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エンタープライズ領域におけるインサイドセールス(以下IS)の業務は、「行動量だけでなく、質も求められる」とアンドパッドで入社以来IS一筋の小林は語ります。エンタープライズ領域だからこそ、提案するお客さまについて会社だけでなく個人についても事前リサーチし、訴求すべき提案内容も高い精度が求められるからだそうです。エンタープライズ領域専任のISには、得られるスキルや経験に何があるのか、どんなキャリアが描けるのか、小林にインタビューを実施しました。
小林英祐
2019年インサイドセールスとしてアンドパッドに入社。当初は数名の人数であったが、組織の成長とともにハウジング領域、専門工事領域など様々な部署の立ち上げやマネジメントを経験。様々な企業規模を対象に新規開拓を行い、2023年7月にエンタープライズインサイドセールスの立ち上げメンバーとして従事。2021年よりマネジャー就任。
戦略的なアプローチを行うために
━まずはエンタープライズ領域におけるISの業務について教えてください。
前提として私たちの事業の成功は、お客さまの事業の成功で成り立っています。お客さまに当社の製品を知ってもらい、導入していただくために営業活動がありますから、その入口となる最初のアプローチが、ISによるお客さまへのコンタクトになります。
私たちが専任で担当しているエンタープライズの領域のお客さまは、各地に支社やグループ企業を持ち、数千億円規模の売上や数千人以上が働いているような企業が対象です。提案機会である商談の数や商談設定率などが足元の目標にはなってきますが、業界シェアを拡大していくことが大きなミッションでもあります。
━コンタクト、アプローチはどのようなものになりますか。
ABM(Account Based Marketing*)の観点で、個社ごとにどのように開拓していくのか設計しながら進めています。
*具体的に企業・団体(アカウント)をターゲットとして設定し、ターゲットアカウントからの売上を最大化するために戦略的にアプローチするマーケティングの考え方または手法
アプローチ手法は架電が中心となりますが、日々チームでナレッジの共有、蓄積をしながら進めています。例えば、毎朝実施している朝会では、前日のコールにおける成功事例、失敗事例の共有、週ベースで実施しているMTGでは、提案方法やトンマナといったコール内容のフィードバックなどをISのメンバー間で行っています。個社ごとに戦略的に進める必要がありますので、チームでナレッジ共有及びフォローしながら進める体制です。
━一般的には数千、数万のリストを上から順番に架電してアプローチするイメージがあります。
そうですね、そういうケースと架電数を比較すると少ないかもしれません。私たちは個社ごとに業種・部署・レイヤー・役職など様々な情報からお客さまの組織図を作成し、どの担当者にどのようなご提案内容でアプローチをするのか準備をしてから架電しています。
━個社ごとに戦略を考えるのですね。となると、次から次にリストが新しく更新されていくわけではない。
もちろんお客さまからのお問い合わせやマーケティング活動におけるリード獲得など新規のリストも対象にはなっていきますが、基本的には社内の顧客管理ツールで業種でわけてリストを作成し優先順位に沿ってアプローチしていきます。9割はアウトバウンドコールになります。
━基本はアウトバウンドで個社ごとに戦略を考えアプローチしていくということですが、どのように検討していくものでしょうか。
お客さまと全く接点がもてていない未商談の場合と過去に接点があるパターンに分かれて対応方法が大きく異なります。まず、全く接点がない場合は情報も何もない状況ですので、お客さまのホームページ上や検索などで情報を組み立てていきます。場合によってはアライアンスや紹介先への打診を行います。架電をするために必要な情報を取得することに時間をかけて対応しています。
過去に接点がある場合は、過去の商談の履歴情報を確認し、同じ方にアプローチするのか、もしくは別の方にするのか、訴求すべき提案内容を変えていくのか、アカウントマネジャーと相談しながら検討していきます。
━1コールをするにしても時間をかけ戦略的にアクションしているわけですね。
そうですね。時間をかけてしっかりアプローチ先と提案内容を検討しています。
━部署や役職などアプローチしたい方の見つけ方に工夫はありますか。
アカウントマネジャーと適宜コミュニケーションをとっていますので、「〇〇部署所属の方だとANDPADに興味を持ってくれるだろう」「□□の部署の△△さんなら関心を持ってくれる可能性が高い」など情報共有から予測し、事前準備の中で担当者まで洗い出してからアプローチしています。
━残念ながら過去に失注してしまったケースで再アプローチをする場合は、どのようにしていますか。
その場合、つないでもらう先を変更するか、提案方法を変えるかですね。以前お断りされた理由や当時の状況など要因を分析します。例えば、適切な部署ではなかった、プロダクトに興味関心を持っているのは現場の方だった、訴求するトーク内容やポイントがずれていたなどを改善・ブラッシュアップして適切な形で再度アプローチしていきます。
キーマンを見つけ、適切な訴求を
