大企業ならではの人材の多様性やリソースの多さと、ベンチャーならではのスピードや仕事の自由さ。その両方を兼ね備えた仕事があればいいのに――転職を考えたとき、そう思う人は決して少なくないはずです。
そんな人にこそ勧めたいのがマネーフォワードです。「上場企業でスタートアップ企業のようなスピード感で自由に働く。」そんな環境があるのです。起業間もないベンチャーと限りなく近い環境で、マネーフォワードの経営基盤を生かしながら新しいプロダクトをスピーディに開発している組織があります。
その組織が、マネーフォワードでクラウド経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」(以下 クラウド経費)を開発しているクラウド経費本部です。
マネーフォワードは、お金の見える化サービス「マネーフォワード ME」や、ビジネス向けクラウドサービス「マネーフォワード クラウドシリーズ」を展開しています。
「マネーフォワード クラウドシリーズ」の中でも、比較的新しいサービスである「クラウド経費」は、「マネーフォワード ME」で培った、クレジットカードや銀行口座などさまざまな金融関連サービス連携し、入出金データを自動で取り込む機能を活用して、経費精算を効率化し、本業に集中できる環境をつくりだすことができるサービスです。
市場規模も大きく、サービスの機能も拡大中の「クラウド経費」に携わるおもしろさ、サービス必要性を、クラウド経費本部を統括する今井義人に聞きました。
今井義人
クラウド経費本部 本部長 プロダクトオーナー
実はインパクトが大きい経費精算
今井は入社後、「クラウド経費」の開発に立ち上げから一貫して携わっています。
当初は、「B2Bサービスをつくってみたい」という漠然とした想いがあっただけだといいます。
「前職ではスタートアップでB2CのWebサービスをつくっていました。ユーザー数は増えるものの、マネタイズに苦戦しました。ユーザーは喜んで使ってくれていますが、収益には繋げることができない価値でした。次は収益に直結する価値を作ってみたいと思い転職することにしました。
前職でサービスをつくっていた際に、色々な課金型サービスを参考にしていました。その参考にしていたサービスの中に、マネーフォワードのプレミアムサービスがあり、よくみていたので、なんとなく親近感と興味があったのだと思います。
入社時に、家計簿アプリをはじめとしたB2Cサービスと、B2Bサービスのどちらも話を聞いたのですが、B2Cをやってきていたので、B2Bってなんとなくエキゾチックだったんですよね(笑)。
ちょうど『クラウド経費』ができかけのタイミングで、やらせてくださいとお願いしました」
そんな今井ですが、実際にプロダクトをつくっていくなかで、『クラウド経費』にはB2BサービスとB2Cサービスの、両方のおもしろさがあることに気づきます。
「当社のB2Bサービスは基本的に経理部の人や税理士さんなど、専門職の方が使うプロ向けのサービスです。一方で経費精算は営業の人をはじめ、経理部以外のいわゆる一般従業員も使うサービスです。
だからユーザーと一口に言っても、幅広い属性の方が使っています。例えば普段、ガラケーしか使わない年配社員の方も、社用のスマートフォンで使うサービスです。B2CのWebサービスでは決してリーチできない層に使ってもらえるのがすごくおもしろいなと感じました」
また、『クラウド経費』がもたらすインパクトも日々実感しています。
「経費精算に、ひとりあたり1ヶ月に30分かかるとします。それだけだと大したことないように感じますよね。でも日本の労働人口は6000万人いて、全員が月30分、非効率な経費精算をしているとすると、日本全体では月3000万時間の労働時間が無駄になっているんですよ。
そう考えると、地味なテーマだけど実はめちゃくちゃインパクトのあることを僕たちはやっているんです。
あと、単純に経費精算にかかる時間を短縮するだけでなく、心理的負担も減らしています。セミナーで『この中で経費精算好きな人はいますか』とよく聞くんですが、今まで手を挙げた人はひとりもいない。こんなに嫌われている業務、他にあります?(笑)。
経費精算をチェックする承認者は月末月初は必ず会社にいなければならない会社もあります。申請の承認でハンコを押す必要があり、それがないと承認が回らないからです。役職が上の人ほど、単位時間あたりのコストは高く、生産的な時間に当てるべきなのに、その期間必ず会社に戻らなくてはいけない。そんな面倒で非効率なところを変えていって、働き方の自由度を上げていきたいなと考えています」
クラウド経費精算サービスは、まだ市場規模は小さいものの、SaaSの成長率予測で上位になるなど、今後の伸びが期待されています。
「日本企業の8〜9割では、未だに経費精算を紙やエクセルで行っています。月一回の“儀式”みたいなものですから、会社にとっては目に見えづらい課題なんですよね。
