのはなかなか難しいと思います。

現在は、システムやWebアプリのような高度な技術が必要とされる大規模案件を5年以内にさばけるようになりたいので、ここ1〜2年で中規模でテクニカルな案件を手掛けたいなと思っています。

神嵜式「大変なときの乗り越え方」

―大規模案件が始まってから、「手に負えない」「こんなの自分の専門外だ」と感じることはありませんでしたか?

神嵜:たくさんありましたよ(笑)。メンタルの上がり下がりはあまりないタイプなので、辞めたいと思ったことはないですが、やはり大規模な仕事なので、「情報量が多い」と感じるときはありました。5000〜6000行のエクセルファイルを夜中まで処理したり。

―大変な案件でも、「情報量が多いと感じた」と表現されるのは、凪な神嵜さんらしいですね。TAM代表の爲廣さんが、夜中に会社の電気が点いているのを見かけて、入ってみたら神嵜さんだったことがあって、すごくそのときのことを覚えているらしいんですが。

神嵜:そんなことありましたっけ?あんまり覚えてないです(笑)。

―それくらい大変さを感じさせない安定ぶりに定評がありますが、どうやって乗り越えたのでしょう?

神嵜:大変さを乗り越えるために心掛けたのは、まずとにかく「密にコミュニケーションを取ること」です。

ターゲットユーザー層と共通点がありそうな社員にインタビューしてニーズを分析したり、不安や分からないことは自分で調べたうえで統括と日々話して一つずつ潰したり、クライアントと話して方向性を定めたり、エンジニアさんと密に対話して自分の知識不足を埋めたり。

丁寧に進めていて納期がタイトになったり、しんどいときはさすがにちょっと寝つきが悪くなったりもしましたが、気合で乗り越えました。

―大変さを乗り越えるにはどのようなマインドセットが必要でしょう?

神嵜:私は良くも悪くもポジティブで、「あらゆる経験は絶対自分にとってプラス」だと考えています。遅かれ早かれ、当たる壁なら早いうちに経験したほうがいい。それだけ期待されているということでもあると思いますし。

もちろんしんどいときはありますが、「納期がある」ということは「終わりがある」ということなので、「その終わりに向かって、今頑張ろう」と考えます。

一方で、常に複数のプロジェクトが同時進行で進んでいるので、どれかがうまくいっていれば気持ちのバランスを取りやすいという面もあります。

―夜中にエクセルを処理したり、気合で乗り越えたり、少し古風な面があるんでしょうか?

神嵜:私は「もう少し収入が欲しい」とか、「誇りを持って人に話せる案件をやりたい」という思いとか、「新しい技術を使ってみたい」という好奇心が強いので頑張れるんです。昔からずっと同じことをやっているのが苦手で、成長している感がないと苦しいんです

こうなったきっかけの一つは受験勉強かもしれません。僕は勉強を始めたのが遅かったしやり方も悪くて、全然いい大学に行けなかったんですよ(苦笑)。高3になってから一日10時間とか勉強したんですが、そうすると頑張っただけリターンがあって、努力する習慣がつきました。

「後れを取った分、頑張ろう」というのは、IT業界でキャリアを始めたときと同じパターンかもしれません。逆に言えば、遅ればせながらでも興味がある世界にはチャレンジできるタイプです。

若いころの自分と第二新卒世代へのアドバイス

―第二新卒で現在のキャリアに疑問がある人や、IT業界に興味がある人にアドバイスはありますか?

神嵜:職種にもよると思いますが、とにかく成果物を作るために手を動かしてみることでしょうか。YouTubeでもなんでも参考にして、エンジニアならプログラムを書いてみる。

「一年でここまで行く」とかこまめな目標設定も大事かなと個人的には思います。「5年後、10年後にこうなっていたい」という目標を描くことが大事で、そうすれば今やるべきことが見えて、「仕方ない、頑張るか」と思える。

荒業ですが、お金をドンと払って教材やスクールに投資してしまうと、「払ったからには頑張らないと」となるかも。最終的に転職しなくても身につくものがあります。まず手を出してみて、辞めないための仕組みを作ることでしょうか。自分の気力だけだと限界があるので。

IT業界ってスキルを身につけるほど扱える案件も広がるし、若くても、結果に対してリターンが必ずある業界なので、迷わずに進んでほしいです。私自身がむしゃらに量をこなして、自分のやってみたいものを手を動かして作ってみた経験は、今でも生きています。

「第二新卒」ということにハンデを感じる必要もないと思います。私自身、業界に入ったのは26歳でした。採用する側からしても、20代半ばの若い応募者が、少しでも手を動かした経験があっていい人材であれば、インターンを挟むなりして、「ちょっと採用してみよう」となるのではないでしょうか。

[取材] 岡徳之 [文] ウルセム幸子 [撮影] 高橋良和
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