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年間1000万の赤字からV字回復!「ワンだふる」な逆転劇は選択と集中から【しくじり事業に学べ】

私たち株式会社NSグループ(ニュートン・サンザグループ)は、ハニトー®で有名な「カラオケパセラ」、バリ風都市型ホテル「バリアンリゾート」、カプセルホテル「安心お宿」など、幅広いサービスを展開しています。


こんな当社の事業には、大きく2つの特徴があります。

1つめは、これまでのサービス業界になかった視点で生み出された事業だということ。

2つめは、その多くが、実は失敗から生まれていることです。


この連載では、そんな失敗をバネに生まれた事業をのエピソードを紹介します。さて、今日の「しくじり事業」は……?


<本日の「しくじり事業」>

伊豆の一等地で立ち上げた新施設「かえる家」がまさかの赤字閉店。犬連れをターゲットにした「愛犬の駅」に転換し、年商1.2億円の黒字店へとV字回復!

<本日の「しくじり先輩」>

北村 治(元 伊豆事業部責任者・現在 店舗開発部担当)

(インタビュー&ライティング:グループCHO 荻野佳奈子)

第1章:伊豆の新施設は「最高の立地」でスタート

皆さん初めまして、北村といいます。

僕は平成元年に入社し、約30年にわたってNSグループで働いています。20代は管理本部を中心に過ごし、30代でカラオケパセラ事業部の立ち上げ、40代に入ってから現在に至るまで伊豆の事業部を担当しています。




僕がお伝えする「しくじり事業」は、今も担当している伊豆エリアでの話です。

時は2009年にさかのぼり、伊豆高原に新しくドライブイン(車の利用者向けの、道路沿いに設けた食堂や土産物店)をつくることになりました。

数年前に閉店した店を買い取ったのですが、とにかく立地がすばらしい物件です。伊豆高原の目立つところにあり、車で来るお客様なら必ず通るような場所。まさに「伊豆高原の銀座」といえるロケーションでの立ち上げでした。

当時はバリ風の温泉旅館「アンダリゾート伊豆高原」がオープンした直後でした。そんな事情もあって、新施設は「立地を武器に、車で寄ったお客様をアンダリゾートへと誘致する拠点にしよう」と考えました。

第2章:ローコスト戦略と複合施設の罠で赤字転落

できあがった施設は「かえる家」と名付けられ、バリ風レストラン・土産屋・バリ雑貨・カラオケの複合店としてスタートしました。バリ風のアンダリゾートにお客様を呼び込むため、アンダのコンセプトである「バリ」と「かえる」をコンセプトにした店にしたのです。

しかし、これが未来の「しくじり」につながるとは……(汗)。

第1のしくじりは、ハード面へのこだわりが足りなかったことです。「かえる家」ができたのは、和食レストラン兼お土産屋さんの跡地でした。建物は「和」の雰囲気たっぷりで、日本庭園らしく石灯籠のある裏庭までありました。ローコストで始めようと元の建物を活かして店舗開発をしたところ、どうしても和食レストランの雰囲気が消し切れませんでした。それでも食事のメニューや商品が良ければお客様が来てくれると思っていたけれど、それが甘かった。


立ち上げ当時の「かえる家」


第2のしくじりは、複合施設の罠にはまってしまったことです。もともと多かったサービスに加え、業績低迷から脱しようとアトラクションや食事のメニューを充実させました。今になって思えば手を広げすぎて世界観が崩れ、「なんの店か分からない、なんのために来るのか分からない」状態でした。売上に見合わない労力がかかり、愛を持って働いてくれたスタッフたちにかわいそうな思いをさせてしまいました。

肝心のアンダリゾートへの送客もふるわず、売上5,600万円に対して年間1,000万円を超える赤字を出す店舗に……。結局、2015年10月に「かえる家」は6年8ヶ月間の幕を閉じました。

