アンドパッドの立上げメンバーであり、急拡大中のグローバル開発にも携わる 山下 大輔 と 金近 歩 。 アンドパッドでグローバル開発に携わる面白さや得られるスキルをお題に 2 人が対談しました。
今回はその対談の模様をお届けします!
山下大輔 @daisuke0131
執行役員 グローバル開発部部長 兼 ANDPAD Vietnam CTO
大学卒業後、新卒で富士通の研究所に入所。 ファームウェア、 AI 、 Web サービス、 iOS/Android の研究開発に携わる。 ベンチャー企業に興味を持ったことを機にビズリーチにジョイン。 立ち上げメンバーとしてモバイル開発全般を担当した後、創業間もないアンドパッドにジョイン。 CMO (Chief Mobile Officer) として主にモバイル開発を手掛けたのち、 CDO (Chief Development Officer) に就任。 現在は ANDPAD Vietnam を立上げ、グローバル開発部部長 兼 ANDPAD Vietnam CTO を担う。
金近 歩 @KanechikaAyumu
テックリード / 創業メンバー
株式会社アンドパッドの前身であったベンチャーに、兄であり CTO でもある 金近 望 の誘いで関わる。 2016 年にアンドパッドに入社。「 ANDPAD 」の開発に当初から携わる。 現在はテックリードとして所属する製品開発チームをリードする傍ら、同製品開発のベトナムチームの立ち上げを進める。
Global Construction Tech を目指し、グローバルでの開発体制を作る
金近: そもそも大輔さんがグローバル開発に携わろうと思ったのは、なぜだったんですか?
山下: 単純な話でアンドパッドにとって必要だったからですね。 でも、歩さんもそうでしょう?
金近: それはそうですね。 僕もグローバル開発の成功例を作ろうと最初に挙手して、ベトナムチームの立ち上げをやっています。
山下: 歩さんは、これまで英語を使って働いた経験はありましたか?
金近: 10 年前ぐらいに前職でシンガポールで展開する Web サービスを外国籍のエンジニアも交えグローバルに開発するプロジェクトがあったので、挙手してやったことがあります。 そこで「英語なんもわからん」という状態から必死に英会話も勉強して、当時は毎日オンラインの英語レッスンを受けて、トータルすると 500 回ぐらいになった記憶が残ってます。
山下: 必然性ができると英語の勉強をするようになりますよね。 とはいえ、日本のエンジニアは海外のエンジニアと働くことに抵抗がないんじゃないかな?
金近: 確かに他のセールスや PdM などの職種に比べると抵抗は少ないかもですね。 根っこのコンテクストにソースコードがあるから、言葉が通じなくとも最終手段としてコードを読んでね、と言えますからね。
山下: そう、自分たちも最終手段としてコードを読みますし。 だから日本のエンジニアにとっては、(グローバル開発を)やるか、やらないかだけの話だと思います。
金近: エンジニアがグローバル開発に抵抗が少ない一方、会社でグローバル開発をするというのはまた別のハードルがありますよね。アンドパッドがそもそもグローバル開発をやろうとしたのは、なぜなんでしょう?
山下: 稲田さん(アンドパッド創業者 代表取締役)が開発メンバーがまだ 5 人ぐらいしかいなかった創業期の五反田時代 (*1) に「グローバルにやろうよ!」って言ってたのが、そもそもですね。 もちろん当時の反応は「ええまぁ、そうですねぇ ... 」という感じだったけど(笑)。
金近: なぜ、その規模でグローバルという発想に?