でも今、働き方改革が重要になってきて、そのなかで経費精算は取り組みやすいし、効果も実感しやすい。日本でこんなに余白があって、今後5倍10倍にもなるマーケットは他にないんじゃないでしょうか」
社内で唯一、プロダクトを中心とした組織として独立
クラウド経費本部は、社内で少し特殊な位置付けにあります。他のプロダクトに関わる社員は、営業、エンジニア、カスタマーサポート等ファンクションごとの組織体制となっていますが、クラウド経費本部だけはそうした組織から独立しており、プロダクトを中心とした体制となっています。
こうした組織づくりは、今井をはじめとしたメンバーがひとつひとつ行ってきました。
「僕は今でこそ事業部長として本部をまとめていますが、それまでの職域はずっと変わってきていますね。最初、ベータ版をリリースしたときはカスタマーサポートもやっていて、お問い合わせ対応をしたり、プロダクトの機能の仕様を作っていました。
クラウド経費本部という組織も、軌道修正を繰り返しながら徐々にできてきたんですよ。例えば当初、直販のチームはありませんでした。もともとマネーフォワードのB2Bサービスは、中小企業や個人のお客さまが多かったため、直販のセールスにそこまで注力していなかったんです。
でもリリースして半年くらい経ってからユーザーを分析してみると、ある程度規模の大きい会社のニーズが大きいということがわかりました。そうした会社は従来のウェブマーケティングではしっかりリーチできなかったため、専門の営業組織が必要だと認識し、新しくチームをつくることになったんです」
その後、クラウド経費本部としてプロダクトを軸に組織として独立することになります。
「我々の取り組んでいる市場は、すでに先行している他社サービスがあるので、人やお金などのリソースでは勝負になりません。そう考えたとき、勝てるのは意思決定の早さだと気づきました。
でも、機能別組織だと、何か新しいことを始めるときに他の部署との調整が必要になり、意思決定の時間がかかってしまう。だからこそ、独立して本部化しました」
結果として新しいことに取り組みやすくなり、また社内の他のメンバーからも、「クラウド経費本部は新しいことを実験的にやる場所」と認識されています。
「メンバーには、思いついたことをどんどんはじめてみるように言っています。というのも、僕は基本何かをやりたいとメンバーが行ってきたときに『ノー』とは言わないんですよ(笑)。これまで自分も、機会を与えられてきたからこそ成長してきたという実感があるので、細かいマネジメントはせずに任せています。
もちろん、自由と責任は表裏一体です。その人がきちんと責任を果たすと認めているからこそ、自由におもしろいと思ったことをやってもらっています」
一方で、プロダクトを中心にした組織だからこそ、当初はチーム内のコミュニケーションがうまくいかないこともありました。ですが現在は、「クラウド経費本部は本当に横のつながりが強い」と太鼓判を押せるまでの組織になっています。
「例えば、インサイドセールスとフィールドセールスはうまくやっているといっても実際は……ということってよくあると思うんですが、クラウド経費本部はコミュニケーションが良くとれてると思います。組織を運営する上で意識した点は、人にはそれぞれの意思決定のやり方があるということ。結論や結果だけ見ると納得いかないことやわからないことも多いかもしれませんが、その決定に至ったその人の背景を理解できると、仕事の中身が違っても相互理解が進んでいくんです。
また、情報伝達のフォーマットを整え、情報の抜け漏れがないようにするなど、仕組み化にも取り組みました」
成長をし続けるスタートアップのようなチーム
意思決定の早さ、仕事の自由さなど、クラウド経費本部は、部門がひとつのスタートアップ企業のような動きをしています。
「クラウド経費本部では、予算を広告に使うのか、採用に使うかなど、その使い道も本部内で決めています。それだけ決定権があるんです。だからマネーフォワードという組織の中に属しているものの、スタートアップのような感じですね」
一方、以前と比べると組織は成長してきていますが、まだまだ仕組みが整っていないところはありカオスです。また、マーケットの成長スピードも早く、どんどん変化していくので、その都度フレキシブルに変化していく必要もあります。
「今、事業のフェーズでいうと、目指すべき方向は決まっていて未来像もしっかりとありますが、そこへどうやってたどり着くかは未知数という状態です。こうした仕事環境やフェーズは、人によっては『適当に仕事をやっている』ように見えるかもしれません。
一方で、好奇心の強い方にはすごく合っている職場だと思います。新しい取り組みをやりたいと思いついたら、それをすぐできる環境がありますから」
広がる市場で、ベンチャーのスピード感をもって、サービス成長に邁進します。