大田晋作(おおた・しんさく)
鹿児島育ち、東京大学教育学部卒。学生時代は塾でのアルバイト、貧困層への学習支援NPO団体などで活動。2019年、新卒で学習塾にジョインし講師・教室長を務める。学習塾での読み書きに困難のある生徒との出会いから「子どもの得意を伸ばす教育」の実践を目指し、2021年4月IT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」(https://wonder.litalico.jp/ )へ転職。現在はLITALICOワンダー池袋教室にてディレクターとして勤務。
「学校の先生になりたいわけじゃないけど、教育を学びたい」
そんな想いで踏み出した、東大教育学部での学び。
教育に関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
「中学のころ所属していたソフトテニス部での経験がきっかけです。いわゆる強豪校でレギュラー争いのある部活でした。レギュラーに選抜されるのは6人、同学年の部員は20人。僕は部員みんなで目標に向かって進めるようなチームをつくりたいと思っていました。でも、他のレギュラー5人は『試合に勝てればそれでいい、レギュラー以外の部員は関係ない』という考え方を持っていて。価値観の違いから、いつの間にか監督や保護者も巻き込むような大きな動きになりました。」
「その時自分の親が、僕の考えに同意してくれたんですね。その関わりが嬉しくて、ずっと心に残っていました。」
「大学の進路選択をする際、”自分は何を学びたいだろう?”と自問自答してみたんです。その時思い出したのが、それぞれの親と子で価値観が似ているということに気づいた、ソフトテニス部での出来事でした。『教育って何なんだろう?』『育った環境によって人は変わるのかな?』そんなことを考えて、教育に関心を持ちました。だから、学校の先生を育てるような大学というよりは、教育という学問を学べる東大教育学部を目指すことに決めたんです。」
「塾は好き。大田先生のことも好き。でも、勉強はどうしても好きになれません」そう言って退塾していった生徒のことが、忘れられなくて。
自身が勉強を得意としていたこともあり、ファーストキャリアでは学習塾の講師となった大田。
「もともと学生時代に学習塾でアルバイトしていたり、貧困層の子どもの学習支援をしていたりしたので、ファーストキャリアは自然と学習塾を選びました。ただ、僕は『学力向上のために勉強ができるようになってほしい』という考えはありません。数学の方程式は、大人になってからは必要ないことの方が多い。だから、勉強という経験を通じて学んだことの方がよっぽど大事だと思っているんです。勉強を通じてセルフマネジメントのスキルを身に付けられたり、生徒の自信に繋がったらいいなという想いで講師を担っていました。」
そこで、LITALICOへの転職を決めた大きなきっかけとなる、ひとりの生徒に出会います。
「とある中学生の生徒と出会ったことが忘れられません。おしゃべりが得意で性格は活発。絵を描くことや運動、ゲームが得意な素敵な生徒でした。ただ、勉強はすごく苦手で。英語の授業で『orange=オレンジ』のことを、ローマ字読みで『オランゲ』と読むと覚えやすいかな?と思って提示したのですが、僕の見当違いでした。そもそもアルファベットの形を認識するのが難しかった。学習障害※の疑いがあったそうです。」
※学習障害とは
全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のこと。
詳細: https://h-navi.jp/column/article/41(LITALICO発達ナビ)
「当時は、何とか少しでも本人が楽しく勉強と向き合えたらいいな、と思っていました。本人の好きなゲームになぞらえて授業したり、学校の先生が×を付けている回答に『この部分はできているね!』とできているところを部分的に探して承認したり。本人は塾のことを居場所だと思ってくれていたようですが、一年ほど経ったタイミングで『勉強がどうしても好きになれない』という理由で退塾となりました。」
「最後の授業の時『ごめんな、力になれなくて』と生徒に謝ったのですが『俺はバカだからな、ダメな奴やねん』と自身を否定していたことが悔しくて、悔しくて。勉強を通じて学びを得てほしい、という気持ちで志した1社目の塾講師でしたが、志がポッキリ折れた感覚がありました。勉強を通じて学びを得る以前の問題として、勉強へのハードルが高い人がいるということを痛感した瞬間です。とても素敵な才能を持っている生徒が、学校の勉強に難しさを感じることで自身を全否定してしまう。そんな社会はすごくもったいないと思いました。」
この生徒との出会いから、自身についても振り返ったと語る大田。
「僕の場合、本を読んで知識を身につけたり、黙々と一人で勉強したりするのが得意な特性がありました。この特性は、今の学校教育の枠組みにとてもフィットする特性ですよね。でも、もし今の学校教育の成績の付け方が絵だったら?音楽だったら…?僕は落ちこぼれだったかもしれません。だから『その子の得意や特性をバネにして、大人になった時エネルギーに変えられるような教育に携わりたい』と思ったんです。」
特性があってもなくても、みんなが同じ空間で楽しく得意を伸ばす。そんなLITALICOワンダーの教育に共感し、転職を決意。
初めてLITALICOワンダーを知った時、どのように受け止めたのでしょうか。
「苦手な部分を改善していくという視点も大事かもしれないけれど、LITALICOワンダーでは子どもの自信に繋がる教育ができることに魅力を感じました。子どもの得意なことや好きなことにフォーカスをしているんですよね。」
学習塾とLITALICOワンダーでは、どのような違いがあるのかも聞いてみました。
「2つ挙げます。1つ目は提供するサービスの違いについて。どちらか片方が良い・悪いというわけではないですけど、学習塾の場合は主体が講師でした。講師側が全体最適を考えてカリキュラム作成し、授業を提供していく。一方でLITALICOワンダーの場合は、主体が子どもです。授業が始まると生徒に『何やりたい?』って聞くんですよね。前回は『次はクルマをつくりたい!』と言ってくれていた生徒が、翌週教室にくると『やっぱり恐竜をつくろうと思う』とか。子どもに決定権があるなと思います。その回の授業の目的が”モーターの仕組みを知ること”だったら、つくるものはクルマでも恐竜でも、どちらでもいいですよね。当日つくるものが変わった時はかなり頭を使いますが(笑)、子どもを起点に提供する授業には大変やりがいがあります。」
「2つ目の違いは働き方について。前職の場合は、基本的に生徒の集客から教室の運営・管理まで、全て自分でやる必要がありました。一方でLITALICOワンダーの場合は集客と教室運営を分業しているので、教室運営やサービス提供に集中できる環境があると思います。今のLITALICOの規模ならではの特長ですよね。またLITALICOはさまざまな事業を展開している会社ということもあり、キャリアの選択肢が多いというのも魅力のひとつです。教室長やマネージャーといった管理職になることもできれば、コンテンツ開発、採用・育成の部署もあったりと、自分の描きたいキャリアによってデザインできるようになっています。」
“自信”は、その子が次のチャレンジをする原動力になる。
最後に、大田が教育分野に携わるひとりとして伝えたいメッセージを聞いてみました。
「僕は、子ども全員が素敵な才能の持ち主だと考えています。勉強ができる・できないで判断してしまう大人はいるけれど、足が速いとか音楽が得意とか、勉強以外にも輝く要素ってたくさんあると思っているんですね。」
「LITALICOワンダーには様々な特性のあるお子さまが通ってくださっています。そのお子さま一人ひとりが、まずは自分のことを『認められる』ようになってほしい。そして教室でさまざまな成功体験を積むことで、『自信』をつけていってほしいです。その自信は、子どもたちがこれから未知のものへ挑戦するときの原動力になるはずです。子どもたちが大人になった時に『自分はなんでもできる!だって、LITALICOワンダーでいろんなことに挑戦してうまくいったから!』って思ってくれたら嬉しい限りです。」
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