山下: 創業期だったということもあるけど、アンドパッドはベンチャーだし、ベンチャーなら想像しないことをやるのが楽しいよね、という発想が根幹にあるからですね。 過去に業界に先駆けてクラウドやモバイルに取り組んだことが優位性に繋がったように、その延長線にある一つが海外進出だったということです。
金近: なるほどな~。 てっきり日本のエンジニア採用市場が厳しいからだと思ってました。
山下: それはそれとして一つあります(笑)。 ただ単純な採用目的ではなく、ベトナムのエンジニアを見ていると、とても優秀だから、言語の壁を超えて、優秀なエンジニアに会いにいこう、仲間になってもらおう、というのが目的ですね。
金近: ベトナムメンバーは優秀ですし、若いし、やる気がありますものね。 僕も現地に行って一緒に開発したり、話してみて、それをリアルに感じました。 加えて現地の建築物・建設事情も実際に見て、日本と比べると、質や工法などを含めてまだまだ伸びしろがあることも見て取れました。 プロダクト開発だけでなく、 ANDPAD をもとにお客様と一緒に標準的な図面管理や施工管理などをベトナムで普及させ、品質を高めるというのは、とても面白そうです。
山下: そう、アンドパッドはグローバルな Construction Tech Company になりたいからね。
(*1) アンドパッドは 2016 年~ 2018 年の間、五反田に本社がありました。 その当時の写真が、以前掲載していた Wantedly のポジションのアイキャッチになっています(すでにポジションはクローズ済み)
(金近 歩 [写真中央] とベトナムメンバー)
グローバルな開発チームを作ってみて "日本だけに閉じていた" ことを痛感
金近: 実際にベトナムでアンドパッド初の海外拠点となった ANDPAD Vietnam を立ち上げてみて、どうですか?
山下: そもそも日本で日本メンバーだけでやるという固定概念というか思い込みから外れていることが楽しいですね。 実際、外してみるとこれまでの考えが縛りにしか見えません。
金近: 確かに、僕も日本だけで事業展開すると思い込んでしまっていた節があるので、閉じる必要はなかったんだな、と思いました。 日本に閉じていると、固定概念が生まれがちかも知れないですね。 開発やコードでもそう感じます。 多様性ってこういうことかも。
山下: 僕も立ち上げをやってみて、狭い範囲でしか優秀な人と会えてこなかったことに気付かされました。 何より、日々新しいことに出会えて楽しいですね。
金近: わかります。 エンジニアや開発だけでなく、ベトナムでは朝ごはんを外で食べる習慣があるのか、という発見一つとっても楽しく、 ベトナムの色々な習慣に気づいて、本当に飽きないです。
山下: さっき歩さんが言ったように、ベトナムで面接をしていると若い人が多くて、どんどん成長しよう、どんどん給料を上げていこうという期待に溢れてます。 ベトナムでは 20 代 30 代の人口が多く (*2) 、それが本当に国力になるのだと気付かされましたね。 国が成長していると感じます。
金近: ベトナムのエンジニアの就職活動のエリアも違いますよね。
山下: そうそう、アジア全般で活動しますよね。 この前、面接したエンジニアはサウジアラビアの企業と競合しました。 このあたりは日本と全く違うところだね。
金近: 日本のエンジニアもアジア全般に活動するほうが健全かもしれないですね。
山下: 多様性があることの良さをこれまで話してきましたが、反面、共通認識を生むことが大変です。
金近: 自分が当たり前だと考えていたことが通じないことの連続ですね。 でも、その回数だけ、新しい常識に出会い、自分の常識が変わっているのですよね。それが楽しさにも繋がっています。
(*2) Population Pyramids of the World from 1950 to 2100 - PopulationPyramid.net の Viet Nam より
(山下大輔 [写真左] と金近 歩 [写真右] はアンドパッドの創業メンバーでもある)
日本にいてもグローバルに働ける自信がついた
山下: 常識を変える、当たり前をアップデートするというのはスキルと言えるかも知れませんね。
金近: その他にグローバル開発で身についたスキルというと、うーん、英語?
