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アライドアーキテクツ株式会社の取締役 CPO、及び、SaaS事業を担うプロダクトカンパニー プレジデント 村岡 弥真人(むらおか やまと)さん。
CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)として、プロダクトビジネスの経営責任者を務める村岡さんに、アライドアーキテクツ流のプロダクト開発について話を聞きました。
CPOとしてするプロダクト開発の意思決定は、経営視点で捉えた未来への投資
ーー「CPO」というのは一般的にはまだあまり聞きなじみのない役職だと思いますが、村岡さんはいつからCPOとして、どんな活動しているのですか?
CXOの中では少しマイナーかもしれませんが、プロダクトドリブンで成長している企業だとCTOと兼務で活躍しているCPOも増えてきているように思います。僕自身は2019年に国内のSaaS事業を担う「プロダクトカンパニー」のカンパニー長になったタイミングで、プロダクト事業の経営を担うという意味合いでCPOを名乗ることにしました。
それまでは事業責任者という立場だったので、「どうしたら事業が伸びるか」ということだけを真っすぐに考えてビジネスすればよかったんですが、プロダクトカンパニーのカンパニー長になって、全てのことにおいてPLやBSのバランスを意識した経営視点で考えなくてはいけなくなりました。
プロダクトに関しても短期的に事業を拡大させることだけでなく、いかに未来に投資しながら収益を増やせるのか、このバランスを徹底的に考え抜いて意志決定する必要があります。
プロダクトというのは先行投資が必要なものなんです。僕は技術組織も見ているのですが、エンジニアチームへの投資や採用は3年後のプロダクトを作るために必要な資産作りだと思っていますし、同じように短期数字への影響が見えづらい広報・PRも未来への投資だと考えて判断しています。これが短期業績と未来の事業成長への責任を持っているCPOの僕しかできない役割だと思っています。
ーーアライドのプロダクトはどんなきっかけで開発が始まるんですか?
きっかけは特に無くて、常にいろんな人と、プロダクトや市場の機会をずっと考えてずっと会話してるんですよね。その中で、新たなプロダクトや機能の開発の必然性を確信する瞬間があるんです。
元々「何のために僕らの事業が存在しているのか」というのを大切にしており、僕らのパーパスは「プロモーション・マーケティングを正しい形にする」と定義しています。よってドメインは「広告主が困ってること」かつ「支援会社が困っていること」かつ「それが市場の多様化によって生まれていること」に特定しているんです。
そして、それについて日頃からずっと考えていて、社内外いろんな人にアイディアをぶつけたり、会話したりしています。なので、新規開発をやろうという意識ではなく、日常的に何気なく交わす会話の中の気づきを「点」として打っている感覚ですね。
その過程において、打ってあった「点」がつながりはじめ、「線」に変わる瞬間があるんです。そこで意思決定して「こういう思想でこういうことを解決したくて、こういう事業をやろうと思ってるんだ」と話していって、アイディアをくれた人に役割を渡すというような循環で進めていきます。
再構築のチャレンジが続いた3年間で、絶大な信頼感を培ったチームこそがアライドらしい開発基盤
ーーCPOになってプロダクトに対する考え方だったり、開発の方針というのは変わりましたか?
CPOになってというよりは事業フェーズが変化していく中で、プロダクトというものは結局、いかにシンプルにお客様の「痛み」を解決するかなんだいうことが分かったことが大きいですね。そしてそのためには「お客様の解像度をあげる」ことと「お客様のワークフローにフィットさせられるか」が必要で、これこそがプロダクトビジネスの醍醐味だと気付きました。
プロダクトカンパニーがまだ前身の事業部だった2018年から「プロダクト」にもう一度フォーカスし始めて、結果的にこの3年間は0→1のフェーズでした。
過去のプロダクトを精査しながら、マーケットトレンドやSaaSの潮流と、顧客の痛みに合わせた新しいプロダクトを産み出す。そして、今までの売り切り型からカスタマーサクセスドリブンなビジネスに変え、さらにエンジニア組織も変えるというチャレンジを3年間ずっと続けて基盤を作りました。
その結果、開発組織のベースができ、ビジネススキームが変革され、新規開発したプロダクトが成長出来て、トップラインの純増フェーズに入ったのが2020年後半でした。
この3年間でプロダクトのフレームワークやモノづくりの考え方、UXをどう考えるか等の資産がすごく増えたので、仮に新しく開発したプロダクトがダメでも、同じチームで違う事業をやっても成果を出せる自信があるんです。この3年間ずっとそうやって同じチームでやってきたことが大きな資産になっています。
ーーアライドらしく開発されたプロダクトというとどんなものがありますか?
