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2024年1月にスタートした住宅ソリューション事業本部。お客さまの事業発展に寄与すべく、新規プロダクトやサービスなどの企画・立案・実行を行っている組織です。今回は、住宅ソリューション事業本部が担うミッションや具体的な業務について、執行役員 本部長である葉山と、現場で活躍する伊藤と川鍋に語ってもらいました。
執行役員 住宅ソリューション事業本部 本部長 葉山 勝正
大学卒業後、エン・ジャパン株式会社入社。営業部長、en転職事業部の事業責任者を歴任。株式会社すららネットにCOOとして参画し、教育業界向けのクラウドサービスの立ち上げと提供に従事。2017年12月マザーズ上場を経た後、アンドパッドに入社。住宅事業本部の立ち上げと執行に従事。年間100名以上の工務店の経営者様とのディスカッションを通じ、アンドパッドだからこそできるコンサルティングサービスの必要性を感じ、事業を立ち上げ今に至る。
多様化する経営課題を解決するために誕生
―まず、住宅ソリューション事業本部が手掛ける業務内容について教えてください。
住宅ソリューション事業本部が行っていることは大きく2つです。一つ目は、お客さまの経営・事業課題を解決する為のコンサルティングサービスの立案と提供。二つ目は、お客さまに深く入り込むからこそ生まれる、これまでにはない新規プロダクトの開発と導入です。
私どもは現在、コンサルティングサービスの開発に力を入れていることは確かなのですが、一緒に働いてくれる仲間にはその範囲に留まらない立ち回りを期待しています。なぜなら、私たちは、お客さまに深く入り込み、「現場の状態把握→課題設定→解決策の提示」というスタンスを大事にしています。その為、解決策がコンサルティングだけとは限りません。新規プロダクトの開発/提供が手段になることもあれば、コンサルティング以外の新規サービスの開発/提供になることもあります。なので、私たちの部門は、お客さまや業界の課題起点でなんでも行う「八百万事業本部」と社内では言っています。
―コンサルティングやプロダクトの提供などはお客さまの課題解決の手段の一つでしかない、ということですね。そもそも事業本部が立ち上がった背景とは一体何だったのでしょうか?
事業本部を立ち上げた理由は3つあります。一つ目は、業種や一定粒度のチャンクの基準数値・標準数値を把握させていただいているということになります。コンサルティングにおける重要な初手は適切な課題を設定することです。その為には、標準数値・基準数値がなければ、お客さまの現状を適切に評価することができません。二つ目は、すでに数千社単位のお客さまの現場に深く入り込み、業務改善から経営改善につながっている実績が多数あることです。この現場から入ることができるというのは私たちの強みだと思います。絵にかいた餅にせず、現場への落とし込みができます。そして三つ目は、何より、ANDPADというお客さまの業務をほぼ網羅できるシステムを持っている点です。事業の改善にむけて、改革案を出すだけでは、何も変わりません。日々の現場の動きを変える必要があると思います。その為には、日々の業務システムの運用を変える必要があります。
これらのことから、アンドパッドならではの事業・経営改善のお手伝いができるのでは、と思い、事業を立ち上げました。これまで当社では、現場でのDX推進を数多く実現してきています。そこで培われた仕組や、データを活用・可視化することで、お客さまの事業・経営の成長/維持に必要な新たな仕組みを作ることを支援したいと考えています。現場DXのみならず経営DXの実現の支援が大きなテーマです。
お客さまの現場に入り込み、経営課題の解決に向けて奔走する
―先ほど、現場に入り込みながら、経営DX化を支援するという話がありましたが具体的にはどういうことですか?
