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日銀・金融庁からマネーフォワードへ「Fintechという新しい産業を育てる。それが僕の使命」

こんにちは。マネーフォワード広報です。

今回は、日本銀行(以下「日銀」)・金融庁を経て、本日マネーフォワードに入社した神田さんへのインタビューをお届けします。金融庁出向時代のお話、Fintechとの出会いからマネーフォワードへの入社、これから実現していきたいことなどを伺いました。

語り手

神田 潤一
1994年東京大学経済学部卒業、同年日本銀行入行。2000年に米イェール大学より修士号取得。2004年より日本銀行金融機構局で、主要行や外国金融機関等のモニタリング・考査を担当。2011年に日本生命に出向し、運用リスク管理を担当(2012年まで)。2014年より日本銀行金融機構局 考査運営課市場・流動性リスク考査グループ長。2015年8月から2017年7月まで金融庁に出向し、総務企画局 企画課 信用制度参事官室 企画官として、日本の決済制度・インフラの高度化、およびフィンテックに関連する調査・政策企画に従事。

インタビュアー

柏木 彩 (広報)
インタビュー・編集・撮影担当

「外」と関わり続けた日銀での23年間

柏木:神田さん、改めて本日からよろしくお願いします。「金融庁の神田さん」とこれから同じ会社で仕事をするって本当に不思議です。

神田:僕も、数か月前まで想像していませんでした(笑)。

柏木:(笑)。頭の中が「なぜ?」でいっぱいなのですが、順番にお伺いしていきたいと思います。よろしくお願いします。

神田:こちらこそ、よろしくお願いします。

柏木:まず、神田さんは23年間日銀に在籍されていましたが、どんな23年間でしたか?

神田:すごく刺激的で、振り返ってみるとあっという間でした。

柏木:具体的にどんなお仕事をされてきたんですか?

神田一番長く携わっていたのは「考査」という仕事です。のべ10年くらいですかね。

柏木:「考査」ってイメージつかないんですが…どういったお仕事なんでしょう?

神田:金融機関の経営改善のためにどんなことが出来るか、リスク管理をどうしていくのか、というようなことをそれぞれの金融機関と一緒に考えていく仕事です。

柏木:金融機関へのコンサルティング、みたいなイメージでしょうか?

神田:そうですね。一方的にアドバイスをするというよりは、一緒に課題解決に取り組んで、必要であれば政策に反映する、というような仕事でした。

柏木:なるほど。神田さんは出向もご経験されていますよね?

神田:はい、1度目は日本生命、2度目は金融庁。両方とも2年弱の出向でした。

柏木:日銀の外で働くってどんな感じなんですか?

神田:もともと「日銀の外の人と仕事をしたい」と思っていたので、とても楽しかったです。日銀から外に出てみると、カルチャーも違うし、仕事の進め方も全然違うんですよ。

柏木:私たちも金融機関や金融庁の方々とお仕事する機会が増えてきたので、その違いというのは何となく想像がつきます。

神田:今のFintech業界もそうだと思いますが、立場が違っても皆で同じゴールに向かって進み続ける、そういうのが好きなんです。出向してみて、外部の人たちと仕事をすることの楽しさを知ることができました。外でもやっていけるという自信もこの時につきましたね。

柏木:のちほどお聞きしますが、金融庁に出向されていた時も、神田さんはいつの間にかFintechコミュニティの中心にいらっしゃった気がします。

神田:中心にいたかどうかは分かりませんが、常に金融庁とFintechベンチャーの距離を近づけたいと思っていましたね

(入行1年目、職場での1枚)

想像以上に面白かったFintech

柏木:そもそも、神田さんがFintechと出会われたのはいつ頃なんですか?

神田:2015年の8月、日銀から金融庁に出向になった時です。

柏木:その頃ってまだ今ほどFintech関連の議論は活発じゃなかったような…。

神田:そうですね。金融庁でFintechに関する議論がちらほら出てきていた頃です。

柏木: Fintechについてどんなイメージをお持ちだったんですか?

神田:言葉自体は耳にしたことがあったのですがはっきりとしたイメージはなくて、異動の1週間前からネットで検索しまくっていましたね(笑)。日銀からも初めてできたポストだったので、前任者もいなかったんです。

柏木:突然知らない分野に飛び込むことになって、不安はなかったんですか?