山下: 僕は英語はどれだけ触れられるかというゲームだと考えているので、グローバル開発をやっていれば嫌でも身につきそうです。 スキルの話だと、開発のような "インフラ構築できます" のようにわかりやすいものではないけど、拠点を立ち上げるスキルは身につけられたかな。 もし、アンドパッドから離れたら、再現性をもって同じことができるとは言えます。
金近: 数十人を超える規模を 2 年程度の凄いスピードで立ち上げたのは、あれは大輔さんのスキルと言ってもいいでしょうね。 ベトナムチームではデカい Pull Request が常識である中、エンジニアの評価の一つに "Pull Request 数を基準にしよう" (*3) を入れて共通認識を揃えようとは、たぶん僕は言えないかな。
山下: もちろん Pull Request の数がすべてじゃないだろう、と反発はありましたが、やっぱり、定性的なことを言うより、わかりやすい定量的な目標にすると、素直にコミットしてくれましたよ。 もちろん、質も伴うように、いい Pull Request の見本を見せたり、コードレビューで指摘したり、定性的なことも伝えました。
金近: ちゃんと常識をアップデートするのがベトナムメンバーの凄いところですよね。
山下: その Pull Request の話にも関連するけど、シンプルなルール作りや、シンプルなメッセージにするということは心がけるようになりましたね。
金近: 今の日本メンバーと同じようにハイコンテクストなことはすぐにできませんものね。 僕もデカい Pull Request がベトナムチームでの常識だとは思ってませんでした。 それぞれの国のチームが、それぞれの常識を持っているので、コミュニケーションの問題も無限に発生します。 お互いの常識や国民性を知って、それを解決することで、はじめて 1 + 1 が 2 になると感じました。
山下: 評価や給料の見方もその一つですね。 日本とベトナムではまったく常識が違う。 ANDPAD Vietnamでは、メンバーが給料も含めて待遇をこうして欲しいと具体的なリクエストもちゃんと言ってくるので、評価も数値化・定量化していないと伝わりにくくなります。
金近: 定性評価は合いませんものね。
山下: 歩さんはベトナムチームの立ち上げをやってみて、どうでしたか?
金近: 海外のテック企業に転職しないとグローバル開発は分からないと思っていましたが、グローバルに働けそうだと思えるようになりましたね。 程度はあれど、何かしらアウトプットできる自信はつきましたよ。
山下: アンドパッドなら、国内にいながらグローバル開発ができるスキルを身につけられるチャンスがある、ということですね。 いい宣伝になります(笑)。
(*3) 関連記事
アンドパッドはグローバル開発が普通になる
金近: 実際、今は色々なチームにベトナムメンバーが入ってきていますし、日本でもインド・ネパールからのメンバーを採用しているので、関わる機会は増えていますね。
山下: テックブログでもいくつかグローバル開発にまつわる記事が公開されるようになってきましたしね。
金近: グローバル開発に携わりたい! と気負わずとも、アンドパッドで普通に開発していると英語を使うし、グローバルな開発になってきてます。
山下: 社内の All Hands も資料は日本語と英語を併記するようになりましたし、いずれ社内の公用語に英語も追加されることにはなるでしょうね。
金近: アンドパッドでグローバル開発が普通になっていくとして、大輔さんがグローバル開発で気をつけていることはありますか?
山下: 日本メンバーとベトナムメンバーが同じチームで開発できることですかね。 日本チームとベトナムチームの間を、いわゆるブリッジする人が入り、それに慣れてしまうと、開発がそれぞれのチームに閉じてしまいがちです。 そうすると、一気にお互いが受託っぽくなっちゃいます。
金近: ベトナムチームが主体的に取り組めるように、 PdM も積極的にベトナムメンバーとのコミュニケーションを増やしてるのは、そういう背景ですね。 その延長線で日本の Biz メンバーとベトナムメンバーがコミュニケーションをする機会ができると新しいコラボレーションが増えそうです。
山下: 楽しみですね。 歩さん、今日はいい時間をありがとうございます! 一緒にグローバル開発を進めましょう。
金近: こちらこそありがとうございました! 引き続き、グローバル開発を楽しんでいきましょう。
(移転したばかりの ANDPAD Vietnam の社内)
アンドパッドでは、日本にいながらグローバルな開発スキルが身につけられる機会とキャリアが積めます。 グローバル開発に興味があるエンジニアの方はぜひカジュアル面談やご応募いただき、グローバル開発に携わりたい熱をお寄せください!