一般的には集客などの営業活動、社内組織における人材採用や人材育成、契約-着工-完工などの各業務フローにおける品質や、業務の平準化。など多岐にわたります。
一概には言えませんが、まず私たちが大事にしていることは現場へ入り込むことです。例えば、
- 粗利がとれてない、原価が当初予定より上がっている
- 受注率が低い。受注単価が低い・来場獲得コストが高い
- 契約から着工までのリードタイムが短くならない
など、このような内容は数字を見れば誰でもすぐに分かります。そのため、実際になぜ、そのような問題が発生しているのかを現場に確認しにいくことを重視しています。ハイパフォーマーと育成人材による違いはないのか?商圏や地域ごとに違いはないのか?現場を奔走します。時には、ヘルメットを被って現場監督に張り付かせていただくこともあります。そこで出てきた生々しい原因とANDPADにたまっている膨大なデータを元に、定性・定量的側面から課題にアプローチをしていきます。そうすることで、その企業にフィットした育成の仕組み、会議体、新規部門(役割)の設置立上げ等々を生み出していきます。
▲お客さまの現場に入り、お客さまと伴走しながら課題解決を実施
―コンサルタントというより、お客さまのプロジェクト立上げリーダーのような入り込み方をされるんですね。
そうなんです。コンサルタントという職業は、お客さまの事業を成功させる青写真を描く仕事です。しかしどんなに理想的なプランであっても、現場に自ら指示を出すことができず、自分のプランが実行されないというケースも多く聞きます。一方、アンドパッドの住宅ソリューション事業本部では、お客さまと共に課題の発見から目標設定、実行、検証、その後のフォローアップに至るまで実施しています。このように現場に入り経営課題解決までを重視しているので、お客さま企業の事業本部長代行というイメージに近いかもしれません。
建築・建設業界の未来に向けて
―住宅ソリューション事業本部はどのような世界を目指していますか?
お客さまの業務課題の解決を飛び越えて、経営・事業課題の解決に寄与する。これが私たちの最低限の存在意義だと思っています。まずは、一社一社に対する課題を解決し、成功を積み上げていくことで、将来的に業界がより良く変わっていくことにつながると考えています。
―そのモチベーションはどこから来るのでしょうか?
個人的な話になりますが、私は“サービス労働者の仕事の向き合い方を変える”というのが、大きなモチベーションです。ハウスメーカーやビルダー、工務店様は本来、お施主様の望む建物や暮らし、生活の安全安心に時間を費やし向き合っていくべきではないかと考えています。しかしながら実際に向き合っている時間が一番長いのは、発注書作成などの事務処理だったりするわけです。お施主様と向き合う時間を増やすことができれば、お施主様に感動を届けられる機会も増えていくはず。私が支援させて頂いていた工務店のお施主様が「私は〇〇工務店から家を買ったのではなく、家を買う・考えるという楽しいプロセスまで含めて買わせていただいたんです」とおっしゃられていました。お施主様の言葉に、工務店の方々が心底喜んでいる姿を幾度となく見てきた中で、仕事の向き合い方を変えることの価値は非常に大きなものだと考えています。
―なるほど。
自分たちの仕事が、お客さまの仕事への向き合い方の変化につながり、ひいてはお施主様が満足する家へとつながっていく。その未来がこの一社から始まっていると思ったら、震えるほど嬉しいですし、これ以上ない喜びだと思っています。
現在私たちは、企業規模や業種内容ごとに、経営改善を実現するコンサルティングサービスづくりに取り組んでいる最中です。人口減少や景気動向などを背景に、住宅の着工棟数は年々減少すると予想される中、住宅事業を行う会社においては、着工棟数が減ったとしてもこれまでと同じ利益を出せる会社づくりがとても重要なテーマとなっています。私たちが経営改善支援をすることで収益性の維持や、業務効率性上昇などを実現し、今までと同じように利益を生み出せる。そんな住宅ビジネスの在り方に徐々につながっていくはずだと思っています。
―葉山さんの住宅業界を良くしていきたいという原体験は何でしょうか?
私の父は、過疎化が進んでいる地域で工務店の経営者をしています。父は「これからは住む人よりも建てる人がいなくなるスピードのほうが早くなる。そうすると、住みたいところに住めない人が出てくる」とよく話していました。住みたいところに住めないというのは、つまり、自分が所属したいコミュニティに居られなくなるということ。作り手がいなくなったら新築もリフォームもできなくなり、引っ越しを余儀なくされます。コミュニティを捨てざるを得なかった人たちは、精神的なダメージを負ったり、新しいコミュニティに解け込めずにふさぎがちになってしまう。「そういう世の中が連鎖していくからこそ、これからは作り手が楽に、もしくは作り手が減らないような仕組みを作ることが欠かせない。だからお前の仕事は価値がある」と言ってくれました。父からの言葉を真摯に受け止め、そういう世の中を作りたいと、人生を掛けて取り組んでいるところです。
緻密なデータ収集で、現場の“真の課題”に迫る
ここからは、日々どのようにお客さまへのソリューションを提案しているのか、伊藤さんと川鍋さんに具体的な業務アクションを踏まえたインタビュー内容を紹介します。
住宅ソリューション事業本部 住宅事業本部 カスタマーサクセス部 部長(兼務) 伊藤 恒太 (写真左)
リクルートにて建設会社、工務店へのSUUMO注文住宅の広告企画営業を経験。その後、注文住宅事業がメインの工務店にて経営企画責任者として従事。2018年10月にアンドパッドに入社。フィールドセールスを経験したのち、ハウジング領域のカスタマーサクセスを担当。2024年より新規事業にチャレンジ中。