第3章:「ワンちゃん向け」への大転換でV字回復

再起するための道を探っていたところ、ある日の経営会議で「思い切って犬を連れたお客様向けの施設にしてはどうか?」とアイデアが出ました。「かえる家」の集客に苦しんだ僕にとって、顧客ターゲットを絞り込むのは悩ましい決断です。

でも、ふと考えてみると伊豆には犬連れが多いのです。愛犬と泊まれる宿は50以上もあり、当社がオープンした愛犬と泊まれるリゾート「ウブドの森」も好調。一方で、犬と立ち寄れるレストランや売店は当時ほとんどありませんでした。車の中で寂しく待っているワンちゃんをイメージしたら「一緒に買い物できる場所があったらいいじゃん!」と確信したんです。

犬連れに的を絞れば、確かにマーケットは小さくなります。でも、発想を逆転すれば、伊豆半島で最大のワンちゃん向け施設をつくれるチャンスだと思いました。

方針が決まってからは、これまでの「しくじり」の教訓を生かした店作りにこだわりました。和の雰囲気が拭えなかったハード面は、思い切ってダイナミックに改装しました。建物は今まで伊豆になかったガラス張りのおしゃれカフェ風に、日本庭園だった裏庭はドッグランに生まれ変わりました。


まるでサードプレイスカフェのようなおしゃれな外装に変化


元日本庭園は豪華なドックランにリノベーション


煩雑だった店内のオペレーションも徹底的に効率化し、食事のメニューは提供の手間をおさえながら高級感あるメニューに一新しました。例えばスイーツは、持ち帰りやすさ・衛生面・仕込みのしやすさから瓶詰めにしました。カラオケパセラで統括パティシエを務める足立シェフの全面協力のもと、伊豆にちなんだメニューを考案してもらいました。


(左)ワンちゃん向けの健康ビュッフェ (右)本格石焼カレーはオペレーション負担減と美味しさを兼ね備えた人気メニュー


こうした取り組みも報われて、「愛犬の駅」として再出発したドライブインは開業から1年で黒字化。2019年には1.3億円を売り上げる人気施設に成長したのです。

教訓:必要なのは選択と集中。胸を張れる「いいもの」を


僕が「かえる家」の苦戦と「愛犬の駅」のヒットから学んだのは、2つのことです。


<「しくじり事業」の教訓>

1.大切なのは選択と集中。多くを求めすぎると中途半端になってしまう

2.自分が胸を張っていいと思えるものは絶対にうまくいく


当社のルーツは「絞り込んでエッジを立たせること」にあります。そもそもの創業事業だって、何でも揃うスポーツ用品店ではなくスキー専門店のヴィクトリアだからうまくいったと思うんです。「愛犬の駅」の成功も、伊豆×犬連れと思い切って絞り込むことで「こんなの作ったの!?」という驚きと感動を与えられたからだと考えています。

そして何より痛感したのは、売れるものは自分が心からいいと思うもの、胸を張って売れるものだということです。僕が「かえる家」のデザイン性に自信を持てなかったように、確信を持てない事業は、やっぱりうまくいかないものですね。自分が大切な人を呼んで「いいでしょ!」と自慢したくなる場所にこそ、お客様も集まります。

こんなふうに言うと、いい事業は興味の持てるジャンルでしか作れないと感じてしまうでしょうか。でも、僕はそうは思いません。「好き=いい企画が立てられる」とは限りませんし、愛が深すぎてお客様の視点を見失うことさえあると思います。

だって、ここまで愛犬向けの事業をやっておきながら……僕、猫派ですから(笑)。過去に在籍していたカラオケパセラの事業部でも、カラオケがそこまで好きではない社員が活躍することも多々ありました。ぜひ先入観を持たず、事業に取り組んでほしいです。


さいごに

NSグループは、これからも失敗を恐れない事業づくりにチャレンジしていきます。

私たちはこの環境に飛び込んで活躍してくれる仲間を求めています。あなたも、次の「しくじり事業」の先輩になりませんか?

この記事を読んで興味を持ってくれた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!

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