池田 彰 / General Manager|株式会社FoundingBase
道の駅事業部 管掌 ...
https://foundingbase.jp/n/n3c7cab459ecb
FoundingBase 東洋町拠点が発足してからちょうど1年が経ちます。
この1年で売上を大きく伸長させ、前年対比・予算対比ともに計画通りに事業を進めることができました。
振り返りも兼ねて、この1年間の軌跡を綴っていきたいと思います。
■活動メンバー
※2023年1月に新たに1名の着任が決定しております
東洋町は高知市内から車で3時間、高知県の東側「室戸岬」よりさらに東で徳島県との県境に位置しています。それゆえに同じ高知県の方でも東洋町のことを知らない方は多いです。
そんな東洋町ですが、サーフィンとポンカンの栽培でとても有名な町です。「生見サーフィンビーチ」はサーフィンのメッカと呼ばれ、過去には世界大会が開催されるほどのサーフィンスポットです。良い波を求めて年間10万人のサーファーが東洋町を訪れます。また、冬でも比較的温暖なため、気候を活かした「ぽんかん」の栽培が盛んです!
「海の駅 東洋町」は、毎朝地元で水揚げされた新鮮な魚介類や、地域産の野菜や果物などを販売する直売所機能と、土産物などを販売する物産販売機能を備えています。毎日、旬の野菜や魚を求めて、町内だけでなく、高知市内、徳島県さらには関西圏などからも多くのお客様が訪れます。
中でも海の駅直売フロアで購入したお魚(刺身用の柵)を併設されている海の駅レストランで調理し、その場でオリジナルのお刺身定食にできるサービスや、地元の魚だけを使った日替りお刺身定食がとても人気です。
また、夏は海の駅の目の前に広がる「白浜海水浴場」の海水浴客、冬は海の駅横にある「白浜キャンプ場」のイルミネーションを見にキャンパーで年中盛り上がっています!
そんな東洋町の観光拠点と地域振興拠点である「海の駅 東洋町」にて私たちは活動をしています。
私たちが町から与えられたミッションは、海の駅の経営状況を改善し、海の駅から東洋町を活性化していくということでした。
そのために私達は、海の駅に訪れる人が何度も訪れたくなる場所を目指すこととし、「Place For You(あなたのための場所)プロジェクト」と名づけて、活動を開始しました。略して「PFYプロジェクト」と呼んでいます。
この「PFYプロジェクト」の目指すゴールは、海の駅の存在が東洋町の暮らしにとって”あるのが普通”の状態になるまで存在価値を高めることです。
東洋町に着任して、まず最初に取り掛かったのは東洋町のことや海の駅を知ることでした。
私たちは東洋町の出身でもなければ元々東洋町に関わりがあった訳ではありません。ですので、私たちは東洋町のことをほとんど知らない状態でした。
そんな中で、いきなり私たちが「海の駅のこれを変えよう」や「町をこうしていきましょう」と話しをしても町の人には響くことはないだろうと考えていました。
私たちFoundingBaseはその町の方と一緒になって町を良くしていく、「協働し共創する」ということを大切にしています。町の方と一緒に良くしていくために、まずは東洋町のこと、海の駅を知ることを心掛けました。そして海の駅に商品を出品してくださる生産者さん、海の駅に来られるお客さま、海の駅でもともと働いていたスタッフさんから、今の東洋町と海の駅の状況や、今後望む姿などのお話を聞ききした上で大きく3つの取組にチャレンジすることを決めました。
海の駅は直売所ですので新鮮な野菜、鮮魚、果物はもちろん美味しいパンやお弁当なども数多く揃っていました。
一方で当初の海の駅では生産者のみなさんが一生懸命作った品物が価値ある商品であると伝えきれていなかったように感じています。
例えば、県外からのお客様など海の駅に初めて訪れたお客様は売っている野菜や鮮魚の名前自体知らないということがありました。
そうした課題から、産直コーナーの魅力化に私たちはチャレンジしました。海の駅で働く地元のスタッフさんとも意識をあわせて、価値ある商品はしっかりと知識をつけた上で、POPやSNSで発信していくことを始めました。
野菜売り場では、POPに生産者さんの名前と顔を入れて、誰が作った野菜なのかを一目で分かるようにしたり、生産者さんの野菜にかけた想いが伝わるようにPOP内に生産者さんのこだわりなどメッセージを入れました。
鮮魚売り場では、多数あるマグロの種類や特徴が分かるようにマグロの一覧表を作ったり、スタッフおすすめの食べ方を書いたPOPを置くようにしました。
ところでみなさんは「ハヤトウリ」という野菜をご存じでしょうか?
もしかすると一般的にはそれほど馴染みのない野菜かと思いますが、POPで説明することで、「ハヤトウリ」を初めて知った方も興味をもって手に取ってくれる方が増えました!