神田:直感で「金融業界の歴史が変わる瞬間に立ち会えるかも知れない。これは大きなことが起こる。」って感じたんです。金融庁に初めて出勤するときは、ワクワクしていましたよ。

柏木:なんだかすごくベンチャーっぽいですね(笑)。実際にこの2年間、どんなことに取り組んでこられたんですか?

神田:金融庁の立場で、Fintechという新しい産業を推進していくための調査や政策作りに取り組んできました。

柏木:政策を作るとなると、金融機関だけでなくFintechベンチャーとの対話も必要になりますよね。これまでどんな風にベンチャー企業と関係性を築いてこられたんですか?

神田:金融庁ってなんとなく怖いイメージがあるじゃないですか。出向して約1か月後に「FinTech協会」が設立されたんです。そこで挨拶をすることになったんですが、僕が挨拶で壇上に上がった途端、皆さんシーンと静まり返っちゃって。

柏木:なんとも言えない堅苦しい雰囲気…想像できます。

神田:金融庁とベンチャー企業の距離を痛感した瞬間でした。こんな状況だと腹を割って対等に話せない、まずいな…と壇上で感じるほどです。

柏木:それで、どうされたんですか?

神田:実は、挨拶した後にオペラを歌ったんです。協会設立のお祝いの気持ちを込めて、椿姫の「乾杯」という曲を。

柏木:え、突然歌われたんですか?皆さんびっくりされたでしょうね(笑)。

神田:今考えると僕も相当切羽詰まっていたんでしょうね(笑)。でも、そこで一気に距離が縮まったんです。皆さんの警戒が解けたといいますか。それ以降、「金融庁の歌う人」として知られるようになって、日経FinTechの創刊記念パーティーとか、色んな会で歌うようになりました(笑)。

(写真提供:Goodway)

柏木:最近では神田さんの歌を楽しみにされている方もいらっしゃいますよね。「今日はいつ歌ってくれるんだろう」って。私もいつも神田さんの歌声には聞き惚れています。歌は昔からお好きなんですか?

神田:歌うことは昔から好きですね。小学生の頃から合唱部に入っていて、全国大会で2回優勝したこともあります。最近ではオペラを習っています。

柏木:すごいですね…。

神田:日銀からアメリカのイェール大学に2年間留学していたのですが、その頃も時々我が家でホームパーティーを開催して歌っていました。

柏木:もともと社交的でいらっしゃるんですね。神田さんがFintechコミュニティにすぐに溶け込まれたのにも納得です。

神田誘われたら基本的に何でも顔を出すようにしていました。最初の歌で警戒心を解いて、顔を合わせているうちに打ち解けて。そうしているうちに、ベンチャー企業の方々とも気軽に話ができる関係になっていきました。

柏木:実際にベンチャー企業の方々と関わってみて、どんな印象を受けましたか?

神田:とにかく皆さんエネルギッシュ。パッションにあふれていて、高い目標に対してがむしゃらに走り続けているんです。それでいて、ライバル同士であってもお互いに尊重し合っていて。今のFintechベンチャーは、皆で一丸となって同じ未来を目指して切磋琢磨しています。こういう人たちと一緒に仕事できることが、純粋に、本当に楽しかった。こんなに面白い世界があったんだと思いました。

柏木:金融庁などの省庁にはどうしても堅いイメージがありますが、私たちも、神田さんのような方がいらっしゃるんだと感動しました(笑)。確かにどの企業も次から次へと新しいサービスを生み出したり、金融機関との提携を進めていたり、とにかく変化し続けていますよね。

神田:会う度にステージがどんどん変わっていくベンチャーを間近で見られたことは、刺激的でした。金融業界が変わっていくのを実感しましたし、これからももっともっと変化していくと確信しています。

(金融庁への出向を終えられた神田さんに感謝する会。Fintechコミュニティーの皆さんと。)

