MEDLEY(メドレー) オンライン病気事典
MEDLEY(メドレー)は、医師たちがつくるオンライン病気事典です。数百名の協力医師の方々とともに、病気の基礎知識、原因、症状、治療や検査の情報をやさしく分かりやすくまとめています。
https://www.medley.life/
初めまして、株式会社メドレーの川田と申します。
私はメドレーに入るまで、厚生労働省で医系技官として働いていました。医系技官とは、医師免許・歯科医師免許をもって保健医療に関わる制度作りを担う技術系行政官のことです。
初めてきいた!と思った人も心配ありません。医系技官を含め行政機関ではたらく医師は全体の0.5%ほどで超マニアックな職種です。厚生労働省での仕事は後々ご紹介させて頂きつつ、今回はなぜ私が厚生労働省を離れメドレーに入社したのかを書かせていただきたいと思います。
人の役にたつ仕事がしたいと思い医学部に入学しました。医学に興味はありましたが「小さいころから身体が弱くて、熱を出す度に近所の小児科の先生が夜中でも優しく診てくれて、私も将来は小児科医になりたいと…」といったエピソードはなく、そういう熱い想いをもつ同級生にどこか引け目を感じていました。
私の中で転機が訪れたのは、学生実習で医療経済学の導入に関する講義を聞いたときでした。リスクのある人全体に降圧薬を服用する費用と、介入せずに脳卒中を発症した人に治療を行う費用を比べる話でした。
講義のポイントはさておき、「脳卒中を発症しないで過ごせるという幸せはお金に換算できないぐらい価値があるのに!」と思ったことを覚えています。病気の治療ではなく、予防に携わることがしたいな、となんとなく思うようになっていました。
大阪市内の病院で初期研修を行い、よき仲間と指導医の先生方に恵まれ、できることが一つずつ増えていきました。患者さんから感謝してもらえる場面が増えるにつれて、仕事としての満足度は上がりました。
「このまま自分の技術を磨いて一人前になりたい!」と思うと同時に、患者さんに感謝されて私はうれしいけれど、「患者さんにとっての一番の幸せは何だろうか」と考えることが増えました。
もちろん診断がついて適切な治療をうけられることは一定程度幸せな状況だといえます。しかし、学校を休んだり、仕事を休んだりして、普段の生活を中断して病院に通わなくてはいけません。病院に通わずにすんで、そもそも医師に感謝するような状況にならないことが一番なのではないだろうか・・・。
病院に来る前の人にアプローチするためには、病院で働いていても始まらない!とりあえず病院の外で働いてみたい!!そう思い厚生労働省に入ることを決断しました。
多くの医師にとって臨床現場を離れることは、勇気のいる決断なのではないでしょうか。初期研修しか終えていない私でさえそう感じるということは、長く臨床をされている先生にとっては、目の前に見える患者さんから離れ働くということはもっと想像しがたいことと思います。私自身、悩みに悩んで臨床から離れましたが、厚生労働省は想像以上に現場と直結した職場でした。
厚生労働省に入って配属されたのは、「健康局難病対策課」という希少疾患の対策を行っている部署でした。入省した年度に、難病の患者さんに医療費の助成を行う根拠となる難病法が国会で成立し、翌年から実際に運用するための様々な準備に携わりました。
(国際会議にも参加しました)
この法律により、これまで治療費に不安を抱えていた人が、医師の診断と申請によって医療費の助成を受けられるようになります。例えば、自分が準備した申請書がそのまま全国の医師に使われて、きちんと申請されれば、それによって多くの患者さんの不安を少しでも取り除くことができるかもしれないという状況は、私自身が想像していた行政の仕事とは違い、患者さんに近く、とても実効性に富んだものでした。
その後配属された「健康局結核感染症課」では、リオオリンピックを目前にジカウイルス感染症の対策や薬剤耐性の課題に取り組みました。いずれも、医師をはじめとした専門職だけでなく、一般の人に「ジカウイルスの感染を予防するためには、流行地域で蚊に刺されないように注意しましょう」「風邪はウイルス感染症なので抗菌薬は基本的には無効です」といったメッセージをどのように伝えるかということが一番のポイントでした。
(成田空港における検疫訓練にオブザーバーとして参加)
上にも少し紹介させていただいたように厚生労働省での仕事は、いわゆるお役所仕事ではなく、現場と直結した、かつスピードの求められる内容でした。充実した日々を送る中で大きく二つ感じた課題がありました。
一つ目は、これは課題というより役割の問題かもしれませんが、厚生労働省の立場では、公平性の観点を重視するため、どんなに画期的な方法があったとしても特定の人を対象としたアプローチはしにくいこと。