また、お客さまにとって海の駅をもっと便利に、もっと身近に感じてもらうためにSNS発信ではInstagramを立ち上げて、毎日入荷した野菜、鮮魚、お弁当などの情報を発信し続けました。
海の駅を地域の方の生活に自然と溶け込んでいく状態を目指すために、日頃から海の駅を支えてくれているお客さまに対しては誠実であるべきと考えていました。そのため、Instagramではお店を飾って映すのではなく、海の駅の品物をありのままに映すことを心がけました。
例えば美味しそうな魚などが出ればそれをしっかりお伝えしましたし、一方で台風の影響により魚の入荷が少ない時などは、「本日は魚が少ないです」と正直に発信しました。
その結果、Instagramを見てくれた方が、今日海の駅にはこの商品があって、この商品はないんだとSNSを通して分かるようになりました。
お客様からもInstagramを見て「今日来たよ!」という声や「とても助かる」といった声が多くなり、始めた当初はフォロワー300人程でしたが、11月には約1200人まで増えました!
今ではスタッフ全員がSNS発信を商品到着のタイミングでスピーディにPOP作成を行えるようになり、生産者さんの努力やこだわりを日々伝えています。
日々出品する商品が変わるからこそ、更新を毎日することで、その日その日の海の駅のありのままの姿を来店しなくてもチェックすることができるようになりました!
また産直コーナーで精肉の取扱いを始めたことも大きな変化でした。
海の駅は名前の通り鮮魚がメインの直売所であり、精肉の販売は行っていませんでした。
ただ、私たちが町で暮らす中で海の駅で手軽にお肉を購入できる環境を作りたいという想いがありました。
なぜなら、東洋町には冷蔵のお肉を買える場所がほとんど無く、私たちも含め町の方が車で往復40分かけて隣町のスーパーまで買いに行かなければならず、車がない方はなかなかお肉が手に入らないという環境だったのです。
町民の日常の暮らしを豊かに、便利にすることで、海の駅の存在がより一層東洋町の暮らしにとって必要な存在になると考えます。こうした取り組みは私達が「PFYプロジェクト」を掲げているからこそ積極的に取り組むべき課題でした。
また海の駅に隣接する「白浜キャンプ場」のお客さまにとっても手軽にバーベキューなどのお肉を買える環境があれば喜んでいただけるだろうと考えました。
しかしながら実現にあたってはそう簡単ではありませんでした。
海の駅に出品していただけるお肉屋さんの開拓についてはいろんなお店に何度も足を運びましたし、出品いただけるお肉屋さんがいざ見つかった後も既存の生産者さんとの売場スペースの課題があったり、売場に置いてもお客さまが手にとってくれなかったりと、スタートはかなり厳しい状況でした。
でもそこで挫けずに毎日Instagramでお肉のPRや店内POPで訴求をし続けたり生産者さんと共にどんなお肉が東洋町の方に好まれるのかを知るために、いろんな種類のお肉をテスト販売したりと様々な試行錯誤を繰り返しました。
そうすることで、試しに買っていただけるお客さまが少しづつ現れ、次第に美味しかったという口コミなどが広がり、買ってくださる方が多くなっていきました。
今では「今日はお肉来ないの?」といった声や「Instagramを見て買いに来ました!」とファンが付くまでになりました。
まさに海の駅が少しづつ地域の方の生活に溶け込んできていることを実感した瞬間でした。産直コーナーの魅力化にチャレンジしたことで、お客さまの日常の暮らしを少しずつ豊かに、便利に、楽しくすることができたと感じています。
次に取り組んだのは仕入れの改革です。
海の駅は漁港から車で3分程度と大変距離が近く、水揚げ直後の新鮮なお魚が日々到着します。
また私たちが地域に入り生活する中で、東洋町の魚を食べ本当に新鮮で美味しいと実感し、東洋町で暮らす地域の方達にとっても新鮮な魚は町の自慢であると様々な場所で耳にしました。
この様なエピソードから、東洋町の強みは地元の新鮮な魚であるということを改めて強く認識しました。
海の駅でもその東洋町の強みを出したメニューや商品を提供したいと考え、地元の鮮魚の取扱量の拡大にチャレンジしました。
具体的にはこれまで実施していなかった、生産者でもある水産加工業者からの鮮魚の仕入れや買取をはじめました。直売所である以上、一般的には直売所が買取仕入れで商品を提供することは少なく、あくまで生産者さん達の出荷商品を販売する場所です。私たちにとっても、在庫リスクも抱える買取仕入れは大きなチャレンジの一つでした。
最初に地元の水産加工会社さんへ相談にいきましたが、当初は私たちがどこまでの考えを持って実施するかが伝わっていなかった状況でしたので、お断りをされたり、どうせ続くはずがない、すぐに既製品に頼るようになるというような印象を持たれてしまったりしたと感じています。