住宅ソリューション事業本部 川鍋 颯 (写真右)
2015年大学卒業後、リフォーム工事メインの工務店に入社し、営業、現場監督を経験。その後、建築資材の販売代理店に入社し、営業として従事。2021年4月にアンドパッドに入社。ハウジング領域のカスタマーサクセスを経験し、その後はお客さまへのセールスからサクセスまでを一気通貫で担当。2024年より新規事業にチャレンジ中。
―具体的な業務の流れについて教えてください。
川鍋:大まかな動きとしては、まずお客さま先への訪問前に事業内容や近しい規模で起きている経営課題などから事前の想定を行い、お客さまにとって有意義な時間となるための準備を行ってから訪問に伺います。訪問時には事業についてディスカッションをさせていただきながら課題発見に努めます。現場の実態を明らかにするため、ときにはANDPAD製品のデータをお借りして分析し、受注傾向や各担当者のスキルなどの状況を提示していきます。その後、具体的な経営改善についての提案をしていきます。
伊藤:WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)を組み立て、プロジェクト化しています。企画やプロジェクトマネジメントに強いメンバーの力を借りながら工数を算出しつつ、段取りしています。
―お客さまの現場とは、どのように関わっていますか?
川鍋:提案内容によって異なりますが、私たちが作成した業務フロー改善チェックシート、現状の業務マニュアル、図面チェックマニュアルなどのツールの使い方を含めたロールプレイングをはじめ、営業会議に参加してファシリテーションを行ったり、データ分析の結果を共有したり、といった様々な関わり方をしています。支援がスタートしてからは、取り決めした内容や施策が浸透しているかどうかを調べるモニタリングも実施しています。その中で、次の課題を拾うアクション、モニタリング、仮説立ても行っていきます。お客さまの経営課題を解決するため、業界のトレンドや課題感を素早くキャッチし、ANDPADをはじめ各種チェックシートやマニュアル導入の検討などをいかに短いスパンで実施していくか。そして効果があったかどうかのジャッジまで、スピーディーにPDCAを回しています。
―仕事のポイントについて教えてください。
伊藤: “生々しい”データを取りに行くということです。例えば、ある会社の設計部では、着工が始まる3週間前までに図面を提出するというルールがあり、それが守られていないとします。このケースだと業務フローを整備していくという施策が取られるケースもあるかと思いますが、私たちは「正論」だけではうまくいかないことも多々あるだろうなと感じています。
―それはなぜですか?
伊藤:なぜなら、ルールが守られない背景には、現場の人たちがやりたくない、もしくはやれない理由が他にあるはずと考えるからです。その理由をひも解いていかないと、どんなに理想的なプランを立てたとしても意味がありません。
現場に深くヒアリングしていくと、お施主様から数回の図面変更要望があり、営業担当とのやり取りの長期化や、何度も設計図面を書き直している事情がありました。そのため設計部に「3週間前に図面を提出しましょう」と提案するのは根本的な解決になりません。
―たしかに。それは受注が最優先になっている分、設計部にしわ寄せがきていると。
伊藤:それもあります。期待調整を事細かに行えば行うほど、今度は営業にブレーキを掛けてしまう恐れもあり、受注率が下がる可能性も起こりえる。ソリューションの一つの事例としては、「ルールを守るためのワークフローを作る」ではなく「営業と設計のマイルストーンやタスクの管理、評価制度の見直しにより上流工程を整える」になるのではないでしょうか。もちろんこれは一例ですので、実際は様々な他社の成功事例をご紹介しながら改善に向けたアクションをとっていきます。課題は部門内だけでなく、"部門間”に転がっていることも多くあるんです。
―現場を知らないと、意味のないソリューションを提供してしまうんですね。
伊藤:ソリューションが現場に浸透しないというケースは良く聞くので、私たちがそれと同じことに取り組んでも意味がないと思っています。現場を改善するために、とにかく現場に深く入り込む。これが個人的に“生々しい”という感触ですね。現場の情報を精緻に集めるというフェーズだけでも、約半年から1年掛けています。
お客さまの経営に貢献できることであれば、提案内容は無限
―仕事のやり甲斐について教えてください。
伊藤:私の場合は、提案の幅が無限に広がっているということです。これまではプロダクトベースでしか提案できなかったシーンもあったと思いますし、ソリューションが限定されていると、課題を解決したいのに実現できないジレンマがありました。今は集客を目指したインサイドセールス部門の立ち上げやWeb広告の運用といった提案などもできるようになりました。お客さまが真に求めていたものにお応えできるのは大きな喜びです。
川鍋:私も伊藤さんに同感です。お客さまのためになる施策であれば、どんなことも提案を検討することができ、建設業界をより良く変えていく最前線を走ることができる、そんな環境がやり甲斐になっています。またお客さまの経営にコミットした故に、業績が伸び、信頼を寄せていただけたときは嬉しいですよね。「アンドパッドさんに頼んで良かった」「川鍋さんにお願いして良かった」という声が仕事の原動力になっていますし、そこにつながる喜びを知っているので、お客さまをまず幸せにしたいという思いがあります。
―仕事の厳しさはありますか?
