みなさんこんにちは、NSグループインハウスクリエイティブチーム責任者の長尾です。
普段面接・面談で求職者の方とお話ししていると、「サービス業界のインハウスデザイナーってどんなことをやっているのですか?」という質問を受けます。
この記事はそんな声に応えるためスタートした、NSグループインハウスクリエイティブチームの仕事を紹介するシリーズ記事の第4弾。今回も1デザイナー×1案件で紹介していきます。
「デザインを通じた動画制作の案件ってどんなことをするの?」
「インハウスのデザインチームで働く魅力ってなに?」
「どんな人が働いてるの?」
といった疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください♪
<今回登場するメンバー>
伊藤麗鷹(38歳)
制作・進行管理
グラフィックデザイナーとして、広告代理店やデザイン事務所、アミューズメント機器メーカー、マーケティング会社、印刷会社での勤務を経験。NSグループに中途入社し、現在4年目。担当業務としては、制作、進行管理、制作物のクオリティチェック、加工業務、アルバイトスタッフのマネジメント、本社オフィスのまかない食の在庫管理・発注など多岐にわたる。最近では役割を制作から進行管理にシフト。現場担当者へのヒアリングや現地での打ち合わせ、サイン施工業者とのやり取りといった上流工程に関わるポジションにステップアップしている最中。
<目次>
1、ホテルバリアンのフードグランドメニューリニューアル
2、手探りでの進行でもユーザビリティを大切に
3、デザインの本質に気づけた仕事
4、デザイナーとしてもう一歩成長できる環境がある
ホテルバリアンのフードグランドメニューリニューアル
――今回紹介してくれる案件について教えてください。
バリ島をモチーフにした癒やしの都市型リゾートホテル「ホテルバリアンリゾート」のフードグランドメニューをリニューアルした仕事について話したいと考えています。
案件の関係者はホテルバリアンリゾート総料理長の河合さんと制作チーム責任者の長尾さん、デザイナーの蔭山さん、そしてディレクション担当の私でした。
元々はホテルバリアンリゾートでセットメニューがスタートすることになり、あわせてメニューを刷新するプロジェクトとして始動しました。
メニューリニューアルまでの期間は新しい料理の撮影や印刷も含めて1ヶ月。早急に作っていかないと間に合わないという危機感のもと対応しました。
手探りでの進行でもユーザビリティを大切に
――具体的にどのように進行していったのでしょうか。
リニューアルプロジェクト開始時点では詳細なメニュー内容が確定しておらず、最初は「プレートに加えてA〜Cのセットが選べる」という内容を元にラフを作成しました。
初期のラフは「プレート」という表記でスタート
料理の内容が決まり、セットメニューとして展開していく方針が定まったことを受けて、リニューアル案の第一弾として作ったのが下記のメニューです。
リニューアル案の第一弾
ひとまず土台はできたと安心していたのも束の間、メニューの組み合わせが変わったり、新メニューやオプションが加わったりと、イレギュラーな動きがどんどん出てきました。
フードチームと試行錯誤しながら、様々な案を展開していく中で、メニュー自体が徐々にわかりにくいものになっていくことを感じていました。
既存のメニューをベースにした組み合わせの案
新メニューの釜飯推し+肉盛りオプションを強めに訴求する案
期限もあったため、正解とは言いにくい状態でしたが、ひとまずリリースすることになりました。現地で見てみて改めて感じた課題は、そもそもセットメニューとして使いやすいデザインになっていないこと。上層部からも同様の指摘をもらっていました。
そこですぐに改善案の作成に着手。
今回は自分で手を動かすのではなく、ディレクターとして情報設計に専念。デザインは同僚でありリードデザイナーの蔭山さんに担当してもらい、セット内容がわかりやすいよう、打ち出したい情報の優先度を変えた案を3つ作成しました。
メインメニューを並列に置き、選びやすくした案
新メニューの釜飯を目立たせる案
新メニューの釜飯+肉盛りオプションをアピールする案
最終的に完成したのが下記のデザインです。