「それでも地元の魚が本当に価値あるものだと思っており、一度チャレンジしてみたいのでご協力をお願いします!」と繰り返し想いを伝えると、
水産加工会社さんも付き合ってくださることになりました。
実際やってみると非常に難しく、日々変動する相場、海が荒れると安定的に入荷できない、来客数によって大きくロスが出てしまうなどの課題が毎日のようにありました。
しかしながら、町を盛り上げていくためにこの地元の鮮魚を使う取組は絶対に諦めてはならないとスタッフさんとも意識を合わせ、全員でコストに対する意識を高め、レストランでロスになりそうな時は、お弁当やお刺身などに姿を変えて販売したり、安定的に入荷がなさそうな時は、大きな魚をまるごと1匹仕入れたりしました。
そうして直接仕入れた大きなマグロを海の駅のスタッフが1から捌くことにもチャレンジをしました。
水産加工会社さんも丸々1匹買いつけて、捌くところまでやるという海の駅の姿に共感してくださり、魚を丸々1匹捌くのに戸惑いと不安があった調理スタッフに対し、水産加工業者の方がレクチャーしてくれるようなこともありました。
この仕入れの改革を行い、継続したことで、今では水産加工業者さんの方も、海の駅のための魚を切らすわけにはいかないという想いを持ってくださり、新鮮な地元の鮮魚だけを使ったお刺身定食や、まぐろ丼といったメニューを提供できるようになり、お客さまにも大変ご好評いただいております。
実はこの取組の背景には、海の駅で働くスタッフさんと私たちとで
「海の駅に自信を持って来てもらいたい」と言える状態を作ろうと話していました。
そうしたことで海の駅を訪れた人に「美味しい魚を食べてもらいたい」という共通の想いを持ち全員が海の駅の目指す姿の認識を合わせたからこそ、みんなで一致団結して取り組むことが出来たと思います。
私たちFoundingBaseのVALUE(行動指針)でもある「協働し、共創する」ことを体現することが出来た瞬間でもありました。
こうやって地域のみなさんの想いがつまったお刺身定食やまぐろ丼は日々完売する程の人気商品です!
東洋町の課題として、東洋町を訪れても季節を通じて滞在するためのコンテンツが少ないため、海水浴やサーフィンだけしてすぐに帰るという方が多くいらっしゃる状況でした。
そのような課題が存在する中で、季節を問わず東洋町で時間をかけて楽しんでいただけるコンテンツを創りたいと思い、海の駅の目の前の白浜海水浴場で、手ぶらバーベキューのサービスを企画しました。
企画に際し、食材の調達先の検討および開拓から備品の選定購入、区画の整備など全てがゼロからのスタートでした。
お肉についてもバーベキューにぴったりなお肉の質やコストなど慎重に検討を重ねました。
仕入れをさせていただくお肉屋さんへも何度も足を運びコミュニケーションを繰り返し、いいサービスを提供できるように想いを合わせていきました。タープ、机、椅子などの備品に関しては、「長崎鼻ビーチリゾート」のナレッジを共有して選定。
その際にこのBBQがどう「PFYプロジェクト」の達成に近づけるのかを考えながら進めました。そうして誰もが気軽に参加できるように準備・片付けを不要にした手ぶらでBBQができるようにマニュアルを構築しました。
さまざまな課題を乗り越え2022年7月にサービスを開始することが出来ました。
夏は海水浴のお客様で賑わう「白浜海岸」を見ながら手軽にバーベキューを楽しんでいただける場所を創出することができました。これまで地元の方や県外からのお客様など色々な場所からお越し頂きました。また赤ちゃんからご年配の方まで年代問わずBBQを楽しんでいただける場所になりました!
これからさらにお客さまにご満足いただくべくサービスを改善していきます!
私たちFoundingBaseは地域に溶け込み、主体者となって事業を作ること、
そして一時的な関わりではなく住んで関わるからこそ、変化が生まれるということを確信しています。
東洋町拠点では、FoundingBaseのメンバーだけでなく、地元の海の駅のスタッフさんや海の駅を支えてくださる生産者さんと想いを共にして、海の駅の活性化に取り組んでおり「協働し、共創する」というFoundingBaseが掲げるValue(行動指針)を大切にしています。
今後は海の駅の売上を上げることだけでなく、海の駅から東洋町を活性化させるミッションがあります。海の駅を中心に周辺のキャンプ場や滞在施設をアップデートして、多くの方が訪れたくなる場所作りを目標に置いています。海の駅を中心として周辺の施設を巻き込んで、東洋町全体が盛り上がると信じて地域の方と一緒に町に変化を生み出せるよう活動していきます!