二つ目は、種々の制度そのものはよく考えて作られているが、それにアクセスできない、そこまで自力でたどり着けない人もいるのではないだろうか、ということ。
代表の豊田から偶然、小さな相談を受けた際に、お互い近況報告のような形でメドレーの事業内容を聞くことになりました。オンライン病気事典のMEDLEYも遠隔診療サービスのCLINICSも素直に面白そうだなと思いました。
とはいえ、そもそも転職するつもりがなかったので、完全に他人事でした。ただ、遠隔診療で禁煙外来を進めているという話はとても興味をそそりました。確かに、働いていて通院時間を確保できない人にとっては、会社に出勤していても受診できるし、受診のハードルが下がると感じました。禁煙は今啓蒙活動が進んでいますが、これからは具体的なツールがあるとぐっと対策が進むのだろう、とひとしきり関心しました。
その後も、希少疾患の患者さんも遠くても専門医の先生に受診できるようになればよいな(医療費の助成制度はあっても交通費の助成はないのです)…精神科のように医療機関に通うことに抵抗を感じる人がいる場合にも役立ちそうだな…と一人で勝手に考えていました。
次に会って改めて、「CLINICSと絡めた禁煙外来の普及を一緒に手伝ってほしい」と誘いをもらったときも実はあまり現実的に考えられませんでした。厚生労働省という大きな組織に属してはいるものの、個人としては経験のない私に声をかけてもらっていること、少し話をした中で私が最も興味を持っていた内容で誘ってくれたことにとても驚きました。
冷静になって考えたことをここで改めて整理すると、メドレーに入社を決めた理由は、
もともと自分の中にあった「予防」につながりそうなツールに出会い、「とりあえずやってみたくなった!」の一言につきます。なんとなく感じていた、厚生労働省ではできない一歩踏み込んだ解決の方法や、情報にうまくアクセスできない人への情報発信がメドレーの事業を通じて解決に向かうのではないかと感じました。
希少疾患の対策、一般の人々への普及啓発など、これまで経験したことのほんの一部かもしれませんが、繋げていけそうだと感じたことも後押ししたかもそれません。まだ実際に自分に何ができるかはわかりませんが、「この会社の人達とこんなことやあんなことができれば、きっと社会的に大きな意義があることができそう!」と思えました。
私自身、この入社理由ブログのシリーズを読んで社内にどんな人がいるのか予習しました。経験豊富なエンジニア、弁護士、複数の医師等と同じフロアで机を並べて働くのは、とても楽しそうだと思いました。
特に、過渡期にある遠隔診療の制度にきちんと対応するためのメンバーが揃っていること、臨床経験のほとんどない私には、複数名の医師がいることも大きな安心材料になると共に、会社としての本気度を感じました。メドレーに入るまでは馴染みの薄かったエンジニアの方々も、実際に話すと優しい方ばかりで安心しています。
厚生労働省という一つのできあがった一つの組織を経験して、若くて成長過程の組織に身を投じてみたいと純粋に思いました。組織の中で自分の求められる役割が変わったりすることも楽しみたいと思っています。
このブログを読んでくださっている方、きっかけは「たまたまこのブログを見た!」で十分です。特に、医療者の方で、新しいことにチャレンジしてみたいと思っている方は、ぜひ一度オフィスに遊びにきてください。お金儲けに走って、志は二の次なのでは…病院以外で働いたことないけど大丈夫かな…そんな心配は無用です。フルタイムの医師が複数人いて、しかもバックグラウンドがここまで多様な会社は他にありません。いつでも個性的なメンバーがお待ちしています。
「まずは話を聞いてみたい!」という医師の方、ぜひこちらよりご応募ください。
◆過去のメドレー社員の記事
第1回:ぼくがクックパッドを辞めてメドレーに入った7つの理由
第4回:私がドクターヘリを降りて、メドレーに入った7つの理由
第8回:Googleのエバンジェリストをやめてメドレーに入社した僕が6つに割れたバキバキの腹筋を手に入れるまでに実行した7つのステップ
第10回:年収36,000円のお笑い芸人が、メドレーに入社するまでの7つのステップ
第11回:医者にならずに7年過ごした僕がMEDLEYニュースを書く7つの理由
第12回:何がしたいのかわからなかった私がメドレーの仕事にやりがいを感じる7つの理由
◆メドレーが提供しているサービス
・医師たちがつくるオンライン病気事典「MEDLEY」
・遠隔診療ソリューション「CLINICS」
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・介護施設を選ぶための口コミサイト「介護のほんね」