金融庁への出向を終え、マネーフォワードへの入社を決意

柏木:金融庁への出向を終えられたのが6月末、それから2か月ちょっとでマネーフォワードに入社。ものすごいスピード決断でしたね。

神田:直近2年間の銀行法改正をはじめ、Fintechベンチャーがビジネスをしやすい環境がようやく整ってきました。これからは実際に何をやっていくのかが重要になってくるこの1、2年で金融庁がやってきたことの真価が問われる非常に重要な局面にきています。金融庁に居た時は、自分もFintechベンチャーの皆さんと仲間のような感覚で仕事をしてきましたし、金融庁への出向を終えるとなった際に、こんなタイミングで自分だけ抜けてしまうのはとてもさみしい、志半ばだと感じたんです。

柏木:でも、23年以上在籍された日銀を離れることに迷いはなかったんですか?

神田:もちろん日銀での仕事もとても楽しかったですし、本当に良い経験ができました。でも、「それ以上にやりたいことが見つかった」という気持ちの方が大きかったんですよね。今のFintech業界を例えるなら、司馬遼太郎の『坂の上の雲』だと考えています。 自分も新しい時代を開く群像の一員として、皆と一緒に「坂の上の雲」を目指してのぼっていきたいんです。そんな気持ちから、再びFintech業界に飛び込むことに決めました。

柏木:神田さんなら特定の一社に属さず中立的な立場で業界に関わることもできたのでは?

神田:そうですね。金融庁の延長線上で、業界全般に関与して中立的な活動をできたかもしれません。でも、一番エキサイティングなのは、ビジネスを作って何がユーザーニーズにマッチするのか試行錯誤しながら進むこと。どうせやるならどっぷりビジネスに浸かってみたいと思ったんです。

柏木:その中でもマネーフォワードに入社を決められた理由って何ですか?

神田:やるからには3年後、5年後にとてつもなく大きなことを成し遂げられる所で仕事をしたいと思っていました。マネーフォワードは個人向け・企業向け両方のサービスを提供していて、さらに地方金融機関や商工会議所などとも提携を進めています。日本中の色んな立場の人たちに働きかけられるプラットフォームが形成されつつあることに魅力を感じました。

柏木:なるほど。マネーフォワードは、世の中のお金の課題を解決するために、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というビジョンを掲げています。代表の辻をはじめ創業メンバーも、ずっと繰り返し言い続けています。

神田:辻さんや瀧さんとお話していると、ハングリーさを感じます。いつお会いしても「まだまだこんなもんじゃない。解決しなきゃいけない課題がたくさんある。」とおっしゃっていて、心の底から世の中を良くしたいと思っている。そんな経営陣と一緒に夢を追いかけたい、そう思ったのも入社の決め手でしたね。

僕の使命は、日本でFintechという新しい産業を育てること

柏木:これから神田さんはどんなことを実現していきたいですか?

神田:まず、金融機関のOpen APIの推進です。金融庁で最後に関わっていた仕事でもあり、僕の使命だと思っています。Open APIが浸透することで、ユーザーがより便利でセキュアな金融サービスを使えるようになります。Fintechって、金融の楽しさをユーザーに提供するビジネスだと思うんです。日本は今、世界でも先行してOpen API を推進しようとしていて、うまく進めばユーザーが楽しんで使える新しいサービスが日本から生まれると思います。

二つ目は、地銀との協業で地方の課題を解決すること。日銀で考査をしていた頃も地銀を担当していましたが、地方では少子高齢化や人口減少が深刻化し、経済力の低下が課題となっています。地銀とマネーフォワードが協力して地方に新しいお金の流れを作ることができれば、経済を活性化できるんじゃないかと思っています。

Fintechって、オープンイノベーションが可能なんです。良いものを掛け合わせることで新しいものが生まれる。1社では実現できないことを皆で成し遂げることができる。マネーフォワードを成長させることで、Fintech業界全体の成長に寄与したい。Fintechという産業を育てたい。そんな想いで今日ここにいます。

柏木:神田さんのお話をうかがって、自分自身がどうやって世の中に貢献できるのか、改めて考えてみようという気持ちになりました。これから神田さんと一緒にお仕事できるのがとっても楽しみでワクワクしています。これから宜しくお願いします!

神田:こちらこそ、本当に楽しみです。宜しくお願いします!

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