スピード判断で開発を始めたLetroとechoesですね。
Letroは代表の中村さんと二人で外出した際に、海外ではトレンドだがまだ日本には来ていないビジネスチャンスに関して話していた中で出た些細なアイディアを、帰社してすぐにエンジニアを集めて「とりあえずこういうことをやりたい」って伝えたんです。そうしたらその場で「できるよ」って言うのですぐに開発を始めてもらいました。
echoesは僕が出張中に、エンジニアチームのマネージャーから電話をもらったんです。「営業メンバーから聞いたお客様からの要望が増えているという機能を見積もってみたら、2カ月くらいでローンチできるから開発していいですか?」って。「いいですよ。やってください」って即答して、開発したら想定を大きく超える良い反応を得ることが出来ました。
これは、マネージャーや現場の意見に対して信頼があるからこそ出来た判断だと思うんです。
特に0→1の開発が強く、開発チームに対しては信頼と実績を感じているので、開発が始まっても細かい干渉はしないようにしています。
「実現したいこと」「提供したい顧客の体験」「僕らの提供する価値とそれに見合ったプライシング」これらを定義したら、あとはプロダクトのマネージャーに渡してしまっても、出来上がるまでほとんどみなくても大丈夫だと思ってます。
ファーストマインドは「顧客の事業成長に貢献すること」
ーーそれは本当にすごい信頼関係ですね。開発段階で意見が食い違うようなことはないのですか?
僕たちには「One team, One goal」というバリューがあるのですが、最終的に全員が顧客の事業成長に貢献するんだということをファーストマインドにすることを徹底しています。
技術の難易度とかUIの先進性とか、プロダクトとして正しいビジネスモデルになっているのかとか、全部大切なんですけど、それよりも大切なのはお客様の事業の成長なんですよ。
「技術の難易度を高めたい」とか、「ぬるぬるのUIがいい」とか、「インサイドセールスの責任はここまで」とか、「カスタマーサクセスはこうあるべきだ」って、誰か1人でも顧客主語ではなく、自分が主語のディテールの方にダイブしちゃうと、全員で共通のゴールを目指せなくなるんですよね。手段の議論を持ち込むとOne Team, One Goalは絶対破綻します。
この「One team, One goal」というバリューをもとに、「顧客の事業成長に貢献すること」。ここの足並みがスキルとともにそろったのが組織的な成長の大きいところです。
ーー今、全てのプロダクトにおいて、好循環が回っていますね。
そうですね。カンパニーメンバー全員が「顧客の事業成長に貢献すること」を第一に動いているから、立場や役割が違っても互いの活動の意図を理解できるし、連携しやすい。
誰か1人の活躍だけで顧客の事業が成長することはなく、価値を提示するセールス、価値を顧客にフィットさせるCSやコンサル、価値を具体化する開発が一体となって価値を高めなければプロダクトの進化はなし得ません。
正直、ここに至るまで、過去にはプロダクトが破綻して、エンジニアが大量に離職して、それぞれ辛い時期があり、めちゃくちゃ苦労したこともありました。だからこそ、みんなの中で良いチームを作りたいという意識が、余計に高まったということがあるかもしれません。
2021年、プロダクト事業は新たなフェーズへ
ーー2021年からはまた新しいフェーズが始まるそうですが、今後の展望を教えてください。
これはtoCもtoBも、そして僕たち自身も全く一緒なんですが、どの領域でもまずは「お客様を知ること」が一番重要だと思うんです。お客様が何を考えてるかわからないのに広告は作れないし、お客様の痛みがわからなければUXは設計できないし、同梱物も作れない。
お客様はどんどん変わり続けているし、コロナ禍でもっと変わっているのに、これまでと同じお客様像を今でも当たり前だと思っている方が意外と多いのは、マーケターの方が顧客に向き合う時間を捻出できなかったり、正しく顧客に向き合う手段を知らないからだと思うんです。
だから僕たちは、「EC」「販促」「制作」という、施策の多様化やデジタルの複雑化に最も影響を受けやすい3つのドメインにフォーカスして、Letro、LetroStudio、echoesというメインプロダクトを中心に拡張することで、多忙を極めるマーケターの方でも正しい広告・販促施策の実行が可能となる環境を創造していきます。そして、マーケターの方が改めて「顧客に向き合う時間と機会を増やすこと」にコミットできるように支援していきたいと思っています。