川鍋:まずは、知識をインプットする大変さがあると思います。アンドパッドのプロダクト、業界や業務の知識、そして経営状況を表す数字を見て課題に気づけるかという感度も必要です。かくいう私も勉強中で、常にお客さまに追いつかなければと思いながら業務に携わっています。もう一つは、お客さまから本音を引き出すことです。お客さまから信頼を獲得するために、私たちは常に業界について学び続けしっかりとしたバックボーンを持っていないといけませんし、業界知識やトレンド把握、ヒアリングスキルが必要だと思います。
伊藤:私の場合は、プロダクトありきでない、前例のない提案であることですね。これまで注力してきた数ヵ月が全く意味を成さなくなるかもしれない、というプレッシャーが常にあります。とはいえそれが新規事業に関わる醍醐味でもあるので、やり甲斐と厳しさは表裏一体だと思います。
データの活用によって、経営改善の成功体験を提供したい
―今後の展望や意気込みについて教えてください。
川鍋:お客さまの経営改善に向けて、何でも提案を検討できる環境なので、事業の成長とともにお客さまと成長し続けるスタンスは崩さずに取り組んでいきたいという強い意志を持っています。
伊藤:個人的な思いとしては、現状に課題感を持って頑張っている会社、お客さまと真摯に向き合う企業が生き残る業界にしていきたいと思っています。今までスポットライトが当たらなかった現場が、DXによって現状が明らかになることで、さらなる市場競争が生まれるはずなんですよね。その中で、お客さま満足に真摯に向き合う会社、協力会社さんを満足させようと頑張る会社が選ばれる、生き残るという世界を作っていきたいと思っています。
具体的に考えているのは、さらなるデータの活用です。ERPを導入して「受発注がスムーズになった」「お施主様情報がまんべんなく溜まった」というだけで終わるのはもったいないと思っています。本来ERPの役目は、経営者がそのデータを見て判断し、より良く改善していくこと。「お施主様データを使って何をするのか?」「原価情報を見てどんなアクションが変わったのか?」ということまでデータを分析して、現場を変えていくという方向に持っていきたいと考えています。
―なるほど。
伊藤:私たちが課題改善に向けて伴走する中で、お客さまには「こんな風に会社をマネジメントするんだ」「こんな風に物事を把握して改善していくんだ」と理解を深めていただき、その結果、会社が自走していく。そんな成功体験を私たちと一緒に感じてもらえるとすごく嬉しいですね。その結果、お客さまが本来創業当時に思い描いていた世界や社会にまっすぐ向き合える体制が築けるようになると考えています。
―最後に住宅ソリューション事業本部は、どのような方が活躍できる環境でしょうか?
伊藤:業務フローの知識や業界の解像度が高ければ強みになるのは事実だと思います。ただ、社内には業界出身者もいますので色んな人を巻き込んで一つのものを作り上げた経験があれば、充分にプロジェクトを進められると思います。部門間の調整や、部門間を横断したプロジェクトを推進したことがある人だとその経験を充分に活かせそうですね。
川鍋:また、データを見て事業の傾向や課題を発見していく場面が多いので、データ分析の経験がある方はスムーズに仕事に入れると思います。
伊藤:まず課題を深掘りして把握していく能力や、課題解決の優先順位を付けて合意を迫るクロージング能力など営業スキルを求められるシチュエーションは多いかと思います。とはいえ、大切なのはスタンスやマインドかもしれません。例えば、業務コンサル経験やカスタマーサクセス経験などを通じて、改善フローを提案したけれど、「具体的に何が変わったのか?」「誰に貢献したのか?」が目に見えて分からない、そこにジレンマを感じる人は大きなやり甲斐を感じられると思います。