━業務について詳細説明ありがとうございます。気になるのが適切な担当者を見つけ出すところが鍵になってくるかと思いますが、この辺りはどのように対応しているのでしょうか。
おっしゃる通り、商談を生みだしていくためには適切な担当者の見つけ方と、何をどのように訴求するかが重要です。特に担当者に関しては、先ほどもお伝えした通りホームページでの情報収集やWeb上にある情報をとにかくリサーチすることが多いですね。人事異動情報、登壇情報、セミナー参加、導入事例のコンテンツなど、ありとあらゆる情報をキャッチアップします。これで約6割は絞り込めます。残りは、アライアンス先からの紹介や打診してもらったり、直接手紙を送ったりもします。
━手紙を送ることもあるんですね。
直接返信いただくというより、架電の前に認識を持っていただきやすくなり、電話に出ていただいた際にスムーズなコミュニケーションにつながりますね、
━様々な角度から徹底してアプローチすると。訴求内容に関してはいかがでしょうか。
提案・訴求内容に関しても、日々の情報共有が大事ですね。コールをして商談に至らなかった場合─、仮に、基幹システムと施工管理システムを既に導入している架電先に、「システムを導入しませんか」というシンプルな提案をしてしまう。これだと、お客さまに良い提案にはなってないですよね。
━確かに。
事前にシステム導入をしているとリサーチできれていれば、「御社のシステムを併用して〇〇においての効率化を図りませんか」といった提案ができるかもしれない。お客さまにとってどんなニーズなのか、どこにお困りごとを抱えてらっしゃるのかを把握し、訴求すべきポイントを整理して提案していくことが求められますね。
━とはいえ、情報の限界といいますか、顧客の情報で不明な点もあるかと思いますし、提案方法にテクニックが要求されるケースもあるかと思います。
もちろんメンバーそれぞれでは限界がありますから、社内連携が必要です。例えば、同じチームのアカウントマネジャーやカスタマーサクセスのメンバーから、業界やお客さまの情報を常にキャッチアップできる体制を構築してます。具体的な商談の進捗状況やANDPADの利用事例、向き合っている課題などをスピーディーに共有しています。このようなインプットが日々あるために、訴求内容やトーク内容の改善に活かせる環境です。とはいえ、日々の架電で情報を取得しながらも、業態や業種に合わせてトークスクリプトを柔軟に変化させていく意識も必要です。
━それは、型化されたトークスクリプトを使いまわしてはいけないということでしょうか。
そのような意図ではなく、支社なのか本部なのか、現場なのか管理者なのか、部門や部署によってもニーズは変わりますから、スクリプトもアップデートしていく意識も大事です。それによって、自分の中で引き出しが増えていき、商談率向上に繋がると思っています。実際に数か月前と比較して数倍の商談機会創出に寄与しています。
これは、以前はIS専任がいなかったというのも要因としてありますが、ABMの観点に加え、日々の改善や変化させていく意識も少なからず商談件数の増加に繋がっていると思います。
━なるほど、ありがとうございます。最後にエンタープライズ専任のISのキャリアについて教えてください。
先述した個社ごとに戦略的な手法でアプローチしていくのは、エンタープライズのISならではと思います。架電先ごとにしっかり戦略を練ってからアクションを起こしますから、この経験を積めるのはキャリアとして大きいと考えています。二つ目は商談機会におけるフェーズ管理を体系的に理解できる点ですね。
━商談機会におけるフェーズ管理ですか。
例えば架電先のキーマンが不明な場合もありますし、キーマンがわかったとしても会社にご不在のケースもあります。接触できたとしてもお断りされる場合もあれば、もう少し電話で詳しく話を聞きたいとおっしゃるケースもあります。それぞれ分類化し、フェーズ管理や見込み管理を整理し、そのフェーズのステータスに応じたアクションフローを理解できるのも面白みではないでしょうか。
━フェーズに応じたアクションフローを体得できるのは大きな武器になりそうですね。
それに加えて、エンタープライズにおけるISの組織は、走り始めたばかりなので組織を作っていく側にも挑戦できますし、アイデアそのものが仕組み化やルールのベースになることも多いにあるかと思います。また様々な役割を持つ可能性が高いため、成長機会も多いですし、組織も拡大していくのが前提でもありますから新しいポストができ、そこを狙えるチャンスもあります。
━拡大中の組織はチャンスが多々ありそうですね。
これは先の話になるかと思いますが、架電をして商談機会を創りアカウントマネジャーやフィールドセールスにパスするまでの動きがISの役割でしたが、お客さまの業務課題を把握し、テレカンで商談まで行うなど業務範囲を広げていくのもチャレンジしていければと思っています。
━それは最終的な受注を意識してのことですか。
そうですね。目の前の商談件数、商談率なども大事なKPIですが、ANDPADを利用いただくお客さまを増やして、アンドパッドの世界観を拡大していくことがミッションです。そのためにはご利用いただく可能性の増加や継続的にご利用いただくことも重要なKPIだと考えています。その受注確度を上げるため、ISが積極的にアクションをとっていくまでがアンドパッドらしいISのあり方だと思います。