「バリアンセットメニュー」と打ち出し、上から順に、メイン→サイド→オプションと自然に選べるよう、それぞれのカテゴリーをわかりやすく表記しました。
最終のグランドメニューデザイン
デザインの本質に気づけた仕事
――この案件で印象に残っていることを教えてください。
今までは、どうしても見た目の華やかさや格好良さ、可愛さ、季節感、店舗イメージといった「印象」を重視してデザインしている部分がありました。しかし、今回の案件では、装飾部分よりも情報設計をしっかりと整えて制作することが大事だと改めて痛感しました。
進行中にいくつも案を作成していく中で生まれた微妙なズレに気づき、大きく情報を再設計できたのは、自分にとって改めて大きな転機となりました。
また今回の案件においては、自らデザインの意図をプレゼンする必要があったため、その意図を言語化することの難しさにも気付かされました。自分では「見やすい」と感じていても、それをロジカルに説明することはとても難しく、上長である長尾さんとマンツーマンで地道な言語化を繰り返しました。
▼伝えたいことを箇条書きにする。
▼箇条書きしたパーツをまとめ、つなげる。
▼声に出して読み、伝わる内容になっているか確認する。
国語の習い始めに行うようなごくごく初歩的なことですが、それほど自分の感覚を言語化することや、意図を伝えることが難しくも大切なことだと再確認しました。
こういった地道な訓練を重ねて、今までよりも自分の考えをロジカルに言語化できるようになったと感じています。ユーザーに情報を提供するデザインの本質が情報設計なのだと実感しました。
デザイナーとしてもう一歩成長できる環境がある
――NSグループのデザインチームで働く魅力を教えてください。
今回紹介した案件で私が学んだように、表層を仕上げることだけでなく、機能性をロジカルに説明する力を習得できることが大きな魅力だと思います。
「これが可愛いから・カッコいいから、こんな雰囲気でデザインしました」や「◯◯だから◯◯をイメージしました」など、ただの見た目を良くするDTPデザインだけでは、デザイナーとしての成長に限界があると思います。
また、クライアントである社内の各事業部・サービス現場と直接やりとりできる点も、成長につながります。デザイナーからディレクターにキャリアアップしたいと考えている方には良い環境だと思います。
まとめ
今回は宣伝制作チームディレクターの伊藤さんに話を聞かせてもらいました。
デザイナーとして様々なジャンルを経験してきた伊藤さん。入社してから早い段階でディレクションにも携わってもらっています。
持ち前の人懐っこさを活かして様々なメンバーと協業していく中で、デザイナーとしてはもちろん、ディレクターとしても経験を重ねています。
自分だけでは届かなかったゴールに辿り着けることも増えた反面で、意図やプロセスを伝えて説明・説得する場面も増えています。今回紹介してくれたエピソードは、デザインを言語化するという壁に挑んだ象徴的な案件です。
この件を転機として、デザイナーからディレクターにポジションを変えることを決意した伊藤さん。今では店舗に行って打ち合わせをしたり、デザイナーに的確な指示を出したり、アルバイトスタッフのマネジメントをしたり……と、活躍の幅を大きく広げています。
デザインは、機能させるための設計でありコミュニケーション。誰に何を伝えてどうなってほしいか、それを言語化することの大切さを日々実感しているようです。
インハウスのデザインチームでは、こういったポジションチェンジにも気軽にチャレンジできます。逆に言えば、デザイナーだからと言ってディレクターの指示に従っていれば良いというわけではなく、自発的な動きが求められます。
役割ありきでの仕事ではなく、スキルを軸にして担当領域をどんどん広げていけるのはインハウスデザイナーの醍醐味ですね。
以上、インハウスデザイナーの仕事図鑑、第4弾・伊藤さんのエピソードはここまでです。今後も定期的にNSグループクリエイティブチームのメンバー&仕事紹介記事をアップしていきますので、ぜひお楽しみに。
現在、NSグループでは以下の職種で新たな仲間を募集しています。興味がある方はぜひ下記募集記事よりご応募ください